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農林水産省

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平成26年度リスク管理検討会議事概要

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作成日:2015年3月24日

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1.日時

平成27年2月16日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

中央合同庁舎4号館 12階 共用会議室1218-1221号室

3.出席者

メンバー(敬称略):新井守、小倉寿子、鬼武一夫、川崎一平、久城真代、佐藤博之、手塚義博、富谷薫
農林水産省関係者 

 4.議事次第

  1. 開会
  2. 平成26年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画の実施状況について
  3. 平成27年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画(案)について
  4. 米のかび及びかび毒汚染防止について
  5. その他
  6. 閉会 

5.議事概要

メンバーとの情報・意見交換の概要は以下の通り。

:メンバー及び農林水産省からの発言、→:発言に対する回答

(1)開会

(2)平成26年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画の実施状況について

 資料1に沿って、年次計画に掲載したが実施しなかったもの、計画外であったが実施したものを中心に、平成25年度のサーベイランス・モニタリングの実施状況を説明。

食品中のアクリルアミド

 ○ 従来より食品関連事業者を中心に食品中のアクリルアミド低減に取り組んでおり、また農林水産省が平成25年11月に「食品中のアクリルアミドを低減するための指針」を公表し、取り組みが進められていると理解している。一方、アクリルアミドは家庭調理でも生成する可能性があることから、家庭でのアクリルアミド低減も非常に重要と考えている。前回のリスク管理検討会で、農林水産省が、家庭で実践可能なアクリルアミド低減調理法に関する研究事業を実施していると伺ったが、その進捗状況と結果の公表時期をお伺いしたい。結果を公表する際には、消費者の方にとって分かりやすい内容、手段を検討していただきたい。

→ サーベイランス・モニタリング年次計画に基づく実態調査ではなく、研究事業において、野菜類を炒め調理した時にアクリルアミドがどれくらい生成するのか、加熱前に野菜を水さらしなどの前処理をすることでアクリルアミドの生成を低く抑えることができるのかなどについて研究を行っている。本研究事業は平成26年度3月末に終了する予定であるので、平成27年度以降に研究結果を詳細に解析して、なるべく早い時期に結果を公表する。消費者の方にはパンフレットを活用するなど分かりやすい形で情報を伝えることとしたい。

食品中の多環芳香族炭化水素類

かつおぶし・削りぶしの多環芳香族炭化水素類(PAHs)については、従来より業界が自主ガイドラインを作成し、PAHs低減に取り組んでいると理解している。前回のリスク管理検討会において、農林水産省が、家庭で生成するPAHsの実践可能な低減調理法に関する研究事業を実施する予定と伺ったが、進捗状況と結果の公表時期をお伺いしたい。

→ 研究事業において、肉、魚を直火加熱した時にPAHsがどれくらい生成するのか、調理方法によってPAHs生成に影響があるかどうかなどについて研究を行っている。平成26年度から2か年で実施しており、平成27年度末に研究者から報告書が提出される予定であるので、平成28年度以降に研究結果を詳細に解析して、なるべく早い時期に結果を公表する。

小麦・大麦中のデオキシニバレノール(DON)

小麦・大麦は篩い下のもの(=選別工程で食用外に仕分けたもの)を、肥飼料用に用いているが、その点は大丈夫なのか。実態調査等はしているのか。

→ 飼料についてはDONの暫定許容値が設定されており、当方の実態調査の結果についても情報共有している。

 

(3)平成27年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画(案)について

 資料2に沿って説明。

<化学物質>

かび毒のアフラトキシン(AF)

AFについて、飼料中のAFB1をモニタリング予定とのことだが、乳中のAFM1の実態調査も考えているのか。

→ 農林水産省としては、引き続き飼料中のAFB1の実態調査を継続していく。また、食品安全委員会では、「現行の配合飼料中のAFB1の指導基準値以下と適切に管理されている現状においては、飼料による食品を介したヒトへのリスクはほとんどないと考えられる」と評価している。なお、乳中のAFM1については、厚生労働省において乳中の実態調査を行うと聞いている。

→ 飼料のAFB1の濃度を抑制することで、乳中のAFM1の濃度を低下させることができる。飼料としての規制対象はAFB1であるので、AFB1で規制すれば、乳中のAFM1も管理できると考えている。

麦類中のフザリウム属が産生するかび毒

麦類のDON、NIV、ZEN、T-2トキシン、HT-2トキシンの分析法に関して、これらのかび毒はLC-MS/MSでの一斉分析が可能と思うが、なぜ、GC-MSとLC-MS/MSを使い分けているのか。

