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特集2 ほっとするね。おばあちゃんの懐かしご飯(2)

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第1回 知子おばあちゃんの「せいだのたまじ」【山梨県上野原市】


小いもを捨てずに、無駄なく食べるため、昔の人が考えた料理よ。甘辛い味で、白いご飯ともよく合うわよ

「せいだのたまじ」

「ふるさと長寿館」で働く白鳥知子さん。上野原市で生まれ育ち、棡原地区の農家に嫁いだ

「ふるさと長寿館」で働く白鳥知子さん。上野原市で生まれ育ち、棡原地区の農家に嫁いだ

「せいだ」とは、この地にじゃがいも栽培を広めた江戸時代の代官・中井清太夫(なかいせいだゆう)の名前に由来する

「せいだ」とは、この地にじゃがいも栽培を広めた江戸時代の代官・中井清太夫(なかいせいだゆう)の名前に由来する

「せいだのたまじ」は、「ふるさと長寿館」の人気メニュー。これを目当てに通ってくる常連さんも多い

「せいだのたまじ」は、「ふるさと長寿館」の人気メニュー。これを目当てに通ってくる常連さんも多い

ふるさと長寿館

ふるさと長寿館
住所/山梨県上野原市棡原2374-1
TEL /0554-67-2910
営業時間/9時00分~17時00分
休館日/年末年始(12月30日~1月2日)
*「せいだのたまじ」は単品で300円。「 おふくろ定食」(650円)の一品としても楽しめる。
山梨県上野原市にある棡原(ゆずりはら)地区は、1000m級の山々に囲まれた山村地域。この地域に代々伝わる料理が「せいだのたまじ」です。

「せいだ」とは、地域特有のじゃがいもの呼び名で、「たまじ」はその中でも特に“小さい粒のじゃがいも”のことだそう。

「うちでもじゃがいもを作っていてね、小粒なものもたくさん掘れるの。よそじゃ捨てちゃうのかもしれないけど、味噌と砂糖で甘辛く煮れば、とってもおいしい料理になるのよ」

そう教えてくれたのは、棡原の郷土食を味わえる交流施設「ふるさと長寿館」で、腕を振るう白鳥知子(しらとりともこ)さんです。

棡原地区は急な傾斜地が多く、水田を拓くのが難しかったため、飢饉対策として、江戸時代からじゃがいもを栽培してきたのだとか。

「昔の人は、小さなじゃがいもも無駄にせず、飢えをしのいだんでしょうね。私たちは、いまでもよく『せいだのたまじ』を作りますよ。お盆や正月に人が集まる時も、これを出すとみんな喜ぶの」

作り方は、いたってシンプル。じゃがいもを皮付きのまま鍋に入れ、水を注いだら、味噌と砂糖、油を加えて強火で煮詰めるだけ。作り方や味付けは、家庭ごとに、少しずつ違うのだそうです。

「私がお嫁に来て、姑から教わったのは、水を入れず、油を多めに入れて弱火でじっくり煮込むやりかたでした。他にも、砂糖を使わず味噌だけで味つけしたり、みりんを加えるおうちもあるみたい。それぞれの家庭で“我が家の味”があるんです」

そんな知子さんの言葉からは、祖母から母へ、母から娘へと、代々受け継がれてきた郷土料理ならではの伝統が感じられました。

せいだのたまじの作り方
2.鍋にじゃがいもを入れ、かぶるくらいに水を加える。 1.じゃがいもは皮付きのまま、水でよく洗う。
4.翌日、再び強火にかける。途中で何度か鍋を振り、煮汁をじゃがいも全体によくからめる。煮汁がほとんどなくなるまで煮詰めたら完成。器に盛りつけ、白ごまをふる。 3.砂糖、赤味噌を加え、サラダ油を回し入れたら、強火で加熱する。水の量が3分の1程度になったら、火を止めてそのまま一日おき、味をしみ込ませる。




食材なるほどメモ「じゃがいも」

写真/片岡正一郎
食材なるほどメモ
「じゃがいも」
じゃがいもは、種いもから伸びた地下茎(地中に埋もれる性質の茎)の先端が、栄養を貯蔵して大きく塊状になったもの。やせた土でも育つので、「お助けいも」と呼ばれ、江戸時代から飢饉対策に日本各地で栽培されてきました。