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農林水産省

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作成日:平成27年10月23日

平成27年度リスク管理検討会(第2回)議事概要

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1.日時

平成27年9月14日(月曜日)14時00分~16時30分

2.場所

中央合同庁舎第4号館 12階 共用会議室1219-1221号室

3.出席者

メンバー(敬称略):莇祥子、上原健一郎、鬼武一夫、川崎一平、児玉泰徳、佐藤博之、手塚義博
農林水産省関係者 

4.議事次第

  1. 開会
  2. 優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質の見直しについて
  3. サーベイランス・モニタリング中期計画の作成について
  4. その他
  5. 閉会 

5.議事概要

メンバーとの情報・意見交換の概要は以下の通り。

:メンバー及び農林水産省からの発言、→:発言に対する回答

(1)開会

大臣官房 審議官(兼消費・安全局)から挨拶。

 

 (2)優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質の見直しについて

 農林水産省担当官から、資料1に沿って、危害要因の分類の見直し案について説明。

危害要因の分類「既にリスク管理措置を実施している危害要因」に関して、「既に実施しているリスク管理措置」の内容がわかりにくい。厚生労働省が基準値を設けている場合を含むのか、農林水産省が指針を策定している場合を指すのかなど、具体的な措置内容を記載するべきではないか。

→ ここでいう「リスク管理措置」は農林水産省が行っているものを指す。具体的には低減指針や業界への通知等が該当する。優先リスト*を公表する際には、これらを例示するなど、わかりやすく記載したい。
農林水産省が優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質のリスト

危害要因を優先リストへ位置付ける際には、農林水産省がリスクをどのように認識し、どのような観点で位置付け、今後のリスク管理の目標がどこにあるのかを明らかにすることが重要。優先的なリスク管理の対象となっていることで、その物質が存在すること自体が危険と消費者に思われることのないよう、次期の計画の作成に当たって留意して欲しい。

リスク管理の対象であるかないかということと、その物質の危険性とは同じではないと承知している。例えば、現状の放射性セシウムはしっかりと管理されていると思うが、半減期が30年もある物質の管理を数年でやめてしまっては見えないことがあると思う。優先リストに位置付けることで、継続的に管理されているということが伝わり、消費者が安心できるという面がある。また、有害物質による健康被害が起こる前から、行政が先手を打って実態を把握し、対策を実施しているということで消費者の安心につながるのではないか。

 

農林水産省担当官から、資料2に沿って、現在、優先的なリスク管理の対象としている有害化学物質について、リスク管理の優先度を下げる(優先リストから外す)ことを提案する有害化学物質を中心に説明。
優先度について

優先リストということで、ある程度の含有実態等が判明した危害要因について、リストから外すことは理解できる。関連情報の収集を継続するということは、リスクプロファイルを作ることと考えてよいか。また、リストから外れた危害要因についても、優先的ではないがリスク管理の対象とすることで整理されていくのか。

→ 優先的なリスク管理の対象から外れた危害要因についても、情報収集を継続し、適宜リスクプロファイルを更新していくなどの対応をする。今回、優先的なリスク管理の対象から外しても、次の優先リストの見直しを議論する際に、優先的なリスク管理の対象とするか検討対象とすることも想定される。優先度を下げた危害要因であっても情報収集などは継続する旨が外から見てわかるように資料3の留意事項に記述したところ。

→ リスク管理に携わる農林水産省消費・安全局の職員は、優先的なリスク管理の対象であるか否かに関わらず危害要因についての情報を常時収集している。

農産物中のカドミウム

米以外の農産物中のカドミウムについて、国際的な検討状況はどうなっているか。カドミウムを吸収しやすく、これを低減すべき農産物が米以外にあるか。また、低減技術の開発状況を知りたい。

→ 国際的には、米以外に小麦や野菜などにもコーデックス委員会の基準値が設定されている。我が国のカドミウム摂取については、米の寄与が高いが、それ以外の農産物についても低減対策を検討している。例えば、大豆については農業環境技術研究所と共同で、「ダイズのカドミウム吸収抑制のための対策技術確立マニュアル」を公表している。

大豆について、カドミウム低吸収性の品種改良を行っているのか。

→ 上記マニュアルで、カドミウムを比較的吸収しにくい大豆品種を挙げている。

過去に農薬として使用された履歴のある残留性有機汚染物質

農産物の汚染が懸念される産地では、低減対策を進めているものの低減は難しく、ウリ科野菜の栽培が難しい場所もあると聞いている。また、産地では当該物質が農産物から検出された場合の風評を気にしている。当該物質の低減に関して、実態に応じた対応を取って欲しい。資料2の中に低減に取り組む産地を引き続き支援する旨の記載があるが、どのような支援をしているのか。

→ 消費・安全対策交付金の中で、出荷前検査、作付前の土壌検査、低減対策の検証に対して支援をしている。

貝毒

貝毒については、産地側では厳しく管理されているが、イベント等に使われるホタテやカキは、使用者側で数週間蓄養されることがある。そのため、生産者段階のモニタリングで貝毒検査をクリアしていても、残念ながらイベントで貝毒による食中毒が発生することがある。生産者だけでなく、貝を取扱う人たちへも中腸腺を除去して食べるなどの周知が必要である。また、日本では、ドウモイ酸はヒトに健康被害が出るほど貝に蓄積されている状況ではないが、原因プランクトンが存在するため、プランクトンの監視をする必要があると考える。

