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農林水産分野の最新研究成果を紹介! アフ・ラボ

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さつまいものニューフェイス登場!

しっとり食感で、糖度も高い「あいこまち」と、干したときの黄色が美しい「ほしこがね」


焼きいもや干しいも、大学いもなど、多様な味わいが楽しめるさつまいもの季節がやってきました。
そんな秋を代表するさつまいもの、新品種を二つ紹介します。

従来品種の弱点を乗り越えるべく開発
関東でさつまいもの生産といえば、ここ20年近く、「ベニアズマ」という品種がシェアの約70%を占めてきました。しかし、いもが大きくなりすぎて変形したり、年によっては糖度が低くなるなどの課題がありました。

そこで、(独)農研機構作物研究所は、新品種「あいこまち」を開発しました。

「ベニアズマ」と比べ、ややしっとりした食感で糖度も高め。いもが小ぶりで外観もよく、加熱調理後も鮮やかな黄色を保つため、いもようかんや大学いもなど、菓子の原料にも適しています。

開発に携わった片山健二さんは、「焼きいもにしてよく、菓子にしてよくと、汎用性があります。その名の通り、誰からも愛される品種になって欲しいですね」と、言います。今年から、茨城県や千葉県の一部で栽培が始まっています。

〝干しいも〞として早く出荷できる利点が
  次に紹介するのは、干しいも用の新品種「ほしこがね」。現在は、「タマユタカ」という品種が干しいもの原料として約9割のシェアを占めていますが、それに代わっていくと期待されるのが「ほしこがね」です。

「タマユタカ」と比べると、干しいもが黄色みを帯びています。また、〝シロタ〞と呼ばれる干しいもの一部が硬く白化し、品質が劣化することもほとんど生じないのが特徴です。

また、通常、干しいもにするさつまいもは収穫した後、いったん貯蔵庫でねかせ、十分にでんぷんを糖化させた後、蒸して天日や機械で乾燥します。「ほしこがね」は、貯蔵中のでんぷんの糖化が早く、その分早期の出荷が可能となるのも、大きな利点です。

こちらの開発にも携わった片山さんは、「名前の〝こがね〞には、干したときの美しい黄金色と、農家の収益向上に貢献するように、という意味がこめられています」と語ります。

茨城県ひたちなか市などで、早ければ今年の冬からでも、この「ほしこがね」が出荷・販売される見込みです。

「ほしこがね」は、”干しいも”として早く出荷できる利点が/「あいこまち」の皮は、表面の溝がなくなめらか

独立行政法人  農業・食品産業技術総合研究機構  作物研究所

文/宗像幸彦