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農林水産省

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農林水産分野の最新研究成果を紹介! アフ・ラボ

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農業の未来を支える「農業新技術2013」その1

消化しやすく、倒れにくい飼料稲『たちすずか』


農林水産省は毎年「農業新技術200X」と題して、農業に関連した新しい重要な技術の普及・推進を図っています。
今月号から5回に分けて、今年「農業新技術2013」に選ばれた5つの新技術について詳しく紹介します。

みんなに広まるといいね!

『たちすずか』。牛にとって消化に悪い籾の割合は、従来品種『クサノホシ』の約3分の1

『たちすずか』。牛にとって消化に悪い籾の割合は、従来品種『クサノホシ』の約3分の1

選定された技術の詳細については、農林水産技術会議のホームページで公開。過去に選定した技術の追跡調査も行っており、公表している

選定された技術の詳細については、農林水産技術会議のホームページで公開。過去に選定した技術の追跡調査も行っており、公表している
生産現場で役に立ち、重要度の高い新技術を選定
「農業新技術200X」は、全国の農業関係の試験研究機関による研究成果の中から、すでに実用化され、農業生産において重要度がとくに高いと思われる技術を選定したものです。

その内容は、新品種の開発、栽培、収穫、出荷に関する新技術、農業機械の開発、省エネや環境保全につながる技術まで、広範囲にわたります。

「生産現場で実際に使えて、導入により経営改善等の効果が見込めること」を前提に、普及を進めています。

穂を小さくすることで牛の乳量や、収穫効率アップ

農研機構近畿中国四国農業研究センターによって生み出された、牛の飼料専用稲『たちすずか』には、画期的な技術が生かされています。それは、一つの穂につく籾(もみ)(種になる部分)の数が極端に少なくなっている点。牛は籾を消化するのが苦手で、多い場合は半分近くを消化できずにそのまま排泄してしまいます。

そこで、従来品種の3分の1程度にまで穂を小さくして籾を減らし、茎葉部分の割合を高めることで消化しやすくなりました。

また、籾が減ることで茎葉部分の糖含量が高まり、乳酸発酵が進みやすく、良質なサイレージ(サイロなどで発酵させた牛の餌)が得られます。それを給与した結果、牛の乳量が増えることも実証されました。

さらに、稲の生産農家にとっても大きなメリットが。元来、稲は実るほど頭(こうべ)がたれますが、稲穂部分が小さく軽い『たちすずか』は重心が低く、倒れにくいので収穫ロスを大幅に抑えられます。また、長期間収穫できるため、労働力の分散も可能です。

研究開発段階では、「穂を小さくすると収量が上がらないのでは」「種がたくさんとれないのでは」といった不安要素も多々ありましたが、足かけ10年にもわたる研究で、懸念された諸問題はすべてクリア。平成22年、正式に品種登録されてからは中国地方を皮切りに、主に関東以西で導入されています。『たちすずか』の小さな穂が、畜産業界にとって大きな実りとなることが期待されています。

農林水産技術会議
http://www.s.affrc.go.jp/docs/new_technology.htm
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
http://www.naro.affrc.go.jp/warc/index.html


『たちすずか』の大きな特長

文/宗像幸彦