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農林水産省

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特集1 学ぼう!有機食品(4)

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黒富士農場のリアルオーガニック卵

「狭いところで、鶏がかわいそう」 そんな子どものひと言で、昔ながらの〝平飼(ひらがい)〞に挑戦
飼育環境と餌にこだわって生まれた卵は、評判の卵に【農業生産法人黒富士農場(山梨県甲斐市)】


黒富士農場の敷地面積は約15ヘクタール。18棟の鶏舎のうち、平飼いをしているのは、15棟、約3万羽。そのうち、約3,000羽が有機JASの卵を産む
黒富士農場の敷地面積は約15ヘクタール。
18棟の鶏舎のうち、平飼いをしているのは、15棟、約3万羽。
そのうち、約3,000羽が有機JASの卵を産む


四季折々に違った表情を見せる、自然豊かな場所に黒富士農場はある

四季折々に違った表情を見せる、自然豊かな場所に黒富士農場はある

「オーガニックに取り組むことは、生き方そのもの」と語る向山さん

「オーガニックに取り組むことは、生き方そのもの」と語る向山さん

リアルオーガニック卵

「リアルオーガニック卵」

「リアルオーガニック卵」の特長は、味はこっくりと濃厚なのに、余分なくさみがないこと。東京都内の有名洋菓子店など、固定客も多い

たまご村敷島店

【たまご村敷島店】
住所:山梨県甲斐市島上条3103-2
TEL. 055-230-9053
営業時間:9時~17時30分
ほかにも、塩山店、甲府店がある
【卵宅配】
TEL.0120-80-4105
http://www.kurofuji.com/takuhai/
takuhai.htm

山梨県甲斐市、黒富士の中腹、標高約1100mにある黒富士農場。豊かな緑の中に、18棟の鶏舎が点在しています。鶏舎のすぐ横には、放牧場があり、鶏が自由に歩き回っていました。「わたしたちを母親だと思っているんですよ」と話す社長の向山茂徳(むこうやましげのり)さん(62)と放牧場に入ると、いっせいに鶏が集まり、すり寄ってきます。

向山さんの農場では、22年前まで、鶏舎内にすき間なくケージ(鳥かご)を積み上げ、卵を大量生産する「ケージ飼い」をしていました。それをやめたのは、小学生だった長男の友達のひと言がきっかけでした。「こんな狭いところに住んで、かわいそう……」。〝確かに、この環境じゃ、鶏もストレスがたまるし、いい卵は産めないよなぁ〞。子どもの素直な感想にハッとした向山さん。さっそく、農場内にある牧草地の、のり面(斜面)を囲って、昔ながらの「平飼い」を試すことに。すると……。

「鶏たちが穏やかなんです。ケージ飼いでは、すごく騒がしかったのに。環境でここまで変わるのかと、衝撃を受けました」

鶏はモノでなく、生き物 接し方で卵の味も変わる!
のんびりと餌をついばむ鶏の姿に、向山さん自身も、これまでになく癒やされたと言います。以来、徐々に「平飼い」に切り替えると同時に、広い放牧場も設け、鶏をのびのびと飼育することに。さらに、発酵飼料を与え、飼料の原料には、有機栽培をしたトウモロコシと大豆も導入しました。

こうして平成13年には、日本で初めて、有機飼料で育てた鶏の卵「リアルオーガニック卵」の販売をスタート。それから6年後の平成19年に、有機JAS認定を取得するに至りました。

「鶏はモノではなく、生き物。心だってあるんです。だから、穏やかに育てて、おいしい卵を産んでくれる環境を整えることが、わたしたちの務めですね」と語る向山さん。

〝くさみがなくて、コクがある〞と評判の卵には、養鶏農家の手間ひまと誇りが、ぎっしり詰まっていました。

有機JASの卵「リアルオーガニック卵」は1個87円。農場直営の店舗「たまご村」で販売。数量に限りがあるため購入する際は事前に予約を。また、電話・FAXで注文の「卵宅配」もある。

有機JASの卵「リアルオーガニック卵」は1個87円。農場直営の店舗「たまご村」で販売。数量に限りがあるため購入する際は事前に予約を。また、電話・FAXで注文の「卵宅配」もある。
   「リアルオーガニック卵」を使ったカステラ(400~850円)と、くん製卵(2個入り315円)。このほか平飼いの放牧卵を使ったバウムクーヘンやケーキ、鶏肉で作ったソーセージなど加工品も豊富

「リアルオーガニック卵」を使ったカステラ(400~850円)と、くん製卵(2個入り315円)。このほか平飼いの放牧卵を使ったバウムクーヘンやケーキ、鶏肉で作ったソーセージなど加工品も豊富

健やかな鶏を育てるためにこんな気配りが欠かせない!
鶏

発酵飼料を与えて、鶏の腸内環境を整える
発酵飼料を与えて、鶏の腸内環境を整える
飼料の主原料は、有機栽培のトウモロコシと大豆。さらに生産過程の情報が明らかな米ヌカや海藻、クロレラ(藻の一種)など、約10種類の素材をブレンドし、約1週間かけて発酵させた飼料を与えることで、鶏の腸内環境が整う。

  完熟堆肥を鶏舎に敷き詰め、病気をストップ
完熟堆肥を鶏舎に敷き詰め、病気をストップ
鶏ふんに茶ガラと馬ふんを加えた完熟堆肥を乾燥させ、鶏舎の床に敷き詰めている。こうすると、鶏が排せつしたふんも短時間で発酵・分解。鶏舎内が清潔に保たれ、感染症などの病気予防にもなる。

放牧場に放って毎日運動を
放牧場に放って毎日運動を
鶏舎横の放牧場では、鶏が新鮮な草を常に食べられるように、牧草を育てている。

  鶏ふんを活用し、循環型の農業も
鶏ふんを活用し、循環型の農業も
まずタンクに鶏ふんの完熟堆肥と水、花こう岩を入れ、約1か月かけて熟成させる。こうしてできた液肥で、鶏の飼料に配合するクロレラを育てる。その飼料で鶏を育て、再び鶏がふんをして、というサイクルを形成。

沢水を花こう岩で浄化し、鶏の飲み水に
沢水を花こう岩で浄化し、鶏の飲み水に
農場の敷地内には、黒富士を水源とする清流が。この沢水を、近くで採石した花こう岩のフィルターで浄化し、鶏の飲み水にしている。