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プレスリリース

平成24年9月14日

農林水産省

調味料中の3-MCPD含有実態調査の結果について(平成23年度)

農林水産省は、食品の安全性を向上させるために、意図せず調味料の製造工程で生成する有害化学物質であるクロロプロパノール類を製造方法の改善によって低減する対策を、平成20年度以降本格的に関係業界と連携して進めています。

平成23年度に実施した、クロロプロパノール類の一種である3-MCPDの含有実態調査の結果、その平均濃度は、平成21年度調査の結果と同様に、本格的な対策実施前の平成18年度における調査の結果と比べて低い水準であり、実施している対策が有効であることを確認しました。

3-MCPDについて

3-MCPDは、代表的な食品中のクロロプロパノール類であり、主に、たんぱく質を塩酸で分解し調味料を製造する際に、副産物として生成されるものであり、そのような調味料を含む食品を通じて長期間にわたり大量に取り続けた場合には、健康への悪影響が懸念されます。

調査の背景

農林水産省は、海外で調味料類からしばしば高濃度のクロロプロパノール類が検出されたことから、平成16年度~平成18年度に食品中のクロロプロパノール類の含有実態調査を実施しました。その結果、我が国のしょうゆの生産量の85%を占める「本醸造方式のしょうゆ」からは検出されないが、植物性たんぱくを塩酸で分解して製造する「アミノ酸液」と、アミノ酸液を原材料に含む「混合醸造方式又は混合方式のしょうゆ」には、3-MCPDが高濃度に含まれる場合があることを明らかにしました。

この調査の過程で、「アルカリ処理」という工程を経て調製されたアミノ酸液では、クロロプロパノール類が分解され、3-MCPD濃度が十分に低いこと、また、このアミノ酸液を用いて製造された混合醸造方式及び混合方式のしょうゆ中の3-MCPD濃度も十分に低くなることを確認しました。

これらのことから、農林水産省は、アミノ酸液及び混合醸造方式又は混合方式のしょうゆの製造工程において、アルカリ処理を導入するなどのクロロプロパノール類の低減対策を徹底するよう、平成20年6月に関係業界に対して指導を行いました。

平成21年度には、低減対策の効果を検証するために、アミノ酸液及び混合醸造方式又は混合方式のしょうゆ中に含まれる3-MCPD濃度の調査を行いました。その結果、平均濃度が平成18年度と比較して約5分の1に低下するなど、アルカリ処理をはじめとした製造方法の改善による対策が有効であることを確認しました。 

調査の目的と方法

平成21年度の調査と同様に、アルカリ処理の導入等の製造工程の改善によるクロロプロパノール類の低減対策の効果を検証し、リスク管理措置の見直しの必要性を検討することを目的として、平成23年11月~平成24年1月に入手したアミノ酸液及び混合醸造方式又は混合方式のしょうゆ中に含まれる3-MCPD濃度の調査を行いました。

調査試料は、平成18年度の調査時に自製アミノ酸液を原材料に用いて混合醸造方式又は混合方式のしょうゆを製造していた全国の製造業者(以下、製造業者という。)から、関係団体を通じて入手しました。3-MCPD濃度の測定は、適切な精度管理を実施し、分析値の信頼性を客観的に保証できる体制が整っている民間分析機関に委託しました。

加えて、該当する製造業者に対し、クロロプロパノール類の低減対策の実施状況等について、関係団体を通じてアンケート調査を行いました。

調査結果の概要

アミノ酸液及びしょうゆ中の3-MCPD濃度

製造業者から提供されたアミノ酸液44点、しょうゆ(混合醸造方式又は混合方式)55点の3-MCPD濃度はそれぞれ表1、表2のとおりでした(参考値として、前回、前々回調査の結果も掲載)。アミノ酸液及びしょうゆともに、平成21年度調査(前回)と同様に、平成18年度調査(前々回)と比べて低い水準であることを確認しました。

 

表1 調査対象アミノ酸液中の3-MCPD濃度(単位:mg/kg)

調査年度 調査点数 定量限界
未満の点数
最小値 中央値 最大値 平均値
H23 44 0 0.009

0.070

5.0

0.67
H21 48 0 0.017

0.14  

10    

1.3  
H18 81 0 0.009

2.2    

57    

6.6  

定量限界:0.004 mg/kg 

 

表2 調査対象しょうゆ中の3-MCPD濃度(単位:mg/kg)

調査年度 調査点数 定量限界
未満の点数
最小値 中央値 最大値 平均値
H23 55 0 0.008 0.087 3.4 0.45
H21 55 0 0.009 0.069 4.6 0.49
H18 54 0 0.010 0.83    20    2.2  

定量限界:0.004 mg/kg

混合醸造方式又は混合方式のしょうゆからの3-MCPD摂取量

本調査試料中の3-MCPD濃度(中央値又は最大値)と日本人のしょうゆ消費量(国民健康・栄養調査における平均摂取量又はしょうゆ生産量を基に算出した消費量)を用いて、調査対象製品から摂取する1日当たりの3-MCPDの量を試算した結果は表3のとおりでした。

