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プレスリリース

平成20年11月12日

農林水産省

第2回農林水産省改革チーム「有識者との意見交換会」について

平成20年11月5日(水曜日)に、第2回農林水産省改革チーム「有識者との意見交換会」を開催し、神門善久氏(明治学院大学教授)及び中村靖彦氏(東京農業大学客員教授)をお招きし、意見交換を行いました。

1. 意見交換を始めるにあたって、まず、石破農林水産大臣より、農林水産省は今変えないと取り返しがつかないことになる。そのために政治家、職員が何をするべきなのか忌憚のない意見を伺いたい、との話がありました。

 

2. 次に、神門氏より以下のような指摘がありました。

  • この会合の開催について農林水産省の事務対応は緊張感を欠いている。開催の日時・場所はかなり前から決まっていたにも関わらず、昨夜になってようやく農林水産省のサイトに掲載され、しかも傍聴希望者は今日の10時までに申し込めという。正式な案内状は私の手元にはいまだに届いていない。今日、私が早めにここに到着したが、別室で改革チーム長を待つように職員から指示されたが、約束の時間になっても誰も来ない。このような不愉快な気持ちで会合に臨むことになり、残念である。
  • 私は2006年に『日本の食と農』を著しサントリー学芸賞と日経BP・BizTech図書賞を受け、その後も新聞や雑誌で斬新な農政論を展開し続けている。石破大臣も私の著作を何度も読み直したという。ところが、農林水産省職員から選抜された改革チームのメンバーのほとんどは、私の著作を読んでいないことを、この会場で確認した。改革チームの意識に疑問を持たざるをえない。
  • 石破大臣は、食料自給率の数字そのものではなく自給力を重視すると一貫して発言している。ところが農林水産省のセミナーなどでは、あいかわらず食料自給率引き上げばかりが強調されている。石破大臣の発言を農林水産省の職員が軽視しているかのごとき印象をもたざるをえない。
  • これらは、農林水産省の職員が農業に対して関心を失っている証左である。定年まで身分が保証されて働けそうだからという理由で農林水産省に勤めているだけというのが、大多数の職員のホンネではないか。そのホンネを否定するのではなく、職員の大多数は農業には関心がないということを前提にして、農林水産省のシステムを改革するべきである。
  • 農林水産省の改革の具体的方向は、徹底した情報公開である。農林水産省は、2003年にミニマム・アクセス米についての情報開示請求を拒否している。農用地区域の変更や農地転用などの記録も、外部が入手しようとするとたいへんな手間がかかる。これらの情報を積極的に開示していれば、輸入米の不正流通や農地の違反転用も、早い段階で浮き彫りになっていたはずである。
  • 現下の農業政策の三大暗闇は、農地、ミニマム・アクセス米、豚肉差額関税である。この三つを本気で追及すれば大騒動になるかもしれないが、先延ばしせずに全面的に実態を明らかにするべきである。

 

3. 続いて、中村氏より以下の指摘がありました。

  • 汚染米は2001年に発生したBSEを思い出させる。あの時も農林水産省の対応のまずさが問題をこじらせた。そもそも、米の関税化を拒否するために用途が限られているMA米の輸入を決定した。MA米は最初から消費者視点などがないコメだった。用途が限られているMA米を何とか売らなければならないということで起きた問題であり、これまでの経緯を踏まえるとその深層がよく分かる。
  • 汚染米の問題の根源は農政事務所にある。食糧事務所を衣替えし、食品表示の監視等の新たな業務も担うようになったものの、本質的にはまだ性格の変化を十分に認識していない職員がいる。最前線の現場にいるはずなのに意識が低い。研修の徹底、組織の改編によりうまく地方農政局の中で整理・統合するような措置が必要である。
  • 農林水産省の改革については、まず米中心の行政からの脱却が必要である。コメは政治財なのだ。農家数が多いほど多くの票を獲得できることにより、零細、小規模の農家が温存されてしまった。また、食料自給率の数値目標としての性格も再検討が必要である。食料自給率を数値目標とするよりはむしろ農地、担い手、農産物の消費量など項目ごとの目標を設定するべき。その結果として率はついてくる、という考え方の方が望ましい。加えて、耕作放棄地の解消、関連団体の積極的な整理も必要である。
  • 農林水産省の職員全員が問題に取り組んでいくという情熱・気概がない。職員が国会業務や審議会の資料作成で夜遅くまで仕事をしていることは理解しているが、それをどのように農業政策に活かすのかという考えがない。

