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農林水産省

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更新日:平成26年5月23日

担当:食料産業局食品製造課食品企業行動室

「第1回 食料産業における国際標準戦略検討会」(平成26年5月16日)議事概要

  1. 日 時: 平成26年5月16日金曜日 14時00分~16時30分
  2. 場 所: 農林水産省第3特別会議室
  3. 出席者:湯川座長、伊勢委員、伊藤委員、上野委員、大澤委員、奥村委員、川崎委員、財前委員、清水委員、原田委員
  4. 概 要:

【櫻庭審議官挨拶】

  「食料産業における国際標準戦略検討会」の開会に当たり、一言ご挨拶申し上げる。農林水産省食料産業局は、その名のとおり、食料産業の発展のための政策を担う組織である。その食料産業は、世界的に見ても、驚くほどの速さでグローバル化が進展している。こうした中、世界の主要国政府は、食品の安全と信頼を担保するため、食品製造業に対しHACCP導入の義務化を進めている。また、民間取引においても、食品安全や信頼確保のための取組を世界で統一的に管理する動きが強まっている。我が国の食料産業は、量的には人口減などで国内市場が縮小すると見込まれている中、海外市場に目を向ける必然性が高まっているのではないかと思う。その中で、規格や認証は、目に見えにくい価値を見える化し、取引上の地位を確保していくための重要なツール。工業製品の世界では、「標準を制するものは市場を制す。」と言われ、国際標準化に戦略的に向かっている。食品の取引においても、グローバル化の進展や日本の食材の素晴らしさが認められつつある中、日本の食品を世界に発信していくためには、規格認証のあり方がかつてなく重要性を増してきている。我が国食料産業においても、国際標準に積極的に関わり、国内の取組を世界に発信し、世界の標準化をリードしていけるよう戦略的に進めていく必要がある。本日、委員の皆様に忌憚のない意見を伺い、国際標準をリードする対策につなげていきたいと考えているので、よろしくお願いしたい。

