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農林水産省

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第1回 農林業センサス研究会 議事録

1. 日時

平成29年6月27日(火曜日) 15:00~17:00

2. 場所

中央合同庁舎4号館1214特別会議室

3. 出席者

(委員)
安藤 光義、大山 泰、實川 勝之、竹田 麻里、橋口 卓也、星野 髙章、前田 佳良子、槙原 智子、村岡 真由美、行友 弥

(農林水産省)
大臣官房統計部長 管理課長 統計企画管理官 センサス統計室長 他

4. 議事

(1) 農林業センサスの概要について
(2) 2020年農林業センサスに向けた課題と主な論点について
(3) その他
 

  • 本間センサス統計調整官
    それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回農林業センサス研究会を開催いたします。
    委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
    議事に入りますまで本日の司会進行を務めさせていただきますセンサス統計室センサス統計調整官の本間と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
    初めに、研究会の開催に当たりまして、佐々木統計部長からご挨拶申し上げます。
  • 佐々木統計部長
    統計部長をしております佐々木と申します。
    今回、この研究会の委員をお引き受けいただきました皆様方におかれましては、本当にお忙しい中、お骨折りいただくことになるかと思いますけれども、ありがとうございます。また、何かにつけていろいろな場面で、農林水産省全体としてお世話になっていると思います。改めてこの場をおかりして御礼を申し上げる次第でございます。
    今回ご参画いただきます農林業センサスの研究会は、平成32年2月に現地での調査を実施することを予定している2020年農林業センサスの実施に向けまして、広く各方面のご見識をお持ちの方々からのご意見を伺いたいということで開かせていただくものでございます。
    農林水産省におきましては、昨今の政策展開の流れといたしましては、農林業者の方々の所得の向上を図っていくためにさまざまな政策展開をしてきているところでございまして、昨今の例で申し上げますと、昨年の11月に農業の競争力強化プログラムというものを取りまとめまして、これに基づいて関連する法律改正案などもさきの国会に提出をし、おかげさまをもちまして8本提出したものが成立を見て実行局面に入ろうとしているというところでございます。
    そういうさまざまな政策展開をしていくに当たりましては、政策を企画立案する段階におきましても、いろいろなデータに基づいて現状がどうなっているかということを分析して、どんな政策が必要なのかということを考えていくというのが常でございます。
    また、でき上がった政策が効果を発揮しているのか、お役に立っているのかということを検証する際にも、さまざまなデータをもって検証するというのが常でございまして、そういった政策を実行する部局の方々からの求めなり、あるいは学識者の方々からの求めなりに応じて、私どもは必要な統計データを把握をし、発信を続けてきているというところなわけでございます。
    そういうことで、さまざまな政策が転換しつつあるという状況のもとでは、私ども統計部が果たすべき役割は重たいものがあるなというふうに考えているところでございます。
    私どもが実施しております統計は毎年30件前後あるわけでございますけれども、この中で今回ご議論いただきます農林業センサスといいますのは、最もその根幹をなす調査でございます。5年ごとに実施しておりますけれども、およそ農業にかかわっている方々全員を対象にした大規模な調査ということでございまして、そういう調査で得られた情報の中から、こういう取り組みをされている方はどこにどれぐらい存在しているのかというのが把握できまして、そういう取り組みの詳細な中身を調査する、そういうサンプリング調査の母集団情報にもなっていくという、そういう意味合いを持っているものなわけでございます。
    また、全体を把握しているということでありますので、日本の農業全体の構造がどういうふうになっているのかということを俯瞰するためにも用いられておりまして、今年の5月末に国会に提出されました食料・農業・農村白書におきましても、特集を組むテーマの一つとして、2015年に実施した農林業センサスの結果を用いた分析がいろいろと組み込まれていたところでございます。
    また、昨年の6月には、その農林業センサスの結果を用いまして国勢調査とか、ほかの省庁が実施している調査の結果についても、農業集落という単位に分解してみた場合にどうなるのかということを盛り込んだデータベースをつくりましてホームページで公開をしているところでございます。集落ごとのいろいろなデータの濃淡が視覚的に見られるといったものを発信しているところでございまして、さまざまな地域政策でありますとか、対策を考える際にご活用いただきたいということでやっているところなわけでございます。
    このように農林業センサスは、いろいろな意味で政策の企画立案、それからさまざまな詳細な調査の母集団ということで使われているわけでありますけれども、昨今の調査を取り巻く環境も大きく変化してきておりまして、その環境にどう適応していくかということもあわせて考えていかないといけないというふうに思っております。
    そういう環境に加えまして、政策展開の転換の中でも、例えば今度始まります収入保険との関係とか、新しい政策ニーズにどう対応していくかということもございます。それから、データベースの話もご紹介しましたけれども、利用いただく方々にとってより見やすい、利活用しやすいという形での発信にどのように改善していくかといったことなども含めまして、一歩ずつ取り組んで実を挙げていければなというふうに思っているところでございます。
    この研究会におきましては、2020年の農林業センサスが求められている役割を十分に発揮できるものとなりますように仕上げていきたいと思っておりますので、利用者のお立場、調査の対象者のお立場、実施するサイドのお立場、あるいは国民的な視点などの立場など幅広い視点から忌憚のないご意見を頂戴できればありがたいと思っておりますので、これから少し長丁場になりますけれども、何とぞご検討方、ご意見の発信方をよろしくお願い申し上げます。
    よろしくお願いいたします。
  • 本間センサス統計調整官
    それでは、本日ご出席をいただいております委員の皆様をご紹介させていただきます。
    東京大学大学院農学生命科学研究科教授、安藤光義委員でございます。
  • 安藤委員
    安藤です。よろしくお願いします。
  • 本間センサス統計調整官
    株式会社フジテレビジョン報道局解説編集部解説委員の大山泰委員でございます。
  • 大山委員
    大山です。どうぞよろしくお願いします。
  • 本間センサス統計調整官
    株式会社アグリスリー代表取締役でいらっしゃいます實川勝之委員でございます。
  • 實川委員
    實川です。よろしくお願いします。
  • 本間センサス統計調整官
    東京大学大学院農学生命科学研究科助教、竹田麻里委員でございます。
  • 竹田委員
    竹田でございます。よろしくお願いいたします。
  • 本間センサス統計調整官
    明治大学農学部食料環境政策学科准教授でいらっしゃいます橋口卓也委員でございます。
  • 橋口委員
    橋口と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 本間センサス統計調整官
    有限会社農園星ノ環代表取締役でいらっしゃいます星野高章委員でございます。
  • 星野委員
    星野です。よろしくお願いします。
  • 本間センサス統計調整官
  • セブンフーズ株式会社代表取締役でいらっしゃいます前田佳良子委員でございます。
  • 前田委員
    前田でございます。よろしくお願いします。
  • 本間センサス統計調整官
    茨城県高萩市産業建設部農林課長でいらっしゃいます槙原智子委員でございます。
  • 槙原委員
    槙原です。よろしくお願いいたします。
  • 本間センサス統計調整官
    富山県経営管理部統計調査課長でいらっしゃいます村岡真由美委員でございます。
  • 村岡委員
    村岡でございます。よろしくお願いいたします。
  • 本間センサス統計調整官
    株式会社農林中金総合研究所特任研究員でいらっしゃいます行友弥委員でございます。
  • 行友委員
    行友です。よろしくお願いいたします。
  • 本間センサス統計調整官
    続きまして、事務局側のご紹介をさせていただきます。
    先ほど冒頭ご挨拶をいたしました佐々木統計部長でございます。
  • 佐々木統計部長
    何とぞよろしくお願いいたします。
  • 本間センサス統計調整官
    座長席を挟みまして、こちら側でございますが、統計部深水管理課長でございます。
  • 深水管理課長
    深水でございます。よろしくお願いいたします。
  • 本間センサス統計調整官
    そして、私の隣でございますが、センサス統計室で構造企画班を担当しております課長補佐の清水でございます。
  • 清水経営・構造統計課課長補佐
    清水です。よろしくお願いいたします。
  • 本間センサス統計調整官
    皆様から見て部長の右隣になりますセンサス統計室長の宮川でございます。
  • 宮川センサス統計室長
    宮川でございます。お願いいたします。
  • 本間センサス統計調整官
    その隣が農林業センサス統計第1班を担当しております課長補佐の須田でございます。
  • 須田経営・構造統計課課長補佐
    須田と言います。よろしくお願いいたします。
  • 本間センサス統計調整官
    その隣が農林業センサス統計第2班を担当しております課長補佐の中川でございます。
  • 中川経営・構造統計課課長補佐
    中川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 本間センサス統計調整官
    私の隣になりますが、栗原統計企画管理官でございますが、業務の都合により、ちょっと出席がおくれておりますので、よろしくお願いいたします。
    以上で出席者の紹介を終わらせていただきます。
    次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
    議事次第に添付してございます資料一覧というのが次のページにあるかと思いますが、そちらのほうと併せて見ていただければと思います。
    まず資料1「農林業センサス研究会開催要領」といったA4縦のものが1つ、それから資料2「農林業センサスの役割と位置付け」というものがございます。
    それから、資料3「2015年農林業センサスの実施状況」、資料4につきましては「2020年農林業センサスの課題と主な論点について(案)」。こちらにつきましては、別つづりで資料4別紙といったものが、その後についているかと思います。
    それから、資料5「2020年農林業センサス試行調査の概要(案)」、資料6が「2020年農林業センサス研究会開催計画(案)」。こちらにつきましては、後ろにもう一枚資料6-2として「2020年農林業センサス実施までのスケジュール(案)」といったものもおつけしております。
    それ以降が参考資料になりますが、「2015年農林業センサス調査票」ということで調査票をその後ろに4種類ほどおつけしてございます。
    それから、参考資料2といたしまして「農林業センサス等に用いる用語の解説」といったもの、それから最後になりますが、参考資料3として「第67回統計委員会答申」ということで、平成25年8月26日の答申の本文、こういったものがおつけしてあるかと思います。
    資料について、何か不備等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
    それでは、まず研究会の運営等につきまして事務局からご説明させていただきます。
  • 須田経営・構造統計課課長補佐
    私のほうから、資料1「農林業センサス研究会開催要領」についてご説明を申し上げたいと思います。資料1をご覧ください。
    まず、第1に「目的」でございます。
    本研究会の目的でございますが、先ほどの統計部長のご挨拶と重なりますので省略させていただきたいと考えておりますが、2020年のセンサスの実施に向けて調査全体の実施計画を作成することを目的としております。
    第2に「検討事項」でございます。
    1つ目として、農林水産業・地域の活力創造プラン等の新たな施策ニーズへの対応、あるいは現在のセンサス結果の利活用状況を踏まえた調査項目の新設や簡素化について、2つ目として、オンライン調査の導入拡大や調査員調査に係る負担軽減等に関する調査方法等の見直しについて、3つ目としまして、調査の準備から結果公表までの一連の工程を示した実施計画案の検討についてとしております。
    それ以外についても、その他として調査結果の高度利用、広報のあり方などについても検討することとしております。
    続きまして、第3の「構成」についてでございます。
    別紙に掲げる委員、総勢12名により構成いたします。また、必要に応じて委員以外の有識者が参加できることとしております。
    2としまして、研究会に座長及び座長代理を各1名置くこととし、座長につきましては委員の互選で決めていただくこととしております。また、座長代理については、座長が指名する方といたします。
    第4の「運営」についてでございます。
    これについては、皆様に特に確認いただきたい点についてご説明させていただきます。
    まず2に記載しておりますが、本研究会は意見交換の場であります。そのため、研究会における意見の取りまとめについては、あくまで意見交換の結果と位置づけさせていただきたいと考えております。
    4及び5で記載している事項についてでございますが、研究会については原則公開とさせていただき、あわせて議事録を作成して公表することとしております。
    資料については、以上でございます。
    後ほど資料6の研究会の開催計画についてでご説明いたしますが、今回の研究会は本日も含め5回を予定しているところでございます。
    私からは以上でございます。
  • 本間センサス統計調整官
    ただいまの説明について、何かご質問、ご意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
    申しわけありません。先ほどご出席の委員の皆様をご紹介させていただいたんですが、ただいまの要領の後ろについております委員名簿をご覧ください。
    長野県農政部農村振興課長でいらっしゃいます小林安男委員、それから宮崎大学農学部森林緑地環境科学科教授でいらっしゃいます藤掛一郎委員、こちらのお二人につきましては、本日所用で欠席をされております。よろしくお願いいたします。
    ご意見等ないようでしたら、ただいま説明いたしました研究会開催要領にもございますとおり、委員から互選により座長並びに座長代理を各1名置くことになっております。
    まず、座長の選出でございますが、どなたか推薦される方、いらっしゃいますでしょうか。
    ないようでしたら、事務局にお任せいただいてよろしいでしょうか。

