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農林水産省

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平成28年度リスク管理検討会(第3回)議事概要

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1.日時

平成29年2月14日(火曜日)14時00分~16時30分

2.場所

農林水産省 7階 共用第1会議室

3.出席者

メンバー(敬称略):莇祥子、小倉寿子、鬼武一夫、川崎一平、児玉泰徳、手塚義博
農林水産省関係者 

4.議事次第

  1. 開会
  2. 平成28年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画の実施状況について
  3. 平成29年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画(案)について
  4. 食品の安全性を高めるための指針等(ガイドライン/ハンドブック)について
  5. その他
  6. 閉会

5.議事概要

メンバーとの情報・意見交換の概要は以下の通り。

〇:メンバー及び農林水産省からの発言、→:発言に対する回答

(1)開会

消費・安全局食品安全政策課長から挨拶。

(2)平成28年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画の実施状況について

農林水産省担当官から、資料1を用いて、平成28年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画の実施状況について、計画と実績が異なるものを中心に説明。

【化学物質】

乾燥コンブ中のヒ素

〇 乾燥コンブ中及び出汁中のヒ素について実態調査結果の傾向はどのようなものだったか。
また、トランス脂肪酸の含有実態調査の結果はどうだったかについても教えてほしい。

→ 乾燥コンブ中及び出汁中のヒ素についての調査は、平成28年度だけではなく平成27年度も実施した。平成27年度で、コンブの種類によってヒ素の濃度が異なる傾向を認めたが、ロットの判別ができないものが含まれていたことから、平成28年度も実施することにした。また、平成27年度では、水抽出又は熱水抽出によって出汁を調製したが、平成28年度では、硬度の異なる水を使って出汁を調製するよう計画した。平成28年度の調査は現在実施中であり、今後、これら2年分のデータを解析して結果を公表する予定である。トランス脂肪酸の実態調査は現在実施中である。

〇 水の硬度等は重要と考える。現在、日本食がブームなので、コンブ出汁について検討が進められていることは、良いことだと考える。

〇 多くの場合、出汁をとった後のコンブも食べる。乾燥コンブの総ヒ素も調査する必要があるのではないか。

→ 平成18年度~平成20年度に実施した調査から、乾燥コンブ中には総ヒ素としては含まれているが、無機ヒ素としてはほとんど含まれていないことを確認している。

〇 調査対象とするヒ素の種類を絞ることは可能だと考える。

【微生物】

もやしのサルモネラ

〇 もやしの生産施設には大規模なところは少ないと考えるが、平成29年度の調査ではどのような規模の施設を調査するのか。

→ 一般的に、大規模な施設ではある程度の水準の衛生管理がされていると思われるので、そういった対応が難しいと予想される中・小規模の施設を中心に調査していきたい。

〇 対象とする施設の規模は、最終的にガイドライン等を作る上で非常に重要な要素と思われるので、よく検討した上で調査を進めてほしい。

カキのノロウイルス

〇 一昨年の本検討会で、新たなノロウイルスが流行する、という話があったが、その年には流行せず、今期になって流行しているのは、どう解釈したら良いか。

→ 一昨年は、ノロウイルスの遺伝子型の1つであるGII.17が流行するのではないかと予測された。その理由のひとつは、私たち日本人がGII.17に対する免疫を持っていない可能性があるということだった。しかしながら、結果として危惧されたほどの流行とはならなかった。私たちの免疫で対応できたのか、それともGII.17の病原性が弱かったのか、現時点で考察できるのはここまでであり詳細は不明である。なお、今期流行しているのは、GII.2という遺伝子型のウイルスである。

〇 ノロウイルスに関して、生産段階のカキからの検出の有無を調査するだけでなく、海域のモニタリングもあわせて行い、カキ中のノロウイルス汚染の発生を予測することも重要だと考える。海域の調査を実施している自治体と上手く連携して実施する必要がある。
また、浄化処理する際にノロウイルスフリーの海水をどのように作るかが課題である。

