平成21年度病害虫発生予報第6号の発表について
|
向こう1か月の主要な病害虫の発生動向についての病害虫発生予察情報及び病害虫防除に関する栽培管理について解説します。
|
病害虫防除の主な留意点
- 気象庁が発表する1 か月予報では、北海道、東北、関東、甲信及び北陸で気温が低く、四国、九州南部及び沖縄を除く地域で日照時間が少ないと予報されています。また、北海道、東北日本海側、東海、北陸、近畿及び四国で降水量が多いと予報されています。
- 病害虫防除を効率的に実施するためには病害虫の発生状況を的確に把握し、的確な防除につなげることが大切です。病害虫の発生は天候の影響を大きく受けるので、天候の状況に注意しつつ、都道府県が発表する発生予察情報に基づき、地域ごとの防除基準に従って防除を実施してください。
- なお、薬剤防除を実施する場合には、病害虫が薬剤抵抗性を獲得しないように、同一系統薬剤の連続使用を避けてください。また、散布対象外の農産物に農薬が飛散しないよう対策を講じてください。
用語の解説
発生量(程度)
- 多い(高い):やや多いの外側10%の度数の入る幅
- やや多い(やや高い):平年並の外側20%の度数の入る幅
- 平年並:平年値を中心として40%の度数の入る幅
- やや少ない(やや低い):平年並の外側20%の度数の入る幅
- 少ない(低い):やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10 年間の平均)
地域
- 北海道:北海道
- 東北:青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
北東北:青森県、岩手県、秋田県
南東北:宮城県、山形県、福島県
- 関東:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
北関東:茨城県、栃木県、群馬県
南関東:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
- 甲信:山梨県、長野県
- 北陸:新潟県、富山県、石川県、福井県
- 東海:岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
- 近畿:滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
- 中国:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
- 四国:徳島県、香川県、愛媛県、高知県
- 九州:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
北九州:福岡県、佐賀県、長崎県、大分県
南九州:熊本県、宮崎県、鹿児島県
- 沖縄:沖縄県
稲
- いもち病の発生は、東北及び関東の一部地域で「多い」又は「やや多い」、北海道、甲信、東海、近畿、中国及び北九州の一部地域で「やや多い」と予想されます。
本病は発病条件がそろうと急速に蔓延するので、都道府県病害虫防除所から発表される感染好適日を参考に水田の見回りを実施し、本病の発生を認めた場合は、適期に薬剤防除を実施してください。葉いもちの発生が多く、上位葉に葉いもちの病斑がみられ、出穂期前後に降雨が続くと穂いもちの発生が助長されます。穂ばらみ期及び穂揃い期に薬剤防除を実施し、必要に応じて穂揃い期7~10日後の追加防除を実施してください。
なお、低温と日照不足が続いた地域では稲のいもち病に対する抵抗力が弱まり罹病しやすい状態になっているので、注意してください。
- 紋枯病の発生は、近畿及び北九州の一部地域で「やや多い」と予想されます。
