このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

1.荷受・乾燥施設 ― 水分計 ―

水分計はその後の乾燥工程や個人の持ち分決定に大きく関与する。水分計は定期的に点検を行い、その精度を維持するように努める必要がある。

(1)バルク水分計

バルク水分計とは、穀物の誘電率がその含有水分により変化することを利用して測定するので高精度の測定が可能である。また、荷受計量機に取り付けることにより計量と同時に水分測定ができ、投入量全体の大豆水分を測定するので、サンプルによる誤差がない。測定結果は、荷受伝票に荷受量全体の平均水分として表示され、データ収録装置とのオンライン化により効果的な運営が可能となる。(写真1-2)

写真1-2  バルク水分計の外観

写真1-2  バルク水分計の外観

(2)大豆用高周波容量式水分計

高周波容量式水分計は、穀粒の水分によって誘電率が変化するので、その変化を高周波容量の変化に置換して測定する水分計である。写真1-3は、大豆用高周波容量式水分計の例である。高周波容量式水分計は、非破壊で測定できるので、使いやすい反面、かさ密度により値が変わるので、測定する大豆の容量が一定になるように、付属の容器を用いて慎重に水分計内に試料を投入することが重要である。また、最近では天秤を内蔵し、試料の重量測定により水分値を自動補正する機能を持った多種類の穀物に適用できる高性能な高周波容量式水分計も市販されるようになった。

写真1-3  高周波容量式水分計の外観

写真1-3  高周波容量式水分計の外観

(3)大豆用単粒水分計

単粒水分計は電気抵抗式水分計の一種で、試料水分の増加に従い、試料の電気抵抗が減少することを利用したものである。電気抵抗式水分計には、穀粒と電極間の接触抵抗値を安定させるために粉砕した試料を電極間に入れ一定圧力で加圧して測定するものと、平板やロールで電極間の試料を圧砕して直流抵抗値を測定するものがある。

単粒水分計は、回転速度差を持つロール電極に試料を一粒ずつ送り込み、圧砕しながら電極にはさまれた穀粒の電気抵抗を測定する方式である。マイクロコンピュータを内蔵し平均水分を表示するとともに、各粒の水分、偏差、測定粒数、度数分布をプリンターに印字できるようになっている(写真1-4)。

写真1-4  大豆用単粒水分計の外観

写真1-4  大豆用単粒水分計の外観

(4)荷受け原料の水分分布

近年、大豆収穫にコンバインが普及するにつれ、その多くが直接収穫(ダイレクト収穫)され、フレコンバッグやトラックにバラ積みされて乾燥施設に一度に大量に搬入される。受け入れる大豆は水分計により水分測定され、水分値に合わせて乾燥される訳であるが、搬入される大豆の収穫時の状況によって水分値に大きな差がでる場合がある。表1-7は北海道において簡易水分計を使用した測定例であるが、簡易水分計で21.1%表示されたものであっても、子実水分は27.5%の高水分のものから16.1%の子実まで分布していた。特に表中の「カリユタカ」では水分13%以下の割合が約18%を占め、人工乾燥による過乾燥が心配される状況にある。これを防ぐには、収穫前の子実水分測定が重要であり、これに汚粒防止のための茎水分測定を合わせ、適切なコンバイン収穫作業を実施することが重要である。

表1-7  受け入れ水分の事例

品種 簡易水分計 単粒水分計 絶乾法 産地
表示値(%) 平均値(%) 偏差(%) 最大値(%) 最小値(%) 105℃-24h法
(%w.b.)
トヨムスメ 21.1 21.7 0.75 27.5 16.1 21.3 帯広市
音更大袖 17.5 19.8 2.16 23.3 11.2 17.6 音更町
カリユタカ 13.2 15.2 1.06 18.3 11.6 13.8 清水町

お問合せ先

農産局穀物課
担当者:豆類班
代表:03-3502-8111(内線4846)
ダイヤルイン:03-3502-5965