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農林水産省

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更新日:平成28年2月2日
担当:食料産業局 知的財産課

登録の公示(登録番号第10号)

下記の地理的表示について、登録の公示をしたのでお知らせします。

伊予生糸

1 登録番号  第10号
2 登録年月日  平成28年2月2日
3 登録の申請の番号  第11号
4 登録の申請の年月日  平成27年6月1日
5 登録生産者団体の名称  愛媛県西予市蚕糸業振興協議会
6 登録生産者団体の住所  愛媛県西予市野村町野村 8-177-1 西予市野村シルク博物館
7 登録生産者団体の代表者の氏名  会長 二宮紀夫
8 登録生産者団体のウェブサイトのアドレス  -
9 特定農林水産物等の区分  第四十二類 生糸類 家蚕の生糸
10 特定農林水産物等の名称  伊予生糸(イヨイト)、Iyo Raw Silk
11 特定農林水産物等の生産地  愛媛県西予市
12 特定農林水産物等の特性

 【品質】

「伊予生糸」は他の産地の一般的な生糸と比べて、白い椿のような気品のある光沢があり、嵩高で、ふんわりと柔らかい風合いを有する。「伊予生糸」の最大の特徴は嵩高である。

「伊予生糸」の嵩高は、時間をかけて丁寧に糸を繭から引き出すため、蚕がS字状に吐いて作った糸の繊維のうねりがそのまま残ることによって生じる。その結果、「伊予生糸」は他の生糸(流通規格の箱が30kg)と比較して、体積当たりの重量は2/3(20kg)以下になる。

 【社会的評価】

(ア) 古くから伊勢神宮や皇室の御料糸として採用されている。

なお、過去に伊勢神宮式年遷宮の御料糸として採用されたのは、昭和28年、昭和48年、平成5年、平成25年である。

(イ) 昭和24年の英国エリザベス女王戴冠式の衣装に使用された。

(ウ) 能装束の復元に使用されている。

(エ) 絹織物業者間では、伊予生糸は着物などに求められるシャリやコシ、ハリ、ふくらみなど、一般に風合いといわれる織物の特性を備えており、織物にすると柔らかさと暖かさがあるうえ、着物では着崩れしにくく、帯なら締まり具合いが良いなど、別格の品質としての評価が高く、少なくとも平成22年から1キロ当たり21,000円という高価格で取引されている。なお、平成25年度の国内生糸価格は1キロ当たり7,475円である。

13 特定農林水産物等の生産の方法

「伊予生糸」は、下記の行程を含む「生繰り法」で生産する。

一般に、「生繰り法」とは繭の中の蚕を生きたまま繰糸する昔の手法であるが、国内の代表的な生産地では、加熱乾燥させた繭から繰糸する方法が採用されている。繭を加熱乾燥すると、中の蛹(蚕)は干乾びて、蛾になって繭を破って出てくることはなく、湿気がなく乾燥状態なので繭にカビが生えることもない。したがって、年間を通じて繰糸するには、一定の時期に大量に収穫した繭を長期保存できるこの方法が適している。

しかし、「繭は昆虫が作った蛋白質なので、たとえ僅かでも熱にあたると硬く変性してしまう。生糸本来の良さを活かそうと思えば、生繭からひいた生糸の方が優れる」という説もあることから、「伊予生糸」は、あえて繭を加熱乾燥させず、昔ながらの「生繰り法」を採用している。

「伊予生糸」は、具体的には次の(1)、(2)に記載の特徴を有する「生繰り法」で生産される。

(1)原料となる繭
愛媛県産の蚕の繭を、乾燥し殺蛹した繭である乾繭にせず、生の状態で冷蔵保存(5℃~6℃、保存期間の限度1年)したものを原料とする。冷蔵保存することにより、蛹から蛾への変態を防止でき、カビ等の発生を抑制することもできるが、加熱乾燥させた繭を保存するよりも手間暇はかかる。

繭については、品種「あけぼの」、「春嶺×鐘月」、「錦秋×鐘和」、「かい・りょう×あけ・ぼの」を用いる。

なお、入荷段階で、内部汚染繭、薄皮繭、奇形繭等の不良繭を取り除く選別作業を行う。

(2)繰糸
四国山系をその源とする水(水道水を含む)を使い、多条繰糸機(たじょうそうしき)を用いて低速で(生糸にかかるテンション〔張力〕を抑え)繰糸する。

多条繰糸機は、テンション(張力)を抑えつつ低速で、かつ、多数の繭から繰糸することのできる繰糸機であり、手間暇がかかって生産効率は悪い。しかし、これを用いることにより、白い椿のような気品のある光沢があり、嵩高で、ふんわりと柔らかい風合いを有する生糸を生産することができる。

