カゴメ株式会社
カゴメ株式会社は、野菜飲料やトマト調味料等を製造する他、国内外で原料農産物や種苗の生産を行っています。そして、これまで培ってきたトマトや健康への知見をさまざまな社会課題の解決に活かし、持続的に成長できる強い企業を目指しています。
この度、働き方の改革の取組について、カゴメ株式会社東京本社の人事部課長・中里さん、人事部主任・岩永さん、経営企画室広報グループ部長・鶴田さん、経営企画室広報グループ課長・北川さんにお話を伺いましたので、その内容を紹介いたします。
カゴメ株式会社東京本社
経営企画室 広報グループ 部長 鶴田 秀朗様
カゴメ株式会社 人事部課長 中里一路様
カゴメ株式会社 人事部主任 岩永健吾様
カゴメ株式会社東京本社
経営企画室 広報グループ 課長 北川 和正様
(2019年8月2日 カゴメ株式会社本社にて)
カゴメ株式会社東京本社
経営企画室 広報グループ 部長 鶴田 秀朗様
カゴメ株式会社 人事部課長 中里一路様
カゴメ株式会社 人事部主任 岩永健吾様
カゴメ株式会社東京本社
経営企画室 広報グループ 課長 北川 和正様
~厳しくも、働きやすく、
働きがいのある会社になる~
背景
当社の働き方の改革のスタートは、2014年1月に社長に就任した寺田の第一声であり、「20時までに退社」というトップメッセージでした。終わりの時間を決めてしまえば、自ずと無駄なものが省かれる、生産性が上がるという考えです。
当時は、主力の野菜飲料の業績が厳しい状況であった一方で、社内には、「ムリ、ムダ、ムラ」が散見されていました。
このトップの号令の下、「働き方の改革」と「収益構造改革」をスピーディーに進めていくことになりました。
ムダな業務をなくす
2014年10月には、「業務改革推進室」を設置して、各部門での業務の棚卸からスタートし、無駄な業務を無くす取組を行っています。
無駄な業務を無くすためには、やらなければならない業務を明確にする必要があります。こうした考えもあり、2019年から、全従業員がKPI(Key Performance Indicator(重要業績評価指標))を設定し、業績評価に反映しています。もちろん、KPIを設定するときは、上司と徹底的に議論しています。こうした結果、最近では、個人のKPI以外のムダなことが排除される流れも出てきました。なお、個人別に設定したKPIについては、役員を含む全ての従業員がイントラネット上で閲覧可能としています。
無駄を省くということでは、例えば、会議一つとっても随分変わりました。今では、会議資料は原則、開催日の3営業日前に閲覧可能としたので、既に閲覧している前提で、当日の資料説明は短時間で行うようになり、会議に拘束される時間が短くなりました。また、紙で資料を配布していた頃は、文章を頁内に収める等、見た目をきれいにするために多くの時間を費やしていましたが、ペーパーレス化により、どこで文章が切れてもいいので、この時間も短縮されています。こうした積み重ねが大切だと思います。
年間1,800時間を目指して
2016年度に約1,990時間だった年間総労働時間を、2020年には1,800時間(※)まで削減することを目指しています。
1,800時間・・・224日(休日と有給20日を除く労働日数)×1日8時間労働
当初は、「1,800時間はさすがに無理だよ」という声もありましたが、今では、「目標(1,800時間)に少しでも近づこうとすることが大事だ」という意識に変化しています。以前は、長時間働く人が評価される風潮もありましたが、これでは時間的に制約のある人が同じ仕事をしても評価されず、モチベーションも上がりません。今では、「早く帰る人=デキル人」という新しい価値観に変化してきているように感じます。
また、2016年4月には、100%子会社の「カゴメアクシス株式会社」を立ち上げ、カゴメグループの間接業務(財務経理・総務・情報システム・不動産管理・給与計算・商品情報管理等)を集約・標準化するなど、グループ全体の業務効率の向上を推進しています。
ダイバーシティの推進
食品業界は、一般的に女性の社員が多いイメージがあるのではないでしょうか。また、当社の商品を購入されるお客様も女性の割合が多いのですが、社内をみると、女性の従業員の割合が少ないというのが実態です。この当社を取り巻く環境と社内の男女構成比のギャップは、今後の企業の成長の支障となる可能性があると考え、ダイバーシティ(多様性)のうち、まずは女性に着目して取り組んでいます。
女性が活躍できる環境整備としては、まず、執行役員の1人を女性の活躍担当としています。また、新卒者の採用では女性の割合を半数以上にしています。
2015年10月には、トップ直轄の組織として「ダイバーシティ推進室」を立ち上げました。
