このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

MAFF TOPICS

  • 印刷

東日本大震災 被災地の復旧・復興に向けて

協業グループでワカメ養殖を再開

気仙沼市「蔵内之芽組(くらうちのめぐみ)」が復興からの新たな歩みを開始


MAFFとは農林水産省の英語表記「Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries」の略称です。
MAFF TOPICSでは農林水産省のお知らせを中心に、暮らしに役立つさまざまな情報をお届けします。
津波により、ワカメの養殖施設がすべて流されてしまった宮城県気仙沼市本吉町蔵内(もとよしちょうくらうち)地区。
しかしこの地では、いち早く協働して復興を目指そうという取り組みが行われ、ワカメ養殖が再開されています。

見事に成長し収穫されたワカメ。湯通しするため葉先とめかぶを切り分けるなどの下処理作業を行う
見事に成長し収穫されたワカメ。湯通しするため葉先とめかぶを切り分けるなどの下処理作業を行う


人工採苗し、ワカメの胞子がついた種苗糸を綱につけ、袋に入れて海中へ

人工採苗し、ワカメの胞子がついた種苗糸を綱につけ、袋に入れて海中へ

ホヤの人工採苗にも取り組み、来年には最初の収穫を迎えることができる

ホヤの人工採苗にも取り組み、来年には最初の収穫を迎えることができる

被害を免れた漁船。この1隻から4人による再スタートが切られた

被害を免れた漁船。この1隻から4人による再スタートが切られた

オリジナル商品の「こいわかめ」を手にした蔵内之芽組のみなさん。右から、リーダーの及川淳宏さん、三浦伸一さん、及川浩之助さん、及川敏さん

オリジナル商品の「こいわかめ」を手にした蔵内之芽組のみなさん。右から、リーダーの及川淳宏さん、三浦伸一さん、及川浩之助さん、及川敏さん
残った1隻の船から協働がスタート
気仙沼市本吉町は、市中心部から南に車で30分ほどのところに位置し、太平洋に面した地域ではワカメ等の養殖や漁業が盛んな町です。しかし、東日本大震災による津波はこの地も襲い、町は大きな被害を受けました。

本吉町蔵内地区では、ワカメの養殖施設がすべて流され、港内に残った船で被害を免れたのはわずか1隻のみという壊滅状態。しかし、このような状況から、いち早く復興を目指そうと、ワカメ養殖の再開を目指した人たちがいました。それまで個人でワカメ養殖を行っていた4人が力を合わせ、震災直後の平成23年5月に及川淳宏(あつひろ)さんをリーダーとする協業グループ「蔵内之芽組」を設立。残った1隻の船を共同利用して、活動を始めたのです。

ワカメ養殖は通常、10月頃からワカメの胞子が発芽しはじめた種苗糸を綱につける種付け作業が始まり、この綱を海に沈めて成長させます。そして翌年の2月頃から収穫ができるようになります。しかし、ワカメの種苗を取り扱う業者も被災しており、肝心な種苗を仕入れる見通しが立ちませんでした。そこで、気仙沼水産試験場の協力と指導を受け、自分たちの手で人工採苗を行いワカメの種苗を確保し、種付けを行いました。こうして不十分な施設の中で再開されたワカメ養殖でしたが、4人の協力によって翌年には例年と変わらぬ収穫量を確保することができたのです。

さらにホヤの人工採苗にも挑戦しています。ワカメと違いまったく経験がないため手探り状態でしたが、水産試験場の指導の下に平成23年の年末には種付けを行い、同26年からの収穫を目指しています。ワカメに加えホヤの養殖が軌道に乗れば、より安定した生産が見込め「蔵内之芽組」はもちろん地域の活性化にもつながるはず、との考えからの挑戦でした。

新しい取り組みで漁業現場の振興を目指す
「蔵内之芽組」がつくるワカメは、すべて外洋で養殖されたもので、湾内の穏やかな海で養殖されたものに比べ「歯ごたえがあり香りも高く味も濃い」と好評でした。そこで、塩蔵処理(塩漬等の処理)したワカメをオリジナル商品「こいわかめ」として販売を開始しています。まだ販売量は少ないですが、独自の販売ルートを確保すべく営業活動も開始。徐々に認知度も高まってきています。

ボランティア活動が縁で横浜市から蔵内地区に移り住み、「蔵内之芽組」に5人目として加わった西之園一成(にしのそのかずしげ)さんは、養殖作業ととともに、「こいわかめ」の広報や営業活動に奔走。蔵内のワカメをより多くの人に知ってもらおうと、ボランティア団体とともに「マイワカメプロジェクト」も開催しています。このプロジェクトは、ワカメの種付けから成長の確認、そして収穫と3回のワカメ養殖体験を通して、ワカメのことをより多くの人に知ってもらおうと企画されたものです。平成24年秋から実施され、参加者からは「小さなワカメが大きく育った姿に感動した」という声が聞かれ、養殖の現場を知ってもらい、生産者と消費者をつなぐ貴重な機会となっています。

このように「蔵内之芽組」とともに復興したワカメ養殖と、そこから芽生えた新たな取り組みが、蔵内地区の漁業現場に活気を与え、復興からの新たなステップを踏み出しています。


取材協力:蔵内之芽組