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プレスリリース

平成23年3月31日

農林水産省

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の被害と対応~被災地域等における営農準備のための技術指導について~

東北地方太平洋沖地震の被災地域等においては、現在、農地・農業水利施設の被害状況の調査が継続中ですが、春作業の準備が本格化する時期を迎えます。農林水産省は、当面の農作業に関して、農家に対する技術指導を行う際の参考となる事項をとりまとめ、行政、普及指導センター、JA、土地改良区等の関係機関に対して連携して適切な対応がなされるよう依頼しました。

東北地方太平洋沖地震の被災地域等においては、春作業が本格化する時期を迎える一方で、現在、農地・農業水利施設の被害状況の調査が継続中であることから、水利機能への影響、復旧工事や応急措置による作付の可否を確認しつつ、水稲の播種作業等の営農を開始することが重要です。

また、農業生産資材については、東北・太平洋沿岸に多く立地する肥料工場の被災等の影響があり、業界に対して代替品の供給、広域調整などの供給体制の確保を要請していますが、供給量の不足や供給の遅れといった問題が生じた場合の営農指導を円滑に進めていくことが重要です。

このため、農林水産省は、当面の農作業に関して、農家に対する技術指導を行う際の参考となる事項をとりまとめ、行政、普及指導センター、JA、土地改良区等の関係機関が連携し、適切な対応がなされるよう依頼をしました。

なお、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けた、周辺地域での本年産の水稲等の農作物の作付については、関係県と連携して土壌モニタリング調査を実施し、水稲などの作付が行われる前に一定の方針を示すこととしており、指導に当たっては、この点に留意が必要です。  

1. 共通事項

1農地・農業水利施設の被害への対応

行政、普及指導センター、土地改良区、JA等の関係機関が連携し、以下のことについて周知徹底、指導を行って下さい。

(1)被害状況の早期把握と農家への周知徹底

水稲の播種作業など営農が本格化することから、農地・農業水利施設の被害状況、ほ場レベルでの水利機能への影響を早期に確認するとともに、当該情報の農家への周知徹底を図って下さい。

(2)被害のあった地域における復旧工事、営農指導

農地・農業水利施設に破損、塩害等の被害がある場合には、復旧工事やポンプアップ等の応急措置による機能回復を図るとともに、復旧や用水確保に期間を要する場合には、作付の晩限に留意しつつ、農作業スケジュールの見直しを指導して下さい。

(3)生産者自身によるほ場確認と補修作業

被災地域のほ場においては、ほ場内の見回りを行い、ほ場や作業道に亀裂、土砂崩れ、噴砂等による損傷がないか確認を行うとともに、ほ場等の損傷について応急的な補修が可能な場合は、安全確保に留意し、作業を行うよう指導して下さい。

(4)農作業安全の確保

農作業事故を未然に防止するため、あらかじめほ場や作業道等のほ場周りを点検し、農業機械の走行に支障がないかを確認して農作業を行うよう指導して下さい。

2農業資材の不足への対応

(1)地域における農業資材の確保状況の把握

JAや農業資材店等に対し、予定していた資材の確保に支障が生じていないか速やかに確認するよう指導して下さい。

(2)農業資材の不足、遅延のあった地域における対応方策の指導

資材調達の不足や遅延が発生している場合には、関係業者、関係団体等と連携をとりつつ、代替品の活用や農作業スケジュールの見直し、追肥重点型の施肥への転換など営農技術面での対応方策を定め、今後の営農に支障が生じないよう、速やかに農業者等に周知・指導して下さい。

3営農指導体制の強化

被災地域において、農作業スケジュール、施肥設計や肥培管理の見直し等の課題に円滑に対応できるよう、普及指導センター、JA、試験研究機関等の連携により営農指導体制の強化を図って下さい。

2. 作物別事項

1水稲

(1)農作業スケジュールの見直し

(ア)農地・農業用水利施設の復旧工事や応急措置に期間を要する場合や肥料等の農業資材の納入遅れが見込まれる場合には、地域ごとの作付晩限を精査の上で、遅れの程度に応じた播種・育苗スケジュールを提示するよう指導して下さい。

