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農林水産省

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農林水産省メールマガジン平成31年1月1日新春号

◇農林水産大臣年頭所感

明けましておめでとうございます。
平成三十一年の新春を迎え、皆様の御健勝をお祈りいたしますとともに、我が国農林水産業の一層の発展に向けて所感の一端を申し述べ、年頭の御挨拶とさせていただきます。
 
昨年は、大阪北部地震、平成三十年七月豪雨、台風第二十一号、北海道胆振東部地震、台風第二十四号など、多くの災害が発生し、農林水産業も大きな被害を受けました。被災された農林漁業者の方々が一日も早く経営再建できるよう、全力で取り組むとともに、災害に強くしなやかな国の実現に向け、治山、ため池の改修など、防災、減災、国土強靱化のための緊急対策を今後三年間で集中的に実施してまいります。

農林水産業は国の基であり、国民に食料を安定的に供給するとともに、地域の経済を支え、活力ある地域社会を維持するために大きな役割を果たしております。我が国の誇るべき農林水産業・農山漁村を次世代に継承することは、今を生きる我々の責務です。
一方、我が国の農林水産業は、人口減少に伴うマーケットの縮小や、農林漁業者の減少・高齢化の進行など、厳しい状況に直面しています。
このような中で農林水産業を将来にわたって維持し、更に発展させるためには、世界に評価される和食や美しい農山漁村の風景など、農林水産業の有する潜在力を最大限引き出し、若者が夢や希望を託すことができる魅力ある成長産業にしていかなければなりません。
このため、安倍内閣においては、農林水産業全般にわたる改革を推進しています。昨年十一月には、農地中間管理機構法施行後五年見直し、森林・林業政策改革の更なる推進、先端技術の現場実装等に関する検討結果を反映させるため、「農林水産業・地域の活力創造プラン」を改訂しました。これに即して、次期通常国会に関連法案を提出するなど、改革の取組を確実に前進させてまいります。

以下、本年における農林水産行政の主な課題と取組の方針について申し述べます。

【食料・農業・農村政策】

農業を持続的に発展させるためには、何よりも次世代の担い手を育成・確保していく必要があります。就農の検討・準備段階から経営を確立するまでの総合的な支援や、営農しながら経営ノウハウを学ぶ農業経営塾の活用等により、若者や女性をはじめ多様な人材の育成・確保を進めます。

担い手への農地集積・集約化の切り札として創設した農地集積バンクについては、農地集積・集約化のスピードを更に加速していくため、その本来の機能を発揮できるよう、地域の特性に応じて、市町村、農業委員会、JA、土地改良区等のコーディネーター役を担う組織と農地集積バンクとが一体となって推進する体制を構築してまいります。

農業の競争力強化や農村地域の国土強靭化を実現するためには、生産基盤を強化する必要があります。農地の大区画化・汎用化、農業水利施設の長寿命化やため池等の豪雨・耐震化対策を推進します。

農業者の努力で解決できない構造的な問題を解決するため、引き続き、生産資材業界や流通・加工業界の再編・参入を促進するとともに、各種法制度の点検を推進します。

行政による生産数量目標の配分を廃止した米政策については、米の需給及び価格の安定を図っていくため、需要に応じた生産・販売を促していく必要があります。引き続き、水田フル活用に向けた支援、きめ細かな情報提供等を行います。

五年間の農協改革集中推進期間の期限は本年五月までとなっており、残り半年を切りました。農林水産省としても、農業者の所得向上に全力投球できる農協を実現するため、JAグループが自己改革の取組を着実に進め、具体的な成果を上げるよう、継続的にフォローアップし、改革に協力してまいります。

ロボット、AI、IoT、ドローン等の先端技術は、農業の生産性を飛躍的に高めるための起爆剤となります。これまでも、研究機関や民間企業等において、新技術の研究開発や実証が行われてきましたが、こうした成果の現場への実装を強力に推進するため、「農業新技術の現場実装推進プログラム」(仮称)を本年夏までに策定してまいります。

人口減少が進む中、我が国の農林水産業は、国内の一億人だけではなく、世界の七十五億人を見据えた輸出産業への転換が必要です。本年の輸出額一兆円目標の達成、そして、更なる輸出の飛躍に向け、海外の規制やニーズに対応した産地づくりや輸出業者とのマッチングへの支援、輸出先国による規制の撤廃・緩和に向けた働き掛け等を行ってまいります。

