みんなで農業のことを考えましょう!


「お米大使」に就任して
- 木場:
- 今日は、鹿野農林水産大臣と先日「お米大使」に就任された小林幸子さんといっしょに、私たちに身近な食と、食を支える農業について考えていきたいと思います。
まずは小林さんから、「お米大使」としての抱負をお願いします。
- 小林:
- 日本のお米は、安全で安心でおいしい。これをもっともっと世界中の人に知っていただけることを目標に、頑張りたいと思っております。
- 鹿野:
- 小林さんは、ご出身の新潟県で長い間、お米を作っておられるんですよ。
- 小林:
- 作ってるんです、はい。農業っていいですね。物を作る実感があります。みんなで農業のことを考えましょう。
- 鹿野:
- 新潟県の棚田。ご自分で「小林幸子田」という田んぼをお持ちで、そこで米を作っておられたんです。ですから私どもは、「この人に、お米大使をやってもらえればな」と。それで、快く引き受けてくださった。
- 小林:
- 本当にもう、うれしかったです。大変にもう、感激しております。
- 木場:
- そうなんですか。
小林さん、お米作りを始めたきっかけを伺ってもいいですか。
-
- 小林:
- 中越地震で新潟県の農家の方々が大きな被害を受けました。その支援活動ということで、農家の方々といっしょに田んぼを作り、お米を作る活動を始めたんです。もともと、両親が農家出身で。
- 木場:
- それは素晴らしい活動ですね。
- 小林:
- はい。親戚もほとんど農業を営んでいるんです。ですから子どもの頃から、お米がおいしいのは当たり前と思っていて。子どもの頃は、今みたいにスナック菓子とかありませんでしたから、お腹がすいたっていうと、母がご飯をきゅっと握って、塩結びにしてくれました。自家製のお味噌、ぴゅっとつけて。そういった環境でしたし、お米とともにずっと歩んできたように思います。ですから、芸能界の中でも、たぶん私、米作りは上手だと思います。
- 木場:
- ほめられますか? お上手になってきたと。
- 小林:
- はい、上手になった、ような。
- 木場:
- 田んぼの中に足を突っ込んでいるお写真を拝見しましたが。
- 小林:
- はい、尻餅つきながら。
- 木場:
- 収穫はうれしいですよねぇ。
- 小林:
- ええ、うれしいですねぇ。できたお米を芸能界、なかでも年上の方に差し上げたりとか。伊東四朗さんがお米が大好きでねぇ。
- 鹿野:
- あ、そう。
- 小林:
- ええ、もう、大好きで。毎年ね、「幸子米」といって、「今年もできました」ってお渡しするんですよ。そうすると伊東さんは、まず神棚に上げて、それから食べる。食べるときには「幸ちゃんの顔が浮かんでくる」と。やっぱり作った人の顔が浮かんでくると。だから、「ありがとう」っていう言葉が浮かんでくると。
- 鹿野:
- 伊東さんには「お米準大使」くらいになってもらわないと。
- 小林:
- そうですね。伊東さんも、お米がないと生きていけない。もうお米だけで、というくらいお米大好きなんですよ。
- 鹿野:
- ひとつ名案が浮かんだ。それは、「お米大使」の小林さんが、なんで長い間、すばらしい美声を維持できたか、美貌を保ち続けているか、こういうことを考えたときに、やはりお米を食べておられるからだと。
- 小林:
- はいっ、それはもうその通り!