シガテラ毒

シガテラ毒を優先リストから外すとのことだが、シガテラによる食中毒の発生状況はどうなっているのか。リスクプロファイルのデータは平成20年までのもので、近年の温暖化で原因プランクトンの生息域が広がっている可能性がある。最新のシガテラ毒を原因とした食中毒データに基づいて、優先度を検討する必要があるのではないか。

→ 論文によれば、平成元年から22年に78件の食中毒が起きており、平均すると1年あたり3~4件程度の発生となっている。平成23年以降の情報は、厚生労働省から得たものであるが、年間5件前後となっており、発生状況に大きな変化は見られないと考える。

シガテラ毒については、2014年から食品安全委員会の事業で、国立医薬品食品衛生研究所が研究調査をしているのではないか。

→ 調査研究について確認したい。リスク管理の優先度を下げる(優先リストから外す)候補としたドウモイ酸やブレベトキシンについては食中毒事例がないが、シガテラ毒については食中毒事例があることから、優先リストに掲載するかどうかについて改めて検討する。

植物中の自然毒(スコポレチン)

コーデックス委員会の食品汚染物質部会において、「FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)による評価の優先リスト」に掲載されているスコポレチンを検討対象としないのか。

→ ノニ果汁以外に含有を把握しておらず、国産食品ではなく輸入食品の問題と認識しているので、現時点では農林水産省が優先的にリスク管理を行う対象とは考えていない。国産の果実や野菜への含有の可能性に関する情報収集は継続する。

リスク管理の優先度を下げる(優先リストから外す)有害化学物質について

シガテラ毒以外の候補物質(ポリブロモジフェニルエーテル、パーフルオロオクタン酸及びパーフルオロオクタンスルホン酸、ドウモイ酸、ブレベトキシン、硝酸性窒素)の優先度を下げる提案について、その他に情報・意見はないか。

→ 意見等なし。

 

 ・ 農林水産省担当官から、資料2に沿って、新たに優先的なリスク管理の対象とすることを検討中の有害化学物質について説明。

 放射性セシウム

東日本大震災から時間が経過し、情報の風化が生じることを懸念している。もう調査は必要ないとの声もあると思うが、今回の見直しのタイミングで優先リストに掲載することで、引き続き取組を進めて欲しい。セシウムを吸収しない米の栽培方法などの研究を進めて欲しい。

放射性セシウムのリスク管理に関しては、政府としてリスク管理措置が講じられており、リスク管理の優先度はそれほど高くないと考える。我々も福島県とその他の地域について陰膳調査(家庭の食事からの放射性物質摂取量調査)を実施しており、福島の食事もリスクが低いことを確認している。消費者からの問合せも少なくなっており、検査を強化するよりも重要管理点を把握することが大切。放射性セシウムがしっかりと管理されている現状に関して、海外を含めた外部への説明をいかにしていくかが重要と考える。

事故後の1年間は極端な反応が多く、問合せ件数も多かったが、現在はほとんど問合せがない。ただし、小さい子供を持つ母親の懸念は未だに強いと感じている。

水産物については、放射性セシウムを測り出荷調整している。引き続き調査をして欲しい。内水面の水産物は、水産資源として量は少ないものの、一般の人が釣りなどで採捕することがあるため引き続き管理が必要。

→ 農林水産省もメンバーの方々と同様の認識を持っている。含有濃度が高いのは管理されていない野生作物等の一部品目に限られている。生産者により生産されている農作物等については、行政からそれぞれ適切な栽培方法等を指導しており、放射性セシウムによる汚染は非常に低い。このような状態が継続されていることを確認し、情報を発信していきたい。

ジアセトキシスシルペノール・ステリグマトシスチン

かびについてはわからないことが多い。情報を収集し、さらに新たに問題となる可能性があるかび毒についてもリスク管理を進めて欲しい。

コーデックス委員会の食品汚染物質部会において、JECFAによる評価の優先リストに掲載されており、優先的なリスク管理の対象とするべき。

ピロリジジンアルカロイド

野草を採取して食べる人が一定数いると承知している。あく抜きによりどの程度低減ができるのか等、自然毒に関して情報提供の充実が必要。

標準品の作成や分析法の確立を進める必要がある。

グリシドール脂肪酸エステル

欧州やJECFAの評価に関し情報を収集し、必要な調査を行うべき。ジアシルグリセロール(DAG)を高濃度に含む油との関連についても調査を行うべき。

新たに優先的なリスク管理の対象とする有害化学物質について

放射性セシウム、ジアセトキシスシルペノール、ステリグマトシスチン、ピロリジジンアルカロイド、グリシドール脂肪酸エステルを新たに優先的なリスク管理の対象とする提案について、その他に情報・意見はないか。

→ 意見等なし。

 