本病は梅雨明け後に高温・多湿が続くと発生が助長されます。前年に発病が多い場合は、本病が多発する可能性があるので注意が必要です。本病は病勢が少しずつ進展することから、発生が認められてからでも薬剤防除を行うことが可能です。穂ばらみ期から出穂期に発生を認めた場合は、発生状況に注意して適期に薬剤防除を実施してください。多発時や出穂期以降に病勢の進展が懸念される場合は、穂揃い期頃の追加防除を実施してください。
- セジロウンカの発生は、近畿の一部地域で「やや多い」と予想されます。
本害虫の防除は飛来した早期から防除を行うことが有効です。本害虫は薬剤抵抗性を発達させた個体が確認されていますので、薬剤防除の際には病害虫防除所等から出される情報を参考に薬剤の選択を行ってください。
- トビイロウンカの発生は、南関東及び九州の一部地域で「多い」又は「やや多い」と予想されます。
本害虫は水田に侵入後急激な密度上昇により被害を起こします。本害虫は薬剤抵抗性を発達させた個体が確認されていますので、薬剤防除の際には病害虫防除所等から出される情報を参考に薬剤の選択を行ってください。
- 斑点米カメムシ類の発生は、北東北、北陸及び東海の一部地域で「多い」、関東の一部地域で「多い」又は「やや多い」、近畿、中国及び四国の一部地域で「やや多い」と予想されます。
本害虫の被害軽減には、休耕田、畦畔及び水田周辺の雑草管理が重要です。水田畦畔や休耕地のイネ科雑草及び水田周辺のイネ科牧草を草刈りする際には、カメムシ類の発生状況に注意して行ってください。特に、出穂したイネ科雑草を刈り取った場合、寄生していたカメムシを水田へ飛び込ませることとなるので、周辺水稲の出穂時期と重ならないように注意してください。薬剤防除を行う場合、散布時期については、都道府県が発表する発生予察情報を参考にしてください。
大豆
- 吸汁性カメムシ類の発生は、東海の一部地域で「やや多い」と予想されます。
ほ場観察を行い、発生に応じて薬剤防除を実施してください。
- ハスモンヨトウの発生は、関東、北陸、東海、近畿及び九州の一部地域で「やや多い」と予想されます。
ほ場観察を行い、発生に応じて薬剤防除を実施してください。
果樹
【果樹共通】
- 果樹カメムシ類の発生は、東北、関東及び甲信の一部地域で「やや多い」と予想されます。
例年カメムシ類の被害が多い園地では、園内観察をきめ細かく行い、飛来が認められた場合は適切に防除を実施してください。
【かんきつ】
- かいよう病の発生は、「平年並」と予想されますが、本病は連続した降雨により発生が助長されるので、天候の推移に注意し、薬剤防除を実施してください。
特に、強風による擦れなどの傷口から容易に感染するため、風雨が強まることが予想される場合には、事前に薬剤を散布してください。
- そうか病の発生は、「平年並」と予想されます。本病は多雨、多湿条件で発生が助長されるので、すでに発生が見られる園地では、伝染防止のため発病葉及び発病枝を除去、園外で処分し、発生に応じて薬剤防除を実施してください。
- 黒点病の発生は、南関東、近畿及び北九州の一部地域で「やや多い」と予想されます。
本病の伝染源である枯れ枝を除去して、確実に園外で処分してください。本病は降雨が続くと感染が拡大するので、散布間隔が開き過ぎないように降雨の合間を見て薬剤防除を実施してください。
- ハダニ類の発生は、南関東及び四国の一部地域で「やや多い」と予想されます。
園内観察を行い、発生に応じて薬剤防除を実施してください。
【りんご】
- 斑点落葉病の発生は、北海道、南東北、北関東及び東海の一部地域で「やや多い」と予想されます。
本病は降雨が続くと発生が助長されるので、天候の推移に注意し、適期に薬剤防除を実施してください。
- シンクイムシ類の発生は、北海道の一部地域で「やや多い」と予想されます。
園内観察を行い、発生に応じて薬剤防除を実施してください。
【なし】
- 黒斑病の発生は、「平年並」と予想されますが、降雨日数が多いと本病の発生が助長されます。
天候の推移に注意し、適期に薬剤防除を実施してください。