- 鹿野:
- それが、美貌と声の維持につながっている。
- 小林:
- はい。
- 鹿野:
- そうでしょう? それを発信してもらいたい。
- 小林:
- そこまでいっていただけると、本当にうれしいですね。歌はもちろん心で歌います。お腹に力が入らないと演歌は歌えません。
- 鹿野:
- このすばらしい喉もお米だと思うんですよねぇ、僕は勝手にそう思ってるんですけどね。
- 小林:
- はい、その通りです。やはりお米パワーというか、そういうところで歌は発信をしていますから。私、喉のトラブル一度もないですね。健康です。47年歌を歌っておりますけれど、一度も病気をしたりとかないですし、お米パワーだと自認してます。「美容にいい」ということをもっともっとアピールしていただけたらな、と思いますね。
- 木場:
- 今、若い方が朝食をとらないことが多い。結局それは、いちばん血糖値が下がってる朝に食べないで昼を迎えるということは、身体にも悪いし、いくら勉強しても脳にブドウ糖がいかなくて、いいことがないんですよね。ですから朝ご飯というのはとても大事ですね。
- 鹿野:
- 今、外国で日本食がブームになってるでしょ。それはお米が身体に、健康にいいということが理由のひとつです。今、外国の日本食のレストランが2万4000ですよ。これは把握できている数字で、実際はもっとあるんじゃないかと思う。鮨なんかまさしくブームですよ、健康にいいと。日本人よりむしろ外国の人たちが、お米のよさというのをしっかりと認識してくれている。そこで、もう一度日本の人に、お米というのは身体にいいし、まさに元気の源だということを小林さんに発信してもらって。木場さん、お願いしますよ。
- 木場:
- わが家もお米ですね。朝はお米じゃないとだめですね。
- 小林:
- だめですね。ニッポンの朝食はやっぱりお米。
- 鹿野:
- お米を食べやすい。炊飯器で炊くだけでなしに、ちょっとしただけで、火を通すだけで食べられるとか、いろんな製品が出てますよね。
- 木場:
- 忙しいお母さんには助かりますよね、そういうのは。
- 鹿野:
- お米っていうのは長い間日本の歴史を作ってきてくれたんですよね。
- 木場:
- パンですとおかずが限られるんですね。卵とかハムとかカロリーの高い油脂的なものが多くなってしまいます。これがご飯ですと何でも合う。おかずのバリエーションが増えますよね。
- 小林:
- うちの調理人の方がそんな話をしてくださって、どうしても日本のお母さんが和食を作らなくなった傾向が多いと。和食を作るとやっぱりご飯なんですよね。和食をもっともっと作って、おかずにしてくれることによって、ご飯を食べる回数が多くなると。
- 鹿野:
- 間違いなく日本のお米は世界一ですからね。
- 小林:
- おいしいですよね。
お米を食べると食料自給率が上がる
- 木場:
- おいしいですね。それでは大臣、最初の質問に入ります。お米をたくさん食べると食料自給率が上がると聞きましたが、もっとお米を食べてもらうにはどうしたらいいんでしょう。
- 鹿野:
- まずは、お米に対して正しい知識を持ってもらうことが大切です。88回の手入れで、丹誠を込めて作られるものです。それが日本の長い間の歴史を作ってきた。稲作を中心として集落が形成されて、その集落が日本の安定した国土を作って来てくれたんです。それは、神様が与えてくれたすばらしいものなんですよね。そういうお米というものを、みんなでしっかりもう一度認識してもらう必要があるんじゃないかなと思います。
農林水産省としても、お米に対する捉え方をどうやって理解してもらうか、知恵を出していかなきゃなんないと思ってるんですよ。今まで何回か、お米の消費というものにお金をかけながらやってきたんですけど、うまくいってないんです。だけど近年は、品種が増えて農家の方々が競争しています。その結果、おいしいお米がどんどん市場に出ているんですね。ようやくこの頃お米というものに対して新たな評価を、少しずつしていただくことができてきたのかなと思います。市町村の方々に一生懸命やっていただいた、学校給食の取り組みなども影響していると思います。そして、朝食抜きの子供さんが多いというのは困りますねぇ。子どもはやっぱり、朝ご飯をしっかりとって学校に行ってもらいたい。
