世界有数の巨大都市である東京や大阪などでも産業としての農業が存在し、また都市住民の間に野菜などを作る動きが広がっています。
誰もがどこでもできる農業の魅力に迫ります。
都会で行われている先進的な農業
農業は地方で、あるいは本職の農家の人が行うもの、というイメージがあるかもしれません。しかし都市でも、あるいは田畑を持たない人でも、やり方次第で見事な成果をあげられるのが農業です。
首都東京でも住宅地の中の農地で本格的な農業が行われ、また近年は、ビルの屋上に造られた菜園や近郊の市民農園で農業にチャレンジする都市住民も増えています。昼はIT企業で働き、週末はファーマーといったライフスタイルを選ぶ人が多くなるなど、農業はおもしろい、という感覚が広まりつつあるようです。
さらに、ビジネスの世界でも、先進的な技術を導入して農業に積極的に取り組む企業が現れています。
「都会でも農業を」。
鉄道高架下の植物工場
地下鉄を運営する東京地下鉄(株)(東京メトロ)は、2014年12月に植物工場を開設。ここでレタス、ベビーリーフ、バジルなどを栽培して、「とうきょうサラダ」というブランド名で都内のホテルやレストランに販売しています。
江戸川区を通る東西線の西葛西駅から葛西駅の間の高架下に造られた水耕栽培の工場は、1日当たり400株の生産能力があります。
同社では農業未経験のプロジェクトメンバーが開発に当たり、当初こそ販路の開拓に苦労したそうです。しかし、この工場では、年間を通じて安定した品質の野菜を栽培できる上、衛生的な環境で育てられ、異物混入の心配もほとんどありません。そのため、ホテルなどに顧客が広がり、「新鮮で、えぐみがない」と好評を博しています。
銀座の文房具店で栽培される野菜
創業1904年、老舗の文房具専門店として知られる銀座・伊東屋。2015年に12階建ての建物(G.Itoya)をリニューアルする際、「働く人たちを体の中からサポートしたい」という発想からサラダをメインにするレストランを企画。天候に左右されず、同じ建物内のレストランに毎日供給できる植物工場を設けることにしました。
現在、11階に設置した見学できる工場でレタスやルッコラなど数種類の野菜を水耕栽培し、採れたての野菜を12階にあるレストラン「CAFE Stylo」の食材にしています。
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