    (「異議なし」の声あり)
  • 本間センサス統計調整官
    事務局といたしましては、安藤委員を推薦したいと思いますが、いかがでしょうか。

    (「異議なし」の声あり)
  • 本間センサス統計調整官 ありがとうございます。
    それでは、安藤委員に座長をお願いしたいと思います。
    安藤委員におかれましては、座長席のほうにお願いをいたします。

    (安藤委員、座長席へ移動)
  • 本間センサス統計調整官
    次に、座長代理でございますが、よろしければ座長にご指名をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

    (「異議なし」の声あり)
  • 本間センサス統計調整官
    それでは、安藤座長に座長代理のご指名をお願いいたします。
  • 安藤座長
    この分野で経験もおありの明治大学の橋口委員にお願いしたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。

    (「異議なし」の声あり)
  • 本間センサス統計調整官 ありがとうございました。座長、座長代理とも選出いただきましたので、これからの議事につきましては、安藤座長の司会進行により進めていただきたいと思います。
    それでは、初めに安藤座長からご挨拶をいただいた後、これからの進行をよろしくお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 安藤座長
    座長を務めることになりました東京大学の安藤です。よろしくお願いいたします。
    私のほうから、挨拶申し上げるようなことは特に考えてはいなかったのですが、先ほど部長さんから話がありましたように、データに基づく政策構築の必要性という点から、このセンサスは非常に重要な意味を持っているということです。
    それから、このセンサスを実施するに際して非常に大きな問題点がいくつかあります。調査環境が非常に変化してきていて、調査をするのがなかなか難しくなってきていることです。にもかかわらず、できるだけ正しい実態を把握できるような方法を考えていかなければいけないという課題と申しますか、義務が課せられているということです。もう一つは予算の制約がある中で項目の取捨選択もしていかなければいけないということです。その一方で、新しいニーズに応じた項目もつくっていかなければならず、なかなか大変な作業がこの後に待っていると思います。
    また、センサスは当然のことながら1回限りですので、やり直しがききません。できるだけいい調査票をつくる必要があるということになります。そのための検討をこの後4回にわたって、皆さんのご協力を得ながら進めていければと思っております。
    さまざまな立場からのいろいろなご意見、率直なところをお聞かせいただくことはセンサスをいいものにしていくための重要な要素ですので、積極的なご発言をお願いできればと思っております。よろしくお願いいたします。
    それでは、時間の制約もありますので、早速議事に入りたいと思います。よろしいですか。
    最初に、第1の議題として「農林業センサスの概要」につきまして、事務局から資料の説明をお願いできればと思います。よろしいでしょうか。お願いいたします。
  • 中川経営・構造統計課課長補佐
    それでは、資料2、資料3で「農林業センサスの役割と位置付け」というところをご説明させていただきます。
    農林業センサスは、農林業施策を推進するために農業の生産構造や就業構造等の実態と農山村地域の現状を把握することが大きな役割の一つとして位置づけられております。
    緑枠のところでございますけれども、農林業センサスは農林業を営む事業体を対象とした農林業経営体調査、それと農業集落等を対象とした農山村地域調査、この2つの調査により基本的な生産就業構造や地域資源の状況などを5年ごとに把握しております。これらの結果を農林業施策の推進に必要なデータとして提供をしておるわけでございます。
    右側の黄色の枠囲みの中に、施策の推進のための利用目的というところがございます。
    1点目としては、政策の目標の設定と評価根拠、2点目として需給安定対策等の施策の発動基準、3点目として国の財政支出の算定根拠というところに利用がなされております。
    また、農林業センサスの中間年を補完するデータや把握できない詳細な品目分野のデータを提供するために実施する標本調査の母集団を整備する役割もございます。
    真ん中の薄い青囲みのところが該当部分ですけれども、主な調査はここに記載させていただいているとおりでございます。
    これらの標本調査においても農林業センサスと同様に施策の推進に利用されるものでありまして、具体的には次のページをめくっていただけると、各種統計調査の利活用というところを整理させていただいております。
    1点目の「政策目標の設定と評価根拠」というところでは、農地の目標の策定とか生産目標の策定というところ、あと6次化政策の推進の資料というようなところに使われておりますし、「需給安定対策等の施策の発動基準」というところでは、農業災害補償制度の基準の資料に利用されているというところですし、関税等の割り当ての数量の算定というところに使われております。
    また、3点目の「国の財政支出の算定根拠」ですけれども、経営所得安定対策を初めとした品目対策というところの交付金の算定対象品目等に利用されておりますし、畜産部門で言いますと、畜産物価格対策というようなところに活用されているところでございます。
    新たな施策の対応方向に柔軟に対応する必要があるというところで、もう一枚をめくっていただきますと、「今後期待される農林水産統計調査の機能」というところを整理しております。
    農業・農村全体の所得を今後10年間で倍増させることを目指すこととしております農林水産業・地域活力創造プランや未来投資戦略に掲げられた各種施策目標の達成というところを目標として、それらの目標達成を的確に把握できる統計調査の着実な実施が必要となっておりまして、農林業センサスはもとより、各種標本調査での新たな調査項目等の設定や新たな調査の実施等により対応する必要、重要性が出てきているというところでございます。
    本文のほう、1枚目のほうへ戻っていただいて、先ほど説明した農林業施策なり母集団のほかに、左下のピンク色の枠囲みのところにあります「データの提供」というところも重要となってきております。
    農林業センサスは全数調査で実施しているというところもございまして、農林業における小地域統計を提供できる唯一の調査であるというところで、近年、農林業における地域施策や地方創生に活用していただくためというところで、RESAS、まち・ひと・しごと創生本部が提供しております地域経済システム「RESAS」のほうにデータを提供する、また先ほど部長のほうからありましたように、地域の農業を見て・知って・活かすデータベースを構築するなど、公共財として国民へのデータ提供として重要な役割を担っているというところでございます。
    以上、農林業センサスの役割についてご説明をさせていただきました。
    続きまして、資料3をご覧ください。
    資料3については、「2015年農林業センサスの実施状況」について取りまとめております。
    「実施経過」について、主なものについて記載しております。
    24年度ですけれども、研究会での議論を皮切りに本格的な準備が開始されているというところになります。
    25年度、統計委員会への諮問・答申を受けて、26年度、経営体調査、27年度には地域調査をそれぞれ実施したというところでございます。
    それらの結果を12月に概数値として公表しております。
    28年度いっぱいをかけて報告書に取りまとめているというようなスケジュールになっております。
    2点目として、「調査実施内容」についてでございます。
    調査は、農林業経営体調査、農山村地域調査の2調査で実施しております。
    農林業経営体調査ですけれども、約140万の農林業経営体に対して、参考資料につけております1-1が前回の調査票になりますけれども、14ページの調査票を配布して経営形態や就業構造を把握するための項目として経営体数、世帯数、従事者数と経営耕地面積等々を聞いております。
    加えて、参考資料1-2になりますけれども、客体候補名簿というものをつけております。これについては、まず客体を先ほどの140万を判定するものとして経営耕地面積とか保有山林面積といったような必要最小限のものを把握するというようなことにしております。
    続いて、農山村地域調査のほうですけれども、調査対象としては市町村1,900と、約14万の農業集落の2つを対象として調査を実施しております。
    市町村のほうについては、総土地面積なり林野面積を調査しており、これについても参考資料1-3として添付しております。
    14万集落の農業集落を対象としたものについては、農業集落の活動状況等というところで、これも参考資料の1-4をつけさせていただいておりますとおり、調査を実施するということになっております。
    ここで一番最後の3枚目を見ていただくと、沿革がついていると思いますので、ご覧いただけますでしょうか。
    農林業センサスは1950年開始以降、さまざまな調査対象なり調査体系を変化しながら現在に至っております。現在の2015年の体系になったのが2005年になります。2005年から現在の農林業経営体調査と農山村地域調査というところで実施をするようになっております。特に農林業経営体調査のほうの定義については、時々に応じて見直しをさせていただいております。
    1枚戻っていただいて、「農林業センサスにおける調査対象の変遷」を簡単に取りまとめさせていただいたものでございます。
    1950年から2000年までは、農家を基本とした調査対象というところでございます。細かい定義についてはご説明を省かせていただきますけれども、2005年に経営体概念を導入しまして、実質的にこれまで「農家」、「農家以外の農業事業体」、「農業サービス事業体」という調査対象から統合して「農業経営体」1本に変更したというところでございます。
    それぞれの定義については参考資料のほうにもつけておりますけれども、参考資料2の「農林業センサス等に用いる用語の解説」というところにまとめさせていただいております。申しわけございませんけれども、またお目を通していただければというふうに思います。
    資料3の1枚目に戻っていただいて、それぞれの調査時点でございますけれども、いずれの調査も2月1日現在を基準として実施しております。
    調査体制については、農林業経営体が法定受託として自治体に委託をして、16万人の調査員等が調査対象に面接なり自己申告の方法により調査をしておるというところでございます。
    括弧書きであるように、2015年から一部オンライン調査を導入しておるところでございます。
    農山村地域調査については、基本的に地方、農林水産省直轄で、農業集落調査については調査員6,000名を使って自己申告、または面接の聞き取り調査で実施しているところでございます。
    以上、2015年の農林業センサスの実施状況についてご説明させていただきました。ありがとうございます。
  • 安藤座長
    ありがとうございました。
    ただいまの資料2、それから資料3に基づく説明ですけれども、何かご意見、あるいはご質問等あればお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
    センサスの大まかな内容と2015年センサスをどのようなスケジュールで実施したかという説明でしたが、どうでしょうか。
    もしなければ、また後で出していただいても構いませんので、先に進みたいと思います。