- 黒星病の発生は、関東及び北九州の一部地域で「多い」又は「やや多い」、南東北、北陸、近畿及び中国の一部地域で「やや多い」と予想されます。
罹病葉及び罹病果除去に努めるとともに、降雨が続くと感染が拡大するので、散布間隔が開き過ぎないように降雨の合間を見て薬剤防除を実施してください。
- シンクイムシ類の発生は、関東及び中国の一部地域で「やや多い」、ハマキムシ類の発生は、関東の一部地域で「やや多い」と予想されます。
園内観察を行い、発生に応じて薬剤防除を実施してください。
- ハダニ類の発生は、南関東、近畿及び南九州の一部地域で「やや多い」と予想されます。
園内観察を行い、発生に応じて薬剤防除を実施してください。
【もも】
- せん孔細菌病の発生は、「平年並」と予想されますが、本病は葉や果実の気孔や傷口から感染するため、降雨や強風により発生が助長されます。
天候の推移に注意し、適期に薬剤防除を実施してください。
【ぶどう】
- 晩腐病の発生は、甲信、北陸及び近畿の一部地域で「やや多い」と予想されます。
本病害は降雨により発生が助長されるので、天候の推移に注意し、適期に薬剤防除を実施してください。
- べと病の発生は、北陸の一部地域で「多い」、南関東、甲信、近畿及び九州の一部地域で「やや多い」と予想されます。
本病は降雨が多いと発生が助長されるので、天候の推移に注意し、適期に薬剤防除を実施してください。
【かき】
- カキノヘタムシガの発生は、「平年並」と予想されますが、園内観察を行い、発生に応じて薬剤防除を実施してください。
茶
- 炭そ病の発生は、南関東の一部地域で「多い」、近畿及び北九州の一部地域で「やや多い」と予想されます。
本病の多発が予想される園では、茶園の管理状況に応じて適切な薬剤防除を実施してください。
- チャノコカクモンハマキの発生は、東海及び南九州の一部地域で「やや多い」、チャハマキの発生は、南九州の一部地域で「やや多い」と予想されます。
これらの害虫は、地域の予察灯やフェロモントラップの誘殺状況を参考に、成虫発生最盛日の7~10日後を目安に薬剤防除を実施してください。
- クワシロカイガラムシの発生は、九州の一部地域で「やや多い」と予想されます。
本害虫の防除は適期を外すと防除効果が劣るだけでなく、天敵への悪影響も懸念されます。ほ場毎に幼虫のふ化状況を観察し、防除適期である幼虫のふ化最盛期に薬剤防除を実施してください。
野菜
【野菜全般】
- ハスモンヨトウの発生は、関東、近畿、中国及び九州の一部地域で「やや多い」と予想されます。
本害虫の早期発見に努め、適期に防除を実施してください。
今後の発生量が多い・やや多いと予想される病害虫及び対象地域
- 野菜類に見られる各種病害虫の発生は、次表のとおりと予想されます。病害虫の早期発見に努め、適期に防除を実施してください。
また、栽培終期を迎えた施設作物では、施設内でウイルスを保毒したアザミウマ類やコナジラミ類が周辺ほ場へ分散することを防止するため、栽培終了後は抜根・切断と同時に施設を密閉して蒸し込み処理を行い、施設内の生存虫を死滅させてから作物残渣などを搬出してください。
これから育苗や定植を行う施設では、害虫の発生源となる雑草を除去するとともにネット展張などにより害虫の侵入防止に努めてください。
| 作物名/病害虫 |
発生が多い地域 |
発生がやや多い地域 |
| トマト |
|
|
|
|
|
東海 |
|
|
|
甲信 |
|
|
|
関東 |
|
|
|
近畿 |
| なす |
|
|
|
|
|
南関東 |
|
|
|
関東、四国 |
|
|
|
北関東 |
|
|
|
四国 |
|
|
|
近畿 |
| きゅうり |
|
|
|
|
|
北陸 |
|
|
|
東北、南関東、北陸 |
|
|
|
甲信 |
|
|
|
南関東、甲信 |
| すいか |
|
|
|
|
|
南関東、甲信 |
|
|
|
甲信 |
