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農林水産省

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特集1 ようこそ! 世界農業遺産へ(3)

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ススキなどの茶草を利用し、茶を生産。はるか昔から続くこの農法が多様な植物や生物を育む

静岡県 掛川地域


700年以上前から栽培されていたとされる茶。掛川市を含む静岡県の茶産地では、おいしい茶作りのために、
ススキなどの草を用いる「茶草農法」を実施。それが地域固有の生物多様性を保全することにつながり、
今回「静岡の茶草場農法」として、世界農業遺産に認定されました。

「茶文字」で知られる標高532mの粟ヶ岳
「茶文字」で知られる標高532mの粟ヶ岳

今回認定された「茶草場」は、掛川市、島田市、川根本町、菊川市、牧之原市の4市1町に点在

今回認定された「茶草場」は、掛川市、島田市、川根本町、菊川市、牧之原市の4市1町に点在

今回認定された「茶草場」は、掛川市、島田市、川根本町、菊川市、牧之原市の4市1町に点在

乾燥した茶草は、細かく砕き、冬の間に茶園に敷き込む

乾燥した茶草は、細かく砕き、冬の間に茶園に敷き込む

広大な一面の草地があるわけではなく、茶園と茶草場がモザイク状に分布。刈り取った茶草は束ねて乾燥

広大な一面の草地があるわけではなく、茶園と茶草場がモザイク状に分布。刈り取った茶草は束ねて乾燥

茶農家の4代目で、掛川市農業活性化やる気塾東山地域塾の塾長も務める杉浦さん

茶農家の4代目で、掛川市農業活性化やる気塾東山地域塾の塾長も務める杉浦さん

茶草は、盆花や茶花として、日常生活で利用されている

茶草は、盆花や茶花として、日常生活で利用されている

静岡県中西部に位置する掛川市東山地区。「茶文字」で知られる粟ヶ岳(あわがたけ)から見下ろすと、茶園の合間にササやススキなど“茶草(ちゃくさ)”と呼ばれる山草が茂る風景が広がります。

ここ掛川市を含む静岡県の茶産地で行われているのが「茶草場(ちゃぐさば)農法」。秋に刈り取った茶草を乾燥させて砕き、土づくりのために隣接する茶園に敷き込む伝統的な農法です。700年以上前から栽培されていたとされる茶。「茶草を敷くと良質なお茶ができる」と言われ、この地で、脈々と受け継がれてきました。

冬の間、茶園に茶草を敷き詰めることによって、土の温度と湿度が保たれ、ふかふかの土壌になります。さらに、毎年茶草刈りで人の手が入る半自然草地が維持されていることで、絶滅が危惧される草原性植物「フジタイゲキ」や「ササユリ」「キキョウ」などの希少な植物が維持され、翅が退化して飛翔できない「カケガワフキバッタ」など固有の生物が生息できる環境が守られています。

暮らしに根付く茶草
茶園と茶草場の栽培面積比率は10対7。広大な傾斜地に広がる茶草を10月末から1月にかけて刈り取るのはほとんど手作業で、たいへんな重労働です。それでも茶草はお茶作りに欠かせないもの、と大切にされています。また、お盆には仏間やお墓にススキやササを飾るなど、茶草は日常生活でも利用され、人々の暮らしに根付いています。

こうしたお茶の生産と結びついた草地管理とそのことで維持されてきた生物多様性、茶草を利用した文化の継承などが評価され、今回、世界農業遺産に認定されました。

「農家が、ただひたすらおいしい茶を作ろうと努力したことが、生物多様性を生んだ、というのは世界的に見ても価値のあることです」と話すのは、静岡県農林技術研究所(現・静岡大学農学部教授)の稲垣栄洋(いながきひでひろ)さん。

掛川市で代々茶農家を営む杉浦敏治さんも、「当たり前のようにやってきたことがすごいことなんだと評価され正直驚いています。ただ、歴代の農家が日々やってきたことが今の自分たちを支えている、という歴史の重みを再認識しました」と話します。

今回認定されたことで、“この農法に誇りを持って次世代に伝えていこう”との思いを強くした杉浦さん。「お茶を五感で味わう、というこの地域独特の豊かな経験も含めて、多くの消費者に広めていきたいです」と話します。

カケガワフキバッタ    ササユリ

掛川市粟ヶ岳に生息するカケガワフキバッタと他県では絶滅が心配されているササユリ

世界農業遺産認定の立役者となった農学博士の稲垣さん。7月から静岡大学農学部の教授に

世界農業遺産認定の立役者となった農学博士の稲垣さん。7月から静岡大学農学部の教授に
   




「Bio-Topia」
認定の地で育まれた"食"
「Bio-Topia」ブランド茶
高品質であることに加え、野生動植物と共生するお茶であることを付加価値としたブランド「Bio-Topia」。

ロゴマークは、葉っぱの矢印が「循環」を、ベージュの波線が「茶園に敷いた山草」を、その下の茶色の線が「土壌」を表現。掛川市東山地区産のお茶のパッケージには「Bio-Topia」シールを貼り、若い消費者にもアピール。

「生粋  東山茶」100g 入り1,050 円

[問い合わせ]
「東山いっぷく処」
TEL : 0537-27-2266