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農林水産省

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第3回 (平成30年3月19日) 議事録

1. 開催日時

平成30年3月19日(月曜日) 16時15分~17時40分

2. 開催場所

農林水産省第3特別会議室

3. 出席者

(委 員) 雨宮宏司座長、竹川元章委員、中園江委員、平澤正委員、山岸順子委員、吉永悟志委員
(事務局) 大臣官房統計部生産流通消費統計課長ほか

4. 議事

  1. 平成29年産水稲の作柄について
  2. 平成30年産水稲10a当たり平年収量(案)について
  3. その他

5議事録

〇西本生産流通消費統計課長補佐(総括)
定刻となりましたので、ただいまから平成29年度第3回目の水稲の作柄に関する委員会を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中をご出席いただきまして誠にありがとうございます。本日の司会をさせていただきます生産流通消費統計課の西本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の委員会につきましては、平成30年産水稲の10a当たり平年収量につきまして皆様より意見を賜りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
なお、本日、黒田委員におかれましては、ご都合によりご欠席となっております。
また、本日は統計部長は急遽所用のため、欠席させていただきます。
委員会の開催に当たり、窪田生産流通消費統計課長からご挨拶を申し上げます。

〇窪田統計課長
生産流通消費統計課長の窪田でございます。
この委員会の開催に当たり、一言ご挨拶をさせていただきたいと思いますけれども、司会の西本総括のほうから、紹介させていただいたとおり、本来であれば統計部長がここに来てご挨拶申し上げるはずでしたが、急遽所用がございまして欠席させていただきますので、かわりに私のほうから一言ご挨拶させていただければと思います。
最初に、本当に各委員の皆様方におかれましては、この年度末のお忙しい時期にもかかわらずお集まりいただきましてありがとうございます。また、今年度3回目ということですけれども、今までもいろいろな建設的なご議論、いろいろなアドバイスをいただきまして非常に感謝しております。ありがとうございました。
現在、我が国の農林水産行政は大きな改革の中にある思っていまして、我が国の農林水産業が活力を取り戻し、さらにはその成長産業となっていくということは美しい活力ある農山漁村の実現、あるいは、その実現につながってくると我々確信しているわけでございますけれども、そういった確信のもと、意欲ある農林漁業者の創意工夫を生かした所得の向上を実現するための改革に取り組んでいるというところでございます。
そうした中で、統計部としては農林水産政策の改革に対応した統計情報の提供を行うことが強く求められていると我々は考えているわけでございます。
一連の改革の中で米政策も変わりまして、今年から行政による生産数量目標の配分はなくなり、農業者、産地は主体的に需要に応じた米を生産、販売していくこととなります。
輸出を含め、さまざまな需要に応じた生産・販売を推進するために国としては、全国ベースの需給見通し等を初めとした各種の情報提供を行っていくということが重要と考えておりまして、統計部で実施している水稲に関する調査結果等についても引き続き提供していくと、考えているところでございます。
農林水産統計業務をめぐる状況は大きく変化しておりまして、職員の減少と高齢化、それらの対応として専門調査員の導入による一部外部化や組織再編による地方組織の集約化も進んでいるわけでございます。
そうした中で今後とも質の高い信頼性のある統計データの整備・提供がしっかりできるよう体制づくりを目指していきたいと、考えているわけでございます。
本日の主な議題は、平成30年産水稲の10a当たり平年収量についてのご議論をお願いしているわけでございますけれども、ご承知のとおり、農林水産省が公表している水稲収穫量調査のうち作況指数を算定する基礎資料として使用しているほか、農業災害補償制度の基準収量等各種施策の基礎資料として活用されている重要なデータでございます。本日委員の皆様におかれましては、さまざまな見地から御忌憚のないご意見をいただくことをお願いとさせていただきまして私の挨拶とさせていただきます。
本日はよろしくお願いします。

〇西本生産流通消費統計課長補佐(総括)
報道機関の皆様にお願いいたします。カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、これ以降の撮影はご遠慮願います。また、カメラ撮りのみの方はここでご退室願います。
それでは、議事に入ります前に、配付しております資料のご確認をお願いいたします。
議事次第、座席表、配付資料といたしまして資料No.1から5と参考1から3をお配りしております。資料に不備等があれば事務局までお申し付けください。なお、資料No.4につきましては、一部分委員限りで非公開の取り扱いとさせていただいておりますので、傍聴者の方は申しわけございませんが、非公開部分を除いた資料を配付しておりますので、よろしくお願いいたします。資料のほうはよろしいでしょうか。
なお、本日の委員会につきましては公開により開催いたします。また、議事録につきましても出席者の皆様に事前にご確認をいただいた後に公表いたしますので、あらかじめご了承願います。
本日提案します平成30年産水稲10a当たり平年収量につきましては、本日の御議論を踏まえて私どもとして最終判断をし、所要の手続を経て、明日15時に公表を予定しております。それまでの間の情報管理には、くれぐれもよろしくお願いいたします。
それでは、これからの議事進行は雨宮座長にお願いいたします。

〇雨宮座長
皆さん、こんにちは。議長を仰せつかっております雨宮でございます。
委員の皆様方、大変お忙しい中を本委員会にご出席いただき、誠にありがとうございます。円滑な議事進行に努めたいと思います。ご協力方、よろしくお願いします。
それでは、座って失礼します。
それでは、早速ですけれども、事務局から提出資料の説明をお願いします。
まず、最初に資料No.1に基づいて平成29年産水稲の作柄についてお願いいたします。