(イ)作付晩限の設定に当たっては、地域ごとに、品種特性・気象条件等に応じた収穫期の晩限から逆算し、播種・移植等各作業の晩限を設定して下さい。設定に当たっては、以下の点に留意して下さい。

a.東北地方等冷涼な地域においては、遅延型冷害の回避に十分に配慮して下さい。
b.作業集中による移植の遅れを回避する観点から、あらかじめ農家の作付規模、保有する田植機の能力等から移植作業に必要な日数を推計し、作付晩限に余裕をもたせて下さい。

(ウ)既に種子の浸漬を開始している地域において、農地復旧や用水確保に時間を要し、移植等のスケジュールを延期する場合は、浸漬を中断することとし、以下の点に留意して下さい。

a.種子を浸漬して間もない場合は、早めに引き上げ、温度が上昇しない場所で陰干しを行って下さい。
b.催芽近くまで浸漬を行っている場合は、籾が乾燥しない程度に水を切り、5℃前後の冷暗所で保存して下さい。

(2)軽微な被害のある水田への対応

(ア)塩害

海水の冠水があった水田のうち、瓦礫や重油による被害が無いなど災害復旧事業によらずに営農が可能なほ場においては、残っている海水を排水するとともに、農業用水(真水)を入れ、代かきにより用水と作土を混合した後、田面水を排水するとともに暗渠の水甲を開けて塩分を取り除いて下さい。この作業を、地域の土壌特性等を踏まえ水稲の生育に影響がない土壌塩分濃度まで低下させるよう、繰り返し行って下さい。また、除塩後は、土壌を乾燥させ、土壌改良資材等により土づくりを行ってください。

(イ)液状化による噴砂

田面に噴砂が見られる場合には、取り除くか、できるだけ田面全体にちらばして平らにならしてください。土壌が硬く締まっている場合には、深耕を心がけて下さい。

(ウ)微細な亀裂による漏水

田面や畦畔に大きな損傷が無い場合でも微細な亀裂により漏水が生じる可能性があるので、入水、代かき時に減水深を確認し、減水深が大きい場合は、代かき時間や回数の増加、土壌改良資材の施用等により、漏水を最小限にとどめて下さい。

(3)生産資材が不足する場合の技術指導

一部の生産資材が調達困難な場合等においては、以下の点に留意し、農家への営農指導を行って下さい。

(ア)育苗培土が不足する場合の対応

a.育苗培土の代用として水田の土、山土等を活用する場合は、ムレ苗、立枯病を防ぐため、pH調整剤によりpH4.5~5.5に調整して下さい。また、代用する土壌の保水力に合わせて適度なかん水を行って下さい。
b.山土を活用する場合は、表層を除去して、雑草種子の混入防止に努めて下さい。
c.紋枯病や稲こうじ病等病害発生歴がある水田の土など、病原菌が含まれると予想される土壌の利用は避けて下さい。