    それでは、次に第2の議題である「2020年の農林業センサスの課題と主な論点」につきまして、こちらも事務局からご説明をお願いできればと思います。よろしくお願いします。
  • 須田経営・構造統計課課長補佐
    それでは、私のほうから資料4、5、6の3つの資料についてご説明を申し上げたいと思います。
    まず最初に「2020年農林業センサスの課題と主な論点」ということで、資料4をご覧いただきたいと思います。
    また、資料4の別紙という形であわせて見ていただきたいので、並べて見ていただけると非常に助かりますので、よろしくお願いいたします。
    まず農林業センサスの「課題と主な論点」ということで、まず課題として、右側の黄色い枠組みのところで2つほど大きく見出しで整理しているところでございます。
    1つ目が「施策の展開方向に対応した調査事項・表章の見直し」、もう一つが「調査環境の変化と実査における記入者の負担軽減等」と整理をしております。それぞれごとに四角の中で事項を挙げさせていただいておりますのが主な論点というふうに考えて、今回提示させていただきたい事項でございます。
    まず最初に、上のほうの「施策の展開方向に対応した調査事項・表章の見直し」についてご説明を申し上げたいと思います。
    まず1つ目の論点でございます。
    担い手のシェアや経営資源の集約化の状況などの構造変動を適確にあらわす表章となっているかと。一言で「担い手」と書いてありますが、法人ですとか大規模だとか、いろいろな視点がございますけれども、それらの農業全体に占めるシェアでありますとか経営資源の集約化、経営耕地面積の集約状況といった状況でございます。
    そうした規模がわかる集計といったものは今現在も行っておるわけですけれども、それらを例えば報告書にしますとか概数公表ということで、まず最初に皆さんに見ていただく、そういった状況のときに適確にあらわす表章となっているのか、いないのかと。そういった観点から、まずご議論をいただきたいというふうに考えておるところでございます。
    2つ目の論点でございます。
    各種施策の展開方向に対応したデータを適確に把握できる調査項目が設定されているのかどうか。
    資料4の別紙をご覧いただきたいと思います。
    まず1枚目には、「「農林水産業・地域の活力創造プラン」の改訂について」ということで昨年の11月に改訂されました内容の概要についてまとめた資料を今添付させていただいております。
    1枚おめくりいただいて、2ページ目が「農業競争力強化プログラム」の概要になっております。もう一枚めくっていただきますと、「食料・農業・農村基本計画について」と。農業については、これらの施策というのが今まさに展開されているという状況でございます。
    資料のほう何枚かめくって、7枚目にあります。下から言うと3枚目なんですけれども、そこには「森林・林業基本計画の構成」ということで、林業についても基本計画というのを策定して、今これらの施策が展開されているというような状況にございます。
    これらの施策に対応したデータが適確に把握できる調査項目として設定されているのかどうなのかと。そのような論点でございます。
    3つ目でございます。
    経営体概念を導入した後も農家概念を併行して表章しており、利用上混乱を招いているのではないかということでございます。
    資料4の本体に戻っていただいて、「現状」の緑枠の中の「経営体調査」の3、中ほど下ぐらいに記載しておりますけれども、現在の状況としては、農業経営体というまず全体の集計結果、その内訳として家族経営の集計、組織経営の抽出・集計という形を行っております。それ以外に従来から行っておる農家概念である販売農家の集計といったものもあわせて集計をして提供しているというような状況になっております。
    別紙のほうの4枚目を見ていただきたいと思います。
    このような樹形図のページをご覧いただきたい思います。
    これが「経営体概念と農家概念について」という形で、ある程度模式図化したものとしてご用意させていただきました。
    まず左側のほうから、「農業経営体」という形で、そこからまず経営の状況として、家族で取り組まれているのか組織なのかという形で、まず二股に分かれております。「組織経営体」のほうで見ていただくとおり、その中で経営を法人化されているものなのか、法人されずに取り組まれているなのかという形で分けておるわけでございますが、「家族経営体」のほうは、まず最初に「販売農家」と「自給的農家の一部」、それ以外ですね。という形で分けられております。この「販売農家」というのは何かといいますと、下のほうに注釈として記載させていただいております。経営耕地面積が30アール以上ある方、または過去1年間における農産物販売金額が50万以上の農家という形で基準を設けて、区分して「販売農家」だけを特出しして集計をしていると。
    なぜこのようにしているかといいますと、先ほどの定義の変遷の中でご説明を申し上げましたとおり、2005年の時点で農業経営体、経営体概念といったものを導入いたしました。ただ、データの連続性等々を考慮いたしまして、従来との長期累年データを比較できるという観点から「販売農家」といったものを引き続き表章できるような対応というのをこれまで、2015年までとってきたわけでございます。
    ただ、それらを出した、表章しているということというのは、ある一定の意味はあったわけですが、一方で、組織のほうは法人、非法人。例えば、右側の黄色い枠のとおり、「販売目的」か、例えば農業サービスみたいな作業受託系をやっているのか、だけをやっているのかというような形で明確に区分はできるんですけれども、家族経営体だけこのような形で、ある一定の基準で分けてやるということを同時にやったことで利用者側でこの家族経営と販売農家の関係性がよくわからないといったご意見も聞きます。
    こういったことから利用上の混乱を招いているのではないのかといったことは、これに対してどう表章していくのがわかりやすい、結果全体をつかむという意味でどういうような表章をしていくのがいいのかというような論点というふうに考えているところでございます。
    続きまして、4点目の論点でございます。
    家族経営体と組織経営体の労働力の把握内容が異なっていることが労働力の全体像の把握の観点から支障となっていないかということでございます。
    すみません、また資料4に戻って恐縮ですが、調査項目として、左側の「現状」の中で「経営体」のほうの2つ目に「農業経営内部の労働力」と記載があります。その中で「家族」と「組織」というふうに分けて記載しておりますけれども、「家族」のほうは全世帯員の従事日数別、年齢、「組織」のほうは従事日数別のみを把握しているという状況でございます。
    具体的なイメージを持っていただくために、参考に添付いたしました参考資料1-1、「農林業経営体調査票」というのをご覧いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
    この調査票を1枚めくっていただきますと、ここがいわゆる家族経営体が記載いたします「世帯」に関する調査内容でございます。
    特に中ほど、「世帯主」「世帯員」というふうにございますとおり、全ての世帯員について年齢なり、ふだんの状況、従事日数といったことを詳細に聞く調査票となっております。
    1枚めくっていただいて4ページ目でございます。これの左半分の上側です。ここが組織の「農業経営内部の労働力」を記載するところでございます。男女別の日数別のみの把握という形になっております。
    このように、まず把握事項が大きく家族と組織で異なっているというのが今の現状でございます。
    その結果として、別紙のほうをご覧いただきたいのですが、概念の図から1枚おめくりいただきますと、「農業経営内部の労働力に係る表章」といった表と折れ線のグラフの資料があるかと思います。よろしいでしょうか。
    先ほどの労働力を集計した結果のイメージとしてご覧いただきたいわけでございますが、世帯のほうは、各世帯員ごとに年齢を詳細に把握したという結果、右側にあるとおり、「年齢別基幹的農業従事者数の推移」という形で5歳刻みの─まあ、究極的には1歳刻みまでできてしまうわけですが、5歳刻みの年齢階層別の人数、あわせて平均年齢といったものまで表章することができます。
    ただ、一方で組織のほうは労働日数区分の人数しか把握しておりませんので、左側の「農業労働力の推移」の表にあるとおり、全体で何人いるか、また内数として150日以上従事した人が何人いるかというような表章までしかできないという形で、果たしてこれで農業に従事する方の全体の労働力といったものがきちんと把握できているのかどうかというような論点でございます。
    資料4の本体のほうにまた戻らせていただきます。
    5つ目の論点でございます。
    客観的な荒廃農地と主観的な耕作放棄地が併存しており、利用上混乱を招いているのではないのかという論点でございます。
    先ほど別紙の労働力を1枚めくっていただきますと、「耕作放棄地と荒廃農地の関係」という模式図の資料があるかと思います。
    センサスで把握される耕作放棄地は、資料の中ほどにある青色の破線で囲われているところの「耕作放棄地」といったものでございます。センサス上把握される耕作放棄地は、上の四角囲いの中の1つ目の丸の中で記載しておりますけれども、「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付けせず、この数年の間に再び作付けする考えのない土地」という形で、あくまで農家の主観ベースでの面積というような形になっているところでございます。
    ですので、この図のところにもあるとおり、耕作可能な状態かどうかといったことはわからない。あくまでも、農家の意思で耕作をするかしないかと、そういうような形の調査結果というところでございます。
    一方で、似たようなものとして、よく取り沙汰されるのが荒廃農地といったデータがあります。「耕作放棄地」の下ほど、赤い四角で囲われているところでございます。この荒廃農地は、市町村農業委員会の現地調査による調査でございまして、そういった観点から客観ベースの結果ということができます。
    その結果として、内訳として再生利用が可能であるとか、再生利用が困難といったところまで詳細に分けて把握されているというような状況でございます。
    このように、言葉上かなり似通ったものに見えるんですけれども、実は内実は全然違ったデータになっておりまして、これらが2つ存在をしているということが利用上、混乱を招いているのではないのかと。
    ちなみに、今現在、農林水産省における耕作放棄地対策と言われているものは、この下の荒廃農地を中心に施策というのは進められているというような状況もございますので、そういったところから耕作放棄地というのをどのように対応していくのかというところが論点だと考えているところでございます。
    上の「見直し」の関係の最後の論点でございます。
    資料4に戻っていただきまして、各府省が共通で取り組む雇用者の定義の変更や、法人番号の整備に対応することが必要ということでございます。
    先ほどの別紙の資料の耕作放棄地のページから2枚ほどめくっていただきたいと思います。「各府省実施の統計調査における共通事項」といった資料でございます。よろしいでしょうか。
    統計調査自体は、各府省がそれぞれの目的に基づいて行っているところでございますけれども、そうした中で労働力に関する統計といったものがいくつか把握されているところでございます。
    このような中、雇用の実態をより的確に把握することが必要とされておりまして、そういった中で統計間の比較可能性に支障が生じているというような状況であるということでございます。