仮に、今回の調査で3-MCPD濃度が最も高いしょうゆを摂取し続けたとしても、1日の3-MCPDの摂取量は、最大で体重1 kg当たり1.4 μgと算定され、国際的な専門機関が設定した暫定耐容摂取量(2 μg/kg 体重/日)より低いことを確認しました。

 

表3 しょうゆからの3-MCPDの推定摂取量及び暫定耐容摂取量に対する比率

しょうゆの3-MCPD濃度 しょうゆ平均摂取量から推定 しょうゆ生産量から推定
推定摂取量
(μg/kg 体重/日)
暫定耐容摂取量に対する比率(%) 推定摂取量
(μg/kg 体重/日)
暫定耐容摂取量に対する比率(%)
中央値(0.087 mg/kg)を使用した場合 0.024 1.2 0.036 1.8
最大値(3.4 mg/kg)を使用した場合 0.96    48      1.4     70    

 低減対策の実施状況と3-MCPDの低減効果

製造業者(34社)に対するアンケート調査結果から、アンケートに回答した28社のうち9割以上の製造業者が「自製アミノ酸液の製造工程にアルカリ処理を導入」、「自製アミノ酸液の全量又は一部を購入アミノ酸液に切り替え」などの対策に取り組んでいることがわかりました。

アルカリ処理の実施の有無によりアミノ酸液及びしょうゆを分類し、それぞれの3-MCPD濃度を比較しました。その結果、アルカリ処理を実施している製造業者が製造したアミノ酸液中の3-MCPD濃度(中央値 0.071 mg/kg)は、その他の対策を実施している製造業者が製造したもの(中央値 1.1 mg/kg)より大幅に低いこと、アルカリ処理を実施している製造業者が製造したしょうゆ中の3-MCPD濃度(中央値 0.060 mg/kg)も、その他の対策を実施している製造業者が製造したアミノ酸液が使用されたもの(中央値 0.48 mg/kg)より大幅に低いことを確認しました。

 

調査の詳細は、別添資料をご覧ください。

今後の対応

業界団体と連携し、低減対策を実施していない製造業者に対する個別指導の強化を図るとともに、既に低減対策を実施しているが、3-MCPDの更なる低減が期待できる製造業者に対しては、風味への影響や経済的コスト等も考慮しつつ、一層の安全性の向上対策に取り組むよう促します。

 


用語解説

クロロプロパノール類

クロロプロパノール類とは、プロパノール(炭素を3つ持つ直鎖アルコール)に塩素が結合した化学物質の総称で、主として、たんぱく質を塩酸で加水分解した調味料を製造する際に、副産物として少量生成される。食品に最も多く含まれているものが3-クロロプロパン-1,2-ジオール(3-MCPD)である。

第57回及び第67回FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)によるリスク評価では、3-MCPDに遺伝毒性発がん性は認められないとされたが、動物試験では長期間にわたり大量に取り続けた場合に腎臓に悪影響が確認されており、暫定最大耐容一日摂取量(PMTDI)として2 μg/kg 体重/日が設定された。ただし、これまで食品に含まれる微量のクロロプロパノール類が原因と考えられる人への健康影響が疫学的に確認された例はない。

コーデックス委員会は、2008年に、酸加水分解植物性たんぱく等に含まれる3-MCPDを低減するための実施規範を採択するとともに、酸加水分解植物性たんぱくを含む液体調味料中の3-MCPDの最大基準値として0.4 mg/kgを採択した。

なお、我が国では、食品に含まれるクロロプロパノール類について、食品衛生法に基づく基準値は設定されていない。

アミノ酸液

脱脂大豆や小麦グルテンなどの植物性たんぱくを塩酸で加水分解して製造される、植物性原料由来の液体調味料で、こく味や旨味を強化する目的で加工食品や調理食品の原材料として使用される。しょうゆ等の一部の品目以外の食品原材料として用いられる場合には、「たんぱく酸加水分解物」とも呼ばれる。

しょうゆ製造業者が使用するアミノ酸液の中には、しょうゆ製造業者が原材料用に自ら調製したもの(自製アミノ酸液)と他社から購入したもの(購入アミノ酸液)がある。

混合醸造方式、混合方式のしょうゆ

混合醸造方式又は混合方式のしょうゆは、基本的にアミノ酸液と本醸造方式のしょうゆ(又は生揚げ(きあげ))を混合して醸造又は単に混合して製造される。このようなしょうゆは、我が国のしょうゆ生産量の約15 %を占める(平成21年度:しょうゆ情報センター統計資料より)。

耐容一日摂取量

長期にわたって摂取することで健康に悪影響を及ぼす可能性がある化学物質についての、人が一生涯にわたって毎日摂取し続けたとしても健康に悪影響を示さないと推定されている体重1 kg当たりの一日の最大摂取量。動物試験のデータに基づいて設定される場合には、不確実性に応じた係数(3-MCPDの場合は500)が考慮されている。

参考リンク

 

お問い合わせ先

消費・安全局消費・安全政策課
担当者:製造流通安全企画班   漆山、吉野
代表:03-3502-8111(内線4457)
ダイヤルイン:03-6744-0490
FAX:03-3597-0329

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