【意見交換】

  • 湯川座長:国際認証の重みは重要性を増している。我が国としての対応について論点をいくつかあげているが、論点に縛られずどう考えるか。委員それぞれの意見を聞きたい。
  • 伊勢委員:食の安全性の規格がいくつかあるが、できれば統一を望む。日本の食料産業は中小事業者が多く、全ての事業者に対応できる規格認証を作るとすれば抽象的にならざるを得なく、日本の強みを考えた仕組みを作り上げるのは難しいのではないか。水産会社は鮮度感が大切、その上日本の食文化は鮮度や清潔を重視しており、HACCPの一般的な衛生のルールを保つことはすでにできている。諸外国は記録に関しては重視されているので書類上はHACCPに沿っているが、実情をみると本当に安全かと疑問に思うところもある。対して厚労省のマル総の考え方はよくできていると思う。
  • 湯川座長:水産物は昔輸出の花形だった。現在はどうか。
  • 伊勢委員:米国は米HACCPがあり、EUはEU-HACCPを義務化している。日本は水産国でありながら、市場では土間に直接鮮魚を置いたりしていて、外国人は驚く。一方で、刺身は日本では安心して食べられるが、諸外国ではなかなか難しい。実際の安全性と規格認証制度のねじれを感じている。
  • 伊藤委員:当社グループは製粉および加工食品事業を行っておりグループ全体としてISO22000の取得を推奨している。製粉ではISO9001を取得後、ISO22000を取得し2012年にはFSSC22000を取得した。ISO9001、AIBがベースにある方が取得が早い。物理・化学・生物面のみ捉えているとHACCPは全体俯瞰ができない。総論として、新たな食品マネジメントシステムがあるのは良いが、すでにISO22000やFSSC22000の認証に追加となる屋上屋は避けるべき。中小企業がどう考えているのかがポイントである。米国の新食品安全法を考えると相互認証はあったほうがよい。どの組織が中心になって長期的な管理をするのかなど長期ロードマップを描かないと前に進まない。必要性は理解しているがイメージがわかない。 
  • 湯川座長:FSSCの認証を取得しているメリットはあるのか。
  • 上野委員:日本国内で業界HACCPや自治体HACCPなど様々な認証スキームがあるのは無駄であり、まとめていった方が日本全体でみると効率が上がるはずである。GFSIが認めている認証の中には、BRCのように日本語での対応が困難なものがある。日本の中小企業にとって取りやすい認証があれば、歓迎されるものと思われる。海外にいた経験を踏まえると世界の中でも日本の食品の安全性は高いとう実感がある。日本の消費者の信頼を得るのは簡単ではないが、海外では日本の食品は安全性を含め、高い評価を受けていると思われる。取引先ごとにそれぞれ監査を実施している実態に対しては、何か一本化の仕組みができれば、我々にもメリットがでてくる。しかし、監査では、共通化できるものと会社独自に確認したい事項があるため、整理が必要である。
  • 大澤委員:我々は、国内で仕入れて、国内で販売している。取引は多岐にわたる。中小事業者からも仕入れており、監査も行っている。各種認証は目的がそれぞれあり、それを履行するための管理ツールであると考える。そして、それぞれの会社がどのやり方があっているのかで選んでいると思っている。様々な商品や製造形態があり、それを個別にマネジメントするため様々な規格があるのだと思う。
  • 奥村委員:システム認証と製品認証の二つがある。どの認証スキームにもメリットがあればデメリットもある。業界HACCPなどの認証スキームも、原則と手順を踏まえ適切に運用されていれば、個々の製品特性を踏まえた上での管理手法となり、それはそれで有効と思う。中小企業にとっては自治体HACCPから始めるのが良いが、普及率の低さが問題。相互監査するときHACCPの考え方を取り入れ、今後の日本の食品の安全を考えねばならない。日本の食品安全マネジメントの特徴や強みについて、日本特有の食品(例えばしょうゆや漬物)の製造は中小事業者が多く、経験を積んだ職人により経験と勘による管理が行われている。日本特有のものではあるが、経験を積んだ職人による経験と勘による管理そのものが悪いわけではない。その良さを認識することも必要である。しかし、経験を積んだ職人だけでは管理できない規模に拡大することは、経験のない従業員に能力以上の無理な製造をさせることになり、工程管理のマニュアルもなく殺菌の基準もないまま、経験のない従業員に能力以上の無理な製造をさせることで食品の安全を守ることはできない。中小事業者の取組を促進する方策について、食品製造にはリスクがつきものであり、経験や勘による管理ではなく、安全で安定した食品製造ができ、国際的に通用するような公的認証制度があればよい。公的認証制度は必要であるが、モチベーションを上げるような方策とセットでないと日本の中小事業者には浸透しない。
  • 湯川座長:二者監査ではマネジメントよりも、一般的衛生管理を中心に見ているという印象があるが。
  • 奥村委員:システムの監査だけで工場監査はできない。最終製品が安全な商品であるかも含め衛生面での要求事項を満たすかどうかも見ている。
  • 大澤委員:当社では、どうマネジメントしているのか、そして継続的な実施ができているかどうか重視している。品質が安定しないものは困るという考え方である。
  • 川崎委員:グローバル化の中で日本の食品産業を成長させるために、国際標準は大切であるが、そのためにも国際標準以前に考えなければならないことがあると思う。日本の食品産業の特徴は生ものや発酵食品が多いというようなこともあるが、一番の特徴は中小企業が大半であることである。そう考えるとHACCPの導入・普及及びその前段階の、一般的衛生管理強化が重要なのではないか。EU型のフレキシビリティ・HACCP等も参考にして国際標準のHACCPの導入・普及を進めていくことが求められているのではないか。一方、食品安全マネジメントシステムを考えるとき、組織マネジメントを重点に考えるより、食品の安全・衛生そのものに直結する仕組みを先に考えるべきではないか。また、仕組みやシステムを導入・普及するためには企業の現場レベルで指導・支援する人的体制づくりが大切と考える。一つの例であるが、HACCPの場合、一定の知識・経験がないと危害分析は難しい。ここを現場で指導するコーチのような支援が求められていると考える。
  • 財前委員:当社では、加工度が比較的低いものも高いものも手掛けている。ISO9001、マル総の導入に携わったし、自治体HACCPも経験した。それぞれの認証スキームはそれぞれの意味がある。新たな基準を作るという考え方もあるだろうが、今あるものをしっかり整理して、位置付けや関係性を整備することも大事。食品安全や品質監査は、こうすれば100点ということはないが、継続的に実施して、安全安心を高めるために必要なこと。商品の価格に反映できない点もあるが、やらないわけにはいかない。