    そのため、この「統計調査における労働者の区分等に関するガイドライン」というところでは、「統計間の比較可能性の向上をするように努力する」とうたわれておりまして、各調査においては定義の統一を図るような検討をすべしというふうに言われているところでございます。
    ここで言われている「常用労働者」と「臨時労働者」。3の「適用範囲・適用時期」の下の2行目に書いてあるんですけれども、まさしくここが農林業センサスで把握している常雇いと臨時雇いといったところの項目に値するというところでございます。
    では、こちらのガイドラインで示された定義というのは何かといいますと、この常用労働者と臨時の労働者の境というのは、1カ月以上か否かというところでございます。一方で、センサスのほうでは、常雇であれば7カ月以上、それ以下であれば臨時雇いというような整理をされておりまして、そこには段差があるという状況であります。
    こういったガイドラインというのが出ている中で対応する必要性があるので対応していくというような考え方があるんですが、片や一方で、データの連続性という観点もございますので、それらを対応したような形にしていかなければいけないということ。
    もう一つが、後段で書いてある法人番号の整備に対応することというふうにあります。これは、先ほどの別紙の下の「公的統計の整備に関する基本的な計画」の中で、まず大きな方針というものが書かれております。
    (2)のイの中でありますとおり、統計の正確かつ効率的な作成及び提供といった観点から、平成29年度以降企画する統計調査から順次調査票に法人番号欄を設け、法人番号を把握していくと。その法人番号をもとに事業所母集団データベースといったところで法人番号を一律整理しまして、統計作成における活用を検討していこうと。そういう大きな方針が書かれているところでございます。
    これの大きな役割といったところは、企業同士の情報を連続してほかのいろいろな調査、法人に対して調査を行っておりますけれども、それらの情報をつないだりとか、本社と支社の関係をより正確につなぐというような観点からも整備を主たる経済センサスだけの整備ではなくて、府省共通的に行われている統計調査の中で整備をしていこうというようなものに対応すると。それに対しては対応していこうといったところでございます。
    以上が「調査事項・表章の見直し」についてでございます。
    資料4のほうにまた戻っていただいて、その下の「調査環境の変化と実査における記入者の負担軽減等」でございます。
    1つ目の論点が記入者の高齢化が進展している上、調査票の分量が多く、負担軽減を図るべきではないか。
    先ほども調査票を見ていただいたとおり、調査票は全部で14ページ。それに客体候補名簿といったものがありまして、トータルで16ページにわたる分量でセンサスの結果といったものが出てくるというような状況になっておるところでございます。
    ほかの統計調査、国勢調査ですとか経済センサスといったものに対して、ボリュームはかなり多くあります。そうした中で高齢化ですとか、いろいろな調査環境の悪化といったものが昨今言われているところでございます。そうした中で負担軽減を図る必要性があるのではないかといったところが1つ目の論点でございます。
    2つ目の論点でございます。オンライン調査の回答率向上を図るべきではないかということでございます。
    左側の「現状」の中の1番目に、今回、2015年で実施したオンライン調査の結果といったものを記載しております。一部市町村でオンライン調査─まあ、一部というのは、具体的には31市町で実施されております。市町村で割り戻すと、実施率1.8%といった地域の数になりまして、その中の回答率といったものは0.7%と、残念ながらそう高くはない、低い数値にとどまってしまったといった結果でございます。
    そういった中でも、オンライン調査といったもの自体は政府全体で進めていますし、オンライン調査でやることのメリットといったものももちろんあると思います。そうした中で回答率向上を図るべきではないのかといった論点でございます。
    3つ目でございます。農業集落精通者の選定に必要な名簿の確保が困難であるため、調査方法の見直しが必要ではないかといった論点でございます。
    これは、「現状」の中の下のほうに記載しております「農山村地域調査」の「農業集落用」に関する論点になります。
    この農山村地域調査、概要のほうで説明させていただきましたけれども、農業集落精通者による自計調査を基本としております。
    では、この農業集落精通者はどのように整備されるのかといったところですけれども、これは自治体が整備しております自治会長さんの名簿なり、JAさんとかがお持ちの農家組合長さんの名簿といったものを提供していただきまして、それらに基づいて農業集落精通者といったものを選定しているという状況でございますが、昨今の個人情報保護意識の高まり、自治体のそういった法整備等でかなり厳しくなっておりまして、なかなか提供していただけないというような状況にありまして、同じような次回センサスにおいても精通者に対する調査方法といったものが難しいという状況がある中で調査方法を見直す必要性があるのではないのかというような論点でございます。
    4つ目の論点でございます。行政情報や民間データが充実してきており、調査にかえて活用可能なものがあるのではないのかといった論点でございます。これも地域調査の関連でございます。
    左側の「現状」にあるとおり地域調査、特に農業集落用においては、生活関連施設までの所要時間ですとか総土地面積、寄り合いの回数・議題といった面的なもの、定量的なものと活動の状況といったところを把握しているわけですが、例えば、生活関連施設といいますと、昨今ではカーナビの情報ですとか位置情報といったものがかなり正確な状態で提供されているとかデータ化されているというような状況でございます。そういったデータを活用できないかといったところでございます。
    また、総戸数といったところは、国勢調査のほうの小地域統計という形で、例えばメッシュですとか、非常に詳細なデータといったものを公表されておりますので、それらのものから、調査で把握するんじゃなくて推計するといったことができないかとか、いろいろな技術の進歩なり、世の中の変化によって対応できるもの、調査をしなくても明らかにできるものがあるのではないかと、そういったところが論点になるのではないかというところでございます。
    資料4については、以上でございます。
    引き続きまして、資料5についてでございます。
    今年度、センサスの試行調査といったものを予定しております。今回の試行調査の主な目的といたしましては、2つ目の枠組みに「検証ポイント」として記載しております。
    1つ目が統計ニーズに対応した新たな調査項目についての記入や補正の状況を検証すること。
    2つ目が先ほど客体候補名簿というのをご覧いただいたかと思いますが、その客体候補名簿によって調査対象を判定するところをもうちょっと簡素化できないかと、そういったところを検証したいということ。
    3つ目がオンライン調査が前回低調に終わってしまったので、それらの回答率向上に向けた課題は何があるかといったところを把握したいというのが検証のポイントとして考えているところでございます。
    その下、「調査実施市町」としては7道県、14市町で予定しております。
    今回の試行調査については、農林業経営体調査についてのみ行うこととしておりますので、「実施系統」としましては、該当の市町村を通じて調査員調査で行うこととしております。
    「期日」としては、12月1日現在に予定しております。
    本来であれば、ここで調査票のイメージをご覧いただいて、特に「検証ポイント」の(ア)、新たな調査項目といったもの、どういったものを検証するかというのをイメージしていただきたかったんですが、省内の調整がまだ終わっていないということですので、事項の紹介だけをさせていただきたいと思います。
    今、考えて検討しているところの項目としては、例えば農業ICTの活用の状況でありますとか、青色申告の実施状況、有機農業の取り組みの状況、先ほどの統計委員会の対応としておりました常用雇用者の把握ですとか後継者、農業経営の後継者の状況、加温温室の実面積、再生可能エネルギーの取り組みの状況といったものを検証する予定としているところでございます。
    協議が終わりまして調査票が固まりましたら、また委員の皆様には送付させていただきまして、それについてのご意見等をいただければ幸いと考えているところでございます。
    最後、資料6、スケジュールについてご説明を申し上げたいと思います。
    資料6「2020年農林業センサス研究会開催計画」でございます。
    本日の研究会において課題と論点についてご議論いただきたいと考えておるわけですが、第2回以降、ここに記載されているようなスケジュールで進めていきたいと考えているところでございます。
    第2回と第3回─今「主な議題」として記載させていただいておりますが、2回、3回セットで、まず農林業センサスの調査事項でありますとか調査手法についてご議論いただきたいと考えているところでございます。
    3回と4回の間、12月1日ということで農林業経営体調査の試行調査の実施を挟みまして、第4回において試行調査の結果をできれば皆様のほうにお示ししたいと。その結果に基づいてのご議論なりをしていただきたいというふうに思っておるところでございます。そうした中で調査票のレイアウトですとか、そういったところまでご議論いただきまして、できる限り見やすい調査票といったものをつくり上げていくといったことを考えるところでございます。
    調査票の内容が固まりましたら、あわせて集計事項、あるいはその結果をどう広く使っていくのか、高度利用についてといったことも第4回の中でやっていきたいと考えているところでございます。
    最後、第5回、最終的に「農林業センサスの実施計画(案)について」といったものをある程度つくり上げまして、全体の計画といったものを総括的にご議論いただく予定としているところでございます。
    続きまして、もう一枚、資料6-2として「実査までのスケジュール」という形で図として提示させていただいております。
    2015年のセンサスの概要というところで大まかなスケジュールはご説明させていただきましたが、そのスケジュールについては、2020年においてもほぼ変わらない形で進めるということを今考えているところでございます。
    今年度いっぱいで研究会を開催し、ご議論いただいた後、2段目の平成30年度において統計委員会への諮問、そして答申をいただくというスケジュールになっておりまして、30年度の12月ぐらいには本番の実査に向けた会議等、準備をスタートさせるというようなスケジュールになっております。
    実査としては、31年度の2月1日で経営体調査を実施するということを考えております。
    そして、32年度の11月には概数値公表という形で20年の結果といったものを世の中に出していくと。このようなスケジュールで今考えているところでございます。
    資料についての説明は、以上でございます。
  • 安藤座長
    ありがとうございました。
    これから1時間弱、この資料の4、5、6について議論をしていきたいと思います。
    参考資料1-1、1-3、1-4にあるような調査票を基に議論をして、2020年農林業センサスをどのような調査票で実施するのかというのを決めるのが最終的なゴールになるかと思います。
    ただ、新規項目についての具体的な案はまだ皆様にお示しすることはできないわけですが、これについて議論していきたいということと、それから市町村レベルでこの調査を実施しますので、その負担をどうやって減らしつつ確実なデータを得られるかといったあたりについてもご意見等をいただければと思っております。
    いかがでしょうか。
    では、大山委員からお願いいたします。
  • 大山委員