〇三橋生産流通消費統計課長補佐(普通作物統計班)
生産流通消費統計課の三橋でございます。
私のほうからは資料No.1についてご説明させていただきます。
横紙になっております資料No.1、平成29(2017)年産水稲の作柄についての資料でございます。それから、この資料とほかに今年の調査結果ですとか気象データ等につきましては、参考2及び参考3という形でデータ整理をさせていただいておりますので、こちらについては必要に応じてご確認をいただければと思います。
それでは、早速資料No.1のほうに入らせていただきます。
1枚おめくりいただきますと、1ページ目でございますけれども、全国都道府県別の作況指数を掲載してございます。29年産の全国平均の作況指数は100ということになりましたけれども、ご覧いただきますとおり、例えば、栃木県ですとか新潟県ですとか、それから三重県、ところどころ東日本の一部の県では平年を下回るという結果になってございます。
その特徴的なところを、2ページ目でございますけれども、ブロック別の作柄という形で整理をしております。
まず、北海道でございますけれども、全もみ数のところは平年並みということになりまして、登熟につきましてもおおむね良好という形で最終的な作況指数は103ということになりました。
一方、その下でございますけれども、東北、北陸、関東・東山、東海という形で作況指数を載せてございますけれども、東北は99、北陸は98、関東・東山は99、東海は99という形になってございます。全もみ数のところはおおむね平年並み以上に確保されておりましたが、7月下旬から8月にかけまして日照不足、それから低温というところの影響がございまして、登熟は平年並みを下回る地域がありました。
次に、その下の近畿、中国、四国、九州でございますけれども、こちらにつきましては生育期間を通じておおむね天候に恵まれまして、全もみ数につきましてはおおむね平年並み以上を確保できたことに加えまして、登熟についても、九州の一部地域で9月中旬以降の日照不足の影響がありましたけれども、全般的には登熟のほうはおおむね順調という形で、作況指数につきましてもいずれも100以上ということになりました。
一番下の沖縄県につきましては記載のとおり、低温・日照不足の影響等で作況指数が97という結果になりました。
1枚おめくりいただきまして、3ページ目でございます。
前回、第2回目の本委員会におきまして委員の皆様からいただきました留意事項を4点ほど整理させていただいております。
まず1点目が、早場地帯において出穂後の低温・寡照が登熟や品質に及ぼす影響に留意すべきというご意見、それから2点目が、遅場地帯におけるもみ数及び登熟等への影響を見きわめる必要があるというご意見、それから3点目が、台風や集中豪雨等による作柄への影響に留意すべきというご意見、そして4点目が、病虫害の発生状況について、留意すべきという4点を意見として取りまとめいただいたところでございます。
これらそれぞれの意見に対応する形で、その下でございますけれどもそれぞれの結果を整理させていただいたところでございます。
まずは、早場地帯での出穂後の低温・寡照による登熟や品質への影響という点でございますけれども、これは3ページ目から4ページ目にかけての表をご覧いただければと思います。
早場地帯におきましては、田植期以降、先ほど説明したとおり、7月まではおおむね天候に恵まれまして、全もみ数の平年比の欄をご覧いただきますと、一部の県では100を下回ってございますけれども、おおむね全もみ数については平年以上を確保されたということでございますが、右の気象表等を見ていただきますと、網かけになっていたり、黒三角がついているところでございますけれども、7月下旬から8月にかけましては一転して低温・日照不足傾向という形になりまして、特に東北の太平洋側、それから、関東を中心にその影響が大きかったということもありまして、今度は千もみ当たり収量の平年比を見ていただきますと、平年を下回る、100を下回る県が多くありました。というのが早場地帯の結果でございます。
1枚おめくりいただきまして、今度は5ページ目でございます。
遅場地帯での7月以降の高温・寡照によるもみ数や登熟への影響についてを整理させていただきました。
先ほど申し上げたように、遅場地帯におきましては、田植え以降おおむね天候に恵まれたことから、一部の県を除きまして全もみ数は平年を上回っておりました。
登熟につきましても、九州の、特に生育ステージが遅い地帯・品種を中心に、9月中旬以降が若干日照不足傾向になりましたので登熟に影響が見られたところでありますけれども、作況指数の欄を見ていただきますと、香川の98を除きましていずれも100を上回るというような結果になっております。
続きまして、6ページ目の3番目、台風等による作柄への影響についてです。
29年に発生し、日本付近に接近・上陸した台風をいくつか整理させていただいておりますけれども、これら台風や大雨によりまして、局地的には被害が発生しておりますけれども、いずれも水稲への影響という観点から見ると限定的であったというような整理をさせていただいているところでございます。
そして最後、7ページ目でございますけれども、病虫害の発生による作柄への影響を整理させていただいております。
8月23日に出されました病害虫発生予報におきましては、いもち病ですとか斑点米カメムシ類の発生が多く見込まれるという地域は結構ありましたけれども、その後の適切な防除、こういったことによりまして全国的な被害というのはそれほど多くなく限定的な被害という形になっております。
なお、左下に表を整理してございますウンカにつきましては、九州の一部の県におきましてはその影響があり、作柄へも影響が一部見られましたけれども、病虫害全体としては全国的にはそれほど大きな被害にならなかったというところで整理をさせていただいたところでございます。
少し駆け足になりましたけれども、私のほうからは平成29年産の水稲の作柄につきまして総括的な説明をさせていただきました。

〇雨宮座長
ただいま本年度の作柄の経過等について説明いただきました。この委員会の第2回の会合で出された経過の留意点についての状況についても特に説明をしていただいたところであります。
何かこの経過について特段ご意見等ございますでしょうか。
平澤先生。

〇平澤委員
質問ですけれども、よろしゅうございますか。
先ほど紹介ありました栃木県と新潟県、それから三重県で作況がかなり平年よりも下回っているんですけれども、栃木県は千もみ当たり収量、それから新潟県は1平方メートル当たり全もみ数が大きく低下しているということ、近隣の県はそういう傾向がないわけですけれども何か特別な事情がありましたかどうかお伺いしたいんです。

〇三橋生産流通消費統計課長補佐(普通作物統計班)
ありがとうございます。
先生がおっしゃるように、周辺の県に比べまして特に落ち込みが大きいというところでございますけれども、まず栃木県につきましては、「コシヒカリ」の作柄が特に悪かったということで、周辺の茨城県では作況指数は100なんですけれども、栃木県は日照時間の平年比のところを見ていただきましても、他県に比べまして日照不足の度合いが強かったというのが1点と、もう1点は、ちょうど出穂・開花期におきまして断続的な降雨がございまして、開花・受精にも影響があったというところで、それが周辺県に比べて作況指数が93ということで悪くなった要因と見ております。
また、新潟県につきましては、先生ご指摘のとおり、全もみが少なかったというところでございまして、6月の低温等の影響を受けて、登熟はそれほど悪くなかったのですが、もみ数のところでやはり影響があって、それをリカバリーできなかったということで若干周辺県に比べると悪かったということでございます。
それから、三重につきましては、周辺の県に比べて生育ステージが非常に早い地域でございまして、幼穂形成期の段階で気象の影響を受けたというのがほかの県とは異なっているというような状況でございます。

〇平澤委員
わかりました。ありがとうございます。

〇雨宮座長
よろしゅうございますか。
ほかに……吉永先生。

〇吉永委員
今のことで1点、質問ではないんですけれども、今のことに関して、今これ見ていて思ったんですけれども、群馬と栃木って、結構作況指数が違っていて、気象はそんなに違わないのにと思って、よく考えたら、群馬のほうは遅場で栃木は早場ということで7月下旬から8月の天候不順がもろに、栃木の場合は登熟期にかかったというところが大きかったんですね。