 農林水産省担当官から、資料2に沿って、その他、食品中の有害化学物質等について説明。

サプリメント中の危害要因

クロムやセレンなど必ずしも問題ではないと思うが、サプリメントの大量摂取による健康影響を懸念する。サプリメントは大量に流通しており、よくわからないまま複数のサプリメントを継続的に摂取することも珍しくない。通常の食品からの摂取では問題がなくとも、サプリメントの摂取でリスクが懸念されるのであれば、優先リストに記載しないとしても、リスクとして認識するべきである。「バランスの良い食事」を強調しても、実際に実現できている人ばかりではない。

→ 常日頃からリスクは毒性と摂取量の両方の関係であることを理解していただけるよう心がけているところ。関係省庁とも情報を共有しつつ、対応していきたい。

→ サプリメントについては、消費者庁の機能性表示食品の届出等に関するガイドラインにおいて「サプリメント形状の加工食品」というカテゴリーがあり、また、食品安全委員会では「いわゆる「健康食品」に関する検討ワーキンググループ」で議論を進めているところ。他省庁の動きも踏まえ、サプリメントの食品としての位置付けがある程度定まった後に検討してはどうか。

テトロドトキシン

テトロドトキシンについては、2014年にシラスなどの流通にフグが混じっていることで問題となった。シラスに小さなフグが入っていても、食品衛生法による規制のため、流通は許されない。アンケートで寄せられた意見は、シラスにフグが入っている可能性があり、生産段階で選別してほしいという意図で出されたものではないか。フグ毒自体のリスク管理については、食品衛生法に基づいて適切に行われており、問題ではないと理解している。

シラスに入った小さなフグを除去するような、異物の除去については、とても手間がかかる。産地から直送されるものは、場合によっては異物除去の工程が少ないことがあるかも知れないが、大手メーカーや生協へ出荷する加工業者は、選別にとても手間をかけている。東京海洋大学の研究では、シラスに含まれるフグの稚魚に毒性はなかったとの結果が報告されていることから、これを広く周知し、生産者に過度に負担がかからないようにならないか。

シラスに含まれていたシロサバフグの毒性については、東京海洋大学の研究ではヒトへの健康被害がでる可能性は極めて低いとの結果が出ているが、保健所の指導では、フグが混入したシラスは全て回収するようにとのことだった。そのため、フグが混入した恐れのあるシラスの製品について、食べないでくださいとの注意喚起を、自社のホームページに載せた。販売する立場としては、シラスをパックする段階で異物を除去することは難しいが、今年は1件もシラスにフグが混入してはいない。おそらく、生産段階で異物の除去が徹底して行われているのではないかと考える。

その他の有害化学物質等について

これらの有害化学物質等を優先的なリスク管理の対象としないとの提案について、その他に情報・意見はないか。

→ 意見等なし。

 

 農林水産省担当官から、資料3に沿って、優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質のリストの案について説明。

優先リストの定期的な見直しは中期計画期間と同じ5年ごととし、必要に応じて、年次計画の検討時などに、リストの一部の更新をしたい。

先ほどの議論を踏まえ、シガテラ毒については優先リストへの記載を検討する。

 

(3)サーベイランス・モニタリング中期計画の作成について

 農林水産省担当官から、資料4に沿って、平成28~32年度のサーベイランス・モニタリング中期計画の案について説明。

モニタリングについて

食品の基準値が定められている危害要因の中で、モニタリングをしないものはあるのか。

→ 基準値が設定されていてもモニタリングしないものはある。基準値があるものでも、実施規範に従った生産によって基準値を下回ることが想定できる場合などに、より低いレベルでの汚染実態を把握するためのサーベイランスを実施することがある。

→ 食品の基準値の適否の観点からの検査は厚生労働省が行っている。

試料のサンプリングについて

実態調査における試料のサンプリングについて、ガイドラインに基づいて実施されていると理解しているが、メンバーが関与することは可能か。

→ 食品に含まれる危害要因の日本全体の実態を調べるためには、統計学上、全国からランダムに試料を採取することが必要である。そのため、農産物の場合は作付面積や出荷量等に応じて、試料点数を地域ごとに割り振って採取している。特定の地点についてサンプリングの要望を受けることは難しい。個別の調査についての意見があれば、年次計画の検討時に提案いただきたい。

水産物について

水産物については、ヒ素は調査せず、カドミウムのみ調査するのか。

→ 水産物中のヒ素については、平成26年にヒジキのヒ素を低減する方法を検証するためのデータをとっており、消費者向けにヒジキに含まれるヒ素の低減対策を記載したパンフレットを作成しているところ、また、平成18~20年にヒ素の含有実態調査をしている。そのため、次期中期計画では、水産物中のヒ素に関する調査は予定していない。

 

(4)その他

 本日の議論の結果を参考とし、広く意見を募集して、年内に優先リスト、中期計画をまとめて公表したい旨、また、次回リスク管理検討会は2月中旬に開催予定であり、年次計画に関して検討したい旨を連絡。

 

(5)閉会

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課
担当者:リスク管理企画班
代表:03-3502-8111(内線4459)
ダイヤルイン:03-3502-7674

 

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