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特集1 食生活(2)

[Young]若者の食生活が危ない!? 欠食女子と過食男子



やせすぎの20代女性、メタボ予備軍の30代男性が年々増加中! その理由を探るべく、ふだんどんな食事をしているのか見せてもらったところ、この世代への食育も待ったなしの状況であることが見えてきました。

ダイエットを気にするあまり食べない女子
下田佳子さん(仮名) 25歳・営業職
下田佳子さん(仮名) 25歳・営業職
BMI値:17.2
身長160センチメートル、体重44キログラム、体脂肪率18パーセント。食事時間は日中は規則的だが、夜は外食も多く、1日2食のときもある。朝食は基本的にスムージー。昼食はオフィス内でサンドイッチなど軽食がメイン。22時以降は食べないようにしている。
  お腹いっぱい食べたがる肉食男子
藤原忠夫さん(仮名)33歳・事務職
藤原忠夫さん(仮名)33歳・事務職
BMI値:34.1
身長173センチメートル、体重102キログラム、体脂肪率32パーセント。食事時間は不規則で朝食は缶コーヒーだけの場合も。昼食はオフィス近くの飲食店で定食を食べることが多い。夕食・夜食は晩酌をしながら食べるのがほとんど。24時過ぎに食べることもある。

朝/グリーンスムージー:コップ1杯80キロカロリー 朝は野菜をたくさんとれるスムージーだけ飲みます 昼/バナナ:1本86キロカロリー 夕/ミックスサンドイッチにんじんサラダ435キロカロリー 夜/ミネラルウォーター0キロカロリー 1日の摂取カロリー601キロカロリー


平日 朝/缶コーヒー59キロカロリー 時間のない朝は缶コーヒーだけですませることも 昼/チキンカツ定食(ごはん2杯)1093キロカロリー 夕/ミックスコンボ定食1084キロカロリー 夜/おでん缶ビール350ミリリットル:2缶845キロカロリー 1日の摂取カロリー3081キロカロリー


朝/バナナ:1本86キロカロリー 昼/野菜サラダ(コンビニ)105キロカロリー 夕/絹ごし豆腐四分の一丁もずく酢プチトマト82キロカロリー  夜/ミネラルウォーター0キロカロリー 栄養バランスを心がけているのですが食欲も落ち気味 1日の摂取カロリー273キロカロリー

休前日 朝/ハンバーガーフライドポテトコーラ871キロカロリー 昼/豚肉グリルパン603キロカロリー 夕/豚肉生姜焼き定食(ごはん2杯)1200キロカロリー 夜/缶チューハイ350ミリリットル:2缶315キロカロリー お酒は毎日。ビールかチューハイを2杯程度 1日の摂取カロリー2989キロカロリー

朝/グリーンスムージー:コップ1杯80キロカロリー 昼/いちご:10個51キロカロリー 夕/豚玉お好み焼き589キロカロリー 週末だけ炭水化物をとるようにしてます 夜/野菜ジュース75キロカロリー 1日の摂取カロリー795キロカロリー

休日 朝/ポテトチップスコーラ429キロカロリー 昼/カップ焼きそば604キロカロリー 夕/チキンカレーグリーンカレーナン:2枚生ビール(中):2杯1342キロカロリー 休日は抑えたいのですがどうしてもお腹が減って… 夜/ポテトチップス缶ビール350ミリリットル:1缶473キロカロリー 1日の摂取カロリー2848キロカロリー


診断結果 下田佳子さんの場合 平均摂取カロリー/日556キロカロリー

  診断結果 藤原忠夫さんの場合 平均摂取カロリー/日2973キロカロリー

※上のグラフは推定エネルギー必要量(kcal)におけるたんぱく質、脂質、炭水化物の比率を示したもの。緑の正三角形は、理想的なバランスとされるたんぱく質15%、脂質25%、炭水化物60%の比率を満たした場合(それぞれの%を100とする)。赤い三角形は、2人の3日分の食事を平均した比率。

食事量が少なすぎて、完全な栄養不足です!

便秘や肌荒れ、貧血などの症状があるのでは。疲れやすく、口内炎ができやすくなっている可能性も。

太りたくない気持ちはわかりますが、平日、休日にかかわらず食事量が少なすぎて、摂取エネルギーも栄養素も大幅に不足しています。

特に、筋肉、骨、血液などの体をつくるために必要なたんぱく質の不足は見過ごせず、将来のためにも食生活の改善が急務です。

たんぱく質がとれる食品は、肉、魚、卵、乳製品など。これらを1食に1品は食べるように今すぐ心がけましょう。
  肉や油のとりすぎで、このままでは深刻な状態に!

肉や脂っこいものが中心の食事で、30代男性に必要なエネルギーを700キロカロリー近くオーバー。特に脂質のとりすぎが目立ち、メタボリックシンドローム予備軍の可能性が大です。

深刻な状態になる前に、体重を減らしてコレステロール値や血圧を改善しましょう。それには、低カロリーで脂質や塩分の排泄を促す効果などがある野菜の摂取量を増やすこと。

また、血液がドロドロにならないよう魚を食べる機会を増やしたり、太る原因になる夜食をやめることなどを考えてみてください。

まずはこの一品

まずはこの一品
スムージーだけ、果物だけの単品の食事をやめて、ヨーグルトやゆで卵をプラス。これらを加えて少しでもたんぱく質やビタミンB群を補給し、体の状態を整えましょう。おにぎりを買うなら鮭やたらこ、サラダはチキンや豆入りにするなど、まず、たんぱく質をとる意識を高めてください。
 
まずはこの一品
太りにくい体をつくるには、ビタミンやミネラル、食物繊維を含む野菜の助けが必要です。肉料理のつけ合わせの野菜とは別に、毎食1品、野菜のおかずを食べるようにしましょう。おすすめは、ほうれん草などの青菜料理。油を使わないおひたし、酢のものなどが安心です。

下田佳子さん
 
藤原忠夫さん


栄養士がズバリ診断
主食・主菜・副菜を意識し、バランスのよい食事を!

2人の例は特別なものではなく、事実、20代女性はBMIが18.5未満の「やせ」の人が他の年代より多く、男性は30代から肥満者が増えて、40~50代になると3人に1人がメタボリックシンドロームの状態といわれます。

また、1日にとったたんぱく質、脂質、炭水化物のエネルギー比率を示したグラフからは、男女とも脂質の摂取量が多く、炭水化物の摂取量が少ないことがわかり、この傾向も多くの人に見られます。

今だけでなく将来も健康に過ごすためには、やはり食事が大切。毎食、主食(ごはん、パン、麺など)、主菜(肉、魚、卵、豆腐料理など)、副菜(野菜、きのこ、海藻料理など)をとることを意識してみてください。この3品がそろえば、体に必要な栄養素をひととおり補給できる、バランスのよい食事になります。


牧野直子さん 牧野直子さん
管理栄養士。料理研究家。生活習慣病や肥満の予防・改善のための食生活指導や栄養指導、簡単で健康によい料理の提案などを行う。



取材・文/三浦良江
撮影/島 誠(下田さん、藤原さん)、大川晋児(牧野さん)


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