    私は、前回のセンサス研究会にも参加させていただきました。それで、ここにいらっしゃる委員の方は基礎自治体の実務者、県の実務者の方、学究・研究の方、あと実際の農業者の方というのとは私はちょっと違って、メディア報道機関なものですから、農業に関心と興味がある好奇心の旺盛な国民の代表みたいな形でざっくばらんなことをお聞きしたり、それから専門家の方から見たら、実務家の方から見たら、とんちんかんかもしれませんけれども、一応議論の触媒になればと思いまして、いくつか言いたいなというのがあります。
    まず行政実務的なことで、今回課題になっているのは雇用者の定義の変更とか、それからほかの政府統計との省力化というか、整合性というか、そういう点も今事務局のほうからお示しいただいたんですけれども、例えば、総務省だと労働力調査とか─まあ、それは失業者ですけれども、それから厚生労働省だと毎月勤労統計だとか、それから経産省もいわゆる産業区分とかの統計がいっぱいあって、今回、この課題の中でどこに気をつけなきゃいけないのかというのがわかりにくいなというのがあって、これは今すぐ方向性やお答えをいただかなくてもいいんですけれども、その点が多分農水省やご担当の方の今後の実務分量や予算にもかかわるかなとちょっと思ったので、今日の時点じゃなくてもいいんで、わかる範囲で知りたいなというのが1つです。
    これがまず1つ目です。
    あと多分これからの議論の中でどういう項目を追加すべきかというところには私はいくつかアイデアを持って今回臨みたいので、それは今日はちょっと言わないでおくんですけれども、もう一つの考え方として、ちょっと大きな話になっちゃいますけれども、今、日本は人口減少で、人手不足で、生産年齢人口が減っていて、恐らくサービス業と農業で労働力の取り合いが不可逆的に続くというふうにマクロ的に思うんですけれども、そのときにこのセンサスで─まあ、統計なんで、項目の継続性を統計上担保することは必要かと思うんですけれども、政府全体のそういう人手不足と労働力と、あともちろん新規就労者をふやしたり、農業生産をふやすとか、生産性を上げるという観点で言うと、パートの定義とか、これまで農業だけは、例えばほかのサービス業の産業と一次産業、二次産業、三次産業の分け方でやや別かなという面。実際、個人の収益とか、法人とか農家の収益とかには補助金があったりとか、そこで雇っている人は単純にファミレスや牛丼チェーンのパートの賃金と同じにもできないとか相当難しいと思うんですけれども、ちょっと大づかみですけれども、今後、全体的な労働力の取り合いの渦中に農業も入る中で、生々しいかもしれないけれども、そういう賃金とか、そういうものの観点もどこかで定量的プラス、その定量的なものを調査することによって定性的な時代の変化みたいな─ちょっと理屈っぽいですけれども、そういうのが何か労働力把握の観点で要るのではないかということで。ここは事務局の方の指摘にもある家族経営体、組織経営体労働力の把握調査とか、何かそういうところにもかかわってくるのかもしれないんですけれども、問題提起として今発言させていただきました。
    ここからは、もう何かざっくばらんですけれども、私ばっかりしゃべってよくないんですけれども、例えば、私は東京の多摩地区に住んで、ファミレスとか行くと、大学生と中国人が働いているんですけれども、例えば千葉県とか、私も時々ですけれども仕事も含めて農家を見に行ったりすると、そこには学生はいないけれども中国人の方がパートで農家にいる農園もあったりとか、千葉県の小見川なんていうところにどうしても用事があって夜遅く行ったときに、牛丼を食べに行ったら、普通東京の首都圏とか多分県庁所在地周辺のにぎやかなところだと、多分外国人労働者と学生パートばっかりになっているんですけれども、60ぐらいのおばさんがみんな牛丼チェーンで賄っていたんです。それを見て、僕も好奇心があるんで、「すみません、おばさん、昼間は何をやっているんですか」って、「昼間は農家よ」みたいな、何かそういう─まあ、それはこのセンサスとは関係ないかもしれないんですけれども、労働力の農家で使う人たちの変化もどうもあるような感じも受けるところがありまして、それは恐らく人手不足に起因するのかもしれないんですけれども。
    今の話は、あくまでおまけで皮膚感覚で言ったまでのもので本筋とは関係ないかもしれませんけれども、先ほど言いましたように、(ア)が政府の各種統計での労働力とかの分類なんかはどのぐらいが求められる感じがあるのかというのと、(イ)は実際の収入とか賃金とか、そういう部分のデータもうまく抽出できるような統計もこれからは必要ではないかなという点をちょっと事務局から挙げていただいた課題と絡めて言わせていただきました。
  • 安藤座長
    ありがとうございます。
    これについて、事務局のほうから何かリプライはありますか。どうですか。
  • 須田経営・構造統計課課長補佐
    2つ目のほうはまた検討させていただきたいと思いますが、1つ目の恐らくどれぐらい求められるものなのかって最後おっしゃっていただきましたけれども、方向性としては、そういったものを取り組むことによってデータの比較可能性とか有用性というのを上げていこうといったものなんですが、縛りが強いわけではなくて、あくまでも努力目標的な部分というのは残っていまして、それは調査の目的というのがまずあって、それが定義を変更したことによって目的から逸脱するとか、そういったことだとよろしくないということがあります。
    今我々が考えているのは、従来の連続性も考慮しつつ、我々で言う常雇、7カ月以上といったところは関係ないんですけれども、臨時雇い、7カ月未満のところを分けて例えばとることで、センサスの従来型の常雇、臨時雇もとれるし、常用雇用といったところにも違ったところを切り分ければ出せるのではないかといったことを今検討しているというような状況でございます。
  • 大山委員
    ありがとうございます。
  • 佐々木統計部長
    どうもご発言ありがとうございました。
    1点目の労働力の定義の変更に関しては、先ほど大山さんが紹介してくださったように、労働力に関するほかの省庁の統計もたくさんあるわけです。それらの労働力、何をもって常用労働者としているのかという定義がばらばらだったわけです。これだと、それこそほかの役所がやっている統計との数字の比較をするにしろ何にしろ、不都合な点があまりにも多いので、政府全体として定義を統一するようにしていこうではないかという議論が統計委員会の中で行われまして、それで常用労働については1カ月以上の契約期間をもって働いている人を常用労働というふうに定義しましょうというガイドラインが政府全体のものとして提示されたわけです。それを各省庁が行う調査の中で反映させる機会があるたびに順次反映させていきましょうということになっておりまして、それが2015年センサスの後に出たガイドラインなものですから、当方としては2020年でどのように反映させていくかというのは検討課題だということです。
    ただ、農林業の場合は季節性がある作業が多いんで、1カ月働いていたからといって、ほかの期間はほとんどご縁がないよという方もたくさんいらっしゃるわけです。なので、ほかの産業で言う1カ月以上の雇用期間があるから常用というものだと、若干肌感覚から外れるものもあるんじゃないかということもあって、従来の7カ月以上という従来からの捉え方も併用していくのが現実的じゃないのかなというふうな感じで検討をしているところであります。
    それから、賃金のお話でありますけれども、確かにサービス業と労働力の取り合いといったのは現場で多々起きているんだと思うんですけれども、そういった面で1時間当たりの賃金がどれぐらいになっているのかといったあたりなどは関心が持たれている数字ではないかと思います。
    それらは農林業センサスを母集団として、例えば酪農なら酪農、水田作なら水田作というのを営んでいる経営体の母集団から統計理論でサンプリングして経営の収支に関する調査を別途やっておりまして、それは農業経営統計と呼んでいるものなわけですけれども、その調査結果の中では、1時間当たりにすればどれぐらいの賃金単価になっているのかというデータが現にございます。それらは当然経営規模によっても差がありますし、それから法人で営んでいる方々の場合には常雇いの場合と臨時雇いの場合の賃金単価なども比較することはできますので。ただ、そういったデータがとれるということをあまり知られていないというのも一方の事実だと思いますので、発信の仕方をさらに工夫していかなければいけないということかなというふうに思っております。
  • 大山委員
    わかりました。ありがとうございます。
  • 安藤座長
    ありがとうございました。
    それでは、ほかの委員の方々はいかがでしょうか。
    それでは、村岡委員お願いします。
  • 村岡委員
    都道府県という立場で、私は統計調査課におりますので、まさに調査を実施する立場ですが、一方で利用主体でもあります。そうした立場から、いくつか気づいたことなどを申し上げたいと思います。
    まず統計調査ですが、前回の実査についてはOCRの読み取りの問題でトラブルが続出したとか、この調査は、都道府県の統計主管課と農林水産部の担当者、それから国の地方事務所の方とが一体となって調査員の手引きを元に実施するわけですが、内容の修正や追加が相次ぎました。調査説明会を開催しますが、一旦開催してしまった後、修正というのはかなり大変なものですから、やはり最初の調査の定義なり調査の手法なりにつきましては、前回、実査後の都道府県や市町村からのトラブルや問題事例というのは国においてしっかり把握されていると思いますので、そういったところについて今回の調査ではどのように対応されるのか、しっかり事前に都道府県や市町村に情報提供いただきたいと思います。
    また、この調査について検討の途中段階のものでも結構ですので、都道府県や市町村にぜひその都度情報提供して意見を聞いていただきたいと思っております。
    例えば、前回の調査でかなりトラブルがありましたのが、先ほど部長さんもおっしゃいました定義がしっかりしていないことですとか、記入者が非常に高齢者の方が多いということなどで、勘違いや思い込み、感覚で記入された箇所が非常に多かったということがございました。
    具体的に申しますと、例えば2015年のこの調査票でいきますと、この世帯欄で「過去1年間のふだんの状況」が「主に自営農業を行った」というところにマークがある場合に、自営農業に従事した日数が60日以上の区分にマークがないと審査でエラーが出てくるんですけれども、ここが非常にエラーが多くてチェックに非常に時間を要したということがございます。
    例えば、初めから調査票にそのようなことを記載しておくべきではないでしょうか。特に高齢者の方はあまり農作業に出ていなくても気持ちは農業をしていると思えば、「主に自営農業を行った」にマークされます。また、この3とか4の部分ですけれども、「農業経営内部の労働力」ですとか「農業経営の雇用」、これが農業経営体なのに明らかに世帯のことを記入しているケースも多々ございました。
    定義を明確にするのと、なるべくシンプルな調査票で誤解を招かないようにしていただきたいと思います。
    それから、受託と委託について誤解されて書いておられるケースとかもございまして、両方に似たような内容で違ったことが書かれていると、都道府県なり市町村での確認審査作業が非常に膨大なものになってしまいますので、そういったことのないように、ぜひその都度都道府県、市町村に情報提供いただいて現場の意見を聞いて調査票に反映させていただきたいと思っております。
    それから、先ほど佐々木部長さんからもおっしゃっていただきましたけれども、調査環境はかなり悪化してきております。前回の調査でも、例えば、ちょうど鳥インフルエンザの期間と重なったとか、調査期間が2月ということで、特に山村地域で冬は別の地域に住んでおられる農業経営体の方などがいらっしゃって把握に苦労するとか、調査員も高齢化しておりますので、2月だと、特に本県のような雪国は滑って転んだりとか、事故の多発などもございますので、そこはちょっとご配慮いただければなと思います。
