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MAFF TOPICS(3)

あふラボ 酸もアルカリも使用せず!果実の形をそのまま残す「酵素剥皮(はくひ)」



食べやすさと風味を残せる加工法
「果物は好きだけど、皮をむくのが面倒」「皮の厚いカンキツは敬遠しがち」──そんな理由からか、近年、果物の消費は減少傾向にあります。その一方で需要を増やしているのが、カットフルーツ。皮をむいた状態で売られているので、手軽に食べられると好評です。

しかし、一般的なカットフルーツはナイフなどの刃物を使用するため、実が傷ついて果汁が出てしまい、果実の風味を失いやすく、賞味期限も短くなりがちでした。

こうしたデメリットを払拭し、果物の消費拡大に大いに期待されているのが、「酵素剥皮」という技術です。酵素剥皮とは、果物の皮を酵素(※)で取り除く加工法のこと。果実の形状をそのまま残すことができ、酸やアルカリを使った剥皮とも違い、素材の品質を生かした加工が可能です。そのため、食べやすい形状にするだけではなく、果実本来の風味も味わえます。

この酵素剥皮を研究している、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の果樹研究所では、カンキツをはじめとしたさまざまな樹種で加工技術を高めてきました。

植物の細胞同士の接着に関わる成分の一つがペクチンです。酵素剥皮の原理は果皮組織の細胞の隙間にこのペクチンを分解する酵素液を入れ、接着している細胞を分離するというもの。よって、酵素液をどのように果皮組織に入れるかが、技術開発のポイントでした。

研究の末、さまざまなカンキツで剥皮に成功。外皮の薄いウンシュウミカンから外皮が厚くて硬いブンタンといった品種まで一房ずつきれいに皮むきができるようになりました。

現在は、酵素剥皮果実の市場性の調査や、処理の低コスト化などの普及にむけた研究開発を進めています。きれいに皮むきされ、香りも食感もみずみずしい酵素剥皮で作られたカットフルーツが一般的になる日も近いかもしれません。

※使用されている酵素は、食品衛生法で認められたものです。


ブンタンを酵素剥皮する流れ
1.外皮の厚いブンタンの場合は、外皮の表面を少し切り取る
1.外皮の厚いブンタンの場合は、外皮の表面を少し切り取る
2.ブンタンと酵素液を密閉容器の中に入れ、減圧の状態にして液をブンタンに一気に染み込ませる
2.ブンタンと酵素液を密閉容器の中に入れ、減圧の状態にして液をブンタンに一気に染み込ませる
3.酵素液の効果が進むと厚い外皮が軟化してほぐれていく
3.酵素液の効果が進むと厚い外皮が軟化してほぐれていく
4.中の薄皮までほぐれるので、簡単にひと房ずつ取り出すことができる
4.中の薄皮までほぐれるので、簡単にひと房ずつ取り出すことができる

加工前
加工前
矢印
加工後
加工後


柿も酵素剥皮で外皮をきれいにむくことに成功している


あふラボ トリビア
カンキツの果皮にはこんな使い道も

ウンシュウミカンの果皮は「陳皮(ちんぴ)」、ダイダイの果皮は「橙皮(とうひ)」として乾燥させて漢方薬の原料にもなります。最近は、養殖魚の生臭さを消すためにエサとしても利用され、そのように育てられた魚は「フルーツ魚」とも呼ばれています。



文/葵和みどり




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