そして2016年には、社長の寺田を委員長とする「ダイバーシティ委員会」を設置。年に4回程度、全事業所で選任されたダイバーシティ委員を東京本社に集めて、従業員がより働きやすく、より活躍していくための施策を検討したり、ダイバーシティ推進活動の好事例を共有したりしています。好事例については、全従業員に知ってもらえるよう、社内イントラや社内SNSでも公開しております
ダイバーシティ委員会の活動は2019年で4年目に入り、委員の経験者は、国内従業員数の4分の1にあたる約450人まで拡大しました。今後も委員会活動を継続して、ダイバーシティについて深く考える従業員を増やしていきたいと考えております。
こうした活動の一方で、人事部では、フレックスタイム制度、テレワーク勤務制度、勤務地を選択できる地域カード制度など、従業員の多様なライフスタイルに対応する様々な制度を毎年のように導入するなど、制度面で働き方の自由度を高めています。
テレワーク勤務制度は本年4月から導入し、機密性の高いもの以外は全て実施できるようにしています。現在、新たにサテライトオフィスをテスト中ですが、「誰にも声をかけられずに、集中して業務を実施したい」という場合に、サテライトオフィスでテレワークをすると非常に効率が上がったという声も聞こえてきています。
工場での働き方においても、女性目線を意識しています。例えば、従来、工場では重いドラム缶を運んだりする作業は主に男性が行っていましたが、女性が作業するには困難です。このため、負担のない工程への改善や、ドラム缶を運ばずに原料を自動で投入できる機械を導入するなど、省力化・省人化・自動化の工夫をしています。女性が働きやすいよう、環境整備をすれば、男性にもとっても環境改善につながります。
また、2019年4月には、東京本社の近隣に『野菜を好きになる保育園 ベジ・キッズ』を開設しました。「従業員のキャリア形成」と「仕事と家庭の両立」を支援することを目的としたものです。当園では食育を大切にしており、トマトを育てたり、昼食の野菜を洗ったり、皮をむいたりする機会をもうけております。
社員の健康なくして
企業の成長はない
社員の健康にも力を入れています。
2016年には、カゴメアクシス(株)に総務健康サービス部を設置し、事業所すべてに産業医を選任するなど健康管理を推進しています。
また、2017年5月には「カゴメ健康7ケ条」を制定し「カゴメ健康経営宣言」を行いました。
2017年9月には、従業員である管理栄養士資格保持者による専門チーム「野菜と生活 管理栄養士ラボ」を立ち上げました。トマトを中心とする野菜の研究活動で培った知見、企業向けの営業活動で培ったメニュー開発・提案力を活かし、「健康セミナー」や「メニューレシピ監修」などのコンテンツを開発・販売しています。
また、2018年10月にはトップ直轄部門として健康事業部を新設し、主に法人や自治体向けに、健康増進をサポートするサービスを開発・販売しています。
今後
働き方の改革の開始当初は、一部には、「求められる成果が同じなのに働く時間だけ削減されるのはどういうことか」という声もありました。しかし、働き方の改革に関するトップメッセージが継続的に発信され、徐々に働き方の改革の本質が社内に浸透していったと思います。
働き方を見直すことで余暇の時間ができます。その分を家族と一緒に過ごす時間や自己研鑽に充てることが出来るので、働き方の改革は、自らの生き方を考えることと等しいのではないでしょうか。当社は、経営方針に「働き方の改革は生き方改革」と明記し、「やらされている感」から「自分自身のために」と意識の変化を促しております。
2018年度の総労働時間は1,929時間ですが、従業員1人1人を見ると労働時間も有休取得率もバラツキがあり、そのバラツキを解消してくことが重要だと考えています。
また、周囲を取り巻く環境変化に応じて柔軟に制度面も充実させていきますが、それだけで労働時間を劇的に減らすことは難しいので、「働き方を見直して生産性を向上していく」努力を地道に続けていきます。
成長意欲があり、多種多様な能力を持っている「強い個人」を作ることも重要です。
当社には、社員一人ひとりの主体性を重んじる「自主自立」という風土があり、個人を軸として、仕事と生活を自ら設計できる力を付けていきます。
インタビューのご協⼒
ありがとうございました。
そのほか、SDGsの取組に関するインタビュー記事もありますので是非そちらもご覧下さい。
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/kagome.html#com_top
お問合せ先
大臣官房 新事業・食品産業部 新事業・食品産業政策課
代表:03-3502-8111(内線4135)
ダイヤルイン:03-6744-2064