    あとこの農林業センサスは2020年ということで、国勢調査と同じ年になります。前回は審査が遅れ遅れになってきまして、特にOCRのエラーチェック等で時間がかかったと聞いております。それが国勢調査とかぶって都道府県、特に小さい市町村の中には対応に非常に苦慮したところもあると聞いておりますので、調査のスケジュールについてもご配慮いただければと思っております。
    それから、調査拒否とか、調査員の確保の観点で申しますと、今、政府の統計改革ということで骨太方針2017にも反映されて、何か3年間で2割の統計調査費の削減といったことがうたわれているようですけれども、農業統計のスキームは、ぜひしっかり見直していただきたいなと思っております。
    特に現場と統計の乖離ということが国の統計改革推進会議のほうで言われておりまして、この農林業センサスについても、これは属人主義で、一方、現場の都道府県や市町村が扱うものについては属地主義ですから、農業経営体が違う市町村だと違う市町村で計上されてしまうと、実態と乖離して非常に使いづらいものになってしまう。属人主義と属地主義の統計を一体となったものにできないかなということがございます。
    あとできるだけ農業政策・制度と統計を一体的なものにしてほしいということがございます。業務統計というものが理想ではないかと思います。
    具体的に一番いい例だと思うのが厚生労働省の人口動態統計です。出生は出生届に出生証明書を添付しますので、それで出生時の体重、男女など必要な情報が全て取れます。出す人は実際に住民登録できるとか、税の控除とか、保健指導が受けられるというメリットがあるわけです。
    逆に死亡の場合ですと、死亡届がないと火葬許可がおりないですし、死亡届には死亡診断書が添付されておりまして、原死因、最初の病気から直接の死因まで、期間から死亡場所など必要なものは全てとれるわけです。
    できるだけ、例えば新たな政策・制度を実施される際には、どういったことで政策効果を見るか、そうした統計もあわせてどのような形で業務に付随してとることができるか、ぜひ考えていただけないかと思います。
    ただ、どうしても調査しなくてはいけないものはあると思いますので、それは実際に現地に赴いて調査員がやることは必要とは思っておりますが、政策・制度と統計が連動した形であれば、調査拒否ですとか調査員の確保という問題がクリアでき、かなり負担軽減になるかなと思っております。
    あと、先ほど耕作放棄地の問題もおっしゃいましたけれども、まさに都道府県の議会などでも耕作放棄地の実態が県の調査と国の調査に乖離があるなどと指摘を受けたりしておりますので、こうした見直しは必要かなと思っております。
    現地調査した─耕作放棄地ではない定義のほうが正しいとかという話もございまして、調査員から「そんな必要ない調査をしたのか」みたいな声も出てきたりすることもあり、一生懸命やってくれている調査員の意欲をそぐことになりますので、そのようなことのないように、ぜひ調査の内容等はしっかり精査してほしいなと思います。
    一方で、まさに先ほど大山委員からもお話があったんですけれども、農業経営体に雇用されている方の勤続年数、年齢別の給料とか、そうしたものを把握する項目が─抽出調査ではあるんですけれども、これまで網羅的に把握したものがないということで、農林水産部局からは、ぜひ欲しいけれども何とかならないかという話は聞いておりますので、申し添えておきます。
    いろいろ申し上げましたが、どうぞよろしくお願いいたします。
    すみません、もう一点忘れておりました。経済センサス、これは全事業所を一体的に調査するものでございまして、基礎調査と活動調査というものがございます。基礎調査というのは、具体的にどこにどんな事業所があるかをまず全て調べる。その2年後に活動調査ということで、収益や経費等を詳細に調査するんですけれども、基礎調査は総務省が主体となって経済産業省と、活動調査は経済産業省が主体になって総務省と実施します。今後、この経済センサスの基礎調査については、2年間かけて毎月調査員が全区域を回って一通り調べる。2年間かけて、ローリングで満遍なく正確な母集団情報を押さえるということで実施することになっていると聞いております。この母集団情報というのが農林業センサスの一番大事な役割だと思いますので、例えばそういったやり方もあるのではないかなと思います。
    5年に一度の調査で、しかも調査拒否とかいろいろあったりしますと、経済センサスにしろ、農林業センサスにしろ、そもそも大事な母集団情報がとれないというのでは、やはり問題だと思います。全ての基礎になる大事なセンサスですので、そのあたりも調査拒否への対応も含めて少し考えていただければと思っております。
    すみません、長くなりましたが、以上です。
  • 安藤座長
    ありがとうございます。かなり包括的なご意見をいただきまして、全て考慮しなければいけない内容だったと私は思いましたが、今の点について、もし何か事務局のほうでリプライできるようなものがあればお願いしたいところですが、どうでしょうか。
  • 須田経営・構造統計課課長補佐
    ありがとうございます。
    今回の研究会の中で、例えば調査項目なりデータ、先ほどの耕作放棄地もそうですけれども、議論する点はございますので、それは次回以降、今委員のご発言した内容を踏まえてご議論させていただきたいなと思います。
    まず一番最初に言われた、まず前回の調査においてさまざまな課題というのがございまして、OCRのトラブルとか、いろいろな修正事案というのがあったのは確かでございまして、それらに対しての網羅的に課題というのは、もちろん総合検討会というような会議の場で検討させていただくということは回答させていただいたわけですので、それらに対して全てが対応できるということではございませんが、どういったところで改善したかというところは対応方針等決まった段階で前広に情報提供のほうはさせていただきたいなというふうに思います。
    それ以外の準備的なところについては、こういった研究会の議論なり、調査が実際に始まる来年度までには整備をして、問題なく調査ができるような形で対応してまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
  • 村岡委員
    どうぞよろしくお願いいたします。
  • 安藤座長
    よろしいでしょうか。
  • 佐々木統計部長
    総括的に一言だけお答えさせていただきますけれども、いろいろご指摘があった中の一つに、さまざまな業務データの活用というのがございました。これは、政府の統計全体に共通して推進していこうとされているテーマでございます。
    何のことはない、農林水産行政の関係のデータというのは、結構たくさんあちこちにございますので、それらを把握するために一々サンプリングされた客体の方に調査票を送って改めて回答してもらうというようなことを省けるものはなるべく省いていこうという方向で考えております。
    それから、今後ご議論いただくセンサスの中でも、特に地域関係の調査のほうにそういうものが多いと思っておりますけれども、さまざまな他のデータで把握できるものは省く方向で検討し、具体案を改めてご相談させていただきたいと思っていますんで、よろしくお願いいたします。
  • 安藤座長
    よろしいですか。
    それでは、各委員、せっかくですから一言ずつ何かいただければと思います。それでは行友委員からお願いします。
  • 行友委員
    すみません、ちょっと自己紹介をさせていただくと、私は研究員と名乗ってはいますけれども、大山さんと同じマスコミ出身でして、5年前までは新聞記者として農林水産業の取材をしていました。ですので、私も素人代表のつもりで臆せず、「そんなことも知らないのか」と言われることを覚悟の上でいくつか質問とかさせていただきたいと思います。
    1つは、大山さんがおっしゃったこととかかわるんですが、外国人の就労状況について質問する項目というのが調査票を見た限りではないようですけれども、もちろん、技能実習生なんかの場合は、そっちの制度のほうで、まさに業務統計として存在しているんだろうと思いますが、そうじゃないケースもあるかも知れません。コンビニなんかで働いている外国人は大体留学生のアルバイトみたいですけれども、ひょっとしたらそんな形で、そういう意味では業務統計だけでは漏れる部分もあるのではないかと思います。これから、まさに労働力が足りなくなっていく中で「外国人を使っていますか」「それはどういう形態での就労ですか」というようなことを、把握する必要があるのではないかということをちょっと素人的には思います。
    それから、集落という概念なんですが、14万集落あると言われていますけれども、国土交通省とか総務省のほうでも集落に関する調査をやっていて、何年かに一回、「この先10年以内にいくつの集落が消滅すると予測される」というようなデータが出て新聞ネタになったりしています。国交省や総務省は多分、市町村に聞き取りをして、市町村が把握している集落の数や状況を吸い上げてまとめていると思いますが、農水省の系統で把握されている集落と、そういう国交省、総務省、あるいは市町村ベースの把握する集落の間に乖離はないのかな、というのがちょっと心配です。数字的に違うのかどうか調べたわけではありませんが、その辺がどうなっているのかというのは純粋に知りたいということです。
    あと、細かいことですが、オンライン調査で回答率0.7%というのは、素直に読むと1,000人に頼んで7人しか答えなかったという意味になると思いますが、多分そういう意味ではないですよね。この数字の意味を教えていただければと思います。
    以上です。
  • 安藤座長
    ありがとうございました。今の点につきまして、事務局からお願いいたします。
  • 須田経営・構造統計課課長補佐
    まず1つ目の外国人については、確かにセンサスでは特出しして外国人の就労の状況というのは把握していないので、それは第2回以降ご議論いただきたいなというふうに思っているところでございます。
    3点目のオンライン調査の回答率の0.7%というのは、31市町で実施したというふうにご説明を申し上げましたけれども、そこの経営体というのがトータルで1万7,886ございまして、その中で131の経営体の方が回答いただきまして、割り戻して0.73%というような数値の結果ということでございます。
  • 安藤座長
    農業集落ですね。
  • 中川経営・構造統計課課長補佐
    農業集落の関係でございます。
    まさしく国交省、総務省も調査、アンケート調査っぽいものなんですけれども、やっておられます。実際、農林業センサスの農業集落の定義という、概念上の定義がございますけれども、それと国交省、総務省とやられる調査の定義というところは若干違いがございまして、実際国交省、総務省、自治会単位とか、あと学区単位とか、そういった範囲というところもあるように聞いておりますので、若干なりとも範囲に違いはあるかというふうに考えております。
  • 行友委員
    それを何かすり合わせようみたいな話にはなっていないんですか。
  • 中川経営・構造統計課課長補佐
    先ほど先生方からも出ているように、綿々と受け継がれた農業集落というところもあって、いかにすり合わせていくかというところは、今後少し長いスパンで見ないと、なかなか難しいのかなというふうに思っております。
  • 行友委員
    わかりました。
  • 安藤座長
    ほかはいかがでしょうか。
    こちらからお願いしてもいいですか。
    では、槙原委員からお願いします。
  • 槙原委員
    高萩市農林課の槙原です。
