MAFF TOPICS(1)
数々の装備で、違法操業を摘発!
水産庁の最新取締船白竜丸、間もなく出航!
MAFFとは農林水産省の英語表記「Ministry of Agriculture,Forestry and Fisheries」の略称です。MAFF TOPICSでは農林水産省のお知らせを中心に、暮らしに役立つさまざまな情報をお届けします。 |
水産庁が建造していた漁業取締船白竜丸が、いよいよ10月末に完成し、11月から取締航海に向かう予定です。そこで、白竜丸に搭載された最新鋭の装備に加え、漁業取締船の大切な役割についても、わかりやすく紹介します。 |
くす玉が割ら華れ、々しく進水する「白竜丸」
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林大臣により「支綱」が切断されると、船体はゆっくりと進水
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現行船より大型化して、荒海でも活躍が可能に
水産庁の新しい漁業取締船「白竜丸」の進水式が7月2日、山口県下関市の三菱重工業下関造船所で行われました。当日は林農林水産大臣が「白竜丸」と命名した後、船をつなぐ支綱(しこう)と呼ばれるロープを切断し、下関港へ静かに進水しました。初代白竜丸は昭和40年、現行船は昭和63年に建造され、三代目となる新船は、全長84.20m、幅12.50m、総トン数1,595トンと、現行船よりも一回り大型化。荒れた海でも航行できる優れた耐航性能を有するため、積極的な取締り活動ができるほか、取締りの指揮・命令系統や通信部局などの機能を集約した統合管制室の採用など、取締り機能も、大きく向上しています。 また、小型取締艇を搭載し、監視カメラや探照灯(サーチライト)、遠隔操作ができる放水銃のほか、外国語を表示して相手にメッセージを伝える電光掲示板など、最新の装備を持つのも特徴です。 この白竜丸を含め、現在水産庁の漁業取締船は43隻(平成27年1月から44隻体制になる予定)。では、この漁業取締船、いったいどんな“お仕事”をしているのでしょう? 水産資源の保護と漁業環境や秩序の維持に尽力
日本は、四方を海に囲まれ、6,000以上の島々で構成されています。国土面積は小さいながらも、※排他的経済水域(EEZ)は、世界第6位と広大で、多種多様な魚貝類の宝庫といえる豊かな漁場を有しています。この水域で操業する漁業者は、国籍を問わず、法令を守ることが義務付けられていますが、漁業取締船はこの法令遵守や、違法操業の摘発などを行うのが主な仕事です。 漁業取締船には、水産庁の漁業監督官が乗船しており、漁業者がルールを守って操業しているか、乱獲や密漁が行われていないか、また、漁業者同士のトラブルが起きていないかなど、常に注意を払いながら、監視や指導、立入検査を行います。 また、違反事案については徹底的に捜査した上で拿捕(だほ)・立件し、検察庁へ送致を行うなど、日本の水産資源の保護と漁業環境や秩序の維持に努めています。 悪質、巧妙化している違法操業は、けっして許さない
外国漁船による違法操業は、年々悪質、かつ巧妙化しているのが特徴です。かつては、日本の水域で無許可操業を行う違反が多く発生していましたが、取締強化によって、そのような違反は減少しました。その一方で、「高性能レーダーを搭載して、漁業取締船の接近をいち早く察知し、違法操業の機会をうかがう」などハイテク化、組織化した違反事例も後を絶ちません。また、「漁獲割当量より多く漁獲し、操業日誌に漁獲量を過小に記載する」違反も増えています。これには船舶への立入検査を実施し、漁業許可の内容を遵守しているか確認することで違反を発見し、拿捕にいたる例も多いようです。 「外国漁船の違法操業が年々悪質・巧妙化している今、最新鋭の装備を持つ白竜丸の就航には、大いに期待しています。地道に頑張る漁業者の利益を守り、安心して漁業が営めるようにするためにも、今後、取締りをいっそう強化し、日本の貴重な水産資源を守るという使命を全うしたいですね」と語るのは、水産庁資源管理部指導監督室長の廣野淳さん。 冒頭で紹介した白竜丸は、10月末に完成・引渡しの予定で、11月には下関を出航し、日本海を中心に取締り活動をスタートします。 わが国の水産資源を持続的に利用可能な状態で維持し、次世代に残すため、日夜奮闘する漁業取締船。今後いっそうの活躍を期待したいですね。 ※排他的経済水域(EEZ)とは……日本の沿岸から200海里(約370km)内の水域で、日本が漁業など天然資源を採ったりする活動を、他の国に邪魔されずに自由に行うことができる水域(EEZはExclusive Economic Zoneの略)。 |
漁業取締船の、緊迫感溢れる活動模様
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