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2015新春座談会 見直したい、伝えたいお米の魅力

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見直したい、伝えたいお米の魅力

皆川 農林水産事務次官 × いとうまい子さん(女優) × 永島昭浩さん(スポーツキャスター) × コーディネーター 庄司麻由里さん(フリーアナウンサー)


2015年の新春を迎えるに当たって、お米作りを実践している女優のいとうまい子さんと、サッカー元日本代表の永島昭浩さん、皆川芳嗣農林水産事務次官が参加し、座談会を開催。
フリーアナウンサーの庄司麻由里さんがコーディネーターを務め、お米の魅力について語り合いました。

皆川 農林水産事務次官 × いとうまい子さん(女優) × 永島昭浩さん(スポーツキャスター) × コーディネーター 庄司麻由里さん(フリーアナウンサー)

みながわ・よしつぐ

みながわ・よしつぐ
福島県出身。東京大学経済学部卒。翌年に農林省入省。
総合食料局食糧部長、林野庁次長、農村振興局次長、関東農政局長、林野庁長官を経て、2012 年9月より現職に。

いとう・まいこ

いとう・まいこ
愛知県出身。1984 年のドラマ『不良少女とよばれて』でヒロインを演じ、人気を博す。女優業やバラエティー番組で活躍すると同時に、昨年、早稲田大学を卒業。現在は、同大学大学院に通う。

ながしま・あきひろ

ながしま・あきひろ
兵庫県出身。サッカーJリーグ「ガンバ大阪」、「ヴィッセル神戸」などに在籍。日本代表にも選ばれ、輝かしい成績を残す。2000年に現役引退後は、サッカーの普及活動や後進の指導に携わりながら、スポーツキャスターとしてもテレビや講演会などで活躍中。

しょうじ・まゆり

しょうじ・まゆり
東京都出身。フリーアナウンサー。TBS「はなまるマーケット」で、“はなまるアナ”として17 年間レポーターを務める。食や健康、美容に関する取材を多数経験。講演活動の他、最新刊『「気まずい」が100%なくなる話し方』(大和書房)が好評。

石川県輪島市白米町(しろよねまち)にある「白米千枚田」。毎年10月中旬から3月中旬にかけて、日没後にライトアップする「あぜのきらめき」を開催

石川県輪島市白米町(しろよねまち)にある「白米千枚田」。毎年10月中旬から3月中旬にかけて、日没後にライトアップする「あぜのきらめき」を開催

石川県輪島市白米町(しろよねまち)にある「白米千枚田」。毎年10月中旬から3月中旬にかけて、日没後にライトアップする「あぜのきらめき」を開催

いとうさん

永島さん

写真/松木雄一
サッカーの試合前はごはんを食べるのが必須
庄司(敬称略、以下同)  みなさま、明けましておめでとうございます。

一同  おめでとうございます。

庄司  新年最初の座談会ということで、日本人の食文化の基本であるお米、ごはんについて、みなさんにお話を伺おうと思います。さっそくですが、皆川次官は、ごはんにまつわる思い出はありますでしょうか。

次官  子どもの頃、バターライスが好物でしてね。ほかほかのごはんにバターをのせて、ちょっとしょうゆをたらす。本当に好きでしたね。

庄司  かなりハイカラな食べ方ですね。永島さんはいかがですか。

永島  私は、子どもの頃から3食ごはんでした。23歳でオランダに留学した時のことです。海外では、試合時間が遅れたりすることもよくあるんですね。一度、午後1時の試合が3時になったことがあって、朝はホテルでパンを食べたんですが、直前にお腹がすいて、本当に困りました。日本でごはんを食べてるときはそんなことはなかったものですから。それ以来「試合前はごはん」を心がけてました。日本代表チームも、私がいた20年以上前と違って、今は、シェフも食材も同行していますが、当時は全て自己管理でした。試合前は、エネルギー源として、おにぎりがいちばん人気です。サッカーは、走る体力と考える体力の両方が必要ですが、空腹感を覚えた時点でどちらも喪失します。試合の直前と、前日、当日はお米、ごはんを食べる、これは鉄則です。

庄司  今のように日本代表のシェフがお米を持って行く訳ではないと。

永島  はい、私の時代は、シェフも、食材もないので、現地のレストラン、ホテルで出るものを食べてました。私は世界中あちこち行きましたが、お米はやっぱり日本のものがいちばんおいしい。もう、比べものにならないぐらい、最高ですね。今、私は海外にはいつもレトルトパックのごはんを持っていきます。

庄司  いとうさんは、自分でお米を作っておられるそうですね。

いとう  「まいまい田んぼ」と名付けて、奈良で田んぼをお借りして作ってます。田原地区と言って、すごい山の中で。以前、石川県の能登半島にある千枚田を取材したときに、美しくて感動して。何年か田植えと稲刈りに通ってました。お米ってバランス食で、すばらしくいい食材だと思ってます。それを、もっと多くの人に知ってほしいというのと、田植えとか、稲刈りとか、子どもたちに体験してもらいたくて。田植えだけじゃなくてたくさんの人を集めて、ホタルを見に行く企画を立てたり、コスモスをあぜ道に植えたりしたいなと。とれたお米は高齢者施設とかに寄附していて、話を聞いた別の地域の方も、うちでもやって欲しいと。いろんなところで広めたいなと思ってるんです。

酒米、飼料用、新技術、新品種でお米の世界が広がる
次官  お米の1人当たりの消費量が減っているので、我々も政策を変えて、食べていただけるような新しい取り組みをしています。最近では、お酒ですよね。日本酒が外国でものすごく評価が高くて、かなり高級なワイン1本と同じくらいの値段で売れています。その原料用の酒米だとか、他には畜産物の飼料用です。牛、豚や鶏の飼料は、日本では輸入に頼っています。普通のお米よりも、量がたくさんとれる品種がありますから、この取り組みを進めたいですね。

いとう  お米の飼料って、生の硬いまま、食べるんですか?