→ この調査は指針の効果の検証や含有実態の年次変動の把握を目的としているもの。麦類のかび毒の分析機関(FAMIC)でISO/IEC 17025を取得している方法がGC-MSであり、その対象かび毒がDON、NIV及びそれらのアセチル体である。DON、NIV等は用いている分析法の継続性やデータの信頼性の観点でGC-MSで分析し、それ以外のかび毒はLC-MS/MSで分析するもの。

食品中の3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステル

3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルについて、平成27年度サーベイランス計画にないが調査しないのか。昨年12月に実態調査結果のプレスリリースの中では、引き続き情報収集を行うと書かれていた。

→ 平成24~25年度の調査結果をプレスリリースしており、その後平成26年度もバター、マーガリン、ショートニング、ラード、魚油を主成分とする食品、調製粉乳の含有実態を調査している。国際機関に提出するデータとしては、平成26年度までの調査結果で十分と考えている。今後は、市販品の調査だけでなく、実際に濃度を低減するための調査を実施する必要があると考えている。今後、事業者の協力を得ながら調査内容を検討していく予定。

→ これまでも、例えばアクリルアミドでは、事業者の協力を得て行った製造工程からの抜き取り調査は、年次計画には掲載していない。調査結果の公表に関する取扱いは事業者と相談しながら検討する。

食品中のトランス脂肪酸

平成27年度に調査予定のコンパウンドクリーム、コーヒークリームとはどのようなものを指すのか教えていただきたい。

→ コンパウンドクリームは乳脂肪に植物油脂を混合したクリーム製品、コーヒークリームはコーヒーに加える液状のポーションタイプの製品を主な対象食品として、植物性脂肪を含むクリーム類について調査する予定である。

それら食品中のトランス脂肪酸については、既に事業者が自主的に原料を置き換えて、トランス脂肪酸の含有量を低減しているのではないか。それよりも目線を変えて、他の加工食品でもっと多く含まれているものを調査した方が良いのではないか。

→ トランス脂肪酸については、まず上流のもの、つまりケーキ、パイなどの原料として使用される加工油脂等を調査し、次の段階として、ケーキ、パイなどの加工食品を調査する予定である。なお、調査事業の入札の結果、サーベイランス・モニタリングの予算に余裕が出て来る部分もあると思われるため、その際には、平成27年度の年次計画に掲載していないケーキ、パイなどを対象食品とした調査も行いたいと考えている。なお、本調査の目的は、農林水産省のウェブページで食品中のトランス脂肪酸に関するデータを掲載しているところ、これらは平成18、19年度に調査した古いものであるため、最新の含有の状況を反映したものに更新することである。トランス脂肪酸が多く含まれていると考えられる加工食品についての情報があれば提供いただきたい。
データがあれば情報提供したい。農林水産省のウェブページでも、トランス脂肪酸の低減にあたり飽和脂肪酸の含有量を増やさないよう注意する必要のあることが伝えられているが、実際は、トランス脂肪酸含有量の低い原料に置き換えることにより、結果として飽和脂肪酸の含有量が増えてしまっていることを懸念している。農林水産省から情報発信する際には、トランス脂肪酸の低減にあたり飽和脂肪酸の含有量が増えることをコメントとして出していただきたい。

→ トランス脂肪酸の調査では飽和脂肪酸についても分析する。トランス脂肪酸と併せて飽和脂肪酸についても適切に情報発信していく。

食品中のアクリルアミド

資料1の議論の際にも話題になったが、家庭でできる食品中のアクリルアミド低減については消費者の関心が高い。研究事業の結果公表にあたっては、写真や絵などを活用して、視覚的に分かりやすい内容にしていただきたい。また、アクリルアミドについては消費者の不安を煽るような報道も一部で見受けられる。消費者が不安にならないように、農林水産省には、科学的根拠に基づいた情報発信をあらためてお願いしたい。

→ 研究事業の結果公表にあたっては、消費者の方にとって分かりやすい内容になるよう努める。また、消費者の方が過度に不安にならないよう科学的根拠に基づいた正確な情報発信に努める。

食品中のトランス脂肪酸

トランス脂肪酸を低減すると飽和脂肪酸の含有量が高くなってしまう話、海外ではこれだけ低減している国もあるのだから日本でも減らしてはどうかといった話など、様々な情報があり、消費者の関心も高く議論もわかれるところ。最新のデータに基づいた情報発信をお願いしたい。

→ 消費者に正しい情報がきちんと伝わるよう、得られたデータは消費者庁等にも提供していく。

水産加工品中のダイオキシン

ダイオキシンについて、機能性食品等で魚を原料としたサプリメントの摂取が増えるかもしれないが、調査しないのか。

→ 農林水産省は一次産品(農畜水産物)について定期的に調査をしているところ。ダイオキシンは調査単価が高いため、予算やリスクの程度を踏まえて検討する。一般的に、原料の濃度が低ければ極端に高い値にはならないと推定。 

