このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

6次産業化アワードの受賞者はいま!~早和果樹園~

Web特集記事 6次産業化アワードの受賞者はいま!早和果樹園

6次産業化を広く紹介する取組として、平成25年度から「6次産業化アワード」は始まりました。
アワードは本年度で第7回目。今回は過去の農林水産大臣賞の受賞者を訪ねて、
受賞したことによる変化や“いま”の取組についてお話を伺いました。

6次化とは?

「6次化」は、生産者と距離が近づくキーワード!

6次産業化(6次化)とは、1次産業を担う農林漁業者が、加工(2次産業)、流通・販売(3次産業)にも取り組む経営形態を指します。つまり1次×2次×3次=6!で6次化。生産者が熱い想いで行う6次化は、わたしたち消費者と生産者の距離が縮まるきっかけにも。
作り手の顔が見える6次化商品に、要注目です!

第3回 6次産業化アワード 農林水産大臣賞 早和果樹園

早和果樹園の受賞後の歩み

株式会社早和果樹園概要

所在地:和歌山県有田市宮原町新町275-1
代表者:代表取締役会長 秋竹 新吾、 代表取締役社長 秋竹 俊伸
売上高:990 百万円(2019 年6月期)
従業員数:140名(パート含む)
URL:https://www.sowakajuen.co.jp/(外部リンク)

みかんの大産地である和歌山県有田市にある株式会社早和果樹園は、2014年度に第2回6次産業化優良事例表彰の農林水産大臣賞を受賞した。同社は自社圃場で栽培している有田みかんと地域農家から仕入れたみかんを自社加工場で、ジュース、ゼリーやジャムなどに製品加工している。また、加工の過程で発生するみかんの内皮や外皮を利用した、スムージー、漢方薬の陳皮、化粧品などの新たな製品の開発も積極的に行っている。同社は、みかんをまるごと利用した加工により、みかんの付加価値を高めている。そして、受賞当時と比較して、売上・組織規模も順調に拡大している(下表)。

  従業員数 (注1)(名) 売上高(百万円) 青果出荷量(トン / 年間) 加工用みかん量(トン / 年間)
2014年 98 625(注2) 400 700
2019年 140 990(注3) 400 1,200

(注1) 臨時雇用、関連会社含む。
(注2) 2014年6月期
(注3) 2019年6月期

直営店内部(みかんの加工による商品開発により、みかんの高付加価値化を推進)

直営店内部(みかんの加工による商品開発により、みかんの高付加価値化を推進)

受賞後の主な出来事

主な出来事 新商品
2014年   「薫木花」(みかんリキュール)
「みかんケチャップ」
2015年 ディスカバー農山漁村(むら)の宝 第2回選定地区に選ばれる。
株式会社早和なでしこを設立する
「みかポン・ジュレ」
「大てまりジュレ」
「飲むみかん」
2016年 第38回食品産業優良企業表彰で農林水産大臣賞を受賞する 「みかんアイスバー」
「飲むみかんジュレ」
「小てまりジュレ」
2017年 秋竹俊伸社長就任、役員の世代交代 「みかんの皮」
「みかんうどん」
2018年   「みかん七味とんがらし」
「おふくろスムージー」
「肌まろ」(化粧水)
2019年 ディスカバー農山漁村(むら)の宝サミットの大賞を受賞する 「ドライ輪切りみかん」
みかんジュースのリニューアル

農林水産大臣賞の受賞後、視察と講演の依頼が大幅に増加したという。それらが取引に直接つながることは少ないが、対応することで、商品だけでなく、生産や商品開発に携わる社員・役員の意気込みも知ってもらうことができる。
例えば、和歌山大学で、「和歌山企業経営トップ論」の講義。年1回の講義だが、毎回350名から500名程度の学生が参加する。学生からは、「みかんの農業についてはほとんど知らないが、こんなすごいことが起きている」、「こんな地元を盛り上げる会社で仕事をしたい」との感想が多く、若者に農業をアピールしていくことが大切と感じるようになった。このことから、就活サイトを通じて学生の募集を行うきっかけとなり、ここ数年は、毎年4、5人の新卒採用を行っている。新卒向け就活サイトでの募集はプレエントリーが250名にもなり、70名が会社訪問を行った。地方の一農業企業に、これほど多くの学生が志望してくるのは、それだけ早和果樹園での仕事に魅力を感じているからだろう。