国内の代表的な生産地では、多条繰糸機の代わりに、より生産性を向上させた自動繰糸機が使われているが、「伊予生糸」のような生糸を生産することは困難である。

「伊予生糸」では、品質を担保するために、多条繰糸機を用い、伝統的なこの繰糸技術を守り続けている。

(3)出荷規格
出荷に当たっては、光沢及び風合いが「良」であり、流通規格の箱(30kg用箱)に梱包される生糸の重量が20kg以下になっているものを選別する。なお、つやがなく(光の反射がなく)、手触りに違和感があるものを除き「良」とする。

(4)最終製品としての形態
「伊予生糸」の最終製品としての形態は、生糸である。 

14 特定農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由

「伊予生糸」は、四国山系をその源とする水(水道水を含む)を使い、国内の代表的な生産地とは異なり、生繰り法により蚕が生きた状態で冷蔵保存した繭を原料として、テンション(張力)を抑えつつ低速で、かつ、多数の繭から繰糸する多条繰糸機を用いて生産される。それにより、白い椿のような気品のある光沢があり、嵩高で、ふんわりと柔らかい風合いを有する生糸となる。

西予市では、製糸用水として主に沢水、河川水や地下水を使用していた頃から、四国山系の石灰質を含んだ水を使って繰糸すると生糸を糊状に覆っているセリシンが溶け出しにくいため、白い椿のような気品のある光沢があり、嵩高で、ふんわりと柔らかい風合いを有する生糸を生産できるというのが通説となっている。

このような生産の方法を用いることで、「伊予生糸」の嵩高等といった特性が生まれる。 

15 特定農林水産物等がその生産地において生産されてきた実績

昭和9年~38年、平成9年~27年まで、合計47年間生産されてきた。

参考までに、現在入手できる野村町(現在の西予市野村町)の繭生産量データによると、昭和26年には約119,782kg(1貫=3.75kgで換算)が生産され、次第に生産量が増大し、昭和45年には245,100kg生産されていた。その後現在に至るまで繭の生産量は減少傾向が続いている。

なお、昭和39年~平成8年までは、多条繰糸機ではなく、自動繰糸機を用いて製糸していた。この当時は、絹の需要が多く大量に安価な商品を製造する必要があったため、自動繰糸機を使用していたが、その後、需要者の高級志向に伴い、高品質な商品を製造する必要があったため、再度多条繰糸機に変更した。 

 

●愛媛県西予市蚕糸業振興協議会設立の経緯について

愛媛県内の蚕糸関係機関が一体となって蚕糸業発展と農家経営の安定向上を図る目的で、昭和27年3月、愛媛県蚕糸業振興協議会が結成された。

この会に県内7支部が設けられ、その中に現愛媛県西予市蚕糸業振興協議会の前身である東宇和支部があり、現在まで存続しているのは当協議会のみである。

当協議会では、高品質生糸の生産管理を行うとともに、県内の蚕種から養蚕及び製糸までの一貫体制を次世代に引き継ぐため、関係機関で密接に連携し、各種支援事業の実施や講演・研修会を開催している。

 

●地域に養蚕が根付いた経緯

愛媛県の養蚕業は明治初期に始まり、昭和初期に全盛期を迎えた。

県内各地域で養蚕業が普及・定着した理由としては、本県は、温暖な気候風土であり、四国山脈から流れ出る河川周辺に桑園に適した肥沃な土地が数多く有り、加えて、水田にできない中山間地域の傾斜地でも桑園が拡大できたことで良質な繭が生産できた。

また、上蔟等の繁忙期に人手を確保できる農村が点在しており、収益性も高かったことから、各産地に製糸工場が整備され、高度な製糸技術により地域の主産業となった。

しかし、国内の着物需要の減退と安価な外国産生糸が輸入され、各拠点の製糸工場が閉鎖される中、工場周辺の養蚕業も衰退し、現在では野村シルク博物館でのみ、昔ながらの製法や文化を守り、伊予生糸の生産が続けられている。

16 法第13条第1項第4号ロ該当の有無  該当しない
商標権者の氏名又は名称  -
登録商標  -
指定商品又は指定役務  -
商標登録の登録番号  -
商標権の設定の登録(更新登録があったときは、更新登録も含む。)の年月日  -
専用使用権者の氏名又は名称  -
商標権者等の承諾の年月日  -
17 (11から13までに掲げる事項と明細書に定めた法第7条第1項第4号から第6号までに掲げる事項とが異なる場合)その内容  -
18 特定農林水産物等の写真  伊予生糸画像

 

お問合せ先

食料産業局知的財産課

担当者:地理的表示保護制度担当
代表:03-3502-8111(内線4284、4282)
ダイヤルイン:03-6744-2062、03-6738-6315
FAX番号:03-3502-5301