 

4.  また、農林水産省改革チームメンバーより、神門、中村両氏に対し以下のような質問・意見がありました。

  • 農林水産省は目的を持たない、共有しない組織と言われているが、どうすれば国民目線に立った組織として蘇生できるのか。
  • 農業政策を議論する場が少なくなっており、審議会は農業政策を議論する場として重要な機会である。一方で、内輪の議論という批判もある。どうすれば、内輪の議論とならず、外部からの視点を踏まえて検討できる場になるか。
  • 外部、特に消費者との意見交換は、職員がわかりやすい言葉で説明する工夫をするようになること、また、消費者の考えを直接理解できるという点で重要であるが、今の農林水産省の取組は不十分である。職員の意識をもっと外部に向けるためにはどうすればよいか。
  • 中村氏から、昔の農林水産省は気概があったと指摘があったが、いつ頃を境に農林水産省から気概が無くなったかと考えるか。
  • 民間企業であれば営業所は重要な部門であるが、それに対応する農政事務所はそのような姿になっていない。農政事務所のあるべき姿をどのように考えるか。
  • 現在、農林水産省では米の流通に係る新たな規制や、米のトレーサビリティ制度の検討を進めている一方、単に新しい規制をかけるだけ、官の仕事を増やすだけという批判もある。これについてどのように考えるか。

 

5.  これらの質問・意見について、神門氏より以下のような指摘がありました。

  • これまで、農林水産省は、法改訂などで改革の体面を繕うことに熱心で、農業生産や農産物流通の実態はうやむやにしたままだった。例えば、農地利用について法令が遵守されず違法・脱法行為が蔓延しているが、その事実を認めようとせず、法令の書き換えばかりを繰り返している。農林水産省を改革するというならば、真っ先に、違法・脱法行為や不適切な行為の蔓延という農業生産や農産物流通の実態を精査してその結果を徹底的に情報公開するべきである。実態調査には時間がかかるかもしれないが、議論の始点になるのだから万全を期して欲しい。例えば、現下、閣議決定に基づき耕作放棄地調査が行われているが、調査といっても市町村の農業委員会に任せきりで、その農業委員会は農地基本台帳と現況の整合性もチェックせず、単なる農地パトロールでお茶を濁している場合が圧倒的で、真剣みが感じられない。
  • 農林水産省は言動不一致が甚だしい。もしも食料自給率や自給力の引き上げというのであれば、なぜ仮登記やダミー農業生産法人による転用目的での農地の買い漁りを黙認するのか。こんな矛盾を放置するかぎり、農林水産省の職員が表現だけをわかりやすいものに改めても意味がない。
  • 最近の農林水産省の姿は「立ち去り行政」である。スローガンだけ言って、あとは現場で違法・脱法行為や不適切な行為があっても見なかったことにして責任放棄状態である。現場で何が起きているかを、徹底的に情報公開するべきである。農林水産省が違法・脱法行為や不適切な行為に対して有効な対策を出さないのであれば、外部のシンクタンクにでも任せた方がよい。
  • 地方農政局や農政事務所の再編をいうのであれば、農業委員会やJAといった農林行政の最前線のあり方をあわせて議論すべき。この改革チームに、農業委員会やJAに精通している人はどれだけいるのか。
  • 米のトレーサビリティーは、農林水産省の予算と人員を確保したいという行政目線の発想が目に付く。本来は民間に委ねるべきものを行政が手を出すとうまくいかない。ミニマム・アクセス米も豚肉の差額関税制度も実態が不透明なままなのに、トレーサビリティーといっても説得力がない。
     

