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平成22年9月2日
農林水産省
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農林水産省は、食品の安全性を向上させるために、意図しないにも関わらず調味料の製造工程で生成されるクロロプロパノール類の濃度を、製造方法の改善によってできる限り低くする対策を進めています。 平成21年度に実態調査を実施した結果、クロロプロパノール類の一種である3-MCPDの平均濃度が平成18年度と比較して約5分の1となり、対策の有効性を確認しました。 |
農林水産省は、平成16年度~平成18年度に食品中のクロロプロパノール類の含有実態調査を実施し、「アミノ酸液」と「混合醸造方式又は混合方式のしょうゆ」にクロロプロパノール類の一種である3-MCPDが高濃度に含まれる場合があること、一方で我が国のしょうゆ生産量の85%を占める「本醸造方式のしょうゆ」には3-MCPDが含まれないことを確認しました。
この調査の過程で、アミノ酸液に含まれる3-MCPD濃度がその製造方法によって著しく異なり、「アルカリ処理」と呼ばれるクロロプロパノール類の分解工程を経て調製されたアミノ酸液の3-MCPD濃度は十分に低いことを確認しました。このため、アルカリ処理が行われたアミノ酸液を用いて製造された混合醸造方式又は混合方式のしょうゆの場合は、3-MCPD濃度は十分に低く、消費者の健康リスクは無視できるほど小さいと判断しました。
一方で、平成16年度~18年度の調査ではしょうゆ事業者が自社調製したアミノ酸液には3-MCPD濃度が高いものが数点あり、そのようなアミノ酸液を使用したしょうゆを摂取した場合には、日本人の平均的なしょうゆ消費量でも、国際的な専門機関が設定した耐容一日摂取量を超える可能性があることもわかりました。
そのため、3-MCPD濃度が高いしょうゆだけを継続して摂取してしまうことによる健康被害の発生を未然に防止する観点から、アミノ酸液及びアミノ酸液を含むしょうゆの製造工程においてアルカリ処理を導入するなどの3-MCPD低減対策を徹底するよう、平成20年6月に関係業界に対して指導を行いました。
アルカリ処理の導入等の製造工程の改善によるクロロプロパノール類の低減対策の効果を検証し、その見直しの必要性を検討することを目的に、平成21年12月~平成22年3月にアミノ酸液及び混合醸造方式又は混合方式のしょうゆに含まれる3-MCPD濃度の調査を行いました。
調査試料は、過去の調査時に自社調製したアミノ酸液を原材料に用いて混合醸造方式又は混合方式のしょうゆを製造していた全国の事業者から、関係団体を通じて入手しました。3-MCPD濃度の測定は、適切な精度管理を実施し、分析値の信頼性を客観的に保証できる体制が整っている民間分析機関に委託しました。
加えて、該当する事業者に対し、クロロプロパノール類の濃度を下げるための対策の実施状況について、関係団体を通じてアンケート調査を実施しました。
事業者から提供されたアミノ酸液48点、しょうゆ(混合醸造方式又は混合方式)55点の3-MCPD濃度の概要はそれぞれ表1、表2のとおりでした。今回の結果を平成18年度の調査結果と比較すると、アミノ酸液、しょうゆのいずれも中央値は約10分の1以下、最大値や平均値は約5分の1の水準に下がったことが確認されました。
本調査試料の3-MCPD濃度と日本人のしょうゆ平均消費量(1日17.5 g)を用いて、調査対象製品から摂取する1日当たりの3-MCPDの量を試算すると、仮に3-MCPD濃度が最も高いしょうゆ(4.6 mg/kg)を摂取したとしても体重1 kg当たり1.5 μgとなり、国際的な専門機関が設定した耐容一日摂取量より低いことを確認しました。
表1: 調査対象のアミノ酸液中の3-MCPD濃度(単位 mg/kg)
| 調査年度 | 調査点数 |
定量限界未満の点数 |
最小値 |
中央値 |
最大値 |
平均値 |
| 平成21年度 | 48 | 0 | 0.017 | 0.14 | 10 | 1.3 |
| 平成18年度 | 81 | 0 | 0.009 | 2.2 | 57 | 6.6 |
表2:調査対象のしょうゆ中の3-MCPD濃度(単位 mg/kg)
| 調査年度 | 調査点数 |
定量限界未満の点数 |