- 木場:
- ある本に中学生の朝食を食べない理由が載っていたのですが、「食事が用意されてない」というのが全体上位で驚きました。
- 小林:
- それはショックですねぇ。
- 木場:
- これは私たち母親も頑張らないといけませんね。
- 鹿野:
- お父さんも食べないとね。お父さんが食べるとお母さんも一生懸命作ろうかという気になりますし、子どもも食べるようになるはずですよ。
- 小林:
- いっしょに食べれば食べますよね。
- 木場:
- 孤食というのがまた多いんですよね。どうやっていっしょに食べればいいんでしょうね、楽しく会話しながら。
- 小林:
- 昔、うちの母はガス釜でご飯炊いて、炊きあがったらおひつに移し替えていました。
- 木場:
- わぁ、昔そうでしたね。
- 小林:
- 毎朝、真白な湯気の向こうに母親の笑顔が見えて。ご飯ができあがるとみんな集まって団らんが。今、電子レンジってこともあるんでしょうけど。
- 木場:
- そういうのは、お米だけの問題じゃない。食を通じた人と人とのつながりを、日本人は忘れかけているのかも。
- 鹿野:
- 絆ね。
- 木場:
- 正にそうでしょうね。
- 小林:
- 絆ですねぇ。
- 鹿野:
- 絆がやっぱり地域社会におけるところの核でしょう。
- 木場:
- その核がやっぱりいっしょにおいしいごはんを食べることなんでしょうね、小さい核としてはね。
- 鹿野:
- そうなんですね。
- 小林:
- 今、若い人の中で、ダイエットしてるからお米食べないというような傾向があります。それ、もう少しきちっとしたかたちで知らしめてあげないといけないんじゃないかな。お米食べると太る、みたいな誤解。
- 鹿野:
- 外国では逆なんですよ。
- 小林:
- そうなんですよ、違うんですよね。
- 鹿野:
- 外国ではもうお米は健康にいいと。
- 小林:
- 全然違うんですよね。
- 木場:
- 主食抜きダイエットですね。科学的根拠があるのかないのかわかりませんけど、そういう何か噂だけが広がっていくのは怖いことですよね。
- 小林:
- そうなんです、そうそう。女性はいちばんダイエットという言葉に敏感になってますので、そこをきちっと説明して。
- 木場:
- お米のすばらしさをもう少しアピールする必要ありますよね。栄養価を含め。
- 鹿野:
- そうなんですねぇ。
- 小林:
- だって昔なんですけど、カトリーヌ・ドヌーヴさんが太ったとき、どうやって痩せたかというとお米です。お鮨と和食、日本食で痩せたんですよ。これはもうずいぶん前のことですけど、間違いなく、私の記憶ではあるんですよ。だから、ほんとにもっともっときちんとみなさんに教えてあげて欲しいなと思います。
- 木場:
- 間違った情報が氾濫してますからね。
- 鹿野:
- お米は、どういう食べ物であるかということをもう一度多くの人にしっかりと認識してもらってね。だんだん、だんだんお米もおいしくなってきます。
- 木場:
- 先ほどの大臣のお話ではありませんが、品種が増えましたね。
- 鹿野:
- そういう意味ではお互いが競争しあって、よりおいしいお米をということですから、それを試食すればお米食べてみようかなということになるし。
- 小林:
- もしかしたら、おいしいお米を食べていないからイメージないのかもしれないです。おいしいんですよ! 本当は。いろんな味付けをしたものばっかり食べちゃってる。そういう部分があるのかもしれない、子どもたちに。
- 木場:
- ご飯だけを噛み締めてみると甘みがある、ということに気づかないくらいかき込んで食べている。おかずはとても濃い味ですしね。