| ねぎ |
|
|
|
|
北東北、北陸 |
南東北 |
|
|
南関東 |
北東北、北陸、関東、北九州 |
| いちご |
|
|
|
|
|
東海、北九州 |
|
|
北九州 |
|
花き
- 白さび病の発生は、南東北、北関東、北陸及び東海の一部地域で「やや多い」と予想されます。
本病は発病後の防除は困難です。ほ場観察を行い、本病の早期発見に努め、発生初期での防除を徹底してください。
- アブラムシ類の発生は、四国の一部地域で「やや多い」と予想されます。
ほ場観察を行い、本害虫の早期発見に努め、発生を認めた場合は、発生初期での防除を徹底してください。
- アザミウマ類の発生は、甲信、東海、四国及び南九州の一部地域で「やや多い」と予想されます。
ほ場観察を行い、本害虫の早期発見に努め、発生を認めた場合は、発生初期での防除を徹底してください。
その他
前回発表(平成21年7月23日)以降、各都道府県が発表している警報、注意報及び特殊報は下記のとおりです。
【警報】
| 発表月日 |
都道府県名 |
作物名 |
病害虫名 |
| 7月30日 |
宮崎県 |
水稲 |
トビイロウンカ |
【注意報】
| 発表月日 |
都道府県名 |
作物名 |
病害虫名 |
| 7月23日 |
富山県 |
水稲 |
斑点米カメムシ類 |
| 7月24日 |
山形県 |
水稲 |
葉いもち |
| 7月24日 |
茨城県 |
水稲 |
穂いもち |
| 7月27日 |
群馬県 |
水稲 |
葉いもち、穂いもち |
| 7月28日 |
北海道 |
水稲 |
葉いもち、穂いもち |
| 7月28日 |
北海道 |
たまねぎ、ねぎ |
べと病 |
| 7月28日 |
滋賀県 |
水稲 |
穂いもち |
| 7月29日 |
秋田県 |
きゅうり |
黒星病 |
| 7月29日 |
福島県 |
水稲 |
穂いもち |
| 7月29日 |
埼玉県 |
水稲 |
葉いもち、穂いもち |
| 7月29日 |
鳥取県 |
水稲 |
フタオビコヤガ |
| 7月30日 |
長野県 |
水稲 |
葉いもち、穂いもち |
| 7月30日 |
岐阜県 |
水稲 |
葉いもち、穂いもち |
| 7月30日 |
岐阜県 |
トマト |
灰色かび病 |
| 7月31日 |
宮城県 |
水稲 |
穂いもち |
| 7月31日 |
兵庫県 |
水稲 |
穂いもち |
| 7月31日 |
大分県 |
いちご |
うどんこ病 |
| 8月3日 |
千葉県 |
水稲 |
トビイロウンカ |
| 8月3日 |
愛知県 |
水稲 |
斑点米カメムシ類 |
| 8月4日 |
山形県 |
水稲 |
穂いもち |
| 8月4日 |
東京都 |
水稲 |
いもち病 |
【特殊報】
| 発表月日 |
都道府県名 |
作物名 |
病害虫名 |
| 7月23日 |
奈良県 |
ホウレンソウ |
ハコベハナバエ |
| 7月29日 |
長崎県 |
トルコキキョウ |
トルコキキョウえそ輪紋病(IYSV) |
| 8月5日 |
香川県 |
キク |
キク茎えそ病(CSNV) |
平成21年度の病害虫発生予報の発表日
| 第 1号: |
4月23日 |
(木曜日) |
・・・発表済み |
| 第 2号: |
5月14日 |
(木曜日) |
・・・発表済み |
| 第 3号: |
6月11日 |
(木曜日) |
・・・発表済み |
| 第 4号: |
7月 9日 |
(木曜日) |
・・・発表済み |
| 第 5号: |
7月23日 |
(木曜日) |
・・・発表済み |
| 第 6号: |
8月 6日 |
(木曜日) |
・・・今回発表 |
| 第 7号: |
9月10日 |
(木曜日) |
|
| 第 8号: |
10月 8日 |
(木曜日) |
|
| 第 9号: |
11月12日 |
(木曜日) |
|
| 第10号: |
2月18日 |
(木曜日) |
|
ページトップへ