持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する行動指針
はじめに
全国環境保全型農業推進会議(以下「推進会議」という。)は、平成6年に設置されて以来、「環境保 全型農業推進憲章」を平成9年に制定し、環境保全型農業の社会的なコンセンサスの形成とその推進活 動を全国的に展開している。
「環境保全型農業推進憲章」において、環境保全型農業とは「環境に対する負荷を極力小さくし、さら には、環境に対する農業の公益的機能を高めるなど、環境と調和した持続的農業」としているが、こうし た環境保全型農業の一層の推進は、我が国にとってますます重要となっている。
このたび、「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」が平成11年7月に公布され、同 年10月に施行された。
この法律は、たい肥等による土づくりと化学肥料・化学農薬の使用の低減を一体的に行う農業生産方 式を導入しようとする農業者及び、地域の条件に応じた農業生産方式の導入を支援しようとする都道府 県を支援するものであるが、推進会議はこの法律に基づいた諸制度を農業者が積極的に活用するととも に、食品産業及び消費者がこうした農業者の生産した農産物に対する理解を深めること等を通じ、関係 者が環境保全型農業をさらに推進するための行動の展開を強く期待するものである。
A.行動の基本的な考え方
- 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律の周知徹底
「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」に基づく支援制度の浸透を図るため、その趣旨が広く国民一般の共通認識となるよう、関係者に対する啓発・普及を推進する。
また、都道府 県知事による導入計画の認定を受けた農業者(認定農業者)については、「農業経営基盤強化促進法」 に基づく認定農業者との混用を避けるとともに、広く国民にアピールするため、愛称名を「エコファーマー 」とし、その周知・定着を図る。
- 新技術・資材等の利用の促進
持続性の高い農業生産方式の導入を推進するため、新たに開発された施肥、防除等の技術や環境 にやさしい資材の利用に率先して取り組む。
- 農業者の育成と生産された農産物の消費の促進
持続性の高い農業生産方式に取り組む農業者の育成を図るとともに、生産された農産物の消費の増 進を図るための条件整備を推進する。
また、流通業者及び消費者の理解を得つつ、持続性の高い農業生産方式により生産された農産物で あることが消費者等に的確に伝わるような表示等の仕組みを検討する。
- 有機性資源の循環利用の推進
耕種農業と畜産農業、食品産業(流通関係者、食品工業、外食産業)等との緊密な連携の下、地域で 発生する家畜排せつ物や生ゴミ等の有機性資源の循環利用システムの確立を推進する。
B.関係者の対応
- 農業者
(1)持続性の高い農業生産方式の導入に当たっては、各種補助事業の活用等を通じ、地域ぐるみの取組に努める。
(2)適切な土づくりを推進するため、土壌診断はほ場ごとに定期的に実施するとともに、今後、流通の増大が見込まれる有機性資源を循環利用したたい肥の積極的利用に努める。
(3)持続性の高い農業生産方式を導入する際、例えば新たな農薬、肥料等の資材を利用する場合には、その導入リスクを最小とするため、地域農業改良普及センター、農業協同組合の営農指導等を十分に活用するよう努める。
- 農業者団体
(1)持続性の高い農業生産方式に取り組む農業者の育成を図るとともに、生産された農産物等の出荷ロットの拡大等により産地化を推進する。
(2)土壌診断体制を確立し、地域農業改良普及センター等との連携の下、適切な営農指導を行う。
(3)肥効調節型肥料、生物農薬など環境にやさしい生産資材の普及・流通を促進する仕組みを構築する。
- 農業資材関係者
肥効調節型肥料、生物農薬など環境にやさしい生産資材の開発を推進するとともに、このような資材 が農業の生産現場に速やかに普及する仕組みを構築する。
- 消費者
(1)農業の持つ多面的機能に関する理解を深め、持続性の高い農業生産方式に取り組む農業者により生産された農産物の利用を促進するよう努める。
(2)たい肥等による土づくりを推進するため、生ゴミ等の地域におけるリサイクルを推進する。
- 食品産業関係者
(1)たい肥等による土づくりを推進するため、食品残さ、食品廃棄物等のリサイクルを推進する。
(2)農業の持つ多面的機能に関する理解を深め、持続性の高い農業生産方式に取り組む農業者により生産された農産物の利用を促進するよう努める。
C.国、都道府県、市町村の役割
- 国の役割
(1)持続性の高い農業生産方式の導入に関する計画の達成のために必要な助言、指導、資金の融通のあっせんその他の支援を引き続き実施する。
(2)土づくり技術、化学肥料及び化学農薬低減化技術に関する試験研究を一層進め、その成果を持続性の高い農業生産方式を構成する技術(農林水産省令により定める技術)に速やかに反映させるとともに、その迅速な普及を図る。
(3)土壌診断事業の高度化と農業者に対する技術支援の充実を図るため、関係団体と連携して土壌診断技術者の育成に努める。
- 都道府県の役割
(1)持続性の高い農業生産方式の導入を容易にするため、地域に適合した技術開発をさらに進めるとともに、地域ごとの栽培マニュアルづくりを推進する。
(2)持続性の高い農業生産方式の導入に関する指針について、生産現場のニーズや技術開発の進捗が的確に反映されるよう適時適切な見直しを行う。
(3)農業者が作成する導入計画の認定及びそれに伴う農業改良資金の貸付けその他の支援措置が円滑かつ迅速に行われるよう地域推進協議会を設置するなど地域農業改良普及センター、市町村等との連携体制の整備を推進する。
(4)土壌診断体制、病害虫発生予察体制の整備等を推進するほか、たい肥化施設等に係る支援の強化を図る。
- 市町村の役割
持続性の高い農業生産方式の普及浸透が、地域の環境や経済の活性化にも大きく影響を及ぼすこと を考慮し、国、都道府県等との連携の下、各種補助事業の活用等による啓発指導、たい肥化施設等共 同利用施設の整備等を推進する。
D.持続性の高い農業生産方式の導入促進のための条件整備
- 技術の開発
持続性の高い農業生産方式の導入の促進に特に必要な課題の解決に向け、技術の開発を推進する。 具体的には、
(1)たい肥等による土づくり技術については、農業者にとって導入しやすいものとなるよう、簡易な土壌診断機器や使いやすいたい肥の生産技術の開発等を推進する。
(2)施肥効率の向上による化学肥料の使用の低減を図るため、新たな肥効調節型肥料や局所施肥技術の開発を推進する。
(3)農薬の使用の低減を図るため、総合的病害虫管理技術(IPM)の確立を図るとともに、生物農薬やフェロモン剤について、対象作物や適用病害虫の拡大を推進する。
(4)持続性の高い農業生産方式に使用する農業機械及び資材のコスト低減を推進する。
- 情報提供体制の構築
農業者の支援及び食品産業関係者・消費者の理解を深めるため、情報提供体制の構築に努める。
具体的には、インターネットなどを活用した情報提供体制の構築を図り、持続性の高い農業生産方式を 構成する技術の導入方法、各地域における取組のモデル事例、新たな資材、持続性の高い農業生産方式により生産された農産物の生産・流通等についての情報提供に努める。
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