〇三橋生産流通消費統計課長補佐(普通作物統計班)
おっしゃるとおりです。

〇雨宮座長
品種や作期が違うことが影響受けたりしているということでしょうか。
ほかにございますでしょうか。
よろしゅうございますか。
それでは、次の議題に移らせていただきます。平成30年産水稲の10a当たり平年収量、本題でございます、について事務局より説明をお願いします。

〇北村課長補佐(解析班)
生産流通消費統計課の北村でございます。よろしくお願いいたします。では、座って説明させていただきます。
私からは資料2から4についてご説明いたします。参考資料2-4、2-5も参考にご覧ください。
それでは、資料No.2、水稲10a当たり平年収量の算定方法についてをご覧ください。
平年収量とは何かということについて説明させていただきます。委員の皆様は既にご承知ですが、傍聴いただいている皆様もおられますので、簡単に説明させていただきます。
1の定義にございますように、10a当たり平年収量はその年の気象の推移や被害の発生状況などを平年並みとみなして、実収量のすう勢をもとにして最近の栽培技術の進歩の度合いや作付変動等を考慮し、その年に予想される10a当たり収量とされています。ご留意いただきたいのは、気象や被害を平年並みとみなすこと、過去の実収量、今回の算定は昭和54年から平成29年までの実収量をもとに算定されるということです。
平年収量の利活用については、下のほうに書いてありますように、作柄の良否をあらわす作況指数の分母として使用されているということのほかに、農作物共済事業における共済基準単収への算定などに使われております。
平年収量の算定方法につきましては、2枚目をご覧いただきたいと思います。算定方法について図で示しております。
算定では最初にスムージングスプラインという滑らかな曲線を当てはめ、10a当たり平年収量の1.70mm基準ベースを算出します。算出のもとになりますのは10a当たり実収量ということで1.70mmふるい目幅基準の昭和54年産から平成29年産までの実収量と全国で1,300か所のアメダスデータを気象庁からご提供いただきまして、それをもとに算出しているものということになっております。
一番上の1の図にありますように、昭和54年から実単収がここにある折れ線のような変動をしたとします。いろいろな冷害でありますとか、台風の被害でありますとか、さまざまな気象要因等によりまして、かなりでこぼこになっているというところでございます。そこにそのままスムージングスプラインを引きますと気象の影響を受けたトレンドの曲線になってしまいます。これを回避するため、1の下の不規則な気象効果を除去する作業を行い、一旦補正単収を求めてスムージングスプラインで曲線を引くというやり方をしております。
気象効果を除去する際には、気象庁が観測しているアメダスデータで補正をしております。このデータは6項目ありまして、気温が平均気温と最高気温、最低気温の3項目、それに日照時間から導き出された日射量、それと降水量と風速は最大風速ということで6項目となっております。
その結果が2の段のグラフにあります赤い折れ線グラフということになります。この補正されました単収をもとにより滑らかな形でトレースするためにスプライン関数を用いまして長期的なすう勢を導き出す曲線を描き、翌年産の収量を予測します。2のグラフの赤い折れ線グラフの一番右端に赤丸で示した値が導き出されるわけです。
導き出された平年収量の数値については、そのまま決定するのではなく、妥当であるか否かを近年の栽培技術や作付品種など生産技術により検証し、3にありますように、本日ご提案申し上げます平年収量につきまして各知見をお持ちの委員の方から意見を拝聴いたしまして、その意見を拝聴した後に当方で改めて総合的に判断して1.70mmふるい目基準10a当たり平年収量を決定してまいりたいというところでございます。
それをもとに当該地域ごとに多くの農家が玄米選別に使用しているふるい目幅の重量割合を乗じて、農家等が玄米選別に使用しているふるい目幅の都道府県別の10a当たり平年収量を決定していくことになっております。
この出し方につきましては、農業地帯毎に過去5年間で最も多く使用しているふるい目幅につきまして、ふるい目幅の重量割合の平均値を1.70mm基準の平年収量に乗じて算出されるものでございます。
ふるい目幅の重量割合の平均値の算出方法につきましては、直近7か年のうち最高・最低を除く5カ年の平均より平均的な値の算出方法が可能とされる5中3移動平均7中5という方法により算出しております。具体的には平成19年から29年のふるい目幅の重量割合のデータを用いまして、5か年中最高・最低を除いた3か年の平均を年次1年ずつずらしながら7つ作成し、7つの中から最高・最低を除いた5つで平均したものということでございます。
以上が算定方法でございます。
続きまして、資料No.3をご覧ください。
こちらは先ほど説明しました算定方法により導き出されましたふるい目幅が1.70mm基準の10a当たり平年収量(案)というものでございます。
全国値は532kgとなります。前年と変動なしでございます。なお、全国値の算出方法につきましては、今回変動した道県と変動しなかった都府県の平年収量を直近年の、今回の場合は平成29年産ですけれども、水稲作付面積で加重平均を行い算出しております。
次に、都道府県でございますが前年産から変動があった都道府県は9道県ございます。全ての道県で増加となっております。北海道プラス2kg、青森県プラス1kg、岩手県プラス1kg、宮城県プラス1kg、山形県プラス1kg、福島県プラス1kg、千葉県プラス2kg、神奈川県プラス1kg、島根県プラス2kgとなっております。それ以外の都道府県には前年と同じとなっております。
30年産の主な要因といたしましては、品種別作付面積割合の変動、栽培技術の普及・定着、作付地帯別作付面積割合の変動によります。
各県別の要因のポイントを裏面に整理しております。詳細な説明については、資料No.4で説明させていただきます。
次のページです。左側には委員の方からご意見を踏まえて公表を予定しております、従来から公表をしております1.70mm基準ベースの平年収量、右側が農家等が使用しているふるい目ベースの平年収量となっております。
ふるい目幅ベースによる30年産の水稲10a当たり平年収量は、全国値で519kgとなっております。前年に比べて1kg増加となっております。全国値の数値の作成につきましては先ほど説明しましたとおり、29年産の作付面積による加重平均で算出しております。都道府県別では1.70mm基準で変動しなかった都道府県につきましても、ふるい目の重量割合を最近年次の29年産を加えて平均値を算出していることから、1.70mm基準ベースが変動しなかった都道府県の平年収量でも変動しております。ご確認いただきたいと思います。
続きまして、資料4の関係に移ります。平年収量に変動がありましたそれぞれの道県の品種の動向や栽培技術の動向、収量水準等についてご説明いたします。
資料の構成といたしましては、1として、近年の実収量と平年収量の水準、2として、品種構成や栽培技術の動向といった近年の生産事情、委員限りの資料としております、3として、スムージングスプラインの算出結果、4として、収量水準の動向といった構成となっております。
まず、北海道につきましては、去年に引き続き増加し、30年は2kg増加の548kgと算定されました。図1は近年の10a当たり収量と平年収量の差を表わしておりますが、平成23年以降平年収量を上回って推移しております。
2の近年の生産事情等でございます。
(1)の品種構成のところをご覧いただきたいと思います。グラフは24年から29年の品種別作付面積割合の動向を表わしたもの、表は収量水準と各年の作付面積割合を示したものです。品種の動向を見ると、「きらら397」等が減少し、「ななつぼし」等が増加する傾向にあります。