6. また、中村氏から以下のような指摘がありました。

  • 情報公開の徹底により、世の中の環境が職員に影響を与えるようになる。ただ、現在は消費者もメディアも食や農業について関心が薄い。こうした情勢が職員の士気に影響を与えているのは残念なこと。
  • 農林水産省の気概が失われたのは、昭和63年の牛肉、オレンジの輸入自由化の時だと思う。私はこれは大騒動になると思っていたが、行政と政治が事前に妥協していたため、実際はさほど騒ぎにはならなかった。個人的な印象だが、この辺りから調整型の農政が定着し始めてきたのではないか。
  • 農林水産省のあるべき姿というのは難しいが、消費者の視線がより厳しくなる中で、職員一人一人が意識を変えて真摯に消費者と向き合っていくことが必要である。私は食品安全委員会の委員をやっていた。その際、消費者や生産者が嫌がることもざっくばらんに指摘をしてきた。このような姿勢は批判もあったが、消費者や生産者からは総じて不評ではなかった。
  • 農政事務所については、そもそも自発的に設置された組織ではなく、食管制度を廃止し、併せて米の検査が民営化された際に、検査を担っていた職員を処遇するために設置されたもの。だから、多様化して動きの早い現代の食の世界に取り組む緊張感が薄い。地方の第一線として機能するには不十分である。

 

7. また、石破大臣から以下の発言がありました。

  • 私の役割は、例え誰が大臣になろうとも農林水産省の施策の方針が変わらないように方向性を付けることと意識している。
  • 行政は納税者によって支えられているサービス業であり、親切・丁寧・正直でなければならない。しかし、誰も農林水産省についてこのように思っていない。サービス業である以上、職員の特権意識などとんでもないこと。
  • これを是正することがトップの仕事であり、そのためにうるさく言っていくつもりである。一方で、施策を進めるためには世論の支持を得ることが重要であるが、これが非常に難しい。もちろん情報公開は徹底して進めるつもりであるが、世論の喚起という点で他の手法があればご伝授いただきたい。

 

8. これに対して、神門氏から以下の指摘がありました。

  • 10年、20年の期間で考えると、アジア・太平洋地域は共通経済圏の構築に向かうのは必然である。その際、共通農業政策の立案が懸案になるであろう。しかしながら、いまの学界にも官界にも、共通農業政策を語ることができる人材が非常に少ない。
  • これからの日本農業は日本人の利害だけで語るべきではない。アジア・太平洋地域の食糧問題・環境問題・貧困問題を視野に入れながら、日本農業のあるべき姿を考えなくてはならない。広い観点、広い心を持って日本農業を考えることで、結果的に国内世論にも日本農業の重要性や可能性をアピールできるのではないか。
  • これまで農林水産省はもっぱらJAや全国農業会議所の意見を農業者の意見と捉えてきた。しかし、少数ではあるが自立した農業者の意見は、JAや全国農業会議所とは大きく異なる。そういう農業者の声こそ農業政策の立案に反映させるべきである。

 

9. また、中村氏から以下のような指摘がありました。

  • 今は飽食の時代であり、金さえだせばいつでもどこでも食べ物が手に入るため、メディアも消費者も総じて食や農業に対する関心が低い。一部にいる関心の高い者とうまく連携し、世論を喚起することが重要である。

 

10. 最後に、中村氏から石破大臣に対して、最近の流れである政治主導に関してどのように考えるかという質問があり、石破大臣から以下のような回答がありました。

  • 政策を実現するためには、その手段となる法律・予算、そしてそれを担保する財源をパッケージにして考える必要がある。少なくとも、このパッケージについて自らの考えを持っていなければ大臣になる資格はない。
  • 小選挙区制が導入された理由は、二大政党制を実現し、両党が責任あるパッケージを有権者に提示し、選んでもらうということだろうが、両党が国民に受けるための政策を競い合っていったら国は滅びてしまう。
  • その意味では民主党の農業政策は間違っていると考えているが、一方で、これだけ農業の生産額が減り、農業者の高齢化が進み、耕作放棄地も増えているという農業を取り巻く現状を見ると、これまでの農政もどこかで舵を切り間違えたんだろうということになる。
  • その間違いを正すために、大臣とそれを支えるスタッフがパッケージを打ち出すこと、そして総理大臣もそれができる者を大臣に選ぶこと、これが政治主導であると私は考える。

お問い合わせ先

大臣官房政策課
担当者:山口、佐藤
代表:03-3502-8111(内線3087)
ダイヤルイン:03-3502-8448
FAX:03-3508-4080

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