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農林水産省

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2.調製施設 ― 風力選別機(粗選機) ―

(1)原理

全ての選別機は、目的とする製品になり得るものと、除去しなければならないものとの間の性質(特に物理的)の違いを、選別の効果として利用するように設計されている。

風力選別機では、選別物それぞれの固有の終末速度の違いを効果的に利用している。
「終末速度」とは、物体が空気中を自由落下中に空気抵抗とバランスして、ある一定以上速くならない落下速度のことである。逆にその速度と同じ風速で下方から吹き上げれば、その物体は空気中に浮遊するので「浮遊速度」ともいえる。したがって以後は「浮遊速度」ということにする。

図2-2のように、垂直な筒の下方から送風機で風を送り物体を上方から投入し、その風速より浮遊速度が大きいものは下方へ、小さいものは上方へと移動することで分離ができる。この送風機の送る風速を、回転数あるいはダンパーで調整することにより、浮遊速度が違う2種類以上のものの選別ができる。浮遊速度は実験でも求められるが、流体力学の数式により求められる。その数式の中の係数には、形状、比重、容積、表面状態(ざらつき)、内部形状(空洞)、前面状態、全体寸法が要因として含まれる。

例えば、同じ形状・容積でも、比重が違えば浮遊速度は違うのである。また、逆に同じ比重のものでも、その形状が違えば浮遊速度は違う。大豆の浮遊速度は、整粒で11~12m/sec、半割では6~7m/secであるので、風速10m/secで同比重でも分離選別できる。

図2-2  風力選別原理

図2-2  風力選別原理

(2)風力選別機の種類と特徴

風力選別機には、吹上げ式・吸引式・密閉式の3種類あり、それぞれのおおまかな機構及び特徴は次のとおりである。

  1. 吹上げ式風力選別機
    風力選別機の原理に一番近く下部に吹上げ送風機があり、筒(以後はコラムという)内はプラス圧になっていて風の流れは下方から上方である。そのコラムの途中から、できるだけ垂直方向の運動エネルギーがゼロになるように選別するものを投入する。
    図2-3のように、送風機は風の脈流が少ない多翼扇(シロッコファン)で両吸込型である。選別物の投入は振動フィーダーで水平方向にされ、重い製品は中網上を滑り排出され、軽いものは拡散室で風と分離され落下補集される。

    図2-3  吹上げ式風力選別機
    図2-3  吹上げ式風力選別機


    図2-4は特に大豆の乾燥後の粗選機として考えられた機種で、製品の排出は図2-3とほぼ同じであるが、軽量物は拡散室で分離され補集されるが、それぞれの持つ浮遊速度の違いを効果的に利用し、有価物(売れるもの)と無価物(捨てるもの)に選別している。
    図2-5は、荷受け時の粗選機として考えられた機種で、図4の風力選別機の大型化と重量物の粒選機構があり、重くて大きい夾雑物の除去も行っている。大豆荷受け用としては最適である。

    図2-4  乾燥大豆用選別機
    図2-4  乾燥大豆用選別機

    図2-5  荷受用粗選機

    図2-5  荷受用粗選機

  2. 吸引式風力選別機
    図2-6のように、サイクロン上部に吸上げ排風機があり、下部はロッカーバルブでエアーロックされている。サイクロンとつながっているコラムはマイナス圧になり、風の流れは下方から上方である。選別物の投入方法は、吹上げ式と同様であるが、重量物の排出はコラム下部から落下し中網などはない。軽量物は、サイクロンで風と分離されロッカーバルブを介して排出される。同じコラム断面積で同じ風速を設定する場合は、吹上げ式風力選別機の2倍以上の動力が必要となる。
    これは、コラム内への風の吸引は下部以外からもあり、またサイクロン内の圧力損失が大きいからである。軽量物をサイクロン補集するので埃がでない。

    図2-6  吸引式風力選別機
    図2-6  吸引式風力選別機

  3. 密閉式風力選別機
    図2-7のように送風機の吸引と排気がつながっていてその途中がコラムとなり、そこに投入された選別物のうち重量物はそのまま落下しロッカーバルブを介して排出され、軽量物は、拡散室で風と分離しロッカーバルブを介して排出される。製品の排出もロッカーバルブを介するので、若干の破損が発生することがある。

    図2-7  密閉式風力選別機
    図2-7  密閉式風力選別機

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