- 鹿野:
- お米だけでおいしいっていう人いますよね。おかずいらない。
-
- 木場:
- では、次の質問に入ります。今、日本の食料自給率は40%です。これを上げるために大臣はどういう政策をお持ちですか。
- 鹿野:
- 日本の食料自給率は20年間で9%下がったんです。
- 小林:
- 50%くらいあったんですね。
- 鹿野:
- それが今40%です。40%なんて国は先進国でありません。イギリスもかつて40%くらいまで下がりましたけど、今は60%。それはいろいろと国内政策を導入したということなんですよね。私たちは何としても自給率を上げるという、そのひとつのポイントは、もちろん、お米というものも大事だが、麦と大豆なんですよ。麦と大豆を自分の国で作るという体制を整えていけば、自給率は上がります。やっぱり麦と大豆です。
- 木場:
- 大豆は豆腐や納豆とかにも使いますが、麦や大豆を、かなり日本は輸入に頼っています。たまに入ってこなくなると高騰するときがありますから安定的ではないですよね。
- 鹿野:
- 気候変動が原因で、あちこちで大変な旱魃が起き、獲れなくなっている。台風で影響受けて不作だというようなこともあります。昨今は、実際に穀物の価格が上がってるんですね。そうしますと、今までのように札束を掲げながらハイハイといくらでも買い上げるというようなことが、そういつまでも続くのかと考えるときには、しっかりと国内の生産体制の基盤を今のうちに作って、次の世代に残していかなくてはならない。それは私たちの責任だと思うのです。自給率が40%の状況を次世代に引き継ぐなんていうことになれば、先人は何をやっていたのだということになりますよ。
去年の11月にAPEC21か国・地域の食料安全保障担当大臣の会議がありまして、そこでひとつの合意がなされたんです。21か国・地域がいっしょに初めて合意したのが、食料を増産しようということなんです。今、世界の人口が68億人です。それが2050年になると91億人になるという予測ですよね。そうしますと今の1.7倍の食料が必要になる。そうすると日本が外国に頼るなんていうことが果たしていいのだろうか、ということになりますわな。
- 木場:
- 深刻ですよねぇ。
- 鹿野:
- わが国で生産していくという体制を今作っていかなくてはならない。
- 木場:
- 自給率40%というのはやはり心配になりますでしょう。
- 小林:
- 怖いですねぇ。
日本のお米の輸出の可能性
- 木場:
- 話が少しそれますが日本はエネルギー自給率はわずか4%しかありません。ほかの国と比べたら断トツに低いわけですよ。こうして大臣が「わかってほしい」と広報しても伝わりにくいのは、食料がなくて困ったという経験がないし、電気も東京電力は年間で2分しか止まらないんですね。そうすると、少ないとか枯渇してるとか自給率が低いという実感が沸かない。広報する難しさはそこにありますよね。困ってると感じていない人に、理解を促す広報はなかなか難しいものです。
- 鹿野:
- かつてフランスで、ド・ゴールという有名な大統領がいった言葉が「食料自給率が100%でなければ真の独立国じゃない」。
- 木場:
- ああ、なるほど。
- 鹿野:
- 食料をよその国に頼ってるなんていう国は、独立国家とはいえないと。こういうことをいわれて、いい刺激を受けたのがイギリスじゃないかという人もいるんです。
- 木場:
- フランスは確かに111%もありますよね。
- 小林:
- ああ、すごい。
- 鹿野:
- フランスはだから100%以上ですから。
- 木場:
- 食料自給率もエネルギー自給率もどちらもこんなに低い国は、主要国ではないという、こういう危機感を考えると……。
- 小林:
- 危機感がないんですよね。ないのがいけないんです。でも、あんまりいい過ぎるのもいろんな問題あるんでしょうけど。
- 鹿野:
- 「お米大使」は、いい過ぎでもいいからどんどんいっていただいたほうがいい。われわれがいうといい過ぎとなる。またか、またあいつがなんかいってると。
- 小林:
- 私、舞台でもいいますよ、本当に。
- 鹿野:
- 小林さんや木場さんがいってもらえば発信力がありますから、聞く耳を持つんです。国民の人たちは。
- 木場:
- 生活者として感じています、心配です、と発信しましょう。
- 鹿野:
- そうですよ。女性のそういう発信力はすごい。
- 木場:
- お金があって買えるうちはいいですけど、お金がなくなるとか、あっても、売ってもらえなくなったときに困ってしまう。
- 小林:
- そうそう、そっちですよ。お金があったって売ってくれなくなる場合にはどうにもならないですもん。当たり前だと思ってちゃいけませんもんね、私たち。
- 鹿野:
- だから、お金さえあればなんとでもなるんだという考え方、そういう認識はもう通用しないんだと認識しないといけない。
- 木場:
- 小林さん、「お米大使」の役割は重大ですね。
- 小林:
- いや、もっともっと勉強しなくちゃいけないです。今もとってもいい勉強させてもらってます。
- 鹿野:
- でも、いいでしょ? この小林さんをお米大使に任命させていただいたってことは、農林水産省にとっても大変プラスです。
- 小林:
- ありがとうございます。
- 木場:
- グッドタイミングですね。第一号の「お米大使」。何か、失礼ながらお米の歌とか今後は……。
- 小林:
- もともと一曲、「白い湯気のうた」というのがあるんです。
- 木場:
- 子どもにも口ずさめるような歌もぜひ。
- 小林:
- そうですね。
- 鹿野:
- 今日の議題には出てませんけど、日本のお米は世界一だと。そのお米を外国に輸出しようということも考えてるんですよ。まず、これからは中国の市場が大きいですから、そういうことで過半、国営企業の中国農業発展集団総公司の劉会長さんが来られたんですよ。そのときに「お米大使」も同席してもらったんですよ。
- 木場:
- あ、もう「お米大使」として。
- 小林:
- はい。初仕事をさせていただきました。
- 鹿野:
- 日本のお米のよさ、おいしさを話してもらって、劉会長もご機嫌だったんですよ。もうすでに農水行政に奉仕してもらってるんです。
- 小林:
- とんでもないです。微力ですけども、私のできることでしたら、どんどんいってください。何でもやらせていただきます。
- 鹿野:
- お役目を果たしてもらってます。
- 木場:
- 中国でも、食べた方には日本のお米のおいしさはすぐわかる。
- 小林:
- そうですねぇ。
- 木場:
- 中国の方々にしてみたら、日本のお米はとんでもない金額ですよね。
- 鹿野:
- 今の日本の国の価格で、売れるというところがすごい。それでなければ輸出できません。
- 木場:
- 価値があるからお金を払うわけですからね。
- 小林:
- 先日も、中国の方々は「おいしい」っておっしゃってました。
- 木場:
- これから輸出?
- 鹿野:
- 何としても実現したいと思ってます。今は、全体で1,900トンくらいかな、1年間で。
- 木場:
- 日本の輸出量?
- 鹿野:
- ええ。それで中国への輸出は96トンなんですよ。それくらいしかないんです。それを20万トンくらい輸出したいというのが私の考えなんです。
- 小林:
- すごいですね。
- 木場:
- これは壮大な戦略ですねぇ。
- 鹿野:
- 実現すればいいな、ということです。
- 木場:
- 小林さん、これはしょっちゅう中国公演をしないと(笑)。
- 鹿野:
- もし実現すると、「お米とは素晴らしい」ということを世界に発信できます。そうなれば日中両国の友好関係にもつながります。
- 木場:
- ある意味、主食がいっしょというのは大きな心のつながり、絆を感じますよね。
- 鹿野:
- そうなんですよ、何といっても隣国ですからね。
- 小林:
- 食べ方が少し違うんですよね?