  • 清水委員:当社では、食肉の生産・加工・販売をしている。国内市場が小さくなりつつあるなかで今後グローバルに考えていく必要がある。当社グループではISO9001、ISO22000、FSSC22000、SQFなどを取得している。加工はFSSC22000の取得を進めており、良い規格だと思うが、日本ではまだ理解が進んでないと思う。今後、日本発のスキームは前向きに考えていきたい。大企業は特に問題なく国際認証規格を取ることができるが、中小企業が取るためには工夫が必要。課題は人材の確保・育成であると思う。
  • 原田委員:当社ではISO9001の取得から始まり、近年ではGFSIが承認した認証スキームであるFSSC22000の取得を進めている。酒類でも山崎蒸溜所を始めとして、複数の認証スキームを取得済みであり、ビールは来年取得予定である。その目的は2つあり、「グローバルなお客様からの信頼獲得」と、「実力を上げるための手段として活用すること」である。ただし、複数の認証を取ることは、監査やその準備のための工数、およびコストについて負担になっており、如何に効率的に取得と維持を進めることができるか、工夫をしている状況である。食品製造に関しては既に海外グループ会社でもFSSC22000等の認証スキームを取得しており、これ以外の新しいものを作る必要性は感じていない。なお、我が国の中小企業でHACCPの取得を促進するには、科学的な専門知識を有する人材の育成が大切であり、これが進んでいないことが課題である。例えば業種ごとに、どのような工程にCCPがあるのか具体的に伝えるセミナー等があれば、普及を促進できるのではないかと考えている。
  • 湯川座長:中小企業を含めて安全管理の底上げをすることが必要という意見が出ている。これに関して事務局から何かご発言はあるか。
  • 事務局横田:中小企業の底上げのための人材育成はあるとして、この検討会では規格認証を用いて中小企業が評価されるためにはどうすべきかをお聞きしたい。
  • 奥村委員:中小企業の製品でも加工食品なのか生鮮食品なのかで異なる。HACCPも例えば牛乳など最終製品ではきちんとやっているが、搾乳部分などの取り組みはもっと期待したい部分もある。中小企業にもHACCPを理解している担当者が必要だが、それを育成することが難しい。全体を見ることができる専門家育成が重要になる。座学だけではだめで実地で指導することが必要。
  • 事務局横田:中小企業が輸出を志向していく中で、海外に評価されるためにはHACCPが必要になる。監査を第三者が見ることによって普及することは考えられるか。中小企業の底上げのために認証の活用はできないだろうか。
  • 伊藤委員:中小企業に普及しないのは、輸出を考えているところと日本国内だけを考えているところでは、HACCP導入に対する考え方が異なるのではないか。そもそもこの検討会の目的は、中小企業のHACCP普及なのか、輸出や海外展開を見据えたものなのか。
  • 事務局横田:検討会の目的は輸出や海外展開を見据えた食品事業者を拡大させようとするための環境整備をしようとするもの。
  • 伊藤委員:ならば中小企業の底上げではなく、システムの認証スキームをどうするか。海外の展開先によってもシステムが異なる。成熟した先進国として取り組むにはGFSIに承認されるレベルが必要ではないか。
  • 上野委員:輸出振興と言うことであれば輸出を増やすための方策の検討に絞るべきである。
  • 財前委員:輸出にターゲットを絞って、日本を前面に押し出す。日本の食品は価格が高いかも知れないが、品質が良いので売れる、という状況を作る。これなら意義があるのではないか。
  • 大澤委員:事務局からは、輸出だけではなく、日本の食品・食文化が海外から評価されるにはどうすれば良いかを議論したいと聞いている。
  • 湯川座長:海外からも旅行者が日本にたくさん来る。そのような方に日本の食品を評価していただくためにも我が国の食品食文化の評価は必要ではないか。輸出を考えているから国内は関係ない、と考える必要はないのではないか。
  • 櫻庭審議官:海外展開と中小企業の底上げを混ぜて考えなくてもよい。日本の職人的生産方法が現状と合ってない。マニュアルがないという状況では、HACCPが必要という議論ではないか。食品の衛生について我が国のHACCPが国際的に通用するかどうか当事者にもわからない。国際的に通用しないものはHACCPとは呼ばない、などとすべきではないか。命題は国際的に通用するためにはどうすべきか、と考えるべき。
  • 伊勢委員:元来、日本はシステムの導入には慣れていない。特に中小企業にとってマニュアルと記録の定着は難しい。国際標準は誰のためかと言うと海外の購入者のためであることから、日本と海外の互換性を持つ仕組みが必要。
  • 川崎委員:中小企業の底上げは海外展開を図るためにも必要と考える。業態ごとにそれぞれの実情があるだろうが、中小企業にとっても積極的に導入できる国際標準のHACCPとはどんなものなのか、その導入・普及に必要な具体的な支援のあり方も含めて検討することが大切と考える。
  • 清水委員:日本発のスキームを検討すべき。それには戦略が必要。日本はどうするのか。日本発のスキームのメリットが何なのか、まだ我々委員も十分には理解していないので、そのあたりを整理すべき。
  • 原田委員:今後の新しいスキームは、世界で認められるものでなければならない。フードチェーン全体を考えたときに、一次産品を扱う上流側の事業者が取り組みやすいスキームが必要と考えている。また、GFSIガイダンスドキュメントver7が2015年~2016年初め頃に出る予定であり、この中に組み込まれる計画がある「食品偽装」に関する要求項目を先取りした日本発の認証であれば、戦略的に意味あるものになる可能性がある。
  • 櫻庭審議官:食料産業局では遺伝子保護の法律を整備しており、日本がリードしてアジアを含めて世界における知的財産としての植物遺伝子保護を進めている。このような国際的貢献は重要である。日本食についても、海外において日本食での食中毒を起こさないよう食品の安全について、海外でシンポジウムを開いたりして啓発の工夫をしている。農家も中小食品メーカーも、記録については対応していかねばならない。世界標準で取組を進めていけば、副次的効果で中小企業の底上げにもなる。

 

次回の検討会は、6月19日木曜日14時00分から開催することとなった。

お問合せ先

食料産業局食品製造課食品企業行動室

代表:03-3502-8111(内線4162)
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FAX番号:03-6744-2369