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特集1 ユネスコ無形文化遺産への登録が決定!大切に伝えたい。わたしたちの「和食(washoku)」(1)

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昨年12月4日、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録され、大きな話題となりました。わが国が誇る「和食」は、国内はもちろん、世界からも注目されています。そこで、今回は、無形文化遺産に申請した目的や、登録にいたった経緯をわかりやすく紹介するとともに、次世代に「和食」を継承するためのさまざまな普及・啓蒙活動などをレポートします。

ユネスコ無形文化遺産に登録されている世界の食文化マップ&登録内容の紹介


和食:日本人の伝統的な食文化(日本)「自然の尊重」という日本人の精神を体現した、生産から消費に至るまでの食に関する社会的慣習。
キムジャン:キムチの製造と分配(韓国)秋に越冬のためのキムチをつくる慣習。季節の移り変わりに応じて素材を準備し、天候を見ながら行われる。主婦同士でキムチを交換する慣習は、情報交換の機会になっている。

  トルココーヒーの文化と伝統(トルコ)トルココーヒーそのものと、コーヒーの淹れ方などの技術や、ポットやコーヒーカップなどの道具の製造技術のほか、16世紀にまでさかのぼるコーヒーハウスにおける情報交換の慣習。
クヴェヴリ(グルジア)クヴェヴリと呼ばれる伝統的な壷を用いてワインを製造する方法。温度を安定させるため、壷を土中に埋めて発酵・熟成させるのを特徴とする。

  フランスの美食術(フランス)大切な出来事を食で祝う社会的慣習で、食を楽しむという考え方に関するもの。食材の選び方、食べ物とワインの組み合わせ方、料理の構成、食器のセッティング、マナーなどの知識や慣習。
地中海料理(スペイン、ギリシャ、イタリア、モロッコ、キプロス、クロアチア、ポルトガル)地中海沿岸の作物の収穫や漁、加工や調理などから食事に至るまでの一連の技術や知識と伝統に基づく社会的慣習。オリーブオイル、穀物、果実と野菜、適量の魚、乳製品、肉類、多くの調味料とスパイスで構成される。   メキシコの伝統料理(メキシコ)トウモロコシ、豆、唐辛子を基本とし、祭礼、儀礼と深く結びついたメキシコの伝統料理。トウモロコシの処理法や農業技術、調理道具などが千年以上の昔から変わらず使われている。
ケシケキの伝統(トルコ)ケシケキは結婚式や割礼、国民的・宗教的祝日や雨乞いの儀式などで供される宗教的な食事(麦がゆ)。野外で、音楽とともに複数人で脱ぷ(脱穀)したり調理したりする。    

ユネスコの無形文化遺産ってなに?
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は、諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関です。

無形文化遺産とは、ユネスコが取り組む遺産事業の一つで、芸能や伝統工芸技術など〝形のない文化〞を対象とします。有名な「世界遺産」も、ユネスコの遺産事業の一つですが、こちらは姫路城や富士山など、〝建築物〞や〝自然〞など〝有形のもの〞を対象とするのが大きな違いです。

現在、無形文化遺産には、土地の歴史や生活風習などと密接に関わる文化、281件が登録されており、日本では、「歌舞伎」や「能楽」などが登録されています。

どうして「和食」が選ばれたの?
「和食」は、世代を超えて受け継がれてきた慣習であることや、日本各地で「和食」の保護のための取り組みが行われていることなどが評価され、今回の登録にいたりました。

食に関するユネスコの無形文化遺産としては、「フランスの美食術」「地中海料理」「メキシコの伝統料理」、トルコの「ケシケキの伝統」に加え、昨年、「和食」のほか、韓国の「キムジャン: キムチの製造と分配」、トルコの「トルココーヒーの文化と伝統」、グルジアの「クヴェヴリ」が新たに登録されました。


文/久保木薫、柳本 操
写真/松木雄一、タカオカ邦彦、多田昌弘
イラスト/池田須香子