<微生物>

野菜中の腸管出血性大腸菌

腸管出血性大腸菌O157に汚染されたハクサイ浅漬けによる食中毒事案では、原料ハクサイが家畜ふん堆肥で汚染された可能性について報道があった。圃場で家畜ふん堆肥が舞って野菜を汚染することが考えられるので、微生物調査の他に生産履歴で堆肥の種類や施用状況なども調査すべき。

→ 貴重なご意見に感謝。アンケート調査を実施するので、併せて調査したい。

鶏卵中のサルモネラ

販売されている鶏卵で、常温で(不適切に)保存されているものがあると聞いている。調査時には、販売状況や卵の品質についても調べてほしい。

→ 検体は小売店でなくGPセンターで採取しているため保存状態を直接知ることは難しいが、調査協力先に販売状況等についても聞いてみる。

液卵の扱いも多いため、鶏卵内部のサルモネラ検出率はどの程度か調べてほしい。

→ 平成19年度調査では、2030パックの市販鶏卵を調査したが鶏卵の内部からはサルモネラが検出されなかった。

二枚貝中のノロウイルス

食品安全委員会の専門調査会で、自ら評価の案件候補としてノロウイルスとカンピロバクターが挙げられている。カキ中のノロウイルスの調査等はこのまま進めてもらえばよいが、食中毒が減っていない現状を考えると、調理現場での管理を徹底させるなど、出来ることは他にも色々あると思う。

→ リスク管理機関である厚生労働省や、リスク評価機関である食品安全委員会と提携してリスク管理に臨む必要がある。

鶏肉中のカンピロバクター

イギリスでは、流通段階での鶏肉の汚染率が6割程度あると聞いている。日本ではどの程度か。

→ 日本の市販鶏肉のカンピロバクター汚染率については数多く論文が出されており、それらを収集・分析した論文もある。それによれば、日本でも同程度の汚染率である。なお、過去の調査から、鶏のカンピロバクター保有率には季節性があり、夏期に高いことが分かっている。

食鳥処理場における内臓摘出の時点で機械が汚れてしまうことが、交叉汚染の原因になっているのではないか。

→ 食中毒菌に感染している鶏の腸が切れて、その腸管内容物がと体に付着することも汚染経路の一つと考えられている。摘出された内臓がと体に付着しないような機械があるとも聞いている。

 

(4)米のかび及びかび毒汚染防止について

 資料3に沿って説明

ガイドラインの策定前後で、農家でやっていることが変わったのか。

→ このガイドラインは、かび発生やかび毒が作られることを未然に防止することを目的としたごく普通の取組みを記載しているだけなので、策定の前後で農家でやることが大きく変わるものではない。

例えば、埼玉県では、個別農家に指導する部門(専門技術員)と大規模施設等に指導する部門(農業支援課)がある(都道府県によって担当課は異なる)。その部門を通じて普及を進めるのが良いと考える。 多くの農家は、農機具を洗浄する目的でブロアーを保有している。米の乾燥調製機械等の清掃は、コストの面からも、既に持っているもの(ブロアー)等を活用するのが良いと考える。

最近フレコンパックに静置型乾燥機を用いる例があるが、かび汚染に及ぼす影響について調べたデータはあるのか。

→ 現段階ではない。

→ 大規模にフレコン貯蔵をしている施設では、上部と下部のフレコンの積替えを行っていると理解している。

中小零細規模の食品事業者ではHACCPの普及がなかなか進まない現状がある。その理由のひとつに、HACCPは難しい、書類作成の手間がかかる、コストが大きくかかる、実際に食品事故が発生していないのに必要か(導入するメリットがどこにあるのか)、等と考えられていることがあげられる。導入のためにいろいろなマニュアルや参考書が作成されているし、セミナー等も多く開催されているが、なかなか理解や実践が進まない。現場の実状に則した丁寧な指導・助言が必要と感じている。同様に、米のかび・かび毒汚染防止についても米の生産者に対して指導という形で一方的に伝えるだけでなく、現場に実際に入って農家に寄り添い一緒に実践する体制を作ることが重要と考える。 

ガイドラインやマニュアルが多いので、使う者(生産者)の方がどうすればよいかが分かりづらい。こうしたマニュアルのなかにA4 1枚程度のボリュームでいいからGAPと関連した対策としてのかび汚染防止対策であることを記載することが望ましい。

→ 農水省が作成している米のGAPのガイドライン中にも、衛生管理の取組の一つとして、「米のカビ汚染防止のための管理ガイドライン」は紹介しているが、GAPの導入産地数は限られている。また、取組の必要性の背景をきちんと理解した上で実践してもらう必要がある。

 

(5)閉会

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課
担当者:リスク管理企画班
代表:03-3502-8111(内線4459)
ダイヤルイン:03-3502-7674

 

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