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MAFF TOPICS(1)



MAFFとは農林水産省の英語表記「Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries」の略称です。
「MAFF TOPICS」では、農林水産省からの最新ニュースなどを中心に、暮らしに役立つさまざまな情報をお届けします。

あふラボ ビール用大麦も国内産 寒さに強い「小春二条」誕生


仕込み釜では、麦芽からビールのもとになる糖液である麦汁をつくる
仕込み釜では、麦芽からビールのもとになる糖液である麦汁をつくる
写真提供/キリンビール


地産地消の関心は「地ビール」にも
近年注目を集めている地ビールですが、その多くは輸入麦芽を原料としています。しかし、食の安全や地産地消への関心の高まりから国産麦芽にこだわる醸造会社も少なくありません。とはいえ、国産大麦の確保は容易ではなく、特に東北・北陸地域の寒冷地では従来のビール麦(二条大麦)栽培が難しいため、収量が安定しないという問題を抱えていました。

寒さに強いビール麦「小春二条」の誕生
農研機構東北農業研究センターの吉川亮さんは、寒冷地でのビール麦栽培・利用の現状を知り、「地域活性化のために」という思いで、二条大麦の品種改良を始めました。寒冷地の気候でも安定した収量が得られ、ビール醸造にも適した品種を目指し、人工交配後、有望な苗の選抜・固定を繰り返し行いました。

後任の谷口義則さんも、研究に尽力。スタートしてから11年後の2007年に「小春二条」が誕生しました。現在は岩手県をはじめ、東北や北陸などで小規模な栽培が行われており、地ビールの原料などに利用されています。

国産大麦100%の地ビール
東北の2つの醸造所では、地元で収穫された小春二条の麦芽100%の地ビールの製造・販売を行っています。秋田県・あくらの「ふたりがかり」、岩手県・世嬉の一酒造の「こはるホワイトエール」。いずれも期間限定の少量生産ながら全国にファンを抱えているそうです。

小春二条の育種に携わった谷口さんは「地元の農家と地ビールのメーカーが連携して地域振興の一つとして取り組んでいる」と言います。一方で「小春二条は収穫期が梅雨と重なるが、より収量を安定させるため、梅雨前に収穫できる寒冷地向け二条大麦の育成を目指している」と意欲を新たにしています。

食の安全に応える国産原料ビールの増加
"国産原料"へのこだわりは、大手メーカーも同じです。キリンビールは、地域限定品として九州産麦芽を100%使用した「一番搾り 福岡づくり」を販売。サッポロビールでは、麦芽・ホップともに国産原料100%の「サッポロ NIPPON PILS」を数量限定で販売しています。地ビール製造日本第一号で知られる新潟県のエチゴビールでも、栃木県産麦芽を使った「国産麦芽100%でつくった麦酒」を販売しています。生産量が多くなると、原料確保が容易ではありませんが、契約農家などと良好な関係を築き、消費者の要望に応える商品づくりが行われているようです。


小春二条100%の地ビール
「ふたりがかり」は秋田県大潟村産の小春二条の麦芽を100%使用 「ふたりがかり」は秋田県大潟村産の小春二条の麦芽を100%使用 「こはるホワイトエール」は地場産の小春二条が100%使用されている 「こはるホワイトエール」は地場産の小春二条が100%使用されている

※いずれも期間限定商品(販売時期等は平成28年1月現在未定)
   


国産大麦100%のビール

「サッポロ NIPPON PILS」は麦芽に「りょうふう」(北海道産)と「彩の星」(埼玉県産)、ホップには「リトルスター」(北海道富良野産)と「信州早生」(東北産)が使用されている。数量限定商品
「サッポロ NIPPON PILS」は麦芽に「りょうふう」(北海道産)と「彩の星」(埼玉県産)、ホップには「リトルスター」(北海道富良野産)と「信州早生」(東北産)が使用されている。数量限定商品
「一番搾り 福岡づくり」に使用される麦芽は、福岡県・大分県・佐賀県で栽培されたもの。スチール缶も新日鐵住金八幡製鉄所で作られている
「一番搾り 福岡づくり」に使用される麦芽は、福岡県・大分県・佐賀県で栽培されたもの。スチール缶も新日鐵住金八幡製鉄所で作られている
「国産麦芽100%でつくった麦酒」はその名の通り、栃木県産大麦の麦芽を100%使用
「国産麦芽100%でつくった麦酒」はその名の通り、栃木県産大麦の麦芽を100%使用


あふラボトリビア
日本のビール用大麦は二条種だけ

ビール用大麦(専用種)は、外国では二条大麦(穂軸の両側に実が2列つく)と六条大麦(6列つく)がありますが、日本は二条大麦だけです。明治に外国から導入された品種で、日本の気候に適したのは「ゴールデンメロン」という二条種のみだったからです。ここから日本のビール用大麦の品種改良が始まったので、今でも二条種だけなのです。



文/葵和みどり




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