次官  硬いままも、加工するケースもありますが、むしゃむしゃ食べますね。例えば豚肉だと、肉にオレイン酸といううまみ成分が増えたり、卵の黄身の色があまり濃くないものもあります。せっかく農家の方が丹精してきた田んぼをもっと使ってもらって、当然主食のお米もどんどん食べていただきたいんですが、それ以外でもね。お米は日本の気候にも合っていると思うので、しっかり作っていきましょうよと取り組みを始めたところです。

庄司  私の父が山形出身の関係で、「つや姫」というお米のブランド戦略委員をさせていただいております。最近は、山形の「つや姫」、福島の「天のつぶ」など、個性的なお米が多くなって、消費者のお米の選択肢が増えてきたと思います。

次官  西日本の方では、「森のくまさん」というお米もありますね。北海道の「ななつぼし」とか「ゆめぴりか」とか。コシヒカリだけじゃなくて、新しい米の品種を競って作って、さらに質にこだわって。そういうお米は必ず評価されると思うんですよね。

ごはんの消費量の減少を止めるには
庄司  他にお米の消費量の右肩下がりを止められるアイデアはおありになりますか。

次官  今の日本の食生活の中でも、食材としてお米を活用できるのが、例えば天ぷら粉。米粉を使った方が油を吸いません。パンも、アレルギーがあってグルテンとかが摂取できない方がおられます。先日、新技術で、炊いたお米を高速で攪拌(かくはん)してゲル状にして、それを使ったおいしいシュークリームを試食しました。そういったお米の新しい加工技術とかは、消費を伸ばしていく可能性があると思います。もう一つは、一昨年の12月に和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたので、これをアピールすることで、普通のごはんの食べ方も、新しい活用も、伸びていくと面白いと思いますね。今年5月からは、イタリア・ミラノで食をテーマにした万博も開催されますので、和食を海外にも発信していきたいです。

永島  国内のオリンピック選手の合宿所では、ビュッフェスタイルで食事が出るんですが、みんな、ごはんをたくさん食べるんですね。2020年に向けて、オリンピックをめざす子たちにも、日頃からそういうことを知ってもらい、まねしてもらいたいと思いますね。

いとう  私は玄米で食べるのがすごく好きです。栄養価も高くなるし、食物繊維もとれるし、総合食で本当にいいと思うんです。たまにはゆっくりごはんを炊いて、ほかほかのごはんを食べていただく時間を持ってもらう。私も仕事柄、どうしても外食が多くなってしまうのですが、そういう人たちこそ、おいしいごはんを食べて元気になってもらいたいですね。

海外に向けてごはんのおいしさをPRしていきたい
庄司  今後、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、海外の人たちに、もっと白いごはんのPRを考えたらどうでしょう。チャーハン、パエリア、お寿司はありますよね。

次官  一昨年は、海外からの旅行者数が1000万人を超えました。去年は、その20%以上アップ。おそらく、2020年のオリンピック・パラリンピックの時には、2000万人を超えると思います。その方々が、東京で秋葉原の電気街に行って、富士山を見て、京都に行ったらさよなら、と言うんじゃなくて、もっと各地域にどんどん行ってもらい、そこでの伝統食も含め、食を体験してもらう。海外の人達の評価を見て、日本の食に対する再評価につながると思うんですね。

庄司  外国の方が日本で炊飯器を買って帰るみたいに、日本のお米を買って帰るようになるといいですね。

次官  最近は輸出に力を入れてますから、現地でも入手できると思いますよ。

子どもたちの食習慣やお米のよさを見直す年に
次官  今、小さい頃からの食生活が乱れていると言われてます。脳が活動するためのエネルギー源として、「めざましごはん」と言いますか、朝にごはんを食べる習慣がないと、学校で一生懸命教えても、頭に入らないですよね。今年は、お子さんの食習慣、家族で一緒に食卓を囲むとか、大事にする年になってくれたらいいなと思いますね。

いとう  ごはんって作るのに時間がかかるでしょ。みなさん働いてるから、簡単にできるものに移行して、お米の消費も進まないのかなと思うんです。忙しくてもあったかいごはんを食べて輪になるような時間を持ってもらう。キャンペーンを張れば、ごはんのよさが見直されるんじゃないかなって思いますよね。

永島  海外で活躍するサッカーの代表選手クラスの人たちも、ごはんを炊飯器で炊いたりしてるようです。お米のよさ、日本のよさというものを、プレーしながらPRしてもらえたらいいですね。

庄司  日本人として、お米は誇りですからね。今年はそれを皆さんに見直していただける年になるといいですね。本日はありがとうございました。

座談会のようす