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農林水産省

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農林水産分野の最新研究成果を紹介! アフ・ラボ

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農業の未来を支える「農業新技術2013」その5

夏でもデコポンが食べられる!中晩柑の新しい出荷技術


農林水産省は毎年「農業新技術200X」と題して、農業に関連した新しい重要な技術を選定し、その普及推進を図っています。今月号では、おもに冬から春にかけて出回る中晩柑を、夏でも出荷できる技術を紹介します。

デコポンの場合、果皮の呼吸を抑えるため少し乾燥させ、カワラヨモギ抽出物製剤を塗布し、個包装する

デコポンの場合、果皮の呼吸を抑えるため少し乾燥させ、カワラヨモギ抽出物製剤を塗布し、個包装する

カワラヨモギと抽出物製剤。デコポンは突起があるため、機械を使わず、手作業で塗布することが多い
カワラヨモギと抽出物製剤。デコポンは突起があるため、機械を使わず、手作業で塗布することが多い

カワラヨモギ抽出物製剤を塗布し、個包装したデコポンは、5℃で貯蔵すると、少なくとも7月中旬まで貯蔵が可能
カワラヨモギ抽出物製剤を塗布し、個包装したデコポンは、5℃で貯蔵すると、少なくとも7月中旬まで貯蔵が可能

夏季出荷で中晩柑が長い期間楽しめる
冬から春先にかけての果物といえば、みかんなどのかんきつ類。中でも1月から5月までに収穫される、温州みかん以外のかんきつ類は中晩柑(ちゅうばんかん)と呼ばれ、「デコポン(不知火(しらぬい))」「清見(きよみ)」「河内(かわち)晩柑」などが流通しています。

通常、中晩柑の出荷期間は2月から5月いっぱいまで。それ以降は鮮度保持が困難なことから、出荷が出来ませんでした。

こうした中、夏まで出荷が可能になる技術を、愛媛県農林水産研究所果樹研究センターみかん研究所と、熊本県農業研究センター果樹研究所が、資材・薬品のメーカーと共同して開発しました。

特殊包装と抗菌製剤で、長く鮮度を保持
一つ目の技術は、青果物の呼吸を最小限にして、鮮度を長持ちさせる包装技術、MA包装の利用です。青果物は収穫後も生きて呼吸をしているため、栄養分を消費し、鮮度が低下します。そこで、表面に微細孔を施したこのフィルム素材で包装し、中の空気を低酸素・高二酸化炭素の状態にします。呼吸を抑制することで、へた枯れや果皮・果肉の老化を遅くし、鮮度を保持します。いわば、みかんを半冬眠状態にしているのです。

もう一つの技術が、キク科の多年草「カワラヨモギ」の抽出物製剤の塗布。カワラヨモギ抽出物は、食品への利用が認められている安全なもので、抗菌作用を持つ成分が含まれています。この抽出物の製剤を中晩柑の果皮に塗ることで、腐敗や果皮障害を抑制する効果が得られます。これらの鮮度保持に役立つ資材と、品種ごとの貯蔵温度管理を組み合わせることにより、夏季出荷が実現できるのです。

愛媛県農林水産研究所果樹研究センターみかん研究所の井上久雄さんは、「品種ごとの管理する温度や、果皮に塗る製剤の分量の違いなどを企業と共同研究し、実用化するまで10年近くかかりました」と、開発の苦労を語ります。

この出荷技術は、平成24年度から市場で導入され始め、今年度から本格的な実用化が進んでいます。

冬眠させると長持ちするの

導入メリット

農林水産技術会議
http://www.s.affrc.go.jp/docs/new_technology.htm
愛媛県農林水産研究所果樹研究センターみかん研究所
http://www.pref.ehime.jp/h35120/kajyunanyo/
熊本県農業研究センター果樹研究所(MA包装資材利用技術のみ研究)
http://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/85/080kaju2.html

文/宗像幸彦