最小値 |
中央値 |
最大値 |
平均値 |
| 平成21年度 | 55 | 0 | 0.009 | 0.069 | 4.6 | 0.49 |
| 平成18年度 | 54 | 0 | 0.010 | 0.83 | 20 | 2.2 |
また、事業者に対するアンケート調査結果から、「アミノ酸液の調製工程でアルカリ処理等の措置を実施」、「自社調製アミノ酸液の全量又は一部をクロロプロパノール類濃度が低い販売アミノ酸液に切り替え」など、クロロプロパノール類の低減対策が実施されたことが確認できました。製造工程における事業者のこうした取組の推進が3-MCPD濃度の低下に繋がったと考えられます。なお、調査時点では、「対策を検討中で数年内に実施予定」と回答の事業者もあることから、対策を徹底することでさらなる濃度の引き下げも可能と推察されます。
今回の調査で、製造工程の改善等による安全性向上対策の実施がクロロプロパノール類の濃度の低下に有効であることが改めて確認されました。また、3-MCPD濃度が高いしょうゆを毎日継続して摂取した場合でも3-MCPD摂取量は耐容摂取量より低い結果になりました。ただし、耐容摂取量の約75%と今もなおやや高い水準にあることから、農林水産省では、クロロプロパノール類の濃度が高かったアミノ酸液及びしょうゆにおける対策の導入を徹底し、一定期間後に再度実態調査を行うこととします。
なお、特定の食品や製品に偏らず、様々な食品をバランスよくとることは、健康的な食生活を送るための基本であることについても併せて情報提供を行っていきます。
調査の詳細は、別添資料をご覧下さい。
クロロプロパノール類とは、プロパノール(炭素を3つ持つ直鎖アルコール)に塩素が結合した化学物質の総称で、主として、たん白質を塩酸で加水分解した調味料を製造する際に、副産物として少量生成される。食品にもっとも多く含まれているものが3-クロロプロパン-1,2-ジオール(3-MCPD)である。
第57回及び第67回FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)によるリスク評価では、3-MCPDに遺伝毒性発がん性は認められないとされたが、動物試験では長期間にわたり大量に摂り続けた場合に腎臓に悪影響が生じるとされており、暫定最大耐容一日摂取量(PMTDI)として2 μg/kg体重/日が設定された。
コーデックス委員会は、2008年に、酸加水分解植物性たんぱく等に含まれる3-MCPDを低減するための実施規範を採択するとともに、酸加水分解植物性たんぱくを含む液体調味料中の3-MCPDの最大基準値として0.4 mg/kgを採択した。
なお、我が国では、食品に含まれるクロロプロパノールについて食品衛生法に基づく基準値は設定されていない。また、これまで食品に含まれる微量のクロロプロパノールが原因と考えられる人への健康影響が疫学的に確認された例はない。
脱脂大豆や小麦グルテンなどの植物性たん白を塩酸で加水分解して製造される、植物性原料由来の液体調味料で、こく味や旨味を強化する目的で加工食品や調理食品の原材料として使用される。しょうゆ等の一部の品目以外の食品原材料として用いられる場合には、たんぱく酸加水分解物とも呼ばれる。
混合醸造方式又は混合方式のしょうゆは、基本的にアミノ酸液と本醸造方式のしょうゆ(又は生揚げ(きあげ))を混合して醸造又は単に混合して製造される。このようなしょうゆは、我が国のしょうゆ生産量の15.5%を占める(平成19年実績)。 なお、しょうゆ製造者が自らアミノ酸液も調製し、混合醸造方式又は混合方式のしょうゆを製造している例は極めて少なく、しょうゆ生産量の1%未満と推察される。
長期にわたって摂取することで健康に悪影響を及ぼす可能性がある化学物質についての、人が一生涯にわたって毎日摂取し続けたとしても健康に悪影響を示さないと推定されている体重1 kg当たりの一日の最大摂取量。動物試験のデータに基づいて推定する際には不確実性に応じた安全係数が考慮されている。
<添付資料>(添付ファイルは別ウィンドウで開きます。)
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消費・安全局消費・安全政策課
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