このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

特集1 ユネスコ無形文化遺産への登録が決定!大切に伝えたい。わたしたちの「和食(washoku)」(5)

  • 印刷

子どもたちに伝えたい、年中行事での「和食」/「和食」の基本 美しい箸遣いできていますか?



子どもたちに伝えたい、年中行事での「和食」

「地の神様定食」は赤飯、紅白なます、田楽や旬の野菜のかきあげなどがついて700円

「地の神様定食」は赤飯、紅白なます、田楽や旬の野菜のかきあげなどがついて700円

「この地域に生まれた誇りを次世代に伝えたい」と話す、理事長の名倉光子さん

「この地域に生まれた誇りを次世代に伝えたい」と話す、理事長の名倉光子さん

月一食堂を訪れた、名倉由紀子さんと、彩巴(いろは)ちゃん、和伽(のどか)ちゃん

月一食堂を訪れた、名倉由紀子さんと、彩巴(いろは)ちゃん、和伽(のどか)ちゃん

会員数41人のとうもんの会。「自然観察部」「農業体験部」「食体験部」「総務部」に分かれて体験講座を開催

会員数41人のとうもんの会。「自然観察部」「農業体験部」「食体験部」「総務部」に分かれて体験講座を開催
地の神様に、節分、さなぶり……。
四季折々の行事食が味わえる「月一食堂」が親子連れに大人気
初めて聞く地域の昔話に、ちびっ子の目もキラキラ!
NPO法人とうもんの会(静岡県掛川市)
「先人たちから伝承された、地域の農業や食文化を次世代に伝えたい」と活動している「とうもんの会」。理事長の名倉光子さんほか、会員の多くが農家の女性です。

活動拠点施設の「とうもんの里」では農業体験や料理講座などを年間のべ100回以上開催。毎月第三土曜日には、地域に残る行事食を伝える「月一(つきいち)食堂」をオープンしています。2月は節分定食、6月は田植えを終え、田の神様に感謝するさなぶり定食……。取材した昨年12月は、赤飯やなますなどが付く地の神様(じのかみさま)定食が用意され、正午すぎには完売に。地の神様とは、おもに静岡県西部で家ごとに祀られている屋敷神のことです。

「祖父母の代がやっていたんですけど、毎年12月15日に1年の無事を感謝し、来年も無事に住まわせていただくことを、お祈りするという風習の意味は初めて知りました」と子ども連れのお母さんに好評です。

「古くから伝わる行事も食事も、身内から押しつけられるとかえって抵抗感を感じるもの。だからこそ地域みんなでつないでいきたい。小学生に豆腐作りの体験授業も行いますが、そこで地域の歴史を話すと『おれんとこはすごいんだね。昔はお侍さんが住んでいたんだって』と、得意そうに家族に話すそうですよ」と、名倉さん。

まずは子どもたちに、ふるさとへの誇りを持ってほしい。その先に食文化の継承は自然とついてくる、と会員のみなさんは信じています。

キッズ体験教室も充実!
茶摘み体験

茶摘み体験
農業のおもしろさを伝えるため、茶摘み、田植え、野菜の収穫などの体験教室も開催。講師は地域農業者が務める
   豆腐作り体験
豆腐作り体験
地元の小学2年生の授業で行う豆腐作り体験では、かならず地域を守ってきた先人たちの話を伝えている

「和食」の基本 美しい箸遣いできていますか?
「日本人の繊細さは、箸によって培われた」と言われるほど、日本文化とは切り離せない箸。「今、その箸をきちんと持てるのは、成人の2割以下なんです」と話す小倉朋子さんに、正しい箸遣いについて聞きました。箸遣いに自信が持てるようになると、「和食」の魅力がいっそう味わえますよ。
小倉朋子さん

おぐら・ともこ
食のコンセプト企画からメニュー・商品開発、サービス指導に至るまでの一連のフードプロデュースを請け負うほか、食事マナー文化と食の総合教室「食輝塾」を主宰。『箸づかいに自信がつく本』(リヨン社)など著書多数。

そもそもは神器として伝わったという箸
正しい作法で扱うことは、〝和の心〞そのものなのです
日本箸文化協会代表 小倉朋子さん
箸の起源ははっきりとわかっていませんが、今から約3000年前、中国の殷(いん)の時代と考えられています。当時の箸は、神に供え物をするとき、手づかみにして供え物を汚さないための神器だったようです。

人が食べるために使う箸は、聖徳太子の時代、遣隋使によって日本に伝来し、奈良時代には庶民にも普及したといいます。

箸のおかげで、熱い物、冷たい物、柔らかい物、小さい物まで、自在に食べることができるようになり、「和食」のバリエーションは格段に広がりました。

また、「和食」の特徴のひとつに盛り付けの美しさがありますが、これは、他のアジアの国の箸とは違い、先が細く尖っていて、細かな作業ができるからこそ、完成した〝美〞なのです。

日本の伝統工芸の繊細さや、工業製品の品質の高さは、世界で高い評価を受けていますが、これらも箸が育んだ、日本人独特の〝器用さ〞なのかもしれません。

このように私たちは、世界に誇れる〝お箸の国の人〞なのですから、〝正しく美しい〞箸作法も、大切に伝えてゆきたいですね。

正しい箸の持ち方

きちんと持つには、こんな練習を