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MAFF TOPICS(1) あふラボ


MAFFとは農林水産省の英語表記「Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries」の略称です。
「MAFF TOPICS」では、農林水産省からの最新ニュースなどを中心に、暮らしに役立つさまざまな情報をお届けいたします。

さとうきびの搾りかす「バガス」を有効利用

さとうきび繊維のバガス。
さとうきび繊維のバガス。
蒸煮・爆砕処理されたバガス。
蒸煮・爆砕処理されたバガス。
高温・高圧下の水蒸気中で一定時間置いたあと、一気に大気圧まで戻して粉砕する「蒸煮・爆砕」装置。
高温・高圧下の水蒸気中で一定時間置いたあと、一気に大気圧まで戻して粉砕する「蒸煮・爆砕」装置。


新技術で抗酸化性に富む食物繊維素材に
「バガス」はさとうきびを搾ったあとの残りかすで、さとうきび全体の約25パーセントを占めています。日本では年間35万トンものバガスが発生しており、牛の飼料やボイラーの燃料として使われていましたが、さらなる活用が望まれていました。

バガスは食物繊維が豊富で、食品素材として価値の高い成分が含まれているにもかかわらず、繊維構造が強固で食感が悪く、食品としての利用がなされていませんでした。そこで、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所、国立研究開発法人森林総合研究所、琉球バイオリソース販売株式会社の共同研究により、バガスに蒸煮(じょうしゃ)・爆砕(ばくさい)処理、酵素・発酵処理を行うことで、オリゴ糖に富んだ食品素材として利用できる技術を開発しました。

バガスを200度の高圧水蒸気中で数分間加熱後、急激に大気圧に放出(蒸煮・爆砕処理)すると、細胞壁組織が破壊されます。さらに麹菌等による発酵(酵素・発酵処理)を行うことで、キシロオリゴ糖含有量が高く、抗酸化性に富む新規の食物繊維素材になります。

「キシロオリゴ糖はビフィズス菌の増殖効果があり、カルシウムの吸収を促進するなどの機能性を持っています。また、アスコルビン酸(ビタミンC)やトコフェロール(ビタミンE)は、抗酸化性が高いですが、蒸煮・爆砕バガスの抽出物もこれらに近い抗酸化性があります(下グラフ参照)」(東京農業大学応用生物科学部醸造科学科・柏木豊教授)

蒸煮・爆砕後に発酵させたバガスは商品化され、沖縄・那覇市内などのレストランでは、米と混ぜて炊き込んだ「さとうきびごはん」を提供。家庭向けには「さとうきびごはんの素」として通信販売も行っています。

蒸煮・爆砕バガスの抗酸化性 「バガス」に米を混ぜた
「さとうきびごはん」を商品化
蒸煮・爆砕バガスの抗酸化性 通販の「さとうきびごはんの素」と、レストランで提供する「さとうきびごはん」。ダイエットや生活習慣病予防に効果があると注目されている。 通販の「さとうきびごはんの素」と、レストランで提供する「さとうきびごはん」。ダイエットや生活習慣病予防に効果があると注目されている。
抗酸化物質によって過酸化物の残存率が低くなれば、それだけ抗酸化性は高い。蒸煮・爆砕バガスはアスコルビン酸、トコフェロールに近い低さで、抗酸化性があることが分かる。 通販の「さとうきびごはんの素」と、レストランで提供する「さとうきびごはん」。ダイエットや生活習慣病予防に効果があると注目されている。
写真提供/株式会社沖縄ウコン堂


あふラボトリビア
さとうきびからつくられるお酒

さとうきびからつくられたお酒として有名なのはラム酒です。さとうきびから砂糖を製造するときに発生する液体=廃糖蜜が主な原料。ほかには黒糖焼酎やブラジルのピンガなどがあります。



取材・文/細川潤子




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