(2)では、栽培技術等の動向ということになりますけれども、北海道は特徴的なところがございまして、全国的には稚苗、中苗植えというのが一般的なわけですけれども、北海道は近年、中苗移植等から収量水準の高い成苗移植に移行し、安定した栽培が確立されつつあります。成苗植えには、初期成育が良好になる苗床の分げつは茎葉を早く確保し、出穂のばらつきや登熟のむらを小さくする、育苗日数の延長が可能なため移植労力の分散ができるといったメリットがございます。
このほか、育苗管理の徹底、深水管理とそれを可能とするけい畔整備、防風対策等の栽培環境整備、適正施肥等が指導されております。
次のページの表3は作柄表示地帯の収量水準と作付面積割合を示しております。作柄表示地帯別作付面積割合を見ると、ほぼ同水準となっております。
(3)の近年の作柄でございます。表4は最近の作柄を示しております。最近の作柄を見ますと、登熟がよく被害も少ない状況となっております。
表5の収量構成要素を見ますと平成20年から24年と25年から29年の5年中最高・最低等を除いた平均、いわゆる5中3平均で比較すると1平方メートル当たり全もみ数は減少したものの、千もみ当たり収量が2.4ポイント増加したため、10a当たり玄米重は1.5ポイント増加しております。この収量構成要素には気象効果も含まれているというところでございます。
続きまして、次のページの3のスムージングスプラインの結果でございます。
これは先ほど説明したスムージングスプラインを用いて算出した1.70mmベースの平年収量の算出結果となります。結果は548kgとなり、前年の平年収量と比べて2kg増加という結果となっております。
4の収量水準の動向でございます。表6、表7は先ほど2の近年の生産事情等で説明した表に品種別作付面積割合の動向、作柄表示地帯別作付面積割合の動向に見込み割合、10a当たり収量試算値の対前年差を追加した表でございます。
図5は北海道における移植方法別作付面積割合の動向でございまして、成苗移植の割合が約7割、中苗植えが3割ということで、成苗が増えてきて定着したところがまた安定した収量の確保につながっているのではないかと考えているところでございます。
最後に、収量水準ということでございますが、表6の品種構成を見ると、収量水準の高い「ななつぼし」、「ふっくりんこ」及び「そらゆき」が増加する見込みであること、成苗植え等高収量で安定的に生産する栽培技術が普及・定着していること等から収量水準は向上すると見込まれるとしたところでございます。
続いて、青森県です。青森県につきましては、去年に引き続き増加し、30年は1kg増加の590kgと算定されました。図1を見ますと、平年収量を上回って推移しております。
2の近年の生産事業等でございます。
品種構成の動向を見ると、近年、「つがるロマン」が減少傾向、「まっしぐら」が増加傾向となっております。なお、特Aの「青天の霹靂」は作付者を限定していることから増加は少なくなっております。
(2)では栽培技術等の動向ということになりますけれども、施肥について、文字情報ですが、施肥後30日程度の肥効抑制期間で分げつが抑制され、慣行栽培に比べ穂数の減少傾向が強いことから、即効性肥料もあわせて施肥をする農家が多くあるということでございます。そのほか記載の指導がされております。
次のページの作柄表示地帯の割合を見ますと、収量水準の低い南部・下北地帯は減少傾向、収量水準の高い津軽地帯が増加傾向となっております。
3の近年の作柄でございますが、表4、最近の作柄を見ますと、登熟がよく、被害も少ない状況となっております。
表5の収量構成要素を見ますと、平成20年から24年、25年から29年を比較すると千もみ当たり収量は減少したものの、1平方メートル当たり全もみ数が3.4ポイント増加したため、10a当たり玄米重は1.1ポイント増加しております。
次のページ、3のスムージングスプラインの結果でございます。結果は590kgとなり、前年の平年収量と比べ1kg増となっております。
4の収量水準の動向でございます。表7の作柄地帯別作付面積割合の動向を見ますと、収量水準の低い南部・下北地域が減少傾向、収量水準が高い津軽地域が増加傾向であることから、収量水準は増加するものと見込まれるとしたところでございます。
続いて、岩手県です。岩手県につきましては、昨年に引き続き増加し、30年は1kg増加の536kgと算定されました。図1を見ますと、おおむね平年収量を上回って推移しております。
2の近年の生産事情でございます。品種構成を見ると、「ひとめぼれ」が7割を占め、「あきたこまち」が減少傾向にあります。また、岩手県のオリジナル品種である「銀河のしずく」の作付面積割合が増加しております。
(2)は栽培技術等の動向ということになりますけれども、記載のとおりの指導がされているというところでございます。
次のページ、作柄表示地帯別の作付面積割合でございますが、収量水準の高い北上川上流地帯が27年度以降増加傾向となっております。
(3)の近年の作柄でございますが、表4の最近の作柄を見ますと、26年、29年を除き登熟がよく、被害も少ない状況となっております。
表5の収量構成要素を見ますと、平成20年から24年、25年から29年の比較をすると、千もみ当たり収量は減少したものの1平方メートル当たり全もみ数が0.9ポイント増加したため、10a当たり玄米重は0.1ポイント増加しております。
次のページ、3のスムージングスプラインの結果でございます。結果は536kgとなり、前年の平年収量と比べ1kg増となっております。
4の収量水準の動向でございます。表6の品種構成の動向を見ると、「ひとめぼれ」は横ばいであるものの、収量水準の高い「銀河のしずく」が引き続き、増加を見込まれること、表7の作柄表示地帯別作付面積割合の動向を見ると、収量水準の高い北上川上流地帯の作付面積割合の増加が見込まれること等から収量水準は向上するものと見込まれたとしたところでございます。
続いて、宮城県です。宮城県につきましては昨年に引き続き増加し、30年は1kg増加の534kgと算定されました。図1を見ますと、おおむね平年収量を上回って推移しております。
2の近年の生産事情でございます。品種動向を見ると、「ひとめぼれ」が7割を占め、近年収量水準の高い「つや姫」が増加傾向にあります。
(2)では栽培技術等の動向ということになりますけれども、高温による登熟不良及び異常低温による障害不稔による品質・収量低下を軽減するため、遅植えを推進しているところでございます。
次のページの作柄表示地帯別の作付面積割合を見ると、収量水準の低い南部地帯が減少し、中部・東部地帯が増加傾向となっております。
3の近年の作柄でございますが、表4、最近の作柄を見ますと、近年の登熟は、平成29年は不良であるもののおおむね平年並みで被害は少ない状況となっております。表5、収量構成要素を見ますと、20年から24年と25年から29年の比較でございますが、千もみ当たり収量は減少したものの1平方メートル当たり全もみ数が4.5ポイント増加したため、10a当たり玄米重は2ポイント増加しております。
次のページ、スムージングスプラインの結果でございます。結果は534kgとなり、前年の平年収量と比べ1kg増となっております。
4の収量水準の動向でございます。表6の品種構成の動向を見ると、「ひとめぼれ」はやや減少するものの収量水準の高い「つや姫」が増加する見込みであること、表7の作柄表示地帯別作付面積割合の動向を見ると、収量水準の低い南部地帯が減少し、収量水準の高い北部地帯が微増すること、栽培技術として高温による登熟不良及び異常低温による障害不稔による品質・収量低下を軽減させるため、遅植えを推進しており登熟が安定していること等から、収量水準は向上するものと見込まれるとしたところでございます。
