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農林水産省

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株式会社ふくしま

働き方改革インタビュー

   株式会社ふくしまは、学校給食、病院施設給食、事業所給食、外食産業、惣菜・食品製造業まで、給食業態を中心に業務用ユーザーを広くカバーする、大正12年創業の地域密着型の業務用総合卸商社です。
   たとえば、病院食で培った栄養バランスや咀嚼しやすいメニューの知識を学校給食や事業所給食に提案したり、事業所給食や外食産業の味へのこだわりを病院食や学校給食に紹介するなど、すべての業種を扱う総合商社ならではの強みを生かした様々なご提案をしています。
   この度、働き方改革の取組について、株式会社ふくしま代表取締役社長の福島毅春さん、常務取締役の橋本均さんにお話を伺いましたので、その内容を紹介いたします。

写真左:株式会社ふくしま 代表取締役社長  福島毅春様
写真右:株式会社ふくしま 常務取締役  橋本均様
ふくしまの社員と
(2019年9月17日 株式会社ふくしま
北関東支店[群馬県前橋市]にて)
写真左:
株式会社ふくしま 代表取締役社長福島毅春様
写真右:
株式会社ふくしま 常務取締役橋本均様
「属人化」から「しくみ化」で
付加価値を創出

背景、きっかけ

   弊社が働き方改革・業務改善に取り組んだきっかけは、深刻な人手不足です。人材確保が難しく、また、離職者も少なくないことから、休日の増加、労働時間の短縮といった職場環境の改善が必要ですが、それを実現するため、業務のムリ・ムダの排除に取り組みました。なお、これには、2004年にISO14001の認証を取得した際、しっかりとした手順書を作成した経験が活かされました。

属人化から「しくみ化」へ  
~[1]食品ロスの削減と
営業の見える化~

見える化のサンプル 誰がいつ、どのお客様に訪問したか一目で分かる表で見える化

   弊社では、2004年当時、年間700~800万円相当の食品を廃棄し、廃棄費用が大きな負担となっていました。弊社は、給食事業者に対する食品・食材の提供をメインに行っていますが、給食事業者は〇人分という「食数」で注文するため、弊社側には、必ず端数残が発生してしまいます。過剰在庫もあったのですが、賞味期限の関係上、かつては多くの食品ロスが発生していました。
   そこで、食品ロスの削減と業務の効率化に取り組み、先ず、取り扱うアイテムの絞り込みを行いました。当時は、月間約6,000アイテム以上の商品を扱っていましたが、事務作業及び食品ロスの削減を目指し、当社として売るべき物を決めて、2010年には約3,000アイテムにまで絞り込みました。この結果、現在では廃棄する食品は年間100万円未満にまで削減することができました。
   一方で、アイテム数の絞り込みに伴って売上が減少することのないよう、これまで属人化していた営業を「仕組み化」し、約3,000のアイテムを効率的・効果的に販売することに取り組みました。
   また、2012年には、お客様への営業活動を平準化するため、業務の「見える化」に取組み、どのお客様に、いつ営業をしたのかが分かるように、一覧表を作成し、会議室のホワイトボードに掲示することとしました。また、お客様ごとに担当を属人化せず、どのお客様にも偏りの無い営業ができるようになりました。

属人化から「しくみ化」へ  
~[2]いろいろな情報満載!
ふくしま価格表~

   また、2001年から一部のお客様向けに価格表の作成を開始したのですが、2008年より学校給食を除くすべてのユーザー向けに、単なる文字だけの価格表ではない、弊社独自の「ふくしま価格表」というものを始めました。弊社の全てのアイテム・価格を商品画像付きオールカラーで印刷したカタログで4か月ごとに更新しています。お客様に4か月間の明確かつ安定した価格をお約束し、商品画像はお客様がメニューを作成する際に役立てていただければという思いを込めています。
   以前は、営業担当が属人的に商品の価格や販売単位を決定していましたが、「ふくしま価格表」により、営業担当が価格交渉をする必要がなくなりました。以前は、仕出給食や個人の弁当店等が主なお客様でしたが、現在は、病院や施設、事業所が主なお客様になっているので、価格が明確だと安心して取引できると好評をいただいています。
   ところで、「今時、紙のカタログ?」と思われるかも知れませんが、病院等の給食施設ではインターネットの環境が整備されていないところが多いため、紙のカタログは分かりやすいと好評をいただいています。また、「ふくしま価格表」には、価格等の情報だけでなく、「おもしろクイズコーナー」や「食品に関わる豆知識」、「リードタイムのご案内」などをイラスト付きで紹介するなど、お客様との情報共有のツールとして、親しみやすい紙面構成になるよう工夫しています。

