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農林水産省

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MAFF TOPICS(1)



MAFFとは農林水産省の英語表記「Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries」の略称です。
「MAFF TOPICS」では、農林水産省からの最新ニュースなどを中心に、暮らしに役立つさまざまな情報をお届けします。

あふラボ 健康にいい成分・ケルセチンが特に多い2つの茶品種を発見!

暮らしに役立つ最新の研究成果を紹介します。


農研機構果樹茶業研究部門の茶畑。お茶の新たな機能性成分の発見が期待される。
農研機構果樹茶業研究部門の茶畑。お茶の新たな機能性成分の発見が期待される。


そうふう 香りがよいのが特徴。「花香」といって、東洋ランのような香りとされている。うまみがある。
そうふう
香りがよいのが特徴。「花香」といって、東洋ランのような香りとされている。うまみがある。
さえみどり 新葉は明るい緑色。特にうまみが強く、おいしい品種。玉露として使われることが多い。
さえみどり
新葉は明るい緑色。特にうまみが強く、おいしい品種。玉露として使われることが多い。


機能性成分の高い品種「そうふう」「さえみどり」
農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)は既存の緑茶品種の中から、「そうふう」と「さえみどり」の2品種が、ケルセチンを特に多く含む品種であることを発見しました。

ケルセチンとは、玉ねぎにも多く含まれるポリフェノールの一種で、血管を健全な状態に保つ機能が期待されています。

「そうふう」は花香(はなか)と呼ばれる香りがあり、うまみがあります。「さえみどり」はうまみが強いことが特徴で、特に八女(やめ)茶の玉露に多く使われています。これらの新芽の浸出液中には、一般的な「やぶきた」に比べて約2.5倍量のケルセチン配糖体(ケルセチンに糖が結合したもの。植物には主に配糖体として存在)が含まれています(グラフ参照)。

「そうふう」「さえみどり」では、通常飲む濃度のお茶数杯で、玉ねぎ半個分相当のケルセチンが摂取可能です。

ケルセチン含有量の比較
「そうふう」「さえみどり」は「やぶきた」に比べ、約2.5倍のケルセチン配糖体を含む。
ケルセチン含有量の比較
出典:農研機構「育成登録品種(「やぶきた」を除く)におけるケルセチン含有量」

毎日緑茶を飲んで生活習慣病を予防
「お茶に含まれるカテキンの免疫機能成分を調べている過程で、『そうふう』と『さえみどり』にケルセチン配糖体が多く含まれていることを発見しました。緑茶にはもともと抗酸化作用が高いカテキンが含まれています。さらにケルセチン配糖体が含まれたこれら2品種の優れた特性を生かし、今後は飲料の開発などに展開できればいいと思っています」(農研機構果樹茶業研究部門茶業研究領域・物部真奈美さん)

このほかにも機能性成分を含む品種はいろいろあり、「べにふうき」は抗アレルギー作用を持つメチル化カテキンを含み、花粉症対策にも用いられています。また、品種に関係なく、緑茶を冷たい水で抽出すると、エピガロカテキンの働きにより正常な免疫機能をサポートする効果が期待されます。

宇治茶、静岡茶、八女茶というように、地名のついたお茶は知っていても、品種まで認識できる人は少ないはず。お茶は手軽に摂取しやすく、毎日の習慣で生活習慣病予防ができる力強い味方です。新茶の季節、品種にも注目しつつ、香り高いお茶を楽しんでみてはいかがでしょう。

緑茶品種の栄養成分調査のため、丁寧に手摘みする。 緑茶品種の栄養成分調査のため、丁寧に手摘みする。


あぶラボトリビア
茶葉は蒸し時間で変わる

最近とても人気のある「深蒸し茶」。実は品種ではなく、茶葉を蒸す工程で長く蒸したお茶のこと。まろやかな味が特徴で葉が細かく、抽出すると濃い緑色になります。深蒸しに対して「浅蒸し茶」があることは意外に知られていないもの。こちらは香りが高く、抽出すると山吹色になります。同じ茶葉でも蒸し時間によって味、香り、色も変わるのですね。



取材・文/細川潤子




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