- 鹿野:
- 向こうも短粒種ですから、日本のお米のようなものを食べてます。
- 木場:
- お米の国、箸の国。文化の共通点が多いですからね。それはすばらしい戦略ですね。
- 鹿野:
- 楽しみでしょ。後押ししてください。
- 小林:
- はい。おかげさまで中国の方も小林幸子をとてもよく知ってくださってる。ありがたいことです。ですから、中国のみなさんに日本のお米をアピールしたいと思います。
農業者戸別所得補償制度について

わが国の伝統的な食生活に欠かせない作物である、米は消費の減少、麦、大豆などの作物は外国からの安い農産物の輸入などの影響で、作っても作っても赤字になります。農村は今、担い手不足、高齢化等、苦しい状況にある中で、赤字のままでは、誰も大切な食料を作らなくなってしまいます。
もともと農業は、環境や美しい農村風景を守るなど多面的機能があります。赤字によって農業が衰退すると、それまでも失われてしまうおそれがあります。そのため、作ったら赤字になる作物を対象に、その赤字を補てんし、農家の方が安心して生産にいそしんでもらう環境を作る必要があるのです。
農業者戸別所得補償制度は、食料品の価格を上げずに、農家の赤字を解消して生産を維持し、さらに多面的機能の維持も図ることができる施策。農家だけでなく、消費者の皆さん方のための政策ともいえます。


- 木場:
- さぁ、ではいよいよ3番目の、最後の質問です。農業者戸別所得補償制度。大臣、これを主婦の私たちにもわかりやすくご説明していただきたい。
- 鹿野:
- 難しいですか。
- 木場:
- では、わかりやーすくお願いしたい(笑)。
- 小林:
- いいですねー、わかりやーすく(笑)。
- 鹿野:
- わかりました。作物を作っても赤字ですと農業は続けられませんよね。そのため、いろんな施策を講じていたんですよ。これまでとってきたのは価格維持制度というもので、ある程度の価格を維持して農家の経営が成り立つようにするという政策です。消費者の人からしますと、高い価格で農作物を買っていただくという制度ですね。
- 木場:
- 私たちが、高く買わなくてはいけない。
- 鹿野:
- うん。そこで、そういう政策よりは、農家の人に直接所得が増えるようにしたらいいんじゃないかと。消費者負担でなしに、農家の人に直接所得を補償したほうがいいと。これが世界の流れなんです。アメリカもEUもほとんど所得政策に切り替えているんです。価格を高く維持してという政策ではなしに、農家の人に直接支払いをして所得補償するという流れなんです。日本の国もそういう方向に転換しましょうということで、政権交代になってこの価格維持制政策から所得政策に切り替えた。これが農業者戸別所得補償制度なんです。
- 木場:
- 消費者の方にも農家の方にも喜ばれるということですね。
- 鹿野:
- そうです。制度が導入されて、昨年初めて支払いがなされた。実際に直接の支払いがなされると、農家の人も安心なんですね。農家の人たちにとっては直接家計に入ってくるわけですから、次の生産意欲にも結びつくわけです。再生産につながる。またやってみようかということになるわけですね。この制度を維持していけば、農家の人たちに意欲を持つ人が増えてくるのではないかと思っています。農業者戸別所得補償制度では、作付面積に応じて金額が決まり、それで払われるわけです。米では、1反あたり1万5000円。規模を拡大していけば、その分だけ増えるわけですね。個人で増やすこともいいですし、集落全体で増やそうという考えにもつながればうれしいですね。そうすると補償額が増えるわけですから、機械を導入するにしても、効率よくやることができる。経費節約にもなって、そのうえ所得は増える。集落全体で考えた場合、ひとりひとりの配分も増えるわけです。だから、より規模を大きくするとか、集落でやろうということになっていけば、農家の人の収入が安定したものになっていく。そこが大きな意味を持つんです。
- 小林:
- 大臣のお話をお聞きしますと、何だかとってもすばらしい政策だと思ってきました。
- 鹿野:
- だから、来年はより多くの人が加入してくるんじゃないでしょうか。
- 小林:
- そして後継者も。
- 鹿野:
