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特集1 とり(1)

鶏肉は日本の食生活に欠かせない食材。肉類では最も消費量が多く、1人当たり年間12.6キログラムを消費しています。
昨今は地鶏もブームで、地域によってさまざまな地鶏が飼育されています。今回は鶏だけでなく、いろいろな食用鳥についてもご紹介します。

健康ブームで消費も拡大!? 食用鶏の歴史と今



カロリー控えめで良質なたんぱく質を含み、価格が手ごろな鶏肉は、食卓に上ることの多い食材。
鶏肉は、いつから食べられるようになり、今はどのように生産されているのでしょうか。
とり


長らく卵の副産物として食されてきた鶏肉
鶏(にわとり)が日本に渡来したのは弥生時代の初めごろ。『古事記』で「常世(とこよ)の長鳴き鳥」と記されたように、時を告げる聖鳥として大事にされていたようです。

古墳時代には、農耕に従事する人たちの間で、卵を取り、その後卵を産まなくなった鶏を食べる習慣が日常的に。飛鳥時代、肉食禁止令が発令されてからも、ひっそりと卵と採卵終了後の鶏を食べる習慣は続きました。

その後、時代を経て養鶏が盛んになり、江戸時代には全国に広がります。海外から入ってきた新しい鶏、シャモやコーチンが人気を博したのも江戸時代です。

明治以降、外国種の輸入と交配の研究が進みますが、戦前までの長い間、鶏肉は牛肉よりも高級な品でした。現在のような手ごろな価格で手に入るようになったのは戦後、肉用専用種「ブロイラー」の導入が始まってからのことです。

6~7割を国内で生産 高い需要のブロイラー
鶏肉の自給率を見ると、直近10年の間、おおよそ6~7割の間を推移しています。牛肉は4割、豚肉は5割程度なので、鶏肉は比較的高い水準で国内生産が実現できていることが分かります。

ただ、市場に出回る鶏肉は、そのほとんどがブロイラーと呼ばれる外国鶏種です。ブロイラーとは短期間で出荷できる肉用若鶏の総称で、成長が速く、飼料効率にも優れています。通常約50日で大きく成長し、歩留まりも良いため、非常に高い需要を誇っています。価格が手ごろで、やわらかい肉質が特徴です。

一方、流通量も生産量も少ない、希少な鶏肉が国産鶏種の「銘柄鶏」や「地鶏」です。純粋な国産鶏種は約2パーセントほど。食生活や嗜好(しこう)の多様化により、全国各地で、地方の在来種や肉の味わいに定評のある鶏を利用した品種改良が進められてきました。効率性を重視するブロイラーに対し、地鶏や銘柄鶏は、うまみや歯応えを重視し、飼料や飼育方法にも工夫を凝らして生産されています。


鶏肉の自給率と国産鶏種の割合
鶏肉の自給率と国産鶏種の割合
出典:農林水産省「食料需給表」
平成27年度(概算)        

出典:独立行政法人家畜改良センター兵庫牧場調べ


年々伸びる国内消費量 機能性にも注目が集まる
国内の年間1人当たりの鶏肉の消費量は、年々伸長しています(グラフ参照)。10年前の10.7キログラムから、昨年(平成27年度)には12.6キログラムまで増加しました。比較的安価な鶏肉は、経済状況に左右されにくい食材であり、健康志向や低価格志向の高まりが消費の増加に影響していると思われます。鶏肉は、飲食店にとっても欠かせない食材で、年々業務用の需要も伸びてきています。

また近年では、疲労回復等の効能がメディアでも取り上げられています。カロリーが控えめで良質なたんぱく源となり、ビタミン類も含む鶏肉は、ダイエット中の食事や健康的な食生活に欠かせない食材として認知が進んでいるといえるでしょう。


鶏肉・豚肉・牛肉の年間1人当たりの消費量(単位:キログラム)
鶏肉・豚肉・牛肉の年間1人当たりの消費量
出典:農林水産省「食料需給表」



取材・文/千葉貴子



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