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農林水産省

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特集2 新・日本の郷土食(1)

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秋のごちそう


澄みきった空と爽やかな風・・・田んぼが黄金色に輝く秋は、日本各地で運動会や収穫祭など、楽しい行事が続きます。
今月はそんな秋のにぎやかな集いにつきものの、家族や仲間と一緒に食べたいごちそうを集めてみました。

秋のごちそう

河原で囲む芋煮鍋は東北の秋の風物詩
収穫したてのイモや野菜を、肉と一緒に煮込む「芋煮鍋」。この鍋を野外で囲み、家族や職場の仲間たちと楽しく過ごす「芋煮会」は、東北(おもに南東北)の秋の恒例行事。特に盛んなのは山形県で、サトイモと牛肉やネギで仕立てる芋煮鍋は農林水産省の「農山漁村の郷土料理百選」にも選定された、県を代表する郷土料理です。

芋煮会の起源には、諸説ありますが、山形県中山町の資料によると、その起源は江戸時代。京都から山形名産の青苧(あおそ・繊維の素材となる植物)を仕入れに来た船が最上川をさかのぼり、終着港(現在の中山町)に着いた時、内陸部から青苧の荷がなかなか届かなかったため、船荷の棒ダラと、近所から買い求めたサトイモを使った煮込み鍋を作り、お酒を飲んで暇をつぶしたというもの。なんと元祖芋煮鍋の素材はサトイモと棒ダラだったのです。その後、棒ダラが時代と共にクジラ肉、豚肉、鶏肉や牛肉へと変化し、南東北全体へと伝播。そのため、芋煮鍋とひと口に言っても、山形市周辺はサトイモと牛肉を使った醤油仕立て、酒田市周辺は豚肉を使った味噌仕立て、宮城県や福島県方面では野菜を多く使い、秋田県や岩手県では「芋の子汁」と呼んで鶏肉を入れるなど、そのレシピは実に多彩です。

地産地消で手軽に楽しもう
こうしてみると「芋煮会」は、各地方に暮らす人々が「自分たちの土地で採れたもの」をひとつの鍋にして楽しむ、地産地消の収穫祭とも言えます。

大きな鍋に採れたてのイモや野菜をたっぷり入れ、肉や魚と一緒に煮込めばOK。味付けもお好みで。この秋は、お天気のいい日を選んで地元で採れた新鮮な素材を使った「我が家流芋煮会」を楽しんでみませんか。


手作りの漬物やケーキなどを直売するグループ「神室ざる市」の代表者でもある三上敦子さん

手作りの漬物やケーキなどを直売するグループ「神室ざる市」の代表者でもある三上敦子さん。地元食材を扱う仕事ができてとてもうれしいという

神室(かむろ)ざる市
TEL.0233-52-7130

Photo:Koji Sugawara
山形金山町の芋煮「芋子汁(いもこじる)」は塩クジラを使います
山形県/三上敦子さん
今回は、山形県最上郡(もがみぐん)金山町(かねやままち)に住む主婦、三上敦子さんに、珍しい塩クジラとジャガイモを使った「芋子汁」を作っていただきました。秋田県にほど近いこの地方では、昔から保存のきく塩クジラを使い、お盆の頃から秋まで作ってきたそうです。

「この辺では芋煮と呼ばず、芋子汁といって人が集まれば決まってこの鍋でした。今では、山形市風の牛肉の鍋が主流だけれど、それでも懐かしくて、毎年この鍋を作ります」と敦子さん。

ひと口いただくと、ホクホクしたジャガイモに塩クジラのコクと塩気がしみこみ、体の芯まで喜ぶやさしい味。失くしたくない、郷土の味です。

芋子汁の作り方

材料(4人分)    1.塩クジラ(細切り)に流水をかけてまわりの塩をよく洗い流す

材料(4人分)
ジャガイモ大3個、塩クジラ約60g、長ネギ1~2本、味噌約大さじ5(量は好みで)
 
(1)塩クジラ(細切り)に流水をかけてまわりの塩をよく洗い流す



2.皮をむき、大きく乱切りにしたジャガイモを鍋に入れ、かぶるくらいの水を入れて煮る    3.ジャガイモに火が通ったら、塩クジラの細切りを加え、弱火で数分煮込む

(2)皮をむき、大きく乱切りにしたジャガイモを鍋に入れ、かぶるくらいの水を入れて煮る
 
(3)ジャガイモに火が通ったら、塩クジラの細切りを加え、弱火で数分煮込む

(4)3の鍋に味噌を溶き入れる。味噌の量は「普段の味噌汁よりやや多め」が目安だ    (5)仕上げに斜め切りの長ネギを加え、さっとひと煮立ちさせたら出来上がり

(4)3の鍋に味噌を溶き入れる。味噌の量は「普段の味噌汁よりやや多め」が目安だ
 
(5)仕上げに斜め切りの長ネギを加え、さっとひと煮立ちさせたら出来上がり

日本東西芋煮会 report

秋一番に始める野外パーティー

秋一番に始める野外パーティー
山形県
秋一番に始める野外パーティー
広い河原にござやシートを敷いて、家族や友人と和やかに鍋を囲むのが山形流芋煮会。サトイモ、牛肉、ネギ、コンニャク、キノコなどを入れ、砂糖と酒、醤油で味付けするのが主流だ。年に一度、9月第1日曜日に馬見ヶ崎河川敷で開催される「日本一の芋煮会フェスティバル」は直径6mの巨大な鍋を使うのが見もの。遠方からも観光客が多数訪れる名物行事になっている。

写真提供:山形県秘書広報課
TEL.023-630-2088



晩夏から秋の夕べを楽しむ鍋

晩夏から秋の夕べを楽しむ鍋
愛媛県
晩夏から秋の夕べを楽しむ鍋
四国でも、愛媛県だけに伝わるのが「いもたき」という宴会。大洲市では夏イモ(サトイモ)に油揚げ、コンニャク、シイタケ、鶏肉を入れて、醤油味でぐつぐつ煮込むのが特徴だ(町によって違いがある)。山形県と大きく違うのは、河川敷の会場が夜だけひらくこと。材料も店が用意するから、平日は仕事帰りに仲間と、週末は家族と手ぶらで気軽に楽しめる。期間は毎年8月下旬から10月末まで。

写真提供:大洲市商工観光課
TEL.0893-24-2111