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農林水産省

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aff 2019年7月号
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大好きな釣りを仕事にするために(大分)

永倉和久さん(32歳)・大分県大分市

永倉知久さん(32歳)・大分県大分市
大分県漁業協同組合佐賀関支店、一本釣り漁師。疾風丸船長。大阪府八尾市で生まれ、兵庫県神戸市で育つ。2014年に佐賀関地区へ漁業研修生として移住。2015年に漁師として独立。

母のひと言をきっかけに漁業の道へ

大分県の佐賀関。この豊予海峡で、大分県漁業協同組合佐賀関支店の組合員の漁師が一本釣りしたマアジ、マサバだけが、ブランド魚「関あじ」「関さば」を名乗ることができます。

兵庫県出身の永倉和久さんも、こうした一本釣り漁師のひとり。しかし、漁師になる前は、釣り具メーカーに約7年間勤めていたそうです。

「魚釣りが趣味だった父の影響で、子どものころから釣りが好きでした。それもあって水産系の専門学校で学び、釣り具メーカーに就職しました」

佐賀関漁港。大分県と愛媛県との間にある豊予海峡は、「速吸の瀬戸」と呼ばれる急流で、好漁場として知られる。
佐賀関漁港。大分県と愛媛県との間にある豊予海峡は、「速吸の瀬戸」と呼ばれる急流で、好漁場として知られる。

平日は会社で仕事、休日には趣味の魚釣り、という生活をしばらく続けていましたが、釣り道具を売るより、魚を釣るほうがおもしろいことに気づき、それを仕事にするにはどうしたらよいのか考え始めます。そんな永倉さんの背中を押したのが、母からのひと言でした。

「母が地方へ移住した人を紹介するテレビ番組の録画を見せながら、『魚釣りが好きなら道具を売るより、釣る仕事をしてみたら? そのほうが合ってんちゃう?』と言ったんです」

金色味を帯びている「関あじ」
金色味を帯びている「関あじ」(左)、大きな「関さば」(右)は刺身料理がおすすめ。商標登録されており、タグシール付きで出荷される。
写真提供/大分県漁業協同組合佐賀関支店

その言葉をきっかけに、釣りを仕事にする方法を真剣に調べ始めた永倉さんは、大阪での漁業就業支援フェアに参加。そこで一本釣り漁業に出合います。

「佐賀関では一本釣り漁業という、釣り専業で独立できることが分かりました。そこで、大分県漁業協同組合佐賀関支店のIターン研修制度に応募したのです。複数の応募者の中から幸運にも自分を選んでいただき、2014年度の研修生として、佐賀関に移住しました」

研修期間中の永倉さん。船のメンテナンスをしているところ。写真提供/大分県漁業協同組合佐賀関支店
研修期間中の永倉さん。船のメンテナンスをしているところ。
写真提供/大分県漁業協同組合佐賀関支店

同年9月から1年間の研修がスタート。ベテラン漁師1名の下に付き、一本釣りのやり方などを学びます。しかし、漁船を操縦しながら一本釣りをすることは、想像以上に難しかったそうです。

「たった1年で独り立ちできるのかと、不安に感じたこともありましたが、私は楽観的な性格でして、『なんとかなるやろ』とも思っていました。ただ、独立すると、漁船購入代、燃油代、道具代などをすべて自分で支払わなければなりません。研修が終盤になると、こうした費用を工面できるかが心配になってきました。幸いこのころに、大分市が漁船購入の支援事業を開始したため、補助を受けることができました」

船の向きをスパンカーで調整。こうすると逆風でも船はまっすぐ安定して進む。
逆風でも船が安定して進むように、スパンカーで船の向きを調整する。

こうして一本釣り漁師として独立した永倉さんは、疾風丸船長として、関あじ、関さばはもちろん、タチウオ、ブリ、マダイ、イサキの漁で生計を立てています。

温泉めぐりを楽しみ、
止めていた趣味も再開

2016年には、大分県出身の奥さんと結婚。息子さんも生まれ、現在は家族3人で充実した生活を送っています。

「移住当初は方言が分からなくて、コミュニケーションをとるのが大変でしたが、やさしくて親しみやすい方が多く、近所の方からもかわいがってもらっています。例えば独身のころは、ビールや夕食のおかずを差し入れしてくださったり、ゴミ当番を免除してくださったり。近所付き合いがしんどいと思ったことはないですね。借りている一軒家の大家さんも気さくに声を掛けてくれて、一緒にお酒を飲みに行くほど仲良くさせてもらっています」

長男の武くんは昨年生まれたばかり。子どもと過ごす時間が何より大切という。
長男の武くんは昨年生まれたばかり。子どもと過ごす時間が何より大切という。

漁師生活が軌道にのってきたところで、趣味の釣りも再開しました。

「時間と心の余裕ができたので、趣味のバス釣りも楽しめています。新たに県内の温泉めぐりも趣味になりました。平日に休めることも多いので、観光客の少ない温泉に、妻と子どもを連れて行くこともできて満足してます」

これから移住を考えている人は、「挑戦してみたらと思う」と永倉さん。「私はあまり後先考えずに、ノリと勢いで引っ越しました。たった1回しかない人生。興味あること、おもしろそうなことに足を踏み入れたほうが、自分の人生が豊かになると思います」

私のピカイチ

兵庫にいるころから続けていたバス釣りを大分でも楽しんでます。

兵庫にいるころから
続けていたバス釣りを
大分でも楽しんでます。

どんな移住支援があるの?

一本釣り漁師の就業支援

国の漁業人材育成総合支援事業「長期研修支援事業」の一環として、大分県漁業協同組合佐賀関支店では「新規就業者支援」を行っており、毎年1名程度の研修生を受け入れています。

研修期間は1年で、研修生1名に対し指導者1名がつき、一本釣りの技術などを学びます。研修開始前に小型船舶免許取得、研修期間中に准組合員への申し込み、漁船の購入(市・県の支援あり)が必要で、大分市は漁船の取得を補助する「大分市漁業新規就業者育成支援事業」、大分県は「大分県青年就業給付金事業」を実施。研修開始から1年半は、大分市市営住宅に入居可能です。なお、研修後は独立して一本釣り漁師となるため、開業のための自己資金が必要となります。

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

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