特集1 砂糖(5)
調理に役立つ 砂糖の機能性
パンがふんわり焼けるのも、肉が柔らかくなるのも、砂糖に秘密あり!
甘み付けにとどまらない砂糖の調理効果をご紹介します。 |
水によく溶ける親水性がさまざまな調理効果のもと
砂糖には甘み付けのほかにも、料理をおいしくする隠れた機能がいろいろ。その多くに関わっているのが、砂糖の「親水性」(水に溶けやすい)という性質です。
砂糖は非常に水と結合しやすく、20度の水100ミリリットルに約200グラムの砂糖が溶けるといわれます。この性質により、他の食品から水を取って抱え込む脱水作用や、抱え込んだ水を離さない保水作用、食材の内側と外側の濃度を均一にしようとする浸透作用などが発揮され、料理の味や食感をよくしたり、劣化を防いだりします。ここで紹介する砂糖の機能も、「パンを色よく、ふっくらと」する働きと「温度による変化」以外は、すべて親水性によるものです。
また、水を加えて煮詰めると温度の上昇とともに状態が変化するのも、砂糖の機能性の一つです。徐々に粘りが出てシロップ状、飴状へと変化し、洋菓子の糖衣やキャラメルなど、菓子作りに利用されます。
酵母(イースト)の働きを活発にする砂糖の発酵促進効果は、パン作りに活かされます。焼き色を付ける着色性も砂糖の性質の一つで、パンはもちろん、ケーキやカステラなども、砂糖を加えることで食欲をそそる色と香りを付けられます。
そのほか、熱を加えると固まりやすいたんぱく質を固まりにくくして、プリンや卵焼きを柔らかく、なめらかに仕上げることにも砂糖が関わっています。苦みや酸味を和らげたり、魚の生臭さを抑えたりする効果も期待できます。
砂糖には甘み付けのほかにも、料理をおいしくする隠れた機能がいろいろ。その多くに関わっているのが、砂糖の「親水性」(水に溶けやすい)という性質です。
砂糖は非常に水と結合しやすく、20度の水100ミリリットルに約200グラムの砂糖が溶けるといわれます。この性質により、他の食品から水を取って抱え込む脱水作用や、抱え込んだ水を離さない保水作用、食材の内側と外側の濃度を均一にしようとする浸透作用などが発揮され、料理の味や食感をよくしたり、劣化を防いだりします。ここで紹介する砂糖の機能も、「パンを色よく、ふっくらと」する働きと「温度による変化」以外は、すべて親水性によるものです。
また、水を加えて煮詰めると温度の上昇とともに状態が変化するのも、砂糖の機能性の一つです。徐々に粘りが出てシロップ状、飴状へと変化し、洋菓子の糖衣やキャラメルなど、菓子作りに利用されます。
酵母(イースト)の働きを活発にする砂糖の発酵促進効果は、パン作りに活かされます。焼き色を付ける着色性も砂糖の性質の一つで、パンはもちろん、ケーキやカステラなども、砂糖を加えることで食欲をそそる色と香りを付けられます。
そのほか、熱を加えると固まりやすいたんぱく質を固まりにくくして、プリンや卵焼きを柔らかく、なめらかに仕上げることにも砂糖が関わっています。苦みや酸味を和らげたり、魚の生臭さを抑えたりする効果も期待できます。
1 肉を柔らかく 肉に砂糖をもみ込むと砂糖が肉の中の水分を引き付け、たんぱく質(コラーゲン)と水の結び付きがよくなって肉が柔らかくなる。 |
2 泡立ちをよく 卵白に砂糖を加えて泡立てると、卵白の水分を砂糖が抱え込んで泡が安定し、きめ細かく、消えにくいメレンゲができる。ホイップクリームも同様。 |
3 風味を引き出しやすく 果実酒は砂糖の浸透性によって果物の成分が引き出される。表皮が硬い梅などは、ゆっくり溶ける氷砂糖を使って、時間をかけて風味を引き出すとおいしくなる。 |
4 とろとろ、プルプルに 砂糖はペクチン、たんぱく質などのゲル組織間の水分と結び付き、ジャムにとろみを付けたり、寒天やゼリーの固まる力を強めたりする。 |
5 しっとりと、柔らかく 小麦粉を使った菓子やパン、餅菓子などは放っておくと硬くなる(=でんぷんの老化)が、砂糖の親水性により、柔らかさやしっとり感を保てる。 |
6 パンを色よく、ふっくらと 砂糖は酵母(イースト)の栄養源になり、パン生地の発酵を促す。また、砂糖と小麦粉のアミノ酸のアミノカルボニル反応により、焼き色や香りが付く。 |
7 油脂の酸化を防止 バターケーキやクッキーなどの油脂を多く使う菓子は、砂糖が油脂中の水分と結び付くことで酸化しにくくなり、味の劣化などを防げる。 |
8 防腐効果で保存性をよく 砂糖は食品中の水分を抱え込み、水を必要とするカビや細菌の繁殖を防止。そのため、ジャムなどの砂糖を多く使う食品は腐りにくい。 |
9 温度による変化
シロップ
砂糖が溶けて、無色透明のさらっとした液状に。アイスコーヒーに加えるときなどによい。 |
フォンダン
細かい泡が立ち、少し冷めるとわずかに糸を引く状態。菓子の糖衣に使われる。 |
キャラメル
直径6ミリメートルほどの粘りけのある泡が出る。メレンゲ用のシロップを作るなら117度に。 |
タフィー
粘りが強くなり、直径15ミリメートルほどの大きめの泡も出る。冷めるとガリガリした粗い結晶に。 |
ドロップ
粘りけのある細かい泡が出て、色付きが分かりやすくなる。冷めて固まるとガラス状に。 |
べっこう飴
黄色味が強くなり、泡は細かくて粘りけがある。冷めると硬い飴状に固まる。 |
カラメルソース
淡褐色に色付き、こうばしい香りが出てくる。カスタードプリンのソースなどに利用される。 |
カラメル
茶褐色になり、粘度も増して煙が出てくる。ソース、コーラなどの着色剤にも使われる。 |
監修 管理栄養士 大越郷子さん 料理研究家。病院勤務を経てフリーランスに。書籍や雑誌の料理制作、栄養指導を主に行う。製菓学校の非常勤講師も務める。 |
取材・文/三浦良江
撮影/島 誠
撮影/島 誠