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農林水産省

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プレスリリース

「国産麦類中のかび毒の実態調査」の結果について

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平成29年6月7日
農林水産省

農林水産省は、かびが産生する毒素(かび毒)による農産物汚染の防止及び低減対策に取り組んでいます。

我が国で平成14年~平成27年に生産された小麦及び大麦に含まれる、デオキシニバレノール(DON)、ニバレノール(NIV)等のかび毒の実態調査結果から、国産の小麦及び大麦中のDON及びNIVの濃度は、生産年により、麦類赤かび病の発生状況に応じて異なることが確認できました。

また、本調査結果を用いて、小麦及び大麦に由来する食品からのDON又はNIVの経口摂取量を推定したところ、全年齢集団については、DON、NIVのいずれも、食品安全委員会が設定した耐容一日摂取量等より低い値でしたが、未就学児については、DON、NIVのいずれも、体重当たりの推定摂取量が全年齢集団と比較して高いことから、高濃度でDON、NIVを含む小麦又は大麦を大量に摂取した場合には、耐容一日摂取量に近い値になることがわかりました。

なお、小麦及び大麦の生産段階で、赤かび病を防除する等のDON及びNIV汚染の防止及び低減対策が適切に実施されれば、通常の食生活において、食品中のDON又はNIVの摂取によって健康に悪影響が出る可能性は低いと考えられます。

1.調査の背景

日本の気候は温暖で湿潤であるため、麦類赤かび病が発生しやすく、結果として麦類の品質や収量が低下する可能性があります。赤かび病の原因菌であるフザリウム属のかびは、フザリウム毒素といわれるかび毒(デオキシニバレノール(DON)やニバレノール(NIV)等)を作ります。赤かび病の防除技術が現在ほど進んでいなかった昭和30年代には、赤かび病の被害を受けた米麦を通常の量を食べたことによる集団食中毒が国内で複数報告されています。これらの中毒の原因は、DONやNIVであったと考察されています。

農林水産省は、国産麦類の赤かび病の発生を防止し、DON及びNIVの濃度を低減するため、「麦類のDON・NIV汚染低減のための指針」及び「指針活用のための技術情報」を平成20年12月に策定・公表し、都道府県と協力して、「指針」の生産者への普及に努めています。また、国産の小麦及び大麦のDON、NIV等の含有実態を把握し、指針の効果を検証するために、「食品の安全性に関する有害化学物質のサーベイランス・モニタリング中期計画」等に基づいて、国産の小麦及び大麦に含まれるフザリウム毒素を調査してきました。

この調査は、小麦及び大麦における赤かび病の発生やかび毒の生成が生産年ごとの気象状況等に大きく影響を受けることが知られていることから、継続的に行う必要がありますが、今般、平成14年から平成27年までに実施した調査結果を集計、解析しました。

2.調査結果の概要

・平成14年から平成27年までに調査した国産の小麦及び大麦(いずれも乾燥調製後の穀粒。以下同じ。)に含まれるフザリウム毒素の中で、DON及びNIVの含有濃度はその他の毒素よりも高い値でした。また、大麦中のDON及びNIVの濃度は、小麦中より高い傾向にありました。なお、小麦中のDONの暫定基準値(1.1 mg/kg)を超えたのは、総計1998点の小麦試料のうち平成14年の6点のみで、平成15年以降ではありませんでした。

・国産の小麦及び大麦中のDON及びNIVの濃度は、生産年により、赤かび病の発生状況に応じて異なっていました。すなわち、赤かび病発生面積が大きかった年には、発生面積が小さかった年と比較して、より高濃度にDON又はNIVを含む試料が多くなっていました(下図参照)。なお、小麦及び大麦の収穫後には、未熟な穀粒や病害を受けた穀粒が選別・除去されますが、赤かび病発生面積が大きかった年には、外見上は健全な穀粒においてもDON及びNIV濃度が高い傾向にありました。このことは、赤かび病の予防対策の実施が、DON、NIV濃度の抑制に重要であることを示しています。

図:麦類赤かび病の発生面積の大小別の小麦及び大麦中のDON、NIV濃度の相対度数分布

・ほとんどの産地で、DON及びNIV汚染の防止・抑制効果が高いとされている農薬の散布による赤かび病防除や、穀粒の粒厚選別等の「指針」で推奨している低減対策が実践されていました。

・本調査結果を用いて、日本人における小麦及び大麦に由来する食品からのDON又はNIVの経口摂取量を推定したところ、DON、NIVのいずれも、全年齢集団では食品安全委員会が設定したDON、NIVの耐容一日摂取量(DON:1 μg/kg体重、NIV:0.4 μg/kg体重)やFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)が設定したDONの急性参照量(8 μg/kg体重)より低い値でした。

・未就学児では、DON、NIVのいずれも、体重当たりの推定摂取量が全年齢集団と比較して2倍程度高いことから、高い濃度でDON、NIVを含む小麦又は大麦を大量に摂取した場合には、推定摂取量が耐容一日摂取量に近い値となることがわかりました。

表:小麦及び大麦由来の食品からのDON、NIVの推定経口摂取量(平均値)

1) 未就学児を含む全年齢からなる集団。
2) 1歳~6歳の子供からなる集団。

・子供のDON、NIV摂取量をより低く抑えるために、小麦及び大麦の生産段階で、「指針」に基づくDON及びNIV汚染の防止・低減対策を適切にとる必要があります。なお、小麦及び大麦の生産段階で赤かび病を防除する等のDON及びNIV汚染の防止及び低減対策が適切に実施されれば、通常の食生活において、小麦及び大麦由来の食品からのDON又はNIVの摂取により、日本人の健康に悪影響が出る可能性は低いと考えられます。

3.今後の対応

・国産の小麦及び大麦のDON及びNIVによる汚染は、赤かび病発生の変動と同様に生産年により著しく異なるため、生産段階における赤かび病発生の防止・抑制並びにDON及びNIVによる汚染の防止・低減対策の普及に継続して努めます。

・本調査の解析結果、試験研究成果等の科学的知見に基づいて、「指針」及び「指針活用のための技術情報」を改訂します。

・国産の小麦及び大麦中のDON、NIV等のフザリウム毒素の含有実態調査を継続するとともに、必要に応じて汚染要因の解明のための研究等を推進します。

4.参考

食品のかび毒に関する情報
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/

<添付資料>

国産麦類中のかび毒(フザリウム毒素)の実態調査結果(PDF : 2,855KB)

別添1: 平成14年~平成27年の国産麦類中のフザリウム毒素実態調査結果一覧(PDF : 77KB)

別添2: 平成24年~平成27年の国産麦類中のフザリウム毒素含有実態調査の方法(PDF : 325KB)

別添3: 麦類加工品から玄麦への換算係数(PDF : 132KB)

別添4: 略語及び用語解説(PDF : 357KB)

お問合せ先

消費・安全局農産安全管理課

担当者:漆山、尾松
代表:03-3502-8111(内線4507)
ダイヤルイン:03-3592-0306
FAX番号:03-3580-8592

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