農山漁村は、都市に先んじて人口減少・高齢化が進行しており、その活性化は待ったなしの課題です。中山間地域をはじめ農山漁村に住む皆さんの元気が出るよう、地域で受け継がれてきた豊かな資源を活用した六次産業化の展開、農泊を中心とした都市と農山漁村の交流の促進、鳥獣被害対策や安全で良質なジビエの利活用など、地域の特色を活かした多様な取組を総合的に推進いたします。

食の安全と消費者の信頼を確保するため、引き続き、科学的根拠に基づく食品の安全性確保と、正確な情報伝達による消費者の信頼確保に取り組みます。昨年、岐阜県で発生した豚コレラについては、野生動物の農場への侵入防止等衛生管理の徹底を図ります。今後も、動植物の防疫措置等に万全を期してまいります。

TPP11協定や日EU・EPAについては、「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づき、これまでの実績の検証を踏まえた所要の見直しを行いながら、体質強化対策及び経営安定対策を実施してまいります。
日米物品貿易協定については、日米共同声明において、「農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限である」との日本側の立場が明記され、首脳間で確認されました。これを大前提として、我が国の農林水産業の再生産が将来にわたって確保されるよう、最大限の努力をしていく考えです。

【林業・水産業政策】

林業と水産業についても、山や海の潜在力を十分に引き出し、地域の活力向上につなげるための抜本的な改革を実行に移します。

林業については、戦後造成された人工林が本格的な利用期を迎える中、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を図るためには、国産材の安定供給体制の構築と木材需要の拡大を促進することが必要です。
このため、新たな森林管理システムを本年四月から稼働させるとともに、川上・川中・川下の事業者の連携による木材の生産流通構造改革を推進してまいります。また、新たな森林管理システムの円滑な稼働を後押しするため、国有林野の一定区域で、公益的機能を確保しつつ、意欲と能力のある林業経営者が長期・安定的に立木の伐採を行うことができる仕組みや、意欲と能力のある林業経営者と連携し、木材需要を拡大させる川下事業者に対する資金供給の円滑化を図る仕組みを創設してまいります。

水産業については、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を両立させ、漁業者の所得向上と年齢バランスのとれた漁業就業構造を確立するため、水産政策改革を推進いたします。
その一環として、国際的にみて遜色のない新たな資源管理システムの構築、若者に魅力のある生産性の高い漁業の実現のための漁業許可制度の見直し、養殖・沿岸漁業の発展に資する海面利用制度の見直し等を内容とする漁業法等の改正法案が昨年の臨時国会で成立いたしました。
さらに、水産政策改革を後押しするため、平成三十一年度予算案及び平成三十年度第二次補正予算案において、農林水産省全体で三千二百億円の水産関係予算を確保いたしました。
改正法の円滑な施行に向けて、引き続き、漁業者をはじめとする関係者に対して、丁寧な説明を行うとともに、消費者をはじめ広く国民に我が国の水産業が果たしている重要な役割への理解を深めていただけるよう努めてまいります。

また、本年七月から、資源の適切な管理の下、我が国領海と排他的経済水域内で三十年ぶりに商業捕鯨を再開します。鯨に限らず、科学的根拠に基づく水産資源の持続的利用を大方針として推進してまいります。

【東日本大震災からの復興】

大臣就任後の初めての訪問先は福島県でした。原発事故により避難を強いられた中でも、共同で先進的な経営に取り組む畜産農家の方々に話を伺い、復興に向けて確実に前進していると実感しました。東日本大震災、熊本地震をはじめとした地震や、重なる豪雨・台風災害で被災されても、諦めることなく、前向きに取り組む農林漁業者の方々を後押しするため、地域ごとの多様な課題に対応したきめ細かな支援を行います。被災者の方々の気持ちに寄り添い、単なる復旧にとどまらない、将来を見据えた復興・創生を実現できるよう全力で取り組んでまいります。

以上、年頭に当たり、農林水産行政に関する基本的な考え方を申し上げました。
豊かな食生活とそれを支える農山漁村を次世代に引き継ぐため、攻めの農林水産業を展開し、「強い農林水産業」と「美しく活力ある農山漁村」を実現する。そのことを通じて、食料自給率を向上させ、食料安全保障の確立を図る。この使命感を持ち、農林水産業が大きく飛躍する一年にしたいと思います。
農林水産行政に対する皆様の御支援と御協力を賜りますよう、本年もよろしくお願い申し上げます。


平成三十一年一月

農林水産大臣 𠮷川 貴盛

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