続いて、山形県でございます。山形県につきましても昨年に続き増加し、30年は1kg増加の596kgと算定されました。図1を見ますと、おおむね平年収量を上回って推移しております。
品種構成の動向を見ると、「はえぬき」が6割を占めるものの、近年収量水準の高い「つや姫」が増加傾向にあります。また、山形県のオリジナル品種である「雪若丸」の作付が始まったところでございます。
(2)では技術等の動向ということになりますけれども、記載のとおりの指導がされているというところでございます。
次のページの作柄表示地帯別作付面積割合でございますが、ほぼ横ばいとなっております。
(3)の近年の作柄でございますが、表4の最近の作柄を見ますと、近年登熟はおおむね平年並みであり、被害は少ない状況となっております。
表5の収量構成要素で5年間の比較をいたしますと、千もみ当たり収量は同水準であったものの、1平方メートル当たり全もみ数は2.3ポイント増加したため10a当たり玄米重は2.1ポイント増加しております。
3のスムージングスプラインの結果でございます。結果は539kgとなり、前年産の平年収量と比べ1kg増と算定されております。
4の収量水準の動向でございます。表6の品種構成の動向を見ると、収量水準の低い「ひとめぼれ」、「コシヒカリ」及び「あきたこまち」は減少するものの、収量水準の高い「つや姫」等が前年産並みであることから収量水準は向上するものと見込んでいるところでございます。
続きまして、福島県です。福島県についても昨年に引き続き増加し、30年産は1kg増加の544kgと算定されております。
2の近年の生産事情等でございますが、品種構成の動向を見ると、「コシヒカリ」がおおむね6割を占めるものの、近年収量水準の高い「天のつぶ」が増加傾向にあります。
(2)の栽培技術の動向ということですけれども、記載のとおりでございます。
次のページ、作柄表示地帯別作付面積割合を見ますと、収量水準の高い会津地帯が増加傾向となっております。
続いて、(3)の近年の作柄でございますが、表4、最近の作柄を見ますと、近年の登熟はおおむね平年並みで被害は少ない状況となっております。表5、収量構成要素で5年間比較をいたしますと、千もみ当たり収量は減少したものの1平方メートル当たり全もみ数は4.7ポイント増加したため、10a当たり玄米重は1.7ポイント増加しております。
3のスムージングスプラインの結果でございます。結果は544kgとなり、前年の平年収量と比べ1kg増となっております。
4の収量水準の動向でございます。品種構成の動向を見ると、「コシヒカリ」は減少傾向であるものの収量水準の高い「天のつぶ」が増加する見込みであること等から収量水準が向上するものと見ているところでございます。
なお、表7の作柄表示地帯別作付面積割合の動向を見ると、浜通りが増え、減少となっておりますが、収量水準の高い「天のつぶ」が栽培される見込みであることから県全体を押し下げるまではいかないというふうに見ております。
続いて、千葉県です。千葉県につきましては、昨年に引き続き増加し、30年は2kg増の540kgと算定されました。
図1を見ると、おおむね平年収量を上回って推移しております。
2の近年の生産事情等で、品種構成のところをご覧いただきたいと思います。品種動向を見ると、「コシヒカリ」が6割を占め、近年収量水準の高い「ふさこがね」、「ふさおとめ」が増加傾向となっております。
(2)では栽培技術の動向ですけれども、記載のとおりでございます。
次のページの作柄表示地帯別作付面積割合でございます。収量水準の低い南房総が減少傾向となっております。
続いて、近年の作柄でございます。表4の最近の作柄を見ますと、近年登熟はおおむね平年並みで被害が少ない状況となっております。
収量構成要素の5年間比較をいたしますと、千もみ当たり収量は減少したものの、1平方メートル当たり全もみ数が3.2ポイント増加したため、10a当たり玄米重は1.4ポイント増加しております。
3のスムージングスプラインの結果でございます。結果は540kgとなり、前年の平年収量と比べ2kg増となっております。
4の収量水準の動向でございます。品種の構成の動向を見ると、収量水準の低い「コシヒカリ」が減少傾向であるものの、収量水準の高い「ふさこがね」、「ふさおとめ」が増加する見込みであることから、収量水準は増加するものと見込まれるとしたところでございます。
続いて、神奈川県です。神奈川県につきましては、前回24年で、30年は494kg、1kg増で6年ぶりの増加と算定されました。図1を見ますと、おおむね平年収量に近似して推移しております。
2の近年の生産事情等で、品種構成のところをご覧いただきたいと思います。品種構成の動向を見ると、収量水準の低い「キヌヒカリ」が減少傾向であり、近年収量水準の高い「はるみ」が増加傾向にあります。
(2)では栽培技術の動向ということですが、「はるみ」は「キヌヒカリ」よりも穂数が多い傾向にあるため、株間を確保するため広目に移植することを行っているというところでございます。
神奈川県は、作柄表示地帯は県のみとなっております。
近年の作柄でございますが、表3の最近の作柄を見ますと、29年の登熟は悪かったものの、そのほかの年はほぼ平年並みで被害は少ない状況となっております。
表4、収量構成要素を見ますと、1平方メートル当たり全もみ数が増加しており、近年の千もみ当たり収量の推移を見ると上昇傾向にあります。
3のスムージングスプラインの結果でございます。結果は494kgとなり、前年の平年収量と比べ1kg増となっております。
収量水準の動向でございます。品種の動向を見ると、収量水準の低い「キヌヒカリ」は減少傾向であるものの、収量水準の高い「はるみ」が増加する見込みであることから収量水準は向上するものと見込まれるとしたところでございます。
最後に、島根県です。島根県につきましては、前回20年で、30年産は511kgで2kg増でございます。10年ぶりの増加と算定されました。図1を見ますと、23年以降を見ると、26年及び27年は平年収量を下回ったものの、その他の年は上回って推移しております。
2の近年の生産事情でございます。品種構成のところをご覧いただきたいと思います。品種構成の動向を見ると、「コシヒカリ」が6割を占めているものの減少傾向にあり、収量水準の高い「きぬむすめ」が増加傾向にあります。
(2)の栽培技術については、記載のとおりでございます。
次のページの作柄表示地帯別作付面積割合を見ると、収量水準の高い出雲地帯が増加傾向となっております。
(3)の近年の作柄でございます。最近の作柄を見ますと、平成26年及び27年は登熟が悪く被害が多かったものの、それ以外の年についてはおおむね登熟がよく被害は少ない状況となっております。
表5の収量構成要素の5年間比較を見ますと、千もみ当たり収量は少なかったものの1平方メートル当たり全もみ数が5ポイント増加したため、10a当たり玄米重は1.2ポイント増加しております。
3のスムージングスプラインの結果でございます。511kgとなり2kg増という結果になっております。
4の収量水準の動向でございます。品種の構成の動向を見ると、収量水準の低い「コシヒカリ」は減少傾向であり、収量水準の高い「きぬむすめ」、「つや姫」が増加する見込みであること、作柄表示地帯別の作付面積割合の動向を見ると、収量水準の高い出雲地帯の作付面積割合の増加が見込まれることから収量水準は向上するものと見込まれるとしたところでございます。
以上、変動のありました道県における主な要因を挙げさせていただきましたが、参考までにそれ以外に変動のなかった都府県の生産事情につきまして資料No.5の資料に記載しております。こちらにつきましては説明を割愛させていただきます。
簡単ではありますが、私からの説明とさせていただきます。