    先ほど村岡委員がおっしゃられたように、市町村としては調査する側となる。そのような中でさまざまな問題があるし、確かに調査員の高齢化、そして農家の高齢化というのはものすごく進んでいまして、私が見ても、この調査票を見て1回で理解するのは難しい。用語的にも「自営農業」「自給的農家」ですとか、あと「農業経営体」ということも理解できている人も少ないのかなという部分があります。だから、やりやすい調査票についてはこれから検討していくというか、私も勉強しながら意見できればとは思っております。
    あと調査なんですけれども、先ほどいろいろな調査を、業務上のデータを利活用できないかというご意見ありましたけれども、私も本当に全くその辺は思っていまして、最近特に国からの調査も非常に多いです。そういうものがもっと利用できればいいのではないかと。
    例えば、担い手の集積なんかは、本当に毎月のように調査来ますよね。そういうものがもっと活用できないかとか、あと水田については、経営所得安定対策のほうで、かなり個々の農家から水田の利用状況等は出ているはずなので、そういうものをもっと利用できないかとか、その辺をもっと検討していけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
  • 安藤座長
    ありがとうございます。
    意見を全員に出していただいた後にまとめて回答をお願いすることにしましょう。
    それでは、続きまして前田委員お願いいたします。
  • 前田委員
    今行政の代表の方からいろいろなご苦労を聞いて、大変勉強になりました。私のほうは今までは書くほうでございましたから、そういうものが玄関先の郵便ポストに入っていたら、できるなら見なかったことにしたい。でも、絶対それをしなくちゃいけないのかってまず考えますよね。協力したいなと思う反面、今はできないな。だから、どこかに置いておく、積んでおくになって、後で日にちを見たら過ぎていたとかということがあります。
    だから、どうやったら書かなくちゃとか、書いて協力しなくちゃいけないというような動機づけといいますかね。簡単ではないと思います。でも、書く人にどういうふうにアプローチしたらいいのかというのが自分の身になって今日来るときも考えて、なかなかいいアイデアはないんですけれども。
    これは簡単なことではないと思うんですけれども、高齢化であるとか、意味がわからないという話がありましたけれども、先日、例えばANAとか、そういうのの登録をするときに、今までは紙を持って帰って紙に書いていたら、飛行場で受付の人がタブレットを持っていまして、全部聞きながらばーっと。自分でしようと思ったら3倍以上かかると思うんですけれども、その彼がずっと聞いて、ばーっと打っていくわけです。その人は質問の意味が全部わかっていて、やり方がわかって速いと。
    簡単なことではないんでしょうけれども、例えば年齢が何歳以上であるとか─まあ、相手によっては、そういう何遍も何遍も訪問員さんが、調査員さんが行って、いつも不在であるとか、行ったものが、やっと書いたものが行政のほうで何遍も繰り返しチェックしなくちゃいけないという、どこかでロスが出てしまうわけで─まあ、対象を限定しなくてはいけないと思いますけれども、そういうタブレットみたいなもので玄関先で、全農業生産者にするとしたらそういう方法も1つあるのかなって。自分でメールとかで送れる人は、若い人はそういうふうにしなくちゃいけないと思うし、そういうことを思いました。
    私は女性でありますので、女性の立場から少し、女性の農業生産者としての意見を少し今後言わせていただきたいなと思うことと、農業生産法人で今社員さんが、従業員さんが大体80名ほどいて、正社員が7割ぐらい、8割ぐらいと。女性は1割ぐらいと。その中でそれぞれの課題がありますので、あと研修生も6名ほどいます。今後10名以上になってくるだろうと思います。
    その中で今さっきからなっています、今後人手不足が深刻になってくる中で、あと法人化がだんだん進んでいく中で、5年後のためにどういう調査をして、どう政策につなげるのかということを踏まえた上で自分の経験から少し意見が出せたらいいなと思っております。
    以上です。
  • 安藤座長
    ありがとうございました。
    それでは、星野委員お願いいたします。
  • 星野委員
    星野です。うちは野菜の生産をしているんですけれども、前田委員がおっしゃったように、調査の方法に関しては、回答率は100%に近く、なるべくとりたいというんであれば、やはり手間と時間はかかるものなのかなというふうに思っています。
    前田委員と同じように、うちもたくさんアンケートが来るので、誰だ、おまえはというような人からもたくさん来ますし、そうすると、これ書かなきゃいけないのかな、そうじゃないのかなというので、やっぱりそこの判断になってくるので、重要なものであれば書かなきゃいけないとなれば、それ100%近くとりたいというんであれば、そこは県の方は大変だと思うんですけれども、来ていただくというのが一番ちゃんと書かないとなというふうに思っています。
    オンラインもいいなと思うんですけれども、うっかり忘れてしまうというようなこともあるんだろうなというふうに思うんで、そこをどういう目的でするかによって手法は多分お考えいただければいいのかなというふうに思っています。
    データの活用に関してなんですけれども、先ほどからお話にあるように、人材の部分でこれから本当に少なくなっていくだろうと思っているんですが、農業に関しては、僕は一番課題、現時点ですごく課題と感じているんですけれども、人材いないですし、あとは法人なので、あとは労働力、労働時間もちゃんと、残業もこのぐらいにおさめましょうよみたいなのもありますし、賃金も上げていこうという国の話もありますし、そうすると人もいないし、労働時間も減らさなくちゃいけないし、賃金も上げなくちゃいけないし、ではどうしていこうかと。それはすごく課題だなと思うんですけれども。
    その点で実際今農業、日本の国内ですごく思うのは、生産されている農産物が果たしてどのくらいのコストで生産されているかという人件費の面ではあまりしっかり捉えられないんだろうなというふうに思うんです。というのは、家族経営の場合は、きちんと労働時間にこのくらいだから幾ら払うというのは、ここから残業というのもあまりないですよね。家族経営、僕なんかも若いときそうでしたけれども、車とか買っておいてもらって喜んで、大した賃金もらわなくても働くみたいな、そんな感じで、ちゃんとそこに家族だったりとかって、どのくらいしっかり賃金払われているかというと、わからないですし、農家の僕の親父たちもすごい労働時間やっていますけれども、では、それに本当に合った賃金、今のいわゆる最低賃金とか残業何%というふうに当てはめたときに、きちんとそこにはまっているのかなと思うと、どうかなと思うんです。でも、本当はそれをとって今の農産物というのは、どのくらいの人と、それからコストがないと生産されないんだというのは出してこないと、これから減っていく中でどのくらい人を集めなくちゃいけないとか、どのぐらいの労働力を入れなくちゃいけないとか。それができないのであれば、では機械化するんであれば、それはどのくらいの生産現場に投入しなくちゃいけないのか、新しい技術革新をしなくちゃいけないのかという話がなかなかできないのかなというふうに思っています。
    では、それをどうやってとるかはわからないので……委員なら好きなことを言っていいんですよね。どうやってやるかは僕はわかりませんけれども、その辺もきちんととれたら、僕らももう10円販売価格上げてくださいというのも言いやすいかなと。コストはこのくらいかかるんですよって。今きちんと反映されていないのかなと。直売所に行けば、ほとんど自分のコスト数えないでおじいちゃんたちがつくってきたものも出ていますし、それも大事な食料ですから。
    というような、すみません、まとまりのないお話なんですけれども、以上です。
  • 安藤座長
    それでは、橋口委員からお願いします。
  • 橋口委員
    明治大学の橋口です。発言の機会をありがとうございます。 究極的には、調査票にどういう内容が反映されるかというところにあらわれると思いますので、第2回目以降また議論させていただきたいと思うのですけれども、本日のところは、データを利活用すべき、あるいはもっと時間とエネルギーをかけて分析をしないといけないという、そういう立場からお願いしたいのは、やはり一貫性といいましょうか、継続性といいましょうか、過去からの変化を見るということにセンサスのデータが使えるというような内容になればありがたいなというふうに思っております。
    ただ、調査体系、あるいは項目、調査の方法と、全てずっと同じというのも時代の変化の中でなかなか難しいというような今日も事情のご説明ありましたので、そことの折り合いをどうつけるかということはもちろん大切だと思うのですけれども、基本的には一貫した継続的なセンサスということがあればありがたいなというふうに思っています。
    以上です。ありがとうございました。
  • 安藤座長
    それでは、竹田委員お願いいたします。
  • 竹田委員
    私は、どちらかというと調査されたデータを使う側としての発言になるかと思うんですけれども、分析する側からいたしますと、最近分析の手法の発展も目まぐるしいものがございまして、いろいろな統計とリンケージできるようになったことは非常にありがたく思っているところです。
    それに加えまして、パネルデータと言いますけれども、少なくとも同じ項目が2期間にわたってとられていると、それでもっていろいろな分析の手法が一気に広がるという面がございます。ですので、毎回のセンサスにおいて、その時々の政策の進展にともなって新規項目というのが必ず必要になってくるかとは思うんですけれども、例えば2015年に新規につくられた項目について2020年も残していただけると、それだけでいろいろな政策効果の分析などに活用できますので、どういうふうな項目をつけ加えるのかというのと同時に、どの項目を削減するかというところについても、今申し上げた面でのご配慮もいただけるとありがたいかなというふうに思っております。
    ただ、先ほどから調査をされる側の方のお話も聞いていまして、高齢化によって調査は非常に難しいというところがあることを痛感した次第です。
    インターネット調査のほうが低調に終わった理由というのを、もし分析されていらっしゃったら、もし可能でしたら共有していただければと思います。例えば、経営体調査の中でも法人のほう、組織経営体のほうはそういった調査のインターネットで回答するということがなれている可能性もあると思いますので、どういうところに重点的にインターネット調査を入れていくかとか、そういったところで、あまり知見はないんですけれども一緒に考えるということはできるかなというふうに思いました。
    以上でございます。
  • 安藤座長
    ありがとうございます。
    最後になりますけれども、實川委員お願いします。
  • 實川委員
    では、私も農家側の立場から、ちょっと肌感覚を踏まえてお話しさせていただきます。
    この統計調査、やはり連続性というのはすごく重要なんだというのは今日のお話を聞いて感じているところではあるんですが、それが我々農家からそこまで連続性というのが重要なのかどうかは、ちょっと私にはわからないんですが、単純に実施状況を見ましても、農業集落約14万。これは先ほどもお話があったように、集落がこれから減っていくという可能性は往々にしてある。また、我々のような法人化している経営体が集落をまとめ上げて経営していくということもありますので、集落を調べるイコール、そこの個人、一経営体を調べるというようなことにもなってしまうかと思いますので、この集落という単位をいま一度見直していただくということはちょっとお願いしたいところですし、あとは農家の定義というのも販売農家、自給的農家とありますけれども、定義の中で3反歩以上、50万円以上とか、我々からすると定義の部分が少し底上げをしてもらったほうがいいのではないのかなと感じているところです。
