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農林水産省

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3.貯蔵施設 ― 貯蔵施設 ―

大豆の貯蔵において望ましい環境条件は、加工原料としての品質面からいうと温度15℃以下、湿度60~70%となるが、(他に呼吸を押さえるための空気組成や害虫駆除可能な圧力等が考えられているが、現時点では十分な検証がされていない。)このような環境に整備することはおおきな投資が必要である。従って、外気条件が15℃、70%以下の期間だけ貯蔵する場合や、このような条件下での貯蔵を必要としない大豆の場合は、環境制御装置のない貯蔵施設で十分である。更に、この環境条件を見ると、米の場合と同じであることから、米の貯蔵庫を利用することも可能である。

貯蔵の形態については、純ばら貯蔵が容積率の観点や、ハンドリング上望ましいが、実需者からの要求上、フレコン袋・個袋貯蔵も行われる。ここでは総体的に貯蔵庫の形態と特徴について述べる。

(1)温・湿度環境からの分類

  1. 低温貯蔵施設
    定められた施設内空気条件(例えば15℃、70%)に制御可能な施設
  2. 準低温貯蔵施設
    空気条件制御はできないが、外熱の侵入を極力防止するための「断熱」が施されている施設
  3. 常温貯蔵施設
    特に環境対策を施していない施設

(2)形態からの分類

  1. 倉庫型施設
    ア   平床方式
    床面上にフレコン袋または個袋を直接はい積みするので、袋間にほとんど隙間がなく容積効率は良い。入出庫はフォークリフトまたは天井に設置された電動クレーンによる。建設コストは最も安価であり、ランニングコストもほとんどが人件費のみである(低温倉庫では空調電気費も必要)。また、内部は設備・装置がないことから、どのような形状のものでも入庫でき汎用性がある。しかしながら、他の方式に比べて多人数を要すること、はい積みに熟練を要すること、基本的には後入れ先出しとなること、低温の場合、時節によって作業者が高温外気と低温室温に繰り返しさらされること等の欠点がある。クレーンは通常2t吊りで、25m/分のものが設置される。

    イ   平床枠付方式
    平床倉庫内にフレコン袋の大きさの枠を碁盤の目に設け、フレコン袋を枠内に積み重ねるもので、個袋積みは普通できない(図3-4)。碁盤目の枠は番地が設定され、外部から番地を指定し天井クレーンで出し入れを行う。どの番地からでも出し入れ自由である。但し、一つの枠内(5~6段)では後入れ先出しとなる。

    図3-4  平床枠付倉庫と枠
    図3-4  平床枠付倉庫と枠

    ウ   ラック方式(固定ラック式)
    倉庫内にフレコン1袋分に区切られた固定ラック(棚)を数列設け、ラックとラックの間に自動走行するスタッカークレーンにパレットに載せて入出庫を行う。平床式よりは容積効率は落ちるが、フレコン1袋づつラックに載せるためフレコン袋には荷重がかからず、ラックの段数を増やして収容を多くすることができる。どのラックからも出し入れ自由であり全て外部から操作できる(図3-5)。ラックの設計にあたってはパレット寸法、フレコンに大豆を入れたときの荷姿寸法、パレットにフレコンを載せたときの収まり方(パレットとのズレ)等を考慮して設計する。通常図3-6の寸法が採られる。スタッカークレーンの走行速度は通常、最大63m/分(空荷時同80m/分)、昇降速度最大20m/分(同40m/分)で設定される。

    図3-5  乾燥調製施設と併設した固定ラック式倉庫
    図3-5  乾燥調製施設と併設した固定ラック式倉庫

    図3-6  ラック寸法
    図3-6  ラック寸法

    エ   ラック方式(移動ラック式)
    ラック自体を1列づつ移動可能にしたタイプで、ラック構造は複雑になるが、スタッカークレーンの走行スペース部分が1走行分で済み容積効率は高まる(図3-7)。通常移動ラックの走行速度は最大10m/分である。

    図3−7  移動ラック式の概観
    図3-7  移動ラック式の概観

    オ   純ばらタンク方式
    倉庫内に数トン~数10トン程度のバルクサイロと称するタンクを一面に設置し、コンベアで入出庫するタイプである(図3-8)。純ばら貯蔵は後述のビン方式やサイロ貯蔵が多く、米倉庫の例でもこのタンク方式はあまり多くない。倉庫方式ではあるが出荷設備(フレコン袋、個袋計量器等)が必要となる。なお、純ばらタンク方式における低温貯蔵方式は建物内全体を空調する方式とタンクに直接冷風を送り込み穀物自体を冷却する方式がある。

    図3-8  純ばらタンク方式の例
    図3-8  純ばらタンク方式の例

  2. ビン式貯蔵施設
    角ビンと言われる単板のビンの外側及び上屋を断熱し、全体として密閉構造としたものと、外壁を二重壁とし、間に断熱材を入れた屋外設置型丸ビンタイプがある。いずれも内部床下から送風でき、乾燥した後そのままばら貯蔵することができる貯蔵乾燥方式といわれるタイプである。投入・排出時には割れ防止対策を採る。角ビンはエア・スイープで排出されるが、丸ビンはスクリュー・オーガ排出となるので、径があまり大きくない丸ビンとすることが必要である。通常、準低温貯蔵施設である。
  3. サイロ貯蔵施設
    輸入大豆では港湾の大規模サイロに直接投入して貯蔵される。国産大豆のサイロ貯蔵例は見られないが、カントリーエレベータ(CE)のサイロ等を活用することは可能である。特に最近では大型循環式乾燥機を使用するCEで、間隙サイロに余裕がある場合が見受けられるのでこれを利用することも一考の価値がある。しかしながら、直接投入するには高さが有りすぎるので、割れ粒防止シュートなど考慮する必要がある。準低温式貯蔵であるが、最近米麦用サイロで冷却設備が設置されてきている。冷却設備は直接穀物層へ冷風を送り込む方式と、最近ではサイロ2重壁間へ冷風を送り、サイロ全体を冷却する方式がある(図3-9)。

    図3-9  サイロ冷却方式
    図3-9  サイロ冷却方式
    (左2本:内部冷却方式、右2本:内部及び2重壁間冷却方式)

お問合せ先

農産局穀物課
担当者:豆類班
代表:03-3502-8111(内線4846)
ダイヤルイン:03-3502-5965