〇雨宮座長
ありがとうございました。
平成30年産の水稲の10a当たり平年収量につきましては、今説明のあった事務局案、数字としては資料3に載っている案に対する委員の方々の意見を踏まえて農林水産省のほうで決定するということにされております。今の説明等々含めましてご意見、ご質問等がありましたらお願いをいたします。
どうぞ、山岸先生。

〇山岸委員
質問というか、教えていただきたいんですけれども、細かい技術的なところなんですけれども、北海道の成苗移植のほうが収量が高いというお話があって、ご説明もあったんですけれども、図5を見ますと、確かに成苗移植のほうが増えているんですけれども、7割ぐらいは5~6年続いており、これは地域によって分かれているんですか。それとも、いろんな地域でその苗移植方法がまじっているというか、成苗のほうで少しずつみんな移っているのかというのを、ちょっとその辺を教えていただけないでしょうか。

〇北村課長補佐(解析班)
申しわけございませんが、地域別にどう普及しているかというところまでは把握していないんですけれども、道全体としまして、先ほどございましたメリットがあると思いますので、徐々に普及割合が伸びていって、今の停滞時期と申しますか、だんだん停滞してきて、技術のほうが定着しているというところであると思いますので、普及が伸びているというよりも技術の定着の部分が大きいと考えております。
ということで、申しわけございませんが、どういうところでさらに普及をしているかというところまではこちらでは把握していない状況でございます。

〇山岸委員
成苗というのでしたら、もう5、6葉まで持っていっているということですか。5葉とか6葉とかまで持っていっているということ……。

〇雨宮座長
そうですね。

〇山岸委員
わかりました。

〇雨宮座長
ほかにご意見ございますでしょうか。
ちょっと基本的なところで確認をさせていただきたいんですが、資料No.2の2番の算定方式の下線を引いた部分の中で、ふるい目別の平年収量と書いてあるんですけれども、この意味はどういうことになりますでしょうか。
基本的には地域ブロック毎に農家のふるい目の9割のところで一応1.85mmとか統一をして、それでその重量割合を1.70mmふるいの重量に掛けるということですよね、最後は。

〇北村課長補佐(解析班)
はい。

〇雨宮座長
このふるい目別というのはちょっと気にかかる、幅別というのが。

〇北村課長補佐(解析班)
座長がおっしゃったとおりのことでございますので、この「別」については削除します。

〇雨宮座長
地域毎のふるい目幅別にという意味だと思うんですけれども、同じ県の中で1.8から1.85の幅、1.85から1.9の幅というような意味に誤解を与えるおそれがあるので、そこはちょっと注意をされたほうがいいんじゃないかなと。

〇北村課長補佐(解析班)
わかりました。ご指摘踏まえて修文させていただきたいと思います。

〇雨宮座長
ほかにご意見……中園先生。

〇中園委員
青森のところの栽培技術の動向で、青森県のところだけ緩効性肥料にプラスして即効性肥料もあわせて施肥をすると説明されていましたけれども、結局、施肥量が増えているというふうに考えてよろしいでしょうか、全体の施肥量が。

〇北村課長補佐(解析班)
すみません、少々お待ちください。

〇中園委員
4ページの2の(2)のところで。

〇北村課長補佐(解析班)
今の全体量増えているかというご質問ですけれども、こちらの持っているデータでは全体量自体は増えていません。過去5年間ぐらいのデータがあるんですけれども、それを見る限りでは全体量は増えていないということです。