→ 海域モニタリングや海水中のノロウイルスを直接検出することは、非常に難しい。大腸菌以外の優れた指標として細菌に感染するウイルスであるファージを使うことができるといった報告がある。あくまで研究段階のものであり、海域のモニタリングの重要性は承知しているが、実際に使うのはまず手法から検討する必要があり難しいと考えている。今後も引き続き情報収集する。

(3)平成29年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画(案)について

農林水産省担当官から、資料2を用いて、平成29年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画(案)について説明。

【化学物質】

全体

〇 ほぼパーフェクトである。ハザードの摂取量等から優先順位を付け、含有実態を把握し、リスク管理措置を検討し、効果を測定するという枠組みがしっかりしており、全体として見て平成29年度の年次計画に合意できる。平成29年度の年次計画で調査が計画されていない3-MCPD脂肪酸エステルについては、分析法の問題が指摘されているので分析法を確立し、着実にデータを蓄積していく必要があるだろう。飼料中のアフラトキシンB1の調査については、乳中のアフラトキシンM1の調査と合わせて実施することで、含有濃度に相関があるのであれば、将来的に二重規制を無くすことも検討して行ければ良いのではないか。

〇 食品中のハザードの含有実態調査だけではなく、作成した指針や手引き書の現場への普及状況も調査し、対策の実施状況と含有実態を関連させて評価することが重要だと考えるが、何か取組をしているのか。

→ 国産麦類のかび毒調査の場合を例にとると、「麦類のデオキシニバレノール・ニバレノール汚染低減のための指針」を作成して現場に普及しているが、実態調査に合わせて生産者が実際にどのような対策を取っているのかについてもアンケート調査を実施しており対策の実施状況を確認するとともに、含有実態と低減対策を合わせて解析して効果を検証している。農林水産省の実態調査の一番の特徴は、単に市販品を購入して調査するのではなく、生産者や事業者と連携して、生産環境や生産方法の情報と合わせて解析を行うことである。指針を作成した他のハザードについても、生産段階や製造・加工段階で、関係者と共に調査を実施している。

加工食品中のアクリルアミド

〇 日本人は食品から摂取するアクリルアミドの過半を炒めた野菜及び揚げた野菜から摂取しているとのことだが、どのようにして摂取量を推計したのか。一般にアクリルアミドは高温調理で生成しやすいので、本格的な中華料理には、アクリルアミドが多く含まれているということか。

→ 食品安全委員会の委託を受けた国立環境研究所がアクリルアミドの摂取量を推計した。農林水産省の実態調査結果等をもとに作成した食品中のアクリルアミドの濃度分布と、国民健康栄養調査結果をもとに作成した各食品の摂食量の分布を、モンテカルロシュミレーションによって掛け合わせ、アクリルアミド摂取量の分布を得る手法と、食品別にアクリルアミド濃度の平均値と摂食量の平均値を掛け合わせるという2つの手法を用いている。その結果、炒めた野菜及び揚げた野菜の寄与が高かったということである。この推計に使われた炒め野菜等のデータは、ほとんどが試験的に野菜を加熱調理したデータであり、実際の調理で中華炒め野菜にどれぐらいアクリルアミドが含まれているかは、現時点では不明である。それゆえ、実際に国内で販売・提供されている炒め野菜及び揚げ野菜中のアクリルアミド濃度を把握する必要がある。

〇 かりんとうや米菓の調査研究も引き続きやっていただきたい。また、普段よく食べる野菜炒め等に含まれるアクリルアミドにも関心がある。今後も注視していきたい。また、近年の異常気象によって、アフラトキシンやデオキシニバレノール等のかび毒による汚染実態が、どのような影響を受けるのかも注視したい。アフラトキシンの調査を、飼料だけではなく食品についても実施してほしい。

かつお節中の多環芳香族炭化水素類(PAH)