組織面では、設立当初から経営に参画しているみかん農家の長男4人が、各部門の役員となることで、2年前に世代交代と事業承継を同時に果たし、組織の若返りも進めることができた。今では従業員の40%が20 代である。

従業員の方々(学生の新卒採用・女性の登用・シニアの活用を積極的に推進)

従業員の方々(学生の新卒採用・女性の登用・シニアの活用を積極的に推進)

さらに、働きやすい環境づくりの一環として、若い社員や一人暮らしの社員にきちんとした食事を摂ってほしいとの願いから、社員食堂を設置した。この食堂はNHK の人気番組「サラメシ」(2016 年1月9日放送)でも取り上げられ、会社の知名度の向上にもつながった。食堂の運営は、社員全員が女性である「株式会社早和なでしこ」が行っている。この会社は経験のある女性のシニア社員が得意分野を活かして、定年後も活躍できる場を作るために設立された会社で、今は食堂の運営を始め、直売店の運営、加工の業務を任されている。

みかん畑(品質と生産性の向上を両立)

みかん畑(品質と生産性の向上を両立)

同社は、品質と生産性の向上を両立するために、新しい技術の導入も積極的に進めている。同社のみかん畑は傾斜地であり、水はけがよく、日当たりの良い圃場でみかんを栽培することで、皮や袋が薄くなり、糖度も高くなるメリットもあるが、生育状況の確認が難しいといった問題もある。こうした傾斜地の不利性を、ドローンを活用することで克服している。今後は、病害虫の発見、防除にドローンを利用することも考えている。

加工では果実の未利用部分を原料とする製品の拡充を考えている。今まではみかん果実全体の55%を占める果肉・果汁を加工するジュースやゼリーが売上の増加を牽引してきた。しかし、現時点ではみかん生産の大幅な拡大は望めない。そこで、今後はみかん果実の残り45%にあたる皮や袋部分を利用した製品の売上を増やしていく必要がある。すでに陳皮は漢方薬の大手に出荷しているが、まだ原料供給の段階であり、今後は新たな製品の開発を図る予定である。

みかんの加工の工程(みかんは一つ一つ、人の手で皮をむいてから搾汁)

みかんの加工の工程(みかんは一つ一つ、人の手で皮をむいてから搾汁)

有田市は日本一のみかん産地であり、原料の確保は大丈夫という考えがあった。しかし、早和果樹園のみかんの加工量が増え、販路が拡がる一方で、地域のみかんの生産者は高齢化が進んでいる。みかん生産を魅力のある職業にしていかなければ、原料の供給が少なくなり、やがて経営も成り立たなくなるのでは、と考えるようになった。同社がみかんを加工・販売することで、生果で販売するよりも格段にみかんの価値は高くなる。そこで、その付加価値を加工用みかんの買い上げ価格に反映し、買い上げ価格を徐々に引き上げることで、みかん生産で安定した収入を得られる仕組みを作ることを自社の目標とした。
こうした取組により、地域の加工用みかんの価格は年々上がっている。そのことが認められ、2017年には、経済産業省から「地域未来牽引企業」に認定された。

みかん畑から望む地域(生果の価値を高め、地域に貢献)

みかん畑から望む地域(生果の価値を高め、地域に貢献)

国内のみかんの生産量は1975年の366 万5 千トンをピークに、2018年には77 万4 千トンと大幅に減少している。みかん農家をめぐる環境は厳しい状況が続いているが、早和果樹園は、“いま” も地域における6 次産業化のトップリーダーとしての役割を果たしながら、将来を見据え、地域のみかん生産基盤の強化に貢献しようと取り組んでいる。

様々な加工商品(新商品を積極的に開発)

様々な加工商品(新商品を積極的に開発)

お問合せ先

食料産業局産業連携課

担当者:企画班
代表:03-3502-8111(内線4306)
ダイヤルイン:03-3502-8246