〇中園委員
ありがとうございます。

〇雨宮座長
平澤先生、どうぞ。

〇平澤委員
中園委員の質問と関連しますけれども、平年収量が上がったところはいずれも株数は減っておりますけれども、有効穂数が増えているというになって、多くのところは1平方メートル当たりのもみ数が増えて、千もみ数が減っても収量が上がっているというふうな共通的な傾向があるようですけれども、その技術的な背景として適正な施肥というのがいずれの特徴にも上がっているわけですが、これは、今までの稲作では植付け株数が減っているということがこの席上でもたびたび指摘されてきたわけですけれども、そういった技術的な傾向に対してそれをカバーするような肥培管理がうまく、その技術として定着したところが収量が上がってきたと考えられるように思うんですけれども、具体的な適正な施肥というのが今までと比べて、どういうところに気を配って改善されてきたのか、もし、整理されておられればご紹介いただければと思うんですが。

〇雨宮座長
いかがですか。

〇北村課長補佐(解析班)
おっしゃるとおりのことはあるかと思いますけれども、当方では適正施肥というところで伺っているところでございまして、それを具体的にどういう施肥基準というところまでは把握していないところでございます。何か先生方で知見がありましたら教えていただきたいと思うんですけれども。

〇平澤委員
吉永委員、お気づきの点ありますか。

〇吉永委員
私も同じところを考えたんですけれども、北海道と東北をとりあえず分けて東北を見ると、いずれも株数を減らして疎植傾向が続いているということと、にもかかわらず、もみ数が増え、増収しているというのは共通していると、そのもみ数が何で増えているかというと、穂数の増加でもみ数が増えているんですね。
ということは、疎植傾向でありながらもみ数も増えているので、これはどっちかというと気象の条件といっていいのかなという気がして、北海道のほうは、株数はあまり変わっていなくて、もみ数よりも千もみ当たりの収量ですから、登熟の向上によって玄米収量の安定化が図られている。
だから、東北はもみ数がふえている、北海道は登熟の安定化ということで、北海道も気象もあると思いますけれども、先ほどの成苗で出穂期、遅らせないというか、できるだけ前のほうに持ってくるという、その2つが関与しているのかなというふうに思いました。
ちょっと戻って、東北のほうの穂数が何で増えているのかというところは、品種はそんなに大きく変わってもいないので、何かあるのかなという、気象だけのせいというか、気象だけの要因にしていいのかどうかというのはちょっと議論というか、何かありますかというところがおもしろいというか、ちょっと話を深めたらいいのかなと思います。

〇山岸委員
今、吉永委員は品種はあまり変わっていないっておっしゃったんですけれども、今回、平年収量上げようというところのほとんどが品種が変わってという話が入っていまして、新しい品種が多いので、最近の品種は直接つなげちゃって穂数が多いのかなという印象を私は非常に受けているんですけれども、どうでしょうか。

〇吉永委員
どっちかというと最近のは、粒を大き目にして、穂数を増やすパターンはあまりないというか、穂が大き目で千粒重を大きく増す傾向があると思いますので、ちょっと細かくは見ていないですけれども、新しい品種の効果で穂数が増えているわけではないかなと思います。
だから、基本は気象で、あと、疎植だからといって穂数が減るというわけではないと思うんですよね。密植のほうが早く肥料を吸って止まっちゃって、最後、穂数が意外と伸びないということがありますので、適正な範囲での疎植であれば分げつ期間は長くなって穂数が確保できるというところがありますので、疎植イコール穂数減るとは考えなくてもいいのかなと、このアンケートだけでの解釈ですけれども、それと今年は6月低温とかありましたけれども、5月から6月の日照なり、気温が高い傾向が出ていますので、活着あるいは分げつが促進のしやすい気象状況が増えてきた。
どっちかというと、8月以降の気象が悪い年が多いということがあるので、どちらかというと、東北の場合には先にある程度とっておいて、前半の影響が収量向上につながっているのかなという気もします。あくまで私見ですけれども。

〇雨宮座長
今後のトレンドの検討の参考になるような情報として今ご質問やご意見いただいたその肥培管理の話とか、品種の特性とか、そういうことも少し副情報としてつけていただいて次回、次々回にでも議論ができればありがたいなと、事務方、もし、その辺情報が集まるようでしたらお願いしたいと思います。
そのほか何かご意見、ご質問ございますでしょうか。
竹川先生、どうぞ。

〇竹川委員
単純な質問ですが、青森の6ページにあります表7の30年度の見込みの数字が、例えば、津軽の増加とか下北の減少が結構大きいかなと思うんですが、こういうのはどういうふうに数字を出しているのか教えて、単純な質問、興味で申しわけないんですけれども。

〇雨宮座長
青森ですね、6ページですね。

〇竹川委員
6ページの表7ですね。30年のところの数字が変動が大きいかなと、29年に比べて。

〇北村課長補佐(解析班)
この数字のつくり方につきましては、関係機関に30年産の市町村別の作付面積の動向をお聞きしまして、それを作柄表示地帯別に積み上げたというところでございます。

〇竹川委員
そうしますと、青森県の市町村である程度、割合を変えるといいますか、そういう施策が行われるような見通しというようなことでいいんですか。

〇北村課長補佐(解析班)
そのとおりだと思います。作付け、収量の高いところにシフトさせるというイメージだと思っております。
以上です。

〇雨宮座長
あと一般的には、やはり、米の消費が減退していく中で水田をいかに活用するかということで、あとは担い手育成をどうするか、産地の活力どうするかとか、そういうことで、転作作物を少し一生懸命やるというような地域もあってその分というようなこともあるのかなという、そこは全体調整ですね、県の中で恐らく調整がされている話だと思います。

〇竹川委員
ありがとうございます。

〇雨宮座長
ほかにはいかがでしょうか。
お願いします。

〇中園委員
質問というより感想ですけれども、この平年収量の線を引くときに不規則な気象効果というのは、年次変動は除去して、ただ全体的に、長期的に見て気温が上がっているというのは、それはこの収量に反映されていると考えていいんですよね。
やっぱり、そうすると、最近の傾向を見ていると北のほうで収量を上げることが多いというのは、気温が北のほうで上がって水稲に適した気温になってきているのかなというのをすごく感じました。
あと、北海道で登熟期間の気温を見ると、これもはっきりわからないですけれども、徐々に上がってきて21℃ぐらい、登熟量指数のこのカーブの一番上にいいところなので、それに近づいてきているので、まだまだ北海道は収量が今後上がるかなと感じました。

