このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

特集1 ユネスコ無形文化遺産への登録が決定!大切に伝えたい。わたしたちの「和食(washoku)」(2)

  • 印刷

ユネスコ無形文化遺産に「和食」を申請した背景と、その狙いをわかりやすく教えて!



そもそも、申請の目的は?

平成24年3月、政府は「和食;日本人の伝統的な食文化」として、日本食文化をユネスコ無形文化遺産に登録申請しました。

申請書では、「和食」について、四季や地理的な多様性による「新鮮で多様な食材の利用」「自然の美しさを表した盛り付け」などの特色があり、日本人の根底にある「自然の尊重」という精神にのっとった食に関する社会的慣習としています。また、正月や田植え、収穫祭のような年中行事と密接に関係し、家族や地域の住人同士の結びつきを強めるものとも説明しています。

このような「和食」を申請することにより、国民一人ひとりが、日本食文化について考え、そのよさを再認識するきっかけとするとともに、日本食文化を次世代に向けて保護・継承する機運が高まることも期待されています。

申請に際し、改めて確認した「和食」の特徴はこの4つ
多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用
日本の国土は南北に長く、海、山、里と表情豊かな自然が広がっているため、各地で地域に根ざした多様な食材を得ることができます。また、素材の味わいを最大限に活かす、調理技術・調理道具が発達しています。

  多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用   多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用

自然の美しさの表現
料理だけでなく、器や食事の場のしつらいまで含めて、自然の美しさや四季の移ろいを表現する、「美意識」が日本食文化にはあります。そこには、旬の食材を用いたり、料理と器の取り合わせを選んだりといった、季節感を大切にする「心」も含まれています。

自然の美しさの表現

 
バランスがよく、健康的な食生活
一汁三菜という多くの種類の食品を摂れる食事スタイルがあるため、栄養バランスがとりやすい食生活になっています。また、動物性油脂ではなく、だしのうま味を用いる調理法が発達してきたため、低カロリーな食事となっています。

バランスがよく、健康的な食生活

 
年中行事との関わり
正月のおせち料理やお雑煮から始まり、大晦日の年越しそばまで、様々な年中行事において、「食」は欠かせないものとなっています。このような行事の場で、食の時間を共にすることは、家族や地域の絆を強める役割も持っています。

年中行事との関わり



深刻な国内での「和食」離れ
世界から注目を集めている「和食」ですが、国内では、外食の増加や食生活の欧米化により、「和食」離れが進んでいるとも言えそうです。国民1人当たりが食べる米の量は、50年で半減。その一方で、牛乳・乳製品や肉類は増加(図1)。さらに、世帯当たりの穀類支出額を見てみると、昭和37年には8割を占めていた米への支出が平成22年にはパンや麺にとって代わられました(図2)。このように、食の生活スタイルが大きく変化する中で、日本人が長い歴史の中で育んできた「和食」を、大切に守り伝えていくには、どうすればいいでしょうか?

国民1人1日当たりの供給純食料

世帯当たり、1ヶ月の穀類支出金額内訳

そこで、さまざまな普及・啓蒙活動を実施
地域独自の伝統的な食文化を次の世代に伝えていくため、全国各地の自治体や団体が保護活動に取り組んでいます。
静岡県
「ふじの国は和食の先進県」をキャッチコピーに、食材の豊かさをアピールする活動を行っています。また、3年ごとに「世界お茶まつり」も開催。

「ふじの国は和食の先進県」をキャッチコピーに、食材の豊かさをアピールする活動を行っています。また、3年ごとに「世界お茶まつり」も開催。

 
福井県小浜市
全国に先駆けて「食のまちづくり条例」を制定し、先進的に食育に取り組んでいます。食文化をテーマとした博物館「御食国(みけつくに)若狭おばま食文化館」のキッチンスタジオを舞台に、子ども向けの食育プログラム「キッズキッチン」を定期的に開催。

全国に先駆けて「食のまちづくり条例」を制定し、先進的に食育に取り組んでいます。食文化をテーマとした博物館「御食国(みけつくに)若狭おばま食文化館」のキッチンスタジオを舞台に、子ども向けの食育プログラム「キッズキッチン」を定期的に開催。

 
一関もち食推進会議 (岩手県)
一関地域に伝わる「もち食」の文化を残すため、市、県、民間業者、郷土史家などの様々な立場の方々が連携して、食育活動に取り組んでいます。

一関地域に伝わる「もち食」の文化を残すため、市、県、民間業者、郷土史家などの様々な立場の方々が連携して、食育活動に取り組んでいます。

NPO法人とうもんの会 (静岡県)
南遠州地域に伝わる、季節の行事食の提供や、地域の小中学生を対象にした農業体験や、収穫物を使った豆腐や味噌造り体験などを実施しています。

→事例紹介ページへ
   

また、農林水産省でも、日本の食文化について関心や理解を深めていただくため、冊子を作成するなどの普及・啓蒙活動を行っています。冊子については、農林水産省ウェブページで閲覧・ダウンロードが可能です。

「和食」ガイドブック
中学生~高校生以上を対象とした日本食文化の入門書(冊子)です。

「和食」ガイドブック
 
日本食文化ナビ
地域活性化に取り組む際に見落としがちな、重要な視点をまとめた冊子です。ワークシート付きのダイジェスト版と事例集付きの本体版の2種類があります。

日本食文化ナビ
   
食文化学習ツール
身近な日本食文化の素晴らしさに気づいてもらうことを目的とした、小学校高学年を対象とした食文化学習ツール(教材)です。
   
私の「和食」宣言の募集
個人や企業・団体などから、「和食」を保護・継承するための抱負や取り組みを「私の『和食』宣言」として募集しました。

→紹介ページへ
   

●「和食」ガイドブック https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/
● 日本食文化ナビ https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/vitalization/
● 食文化学習ツール https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/syokuiku/