   さらに、お客様に適切な商品の紹介が出来るよう、これまで以上にきめ細やかに、付加価値を提供できるよう心がけています。
   例えば、弊社では、お客様に対して「まとめ買いから使い切り消費へ」を提案しています。弊社の提案する商材は、単価は少し高めですが少量注文が可能であり、お客様側でロスを減らすことができます。
   このほか、下処理が要らない商品の紹介や、温めるだけで提供できる商品の紹介なども行っています。10月26日に給食食材の展示会を行う予定であり、そこでもクッキングオペレーション改革をテーマとしています。

価格表表紙ふくしま価格表の表紙
価格表 お客様サポート

属人化から「しくみ化」へ  
~[3]企画室の設置など~

ふくしまの提案

   2010年には、お客様からのお問い合わせ等に対応する専門部署である「企画室」を設置しました。企画室には、栄養士も含めて女性5人を配置し、商品サンプルの提供依頼や価格のほか、栄養成分など各種の問い合わせに対応しています。
   お客様からの問い合わせを営業担当に任せきりにすると、個人の能力によって対応の濃淡が出るおそれがあるほか、営業担当の負担にもなります。
   また、企画室では、以前は営業担当が行っていた売上入力等の事務作業も行っており、営業担当はこれまで以上に営業活動に専念できるようになりました。

   さらに、企画室では、2012年からWEBによる商品規格書検索システムも導入しています。お客様がこのシステムに登録し、弊社がIDとパスワードを発行することで、お客様が栄養成分表やアレルゲン、原材料等の情報検索のほか、商品の発注も行うことができます。商品の情報はメーカーが入力するので弊社が入力ミスをするリスクも防げます。徐々にお客様に浸透しつつあります。

配送等について

   弊社では、商品の置き場所の指定等といったお客様からの様々なご要望にきめ細やかに対応するため、基本的には自社で配送しています。
   先日、役職者、実務担当者が参集した部門間会議の中で、物流実務者から「極端な小口配送はいかがなものか」という意見が出ました。このため、お客様に状況を理解していただくため、「ふくしま価格表」の紙面を通じ、目安金額を提示し小口配送金額への協力依頼を行っています。
   引き続き、小回りの効く弊社の強みを活かし、お客様に付加価値を提供していく上でも、相互の理解も重要だと思います。

休日の増加

   年間休日を増やすことは、売上にも直結することから、3~4年ほど前から慎重に会長、社長、常務の経営トップで検討し、昨年の後半に6か月の試行期間を経て、今年から年間休日を99日から105日に増やしました。

今後

   昨今、人手不足は大変深刻で、特に人材の確保が困難な状況にあります。また、これまでの働き方や職場環境を見直さないと、うまく業務が回らなくなるだけでなく、有望な人材を獲得できないといった懸念もあります。
   特に、営業よりも配送担当(トラックドライバー)を確保するのが難しく、高齢者向けにトラックを小型化することも検討しています。 これは、弊社だけでなくお客様にとっても大きな問題でありますので、お客様とも問題意識を共有しつつ、引き続き、付加価値を提供できるよう努めていきます。

株式会社ふくしまの皆様、
インタビューのご協⼒
ありがとうございました。

お問合せ先

大臣官房 新事業・食品産業部 新事業・食品産業政策課

代表:03-3502-8111(内線4136)
ダイヤルイン:03-3502-5742