〇雨宮座長
ありがとうございます。
何か事務局ありますか。よろしいですか。

〇北村課長補佐(解析班)
おっしゃるとおりだと思います。

〇雨宮座長
ほかにいかがでしょうか。
ご欠席の委員からの何かご意見、ご質問というのはあったでしょうか。

〇北村課長補佐(解析班)
それでは、本日ご欠席の黒田委員の質問、意見とそれに対する回答を発表させていただきます。
まず1つ目としましては北海道ということで、収量水準の高い「ななつぼし」の増加は平年収量増への貢献は大きいと思われるものの、収量水準の高い「きらら397」が減少して、収量水準の低い「ゆめぴりか」の増加は全体を相殺することになるのではないか。今後、収量水準がより高い「そらゆき」の作付が増加すれば収量水準がさらに上昇することは期待されるものの、「ふっくりんこ」の収量水準は「ゆめぴりか」と同レベルであり、「ふっくりんこ」の作付面積割合の増加で北海道の平均収量のアップにつながるのか。収量水準の高い成苗移植などの安定多収栽培技術の普及・定着は最近の北海道の収量レベルの向上に大きく貢献してきたと思われるが、移植方法別の作付面積割合はほぼプラトー(一時的な停滞状態)に達しているように見える。成苗移植技術の普及が頭打ちになっていることを考えると、本技術の普及のみで北海道における今後の収量水準の向上に寄与することが期待できるか。
回答といたしましては、ご指摘のとおり、「きらら397」は減少傾向にあるものの近年の「ななつぼし」については年々収量水準が向上しており、作付面積割合も安定し、増加傾向にあることから今後の収量増につながるものと考えられます。
また、「ゆめぴりか」、「ふっくりんこ」については収量水準の比較的低い「ほしのゆめ」、「おぼろづき」等からの転換もあり、必ずしも収量減につながらない状況です。
成苗移植については、一時ほどの大幅な増加は少ないものの年々増加傾向にあり、栽培技術の確立による安定生産等につながることから、今後の収量水準に寄与するものと考えられます。
続きまして、青森でございます。収量水準の高い津軽地帯及び「まっしぐら」の作付面積割合の増加は平年収量の増加に貢献することが見込まれる。1平方メートル当たり株数は減少しているが1平方メートル当たり穂数は増加しており、1平方メートル当たりのもみ数はわずかに増加傾向にあるのは作付株数減の補償作用による一穂もみ数の維持か、または「まっしぐら」の品種特性の影響か、この傾向は他県も同じか。
回答といたしましては、収量水準の高い津軽地帯及び「まっしぐら」の作付面積割合の増加はご指摘のとおりです。
また、補償作用による維持品質特性について詳細な分析ができていないものの、水稲標本実測結果の値ではこのような状況となっています。
続いて、岩手県です。表3において県内の収量水準が、北上川上流地帯が573kg、北上川下流地帯が546kgとなっているが、岩手県の収量レベルは北上川下流が高いのでは。4の収量水準の動向の要因において、収量水準の高い北上川下流地帯の作付面積割合が増加傾向にあるのではというご質問です。
回答につきましては、平成29年産の水稲の市町村別結果を見ると、北上川下流地帯で3割の面積を占める奥州市では539kgとなっており、一方、北上川上流地帯ではそれぞれ2割を占める紫波町、盛岡市は522、571kgとなっているため、北上川上流地帯のほうが高い値となっています。なお、北上川下流地帯の作付面積割合は平成23年以降横ばいであるものの、北上川上流地帯は増加傾向にあります。
宮城県でございます。収量水準の高い「つや姫」の作付けは主に収量水準の高い北部地帯や東部地帯における作付面積割合が増加することが見込まれているのでしょうか。
回答としましては、ご指摘のとおりです。
福島県です。収量水準の高い「天のつぶ」の作付割合が増えるのは収量水準の高い会津地帯における作付面積割合が増えることが見込まれているのか。今後収量水準の低い浜通り地帯の作付面積が増えると見込まれるが、県の平均収量に及ぼす影響は限定的と思われる。
回答といたしましては、「天のつぶ」につきましては、浜通り向け用品種として開発されたものであり、「コシヒカリ」中心の会津地帯については微増傾向です。浜通り地帯については、ご指摘のとおりです。
千葉県です。収量水準の高い「ふさこがね」、「ふさおとめ」の作付面積割合が増えると見込まれるが、収量水準の高い九十九里地帯における作付面積割合が増える見込みか。
ご指摘のとおりです。
島根県です。収量水準の高い「きぬむすめ」、「つや姫」の作付面積割合が増えるのは、収量水準の高い出雲地帯における作付割合が増える見込みか。
ご指摘のとおりです。
以上でございます。

〇雨宮座長
黒田委員からの質問と事務局の回答を紹介していただきました。
そういったことも踏まえて、さらに何かご意見、ご質問等ございますでしょうか。
よろしゅうございますか。
それでは、ご意見も一巡したようでございますので、事務局、いかがでございましょうか。

〇窪田統計課長
熱心にご議論いただきありがとうございました。
事務局から提案しました平成30年産水稲の10a当たり平年収量、資料3についてでございますけれども、我々の受けとめとして、こちらのほう、ほぼ数字としてはご了承いただけるのかなと思っております。
いずれにせよ、最終的にはただいま、いただきましたご意見等も踏まえて、速やかに我々としても判断し、決定してまいりたいと考えております。
最初に司会の方から説明しましたように、事務手続を行いまして、明日15時に公表したいと考えており、それまでの間の段階は案であるということでありますので、情報管理についてはくれぐれもよろしくお願いさせていただければと思います。

〇雨宮座長
それでは最後に、議事の最後に(3)その他ということでありますが、事務局から何かございましたらお願いします。

〇北村課長補佐(解析班)
事務局からでございます。昨年開催しました第2回の水稲の作柄に関する委員会においてご説明しました平年収量の算定に用いるデータ数の検証についてでございます。
昨年の委員会終了後、事務局で検証の項目、方法等を整理し、随時委員にご意見を拝聴している段階でございます。拝聴した意見も含めまして引き続き検証し、方向性がまとまり次第また相談させていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上です。

〇雨宮座長
それでは、ただいまの事務局の報告をもちまして議事を終了させていただきます。マイクを事務局にお返しします。
ご協力ありがとうございました。

〇西本生産流通消費統計課長補佐(総括)
どうも委員の皆様方、熱心なご議論をいただきまして誠にありがとうございました。
以上をもちまして平成29年度第3回目の水稲の作柄に関する委員会を終了とさせていただきます。
誠にありがとうございました。

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