- はい。若い人たちも「やってみよう」ということになるんです。それから、農家の人たちも直接自分のところに支払いがなされると、購買力が増えるわけです。購買力がそれだけ増せば消費に回りますよ。消費に回ればまたいろんなかたちで生産につながり、生産が増えれば働く場所が増える。いい循環になるんですよ。今、日本の国はどんどん所得が下がっています。それで安い物志向というような状況で、なかなか物が売れない。需要が喚起されないという状況が、今日のデフレ状況からなかなか脱却できないということの理由です。 農家の人は、以前は米の収穫が終われば、どれちょっと温泉でも行くかとか、町へ行ってデパートで買い物でもするか、というのが毎年の恒例になっていたんです。しかし、だんだん所得が低くなれば、温泉に行くのもとてもそんな余裕ない、買い物も行けないなというような感じで、それが消費の全体の減退になるわけでしょ、お金使わないわけですから。
農業のこれから。そして、後継者
- 小林:
- 小林家の本家も農業をやっていますけど、頭を痛めているのは、やっぱり後継者の問題。
- 木場:
- 15年間で農業所得半減、農家の平均年齢が今や66歳、全国で担い手がいない地域が半数。こういう産業はなかなかない。平均が66歳ということは、もっと高齢の方ががんばっているということ。「65歳未満の働き手がいる農家」を担い手農家(主業農家)としているんですが、かなり厳しいことですよね。この規定でいくと64歳は担い手になるんですよ。
- 小林:
- あ、そうなんですか!? ああ、そうですかぁ(ため息)。
- 鹿野:
- それは農業に対する魅力が薄れているということ。魅力というものの基本は所得ですよ。
- 小林:
- そうですねぇ、所得ですね。
- 鹿野:
- 所得が増えれば、自分でやっていけるということにつながります。さらに、仲間といっしょにやればさらに良くなるんだということになれば、若い人たちが関与して、いっちょうやってみようという気になってくれますよ。
- 小林:
- 若い人たちは興味があって農業をやりたいんだけれども、やはり所得が鍵です。そこですよね、結局。
- 鹿野:
- だから所得の安定ということが、農業者戸別所得補償制度の基本的な考え方です。そして、今度は規模を増やしていってもらうと。自分はもう少し経営規模を増やしてやろうじゃないかという人には、今回予算づけしたんです。国民生活のことを考えれば、少しでも安価な価格ということで農作物を提供してもらうことが大事。そうなると農家に生産性の向上を目指してもらうことが、どうしても必要となります。そこで、規模を少しずつ大きくしていってもらって、いろいろ知恵を出してもらって取り組んでいただきたい。そのためにはインセンティブを提供しないとなかなか取り組んでもらえません。それで、規模加算の予算を、概算要求の段階では入れなかったんですけど、概算決定のときには、予算でそれを取り込んだんです。
- 木場:
- 規模拡大加算ですね。
- 小林:
- なるほど。大臣がすごくやさしくお話しくださって助かりました。もうこれからもこういうかたちで教えてください。よろしくお願いします。
-
- 鹿野:
- そして、またそれを発信してください。
- 小林:
- もちろん、発信します。それは任せてください。
- 木場:
- 私たちがいただいているお米を作っているみなさんの平均年齢が66歳であり、収入がどんどん減っているという希望や光が見えない中、このまま農業やっていただくというのは、私たちにとっても幸せではないし、それからこの状況で自給率上げろとオーダーをするのは酷なことです。ですから、今の政策がうまく回っていって、農業が魅力ある産業になっていってほしいなと感じました。
- 鹿野:
- ありがとうございます。国民の皆さんに、農産物を作るのが農業だと。そうするとそれは農業者だけの問題だと、自分たちとは直接関係ないんじゃないか、というような捉え方があるんだとするならば、そうじゃないんです。農業というのは食を作ります。食というのは国民生活にとっては絶対必要なことです。それを作っているのは農業。農業が食を作り、食が人を作り、人が国を作るんです。国民生活の根幹が農業だということで、国民みんなで農業のあり方に関心を持ってもらうことが大切です。そういう意味で、ぜひ農林水産行政、堅苦しいんですけど、ぜひ農林水産省にもご関心を持っていただけるようによろしくお願いします。
みんなで農業のことを考えましょう!【全体版】(PDF:4,203KB)
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