(イ)肥料が不足する場合の対応

a.肥料の不足により、基肥を十分施肥できない場合は、有機質等の投入によりできる肥料の代替に努めて下さい。

b.基肥不足により茎数が少なくなるおそれがあることから、種子の確保数量に余裕がある場合は、株間を狭めて移植を行い、茎数を補って下さい。

c.分げつの促進のために分げつ期までは浅水管理として下さい。また、強度の中干しは控えて下さい。

d.移植後、最高分げつ期までに肥料が確保できた場合は、葉色診断に基づき追肥を行い、茎数の確保に努めて下さい。

(ウ)種子が不足する場合の対応

種子の調達量が不足する場合は、県内の地域内、地域間及び県間の融通を指導するとともに、主食用の籾の種子転用も念頭に置いて対処して下さい。

(エ)育苗施設の応急的補修が間に合わず苗が不足する場合の対応

損壊した育苗ハウス、共同育苗施設の応急的補修作業に見通しが立たない場合は、稼動可能な近隣の育苗施設から融通するなど、必要な苗の確保に努めて下さい。

2園芸作物

(1)園芸作物全般

(ア)軽微な塩害のあるほ場への対応

海水の冠水があったほ場のうち、瓦礫や流出した重油による被害が無いなど、災害復旧事業によらず営農が可能なほ場においては、残っている海水を排水するとともに、農業用水(真水)を入れ、土壌中の塩分を溶かして排水することにより、除塩を行って下さい。なお、すでに海水が引いているほ場においては、一旦表面を乾燥させることにより表面に塩分が集まるので、その後に水を入れると効果的です。また、塩害土壌は、塩分の問題に加え通気性が悪くなっていることが多いので、石灰や土壌改良資材の施用に努めて下さい。

(イ)施設の復旧

ガラス温室やパイプハウス等の園芸用施設、果樹棚等が損傷した場合や、かん水施設や暖房施設の配管の断裂等がある場合は、早期に修理して下さい。補修にかかる資材の調達が困難な場合は、当面の栽培管理への影響を軽減できるよう、補強やテーピング等の応急措置を行って下さい。

(ウ)加温施設の燃油が不足する場合の対応

加温施設栽培においては、燃油の調達が困難な場合、低温障害に留意し、最低限度の加温を行う等燃油の節約に努めて下さい。また必要に応じて、被覆資材を追加展帳するなど、保温性の向上を図って下さい。

(エ)肥料が不足する場合の対応

肥料の調達が困難な場合は、栽培品目・品種や栽培時期などを踏まえるとともに、局所施肥に切り替える等、可能な範囲で肥料の節約に努めて下さい。

(2)野菜

a.損壊した園芸用施設の補修や生産資材の不足、種苗確保が困難等の理由により、定植等の見通しが立たない場合は、作期を遅らせるなど作付計画の変更について検討を行って下さい。その際、すでに確保している種苗については、低温障害に留意しつつ温度管理を低めに行う、通風を良好に保つ等、徒長の防止や種いもの発芽抑制を図るよう努めて下さい。

b.作付計画を変更する際は、立地条件、品種特性、需給動向等を十分検討して下さい。また、新たに播種、育苗を行う際には、健苗を育成するため、優良床土・資材の確保、適切な施肥、かん水、病害虫防除等に努めて下さい。

(3)果樹

地震による地割れ等により樹の倒伏や断根が見られた場合には、土寄せや支柱等で固定するとともに、被害程度に応じた着果数の制限や乾燥時のかん水、追肥等により樹勢回復に努めて下さい。

(4)花き

a.損壊した園芸用施設の補修や生産資材、種苗等の入手確保が困難等の理由により、定植等の見通しが立たない場合は、作付計画の変更について検討を行ってください。その際、品目ごとの需要時期等にも留意し、早生種や晩生種などの適切な品種の選択により作付体系の見直しを行って下さい。

b.電照を行っている栽培においては、作動状況の点検を行うとともに、計画停電の時間帯を事前に確認し、開花調節のために電照時間帯と重なる場合には、品目により可能な限り電照時間帯の変更を行って下さい。

3大豆、そば、飼料作物等

ほ場に埋設されている本暗渠が被害を受け、ほ場の排水状況が悪化していることも想定されるため、播種に先立ち、営農排水対策を例年以上に徹底して行うようにして下さい。

また、飼料作物については、被災後の農地の排水状況を踏まえ、耐湿性を考慮して作付けする草種を選定してください。

お問い合わせ先

生産局農業生産支援課
担当者:堺田、安岡(本件全般)
代表:03-3502-8111(内線4792)
ダイヤルイン:03-3502-5959
FAX:03-6744-2523

農村振興局整備部防災課災害対策室
担当者:磯部、赤倉(農地・農業水利施設の被害状況調査、復旧対策)
代表:03-3502-8111(内線5663)
ダイヤルイン:03-6744-2211
FAX:03-3592-0304

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