〇 かつお節中の多環芳香族炭化水素類の低減技術の検証調査は、調査点数が最大120点とのことだが、調査対象とする工場や対策の絞り込みはできているのか。

→ 協力工場は確保できているが具体的にどのような低減技術を検証するかは、120点の枠内で今後検討する。PAHは薪を燃やしてかつおを繰り返し焙乾する工程で生成するので、焙乾の一部を電気乾燥に置きかえる等して、焙乾回数を減らすことを検討している。また、PAHの低減だけではなく、製品の風味に与える影響も検証する。

〇 かつお節の品質には一次焙乾も最も重要な工程だと考える。JAS法は、かつお節の焙乾回数を規定していることに、留意されたい。PAHの問題から、かつお節もどきともいわれかねない製品が出回る可能性がある。品質維持は大切なので、もっと多くの点数で検証してもいいと考える。

りんご果汁中のパツリン

〇 りんご果汁のパツリン調査には同意するが、パツリンはリンゴに特有なかび毒なのか。

→ パツリンは果物に付着するかびによって作られるかび毒であり、リンゴだけが汚染されるわけではない。リンゴは、傷害果が加工に供される場合があり、また、保存期間が長いという特徴がある。傷が付いた箇所からかびが侵入し、保存中に増殖すると、高濃度のパツリンに汚染される可能性がある。リンゴは他の果物と比較して貯蔵性が良いことから、加工品がかび毒に汚染されるという問題が生じる。実態としては、腐敗した部分を除いてリンゴ果汁を製造するので、以前の実態調査ではリンゴ果汁のパツリン濃度は食品衛生法の基準値より十分に低い値であった。前回調査から10年ほど経過し、搾汁工場の施設や品質管理担当者が変わっていることから、最新の実態を把握するため調査を計画した。

【微生物】

全体

〇 化学物質に比べ、微生物の調査は難しいと感じた。内閣府食品安全委員会の自ら評価案件の検討においても、近年カンピロバクターとノロウイルスが度々候補として挙がるものの、リスク管理機関とリスク評価機関で情報収集に努めるという結論になっており、微生物の対策は難しいと感じる。また、優先リストに追加されたE型肝炎ウイルスは、原因食品を生食しないことが一番の対策であるが、あまり認知されていない。微生物の調査や対策の検討を継続しつつ、食中毒予防に関する消費者啓発が重要と思う。 全体として見て平成29年度の年次計画に合意できる。

カキのノロウイルス

〇 宮城のカキの加工工場を見たことがあるが、殻を手で剥いていた。「高圧処理」は現場にどのくらい普及しているのか。

→ 殻剥きとして「高圧処理」を導入している産地は全国で2~3か所である。

〇 「高圧処理」によるカキのノロウイルス低減に関する知見はあるのか。

→ カキを細切・混合したものにノロウイルスを添加した試料を高圧処理し、ノロウイルスが低減したという文献情報はある。
カキそのものを「高圧処理」した際にどの程度ノロウイルスが低減するかはまだ情報がないので、本調査で情報を得たいと考えている。

〇 期待している。

鶏肉のリステリア・モノサイトジェネス

〇 リステリア・モノサイトジェネスは、調理済み食品でよく問題になるものだと認識している。食鳥処理施設を調査する意義は何か。

→ ご指摘のとおり、リステリア・モノサイトジェネスによる食中毒の主な原因食品は、調理済み食品である。原料として使われる食肉のリステリア・モノサイトジェネスの汚染状況をみると、鶏肉が他の畜種と比べて汚染率が高い傾向にある。また、過去の調査結果から、施設では食鳥処理が始まる前から機械・器具等が汚染されている可能性があることが分かったので、食鳥処理施設での調査を優先して進めたい。
なお、市販の調理済み食品の調査のように、計画したが実施できなかったものについては、今後一切やらないということではない。最新の国内外の知見や動向などを踏まえて、調査計画を見直し、必要と判断できれば実施していきたい。昨年は、東京都が市販の調理済み食品の調査結果を学術雑誌で公表している。

