特集2 鶏肉(2)
日本各地の郷土鶏料理
日本各地には独特の調理法で鶏の魅力を引き出す、その土地ならではの料理が存在します。
長い歴史を誇る伝統料理から、最近話題のご当地グルメまで、さまざまな郷土の味を集めました。 |
美唄(びばい)やきとり 〈北海道〉 鶏のもつを正肉やタマネギと串に刺し、炭火で焼く。石狩平野のほぼ中心に位置する美唄市で、約40年、愛され続けてきた伝統料理。味付けは塩、こしょうが一般的。 写真提供/美唄ファンポータルサイトPiPa |
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くしろザンギ 〈北海道〉 北海道では鶏の唐揚げをザンギといい、その発祥は釧路市といわれている。骨付き肉をカラッと揚げた「くしろザンギ」は、ご当地グルメとして有名。 写真提供/釧路市 |
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軍鶏(しゃも)すき焼き 〈東京都〉 すき焼きのルーツともいわれる江戸の味。老舗の「玉ひで」では、東京都と共同開発したブランド鶏"東京しゃも"を使用。江戸前風味の割り下との相性は抜群。 写真提供/鳥料理 玉ひで |
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治部(じぶ)煮 〈石川県〉 加賀藩の時代から受け継がれてきた金沢市を代表する料理。独特の"すだれ麩(ふ)"に野菜、小麦粉などをまぶした鶏や鴨肉を甘辛い汁で煮る。最後にわさびを添えて。 写真提供/金沢市 |
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甲府鳥もつ煮 〈山梨県〉 戦後間もないころ、そば屋の職人が考案した郷土料理。砂肝、ハツ、レバー、きんかんを砂糖としょうゆの甘辛く濃厚なたれで、強火で短時間のうちに照り煮に。 写真提供/甲府市 |
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鶏(けい)ちゃん焼き〈岐阜県〉 下呂市の名物メニュー。しょうゆやみそ、にんにくだれを絡めた鶏肉をキャベツなどの野菜と一緒に、鉄板やジンギスカン鍋でシンプルに焼きながら食べる。 写真提供/下呂市 |
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山賊(さんぞく)焼 〈長野県〉 骨付きももやむねの大きな一枚肉をにんにくしょうゆだれに漬け、かたくり粉をまぶして豪快に揚げる。戦前に塩尻市から始まり、やがて松本市や安曇野市などにも広まった。 写真提供/塩尻市 |
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手羽先唐揚げ 〈愛知県〉 名古屋市生まれの人気料理。衣なしの素揚げが特徴。まずは低温でじっくり、最後に高温でさっと2度揚げにする調理方法が主流。中はふっくら、外はカリカリに。 写真提供/名古屋観光コンベンションビューロー |
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飛鳥鍋 〈奈良県〉 鶏ガラのだしに牛乳を加えた、クリーミーで栄養価の高い鶏鍋。飛鳥時代に唐から渡来した僧侶が、寒さをしのぐために作り始めたという説も。 写真提供/奈良県 |
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ひねポン 〈兵庫県〉 卵を産まなくなった鶏"ひね鶏"の肉をあぶり、ポン酢で和える。かむほどにうまみが出る硬めの歯応えは、酒のさかなにぴったり。多くの居酒屋で定番となっている。 写真提供/姫路観光コンベンションビューロー |
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蒜山(ひるぜん)おこわ 〈岡山県〉 真庭市の蒜山地域では、祭りや祝い事に欠かせない料理の一つ。もち米、鶏肉の他に、油揚げ、しいたけ、ふき、栗などを使うのが蒜山おこわ。 写真提供/蒜山観光協会 |
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せんざんき 〈愛媛県〉 愛媛県の東部(東予〈とうよ〉地方)の唐揚げ。下味をよく染み込ませた鶏肉を揚げる。カリッと揚がったせんざんきをかみ締めると、うまみたっぷりの肉汁があふれ出す。 写真提供/今治市 |
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骨付鳥 〈香川県〉 半世紀以上の伝統をもつ丸亀市の名物。塩、こしょう、にんにくでスパイシーに焼き、手づかみで食べる。食べ応えのある親鶏と、柔らかい若鶏の2種類がある。 写真提供/丸亀市 |
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水炊き 〈福岡県〉 明治30年代に福岡市から全国に広まった。九州では、キャベツを使う"博多水炊き"がポピュラー。鶏のたんぱく質にキャベツのビタミンもとれるスタミナ食だ。 写真提供/福岡県観光連盟 |
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とり天 〈大分県〉 一口サイズに切った鶏肉を天ぷらにして、かぼすしょうゆや市販のポン酢、からしと合わせて食べる。大分県では、家庭でも外食メニューとしても親しまれている。 写真提供/ツーリズムおおいた |
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地鶏炭火焼 〈宮崎県〉 宮崎地鶏の味付けは、一般的に塩のみ。それを、強めの炭火で焼き上げたもの。炭の香りと、ジューシーで適度な歯応えのある食感がたまらない人気グルメ。 写真提供/みやざき観光コンベンション協会 |
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鶏飯(けいはん) 〈鹿児島県〉 鶏肉、しいたけ、錦糸玉子などをのせたごはんに鶏ガラスープをかける。暑い季節でも食べやすい、さっぱり味。奄美大島では古くから慶事や接待で供されていた。 写真提供/奄美市 |
取材・文/Office彩蔵