    それがいきなり2020年から定義自体を変えてしまうということが今まで積み上げてきた連続性というのを本当にぶち壊しちゃうのかもしれないんですが、数字を見ていく上で、本当に切り取り方とか見せ方でイメージももう大分変わると思いますので、我々農家としては、これから未来がある農業をつくっていく中で、どちらかというとマイナスイメージの数字よりかはプラスイメージの数字に持っていってもらいたいなと思っていますので、そういった議論も今後していければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
  • 安藤座長
    ありがとうございました。時代の変化に応じて、ちゃんと定義を変えていく必要があるという、そういうことだと思います。 では、一応一通り意見が出ましたので、事務局からリプライをお願いします。
  • 須田経営・構造統計課課長補佐
    項目については、まさしくまた同じ回答になっていますが、次回以降、本日いただいたご意見も踏まえて、どういった観点でやるかということをもう一回整理をして資料のほうを取りそろえてご議論いただきたいなというふうに思います。
    あとインターネットとか、最後10万集落の関係ということのご発言をいただきましたけれども、もちろん、今回の残りの4回の中で、それぞれ調査の内容とか順を追ってやっていくという形でご説明させていただきましたので、その回ごとに応じて資料のほうを用意させていただきたいというふうに思いますし、最後に實川委員からありましたとおり、集落の結果の問題についても、当然我々としても組織が集約していけば地域で一経営体しかなくて、結果は、もうそうなると秘匿という形で出せないというような状況というか、それをXにして非公表というんですか、表示をしないような対応というのはとっておるんですが、それが果たしてふえていきますと、ほとんどの小地域統計といったものが今度出なくなってしまって、せっかく調査したのに使えなくなるとか、そんな課題も片一方でありますので、そうした観点も、できれば第4回ぐらいには出したいなということは考えておったわけでございますけれども、いただいたご意見のほうを整理させて次回以降ご議論いただくという形にさせていただきたいというふうに思います。
  • 宮川センサス統計室長
    さまざまな方面からご意見を頂戴いたしました。ありがとうございました。重複になるかもしれませんけれども、発言させていただきます。
    今日ご説明をさせていただいたように、今回のセンサスは、資料4で示した論点がまさに我々の究極の目標であって、これに向けて議論していくということになっていくんですが、さまざまなご指摘もごもっともなところがございます。実は、私ども、もう既に省内でも新しい項目をどうするかという検討を少しずつ始めています。
    その一方で実はもっと深刻なのが、この資料の中にもありますけれども、センサスの調査項目は年々増えているんです。前々回と前回の比較でも15%くらい増えているという数字がございましたし、実は調査票で14ページ、客体の把握まで入れると16ページで構成されている膨大な調査票なんです。
    新規の項目を入れるよりも、どうやってこの辺を整理していくかを考えることのほうがとても難しいなというふうにも感じています。
    この辺は省内でも慎重に議論しながら考えていかなければいけない問題なんです。まさに村岡委員もおっしゃったように、こういったところが調査の実施において非常に難しい問題の1つと思ってございますが、今後検討していく必要があるのかなと思っています。
    それと、もう一つ、我々はこの研究会だけではなくて、実際に調査を担ってくれている自治体の方々からもさまざまな要望だとかご意見なんかを頂戴しています。当然ですが、経費の面だとか予算の面をしっかり確保してほしいということもそうでございますし、調査員や自治体の負担軽減を考えながら調査を組み立ててくれというご意見も頂戴しています。わかりやすさもそうですし、調査を円滑に進めるためにどうやってPRをしていくのかということ、でき上がった結果のPRをどうやってやっていくのかということも含めて、さまざまな多岐にわたるご意見を頂戴しています。
    こういったことも総合的に検討させていただきながら、最終的には第5回目になると思うんですが、実施計画の中にも落とし込んでいけるように、いろいろ多方面からまたご意見を頂戴できるとありがたいと考えている次第でございます。
    現場で大変なご苦労をいただいているとの発言もいただきましたが、我々も一生懸命やっているんですが、これまでの経過も反省しながら考えられるところは考えていきたいと、今ご議論を聞きながら思った次第でございます。
  • 佐々木統計部長
    3人続けて発言というのもちょっとずるいような気もするんですが、お許しをいただきまして。
    まず槙原さんと、それから前田さんのほうから調査に協力してもらえるような動機づけのお話がございました。これはどういう工夫ができるかというのは考えてみたいと思っています。
    最近の調査環境が悪化していることへの対応というので、やっていることの例を申し上げますと、どこから来た調査なのか、何者がよこしたやつなんだというのがわからないというのが、そのまず第一歩としてありますので、はがきではありますけれども、私どもの名前を書いたはがきで依頼のお願いのものをまず送りまして、それから職員なり調査員がアプローチするといった取り組みなどを実験的にやったりしております。そうすると、少なくとも氏素性はわかっているということになって、少し受けとめ方も違うのかなというようなことなどで試しつつあるというところであります。
    あと調査の分量があまりにも多過ぎるというのもシュリンクされてしまう最大の要素であると思いますので、レイアウト上の工夫も含めて何とか減らせるような方向で考えていきたいというのが私どもの今の思いでございます。
    それから、星野さんからありました人件費がどれくらいかかっているのかというデータについては、先ほど大山さんへのお答えの中で少し紹介しましたけれども、サンプリング調査のほうで経営の収支を調べているものがありますので、それでご参考になるものがあるかもしれませんので、次の機会とかに、この座敷とはちょっと別途にこういう統計もやっておりますというのをご覧いただく機会をつくらせていただいて、どういったデータがあれば有益かといったご示唆もいただければなというふうに思っています。
    農林水産省が実施してきた統計は、歴史的に家族経営重視でやってきたというのは、これは否めない事実でありまして、法人の方々を対象にした調査というのは、ボリュームも中身も薄かったというところが率直なところだと思っています。あるいは例えば規模階層のくくり方にしても、土地利用型で言えば、20ヘクタール以上十把一からげみたいなくくり方しかしていないとかというところも、利活用いただく立場からすれば物足りないというお声なども現にいただいておりますので、サンプル調査に関してはサンプリング配置のあり方も含めて省内でいろいろな議論をしているところでありますので、またいろいろなご意見を具体的に頂戴できればありがたいというふうに思っております。
    それから、實川さんからありました定義の問題です。農業経営体の定義の問題に関して若干コメントさせていただきますと、それで生計を立てているか否かという点で見た場合の定義としては、今の30アールとか50万円というのは、あまりにも小さいというのはそのとおりだろうと思います。ただ一方で、農林業センサスでは日本の農業構造の全体像を把握するというのが大きな使命の一つでありますので、どういった主体がどれぐらいの規模で農業にかかわっているのかという全体像は悉皆できちんと把握する必要があるということであります。
    そういったものを押さえた上で経営の収支はどういった、規模階層のところはどういう中身になっているのかというのをサンプリング調査のほうで詳細に把握するということです。まあ、使い分けと言うと変ですけれども、そういう体系にしておりますので、センサスだけで全てにお答えするのは不可能でありますから、そういったサンプリング調査の結果も含めて、全体像としてどういうふうにニーズにお応えしていけるのかというのを模索していきたいと思っております。
    そういうことも含めてですけれども、おかげさまで農林業センサスは前回は調査対象として掲げられた方々の98.9%にご協力をいただいておりまして、ほかの省庁がやっております、こういう全数を対象にしたものを悉皆調査と言いますけれども、そういったものの回答率に比べれば、はるかに高い結果をいろいろな方のご尽力によりまして頂戴しております。そういった水準が今後も維持できるように、いろいろな工夫を重ねていきたいと思っておりますので、いろいろなお立場からご支援、ご協力を頂戴できればありがたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
  • 安藤座長
    私の不手際で既に会議の時間を超過しております。ほかにまだご意見等ある方いらっしゃるかと思いますが、それは次回以降ということにしたいと思います。
    私も意見はありますが、この意見を表明し始めると、この会が終わらなくなりますので諦めて終わりにしたいと思います。
    この資料4というのが今後の検討の方向を示しています。非常に漠然とした項目が並んでいますが、これを実際に調査票に落としていくとなると、かなり大変な議論になるだろうと思っていります。
    例えば先ほどの労働力の問題ですけれども、法人経営については、現在の調査票だとそれほど多くのことを聞くことはできません。これをしっかりとしたものにしていくとなると、販売農家世帯の労働力調査との関係が問題となってきて、こちらを大幅に縮小しなければならなくなるかもしれません。しかし、そうすると、統計の連続性に問題が生じて分析ができなってしまうという研究者からの批判の声も出てくることも予想されます。今回は新規項目の追加の話が多かったですが、これからは不要なものをどう削除していくかが問われてくると思います。これが大きな問題となってきます。
    そうした問題につきましては、第2回以降の研究会で議論していきたいと思います。今申し上げました農林業経営体の調査項目をどう削るか、あるいは削らないにしても、見やすく調査しやすいものにするかという議論が必要になってきます。そうした検討をこれから進めていきたいということです。
    かなり強引に会議を閉めることになってしまいましたが、以上をもちまして本日の議題については終了とさせていただければと思います。ご容赦ください。
    これで進行を事務局のほうに戻したいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 本間センサス統計調整官
    ありがとうございました。本日は、本当に貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
    次回の研究会につきましては、先ほどスケジュールの中でもございましたとおり、8月の下旬を予定しております。日程の調整のご連絡につきましては、7月の下旬ごろまでにさせていただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
    それでは、これをもちまして第1回農林業センサス研究会を閉会とさせていただきます。皆様、大変どうもありがとうございました。

午後5時09分閉会

お問合せ先

大臣官房統計部経営・構造統計課センサス統計室

担当者:農林業センサス統計第1班
代表:03-3502-8111(内線3665)
ダイヤルイン:03-3502-5648

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