もやしのサルモネラ、腸管出血性大腸菌

〇 もやしを対象にした調査はぜひ実施してほしい。もやしはさっとゆでて、できるだけ生に近い状態で食べたいという消費者がいるのが現状である。
他の有害微生物についても、火を通せば低減できるのだろうが、アクリルアミドと天秤にかけることになってしまう。
さらに、生食の文化がある食品については、加熱しましょうと言われてもすぐに適応するのは難しい。加熱するのが基本だったのに、生食も好まれるようになってきた食品もある。食品そのものの安全性向上が必要と考える。

(4)食品の安全性を高めるための指針等(ガイドライン/ハンドブック)について

農林水産省担当官から、資料3と参考8を用いて、平成28年度に作成した食品の安全性を高めるための指針等(ガイドライン/ハンドブック)について説明。

〇 リーフレットを作成しているのは良いことだと考える。古来、食べ方等についての言い伝えがあるが、これらが科学的に裏付けられた情報になると、今度は科学的な知見に基づいて、食べ方が変化するかもしれない。
野菜・山菜とそれに似た有毒植物のリーフレットは、野山に入って自分で採ったものを食べてみたいという希望を持つ消費者にとって大変有益である。

〇 普及促進は重要である。大学で栄養学を学んでいた学生であっても、食品の安全性について理解を深めることに困難を伴っているようである。子供向け、特に中学生、高校生向けの資料を作成してはどうだろうか。今はわからないことは子供もインターネットで自分で調べられる時代である。

(5)その他

【食品中の放射性物質検査】

〇 検査の縮小を急いでいるような印象を受ける。被爆のおそれがなくなっているわけではないので、検査を継続して欲しい。
合理性をもって縮小するのであれば構わないと思うが、検出されていないから縮小する、という考え方ではなく、何か変化があったときに対応できるよう、調査を続け、データを積み上げていくことが重要だと考える。
現在、多くの品目で放射性物質が検出されていないことは良いことであり、検出されていないことが明示されてあることが大切だと考える。

→ 廃炉や汚染水等、今後どう変わっていくか予測がつかず、何が起こるか分からない部分がある。ゼロリスクはあり得ないことを考えると、引き続き状況を注視していくことが重要と考える。
実は日本は、1960年代から、環境・食品のモニタリングを継続して実施している。懸念されるように、モニタリング結果に何か変化があった、すなわち状況が変わったときには、食品中の放射性物質検査をしっかり行う、ということだと考える。
これまでの5年間の調査結果を受けてすぐに検査を止めるということをお話ししているわけではない。国として、放射性物質の検査のあり方について問題提起をして、皆様からご意見を伺い、平成29年度以降の対策を検討したいと考えている。

〇 既に実施しているリスク管理措置を減らすことは難しい。消費者の中には、承服できないとの意見を持つ人もいると思うが、データの蓄積に基づき、科学的に見て適切かつ合理的に決定することが肝要と考える。検査がどんな意味合いをもつのか、例えば全品検査は不可能であることなど、コミュニケーションを深めた方が良い。検査のあり方を合理化することは、海外に対しても良いメッセージになる。

【全体を通じた意見交換】

〇 表示の偽装など科学的に検証できないものに予算や人員等のリソースを割くより、今回議論した食品安全の課題など、リスクに対して科学的に対応できるものに優先的にリソースを割く方が、国際的な枠組みに適っており、有益である。

〇 農林水産省が作成しているリスクプロファイル等、食品安全に関する情報は、HACCP導入時の危害要因分析の取組等に重要なので、もっとアピールしてはどうか。農畜産物の安全性の検証は、大学等の研究者が取り組まないテーマなので、農林水産省がしっかりやるべきである。

(6)閉会

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

担当者:リスク管理企画班
代表:03-3502-8111(内線4453)
ダイヤルイン:03-3502-8731
FAX番号:03-3597-0329