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東日本大震災 被災地の復旧・復興に向けて

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きゅうり、トマトなどの、ハウス栽培の復活を目指す、宮城県沿岸地域

JAが、園芸施設を格安リースして被災農家の営農再開を支援 [宮城県石巻市・東松島市/JAいしのまき]


東日本大震災による津波により、ビニールハウスの倒壊・流出など、園芸施設に甚大な被害をうけた宮城県沿岸地域。
被災農家のため、JAが立ち上げた園芸施設のリース事業が、復興のモデルケースとして注目されています。

イグナルファーム トマト収穫
イグナルファーム  トマト収穫


トマト

【イグナルファーム】30代から40代の若手農家4名で構成。

 【イグナルファーム】「イグナル」は「よくなる」の方言で、法人に関わる人たちや地域全体がよくなることを願って命名された。初年度は中玉トマトを、25年度はきゅうりを主体に生産している

【イグナルファーム】
30代から40代の若手農家4名で構成。「イグナル」は「よくなる」の方言で、法人に関わる人たちや地域全体がよくなることを願って命名された。初年度は中玉トマトを、25年度はきゅうりを主体に生産している

スマイルファーム石巻 30代、50代、60代の農家3名で設立

スマイルファーム石巻 25年度は、中玉トマトを年2作、周年栽培する計画。事業の多角化のために、トマトジュース等の加工品製造も考えている

【スマイルファーム石巻】
30代、50代、60代の農家3名で設立。25年度は、中玉トマトを年2作、周年栽培する計画。事業の多角化のために、トマトジュース等の加工品製造も考えている

文/塚田有香
写真/鈴木加寿彦
写真提供/JAいしのまき

施設再建に東日本大震災農業生産対策交付金を活用
宮城県北東部の石巻市と東松島市は、1年を通して温暖な気候に恵まれ、トマトやきゅうりなどの園芸農業が盛んです。この地域を管轄するJAいしのまきの園芸農業の売上は、毎年約33億円規模を誇っていました。

しかし、東日本大震災で、約20ha分もの園芸施設が全損・一部損壊する被害が。平成23年度の園芸農業の売上は24億円にまで落ち込みました。

「一日でも早く畑に戻りたい」と願う被災農家のために、JAいしのまきが取り組んだのが、国の東日本大震災農業生産対策交付金を活用した、園芸施設のリース事業です。

「まず、JAが交付金やJAグループ支援金などを利用して、土地の造成や園芸用ハウスを建設しました。それを被災農家が組織する農業生産法人に格安で貸し出すことで、利用者の負担を減らしたんです」と話すのは、JAいしのまき園芸課長の佐々木敬(ささきけい)さん。

リース期間中に農業生産法人が支払うのは、固定資産税相当のリース料と事務経費のみ。賃貸契約締結から15年経った時点で、施設は無償譲渡されます。

平成23年7月に希望者を募り、東松島市の農家4名が組織した「イグナルファーム」と、石巻市の農家3名が組織した「スマイルファーム石巻」が施設を借り受けることに。

その後、平成24年5月、イグナルファーム用のビニールハウス3棟と、スマイルファーム石巻用のビニールハウス2棟が完成。採算性のよい中玉トマトの生産が始まりました。

「自分も、もう一度農業を始めたい」と、考える人も
今回、施設のリースを活用した、スマイルファーム石巻代表取締役の伊藤裕章(いとうひろあき)さんは次のように話します。

「トマト作りを再開できたときは、ほんとうに嬉しかったですね。初年度はいろいろ苦労しましたが、2年目の今年は、トマトもさらにおいしくなったし、経営状態もどんどんよくなっているんです」

一方、イグナルファーム代表取締役の阿部聡(あべさとし)さんは、「いろんな人に支えられてここまできたので、これからは地域に恩返ししていきたいです。しっかり利益をあげ、地元経済に還元しつつ、食農教育に協力したり、学校給食へ食材を提供したいですね」と語ります。

復興の先陣を切る彼らの姿に、「自分も農業生産法人を立ち上げよう」と考える人も出てきているとか。リース事業は、被災農家の背中を押す取り組みとなっています。