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農林水産省

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特集1 農業高校(2)

世界の教育機関で初めて国際的な第三者認証制度の大賞を受賞するなど、青森県の農林業の未来を担う若者たちは充実した高校生活を送っています。

青森の宝、りんごで拓く未来! 世界を舞台にした五農生の挑戦



青森県 五所川原農林高校
生物生産科/森林科学科
環境土木科/食品科学科/生活科学科
五所川原農林高校産のりんごでグローバルGAPの認証取得や中国での販売実習にチャレンジしたメンバー。
五所川原農林高校産のりんごでグローバルGAPの認証取得や中国での販売実習にチャレンジしたメンバー。

中国での販売実習。生徒たちは中国語と輸出実務の研修を経て、自ら書類を作成し現地に立った。
中国での販売実習。生徒たちは中国語と輸出実務の研修を経て、自ら書類を作成し現地に立った。
オランダで開かれたグローバルGAPアワードの授賞式には6人の生徒が出席した。
オランダで開かれたグローバルGAPアワードの授賞式には6人の生徒が出席した。

国際的な次世代農業経営者を育てる
日本有数の広大な敷地を有する青森県 五所川原農林高校。岩木山を望む津軽平野に広がるその校地は52‌haもあり、森や池が点在し、実習用の水田や畑、牧草地は広々としています。

1902年に設立された北津軽郡立農学校を前身とする同校は、2010年の学科再編で、生物生産科、森林科学科、環境土木科、食品科学科、生活科学科の5科になりました。

津軽地域における農業系の拠点校である同校では、約500人の生徒がそれぞれの将来に向かって学んでいます。例えば森林科学科では、県産業技術センター林業研究所が開発を進める無花粉スギの育成を行うなど、未来の産業の担い手たちは新しい技術への挑戦に前向きです。

菊水寮内の食堂。農業経営者育成高校に指定されているため、生物生産科、生活科学科の生徒には入寮義務がある。
菊水寮内の食堂。農業経営者育成高校に指定されているため、
生物生産科、生活科学科の生徒には入寮義務がある。

教育機関として世界初の「アワード」を受賞
これからの生産者は海外市場の開拓を視野に入れる必要がある。そう考えた山口章校長は、日本の農林業をけん引する人間に育ってほしい。また、若い世代に世界の扉を開いてほしいとの思いから、欧州小売業組合が策定した農産物の国際規格であるグローバルGAP(Good Agricultural Practices)へのチャレンジを教育の一環として位置づけました。

世界的な基準に照らして五農の果樹園運営が適切であることを第三者機関に認証してもらう。この試みに挑むメンバーを募集したところ、15名が名乗りを上げました。

認証の対象としたのは青森県が日本一の生産量を誇るりんご。具体的には、ふじを中心とする約900本の樹がある1.6ヘクタールの農園と約300平方メートルの貯蔵施設です。

チェック項目は、農産物の安全や環境への配慮、労働安全対策など234。生徒たちは試行錯誤しながら一つずつ対策を講じていきました。

同校を訪れた審査員の8時間にわたる審査をクリアし、2015年12月に認証書が交付されました。認証は県内で3件目、高校としては全国初でした。

「当初は基準書の専門用語に苦労していたようですが、1年後に行われた公開審査では、審査員からの質問にもスラスラと答えるほど成長していました」と山口校長は目を細めます。

しかも2016年には、認証者の中で顕著な成果を挙げた団体として「アワード(大賞)」を受賞しました。教育機関が単独で受賞したのは世界初の快挙でした。

さらに生徒たちはノウハウやマーケティングを学んだうえで一事業者として今年1月、中国四川省成都市の百貨店の店頭に立ち、自分たちで育てたりんごを販売しました。世界を舞台にした五農生のスケールの大きな挑戦が続いています。

森林科学科
高性能の大型林業機械操作実習。森林資源を有効に活用できる人材を育てる。
高性能の大型林業機械操作実習。森林資源を有効に活用できる人材を育てる。
生活科学科
津軽鉄道の車内販売実習。生活文化の向上に寄与できる人材を育てる。
津軽鉄道の車内販売実習。生活文化の向上に寄与できる人材を育てる。

環境土木科
地下灌漑工事実習。環境と調和した活力ある地域をつくる人材を育てる。
地下灌漑(かんがい)工事実習。環境と調和した活力ある地域をつくる人材を育てる。

生物生産科
市場視察。津軽名産の「つがりあんメロン」や五農米などの栽培も重要な勉学の一つ。
市場視察。津軽名産の「つがりあんメロン」や五農米などの栽培も重要な勉学の一つ。

食品科学科
マーマレードの製造実習。1年次から食品製造に取り組むなど実践を重視。
マーマレードの製造実習。1年次から食品製造に取り組むなど実践を重視。
 


取材・文/下境敏弘
撮影/島 誠


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