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農林水産省

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第2章 家庭における食育の推進


1 子供の基本的な生活習慣の形成

子供の朝食摂取については、朝食を食べないことがある小・中学生の割合は、小学校6年生で12.5%、中学校3年生で16.2%。

文部科学省では、子供から大人までの生活習慣づくりを社会全体の取組として推進しており、平成27(2015)年度においては、中高生を中心とした子供の自立した生活習慣づくりを推進するため、家庭と学校、地域の連携による実証研究を全国の7つの地方自治体で実施。

平成18(2006)年度に、「早寝早起き朝ごはん」全国協議会が発足し、幅広い関係団体や企業等の参加を得て、子供の基本的な生活習慣の確立や生活リズムの向上につながる運動を展開(平成28(2016)年2月現在、全国会員団体数286。)


朝ごはんを食べないことがある小・中学生の割合

2 妊産婦や乳幼児に関する栄養指導

妊娠期・授乳期における望ましい食生活の実現に向け、食事の望ましい組合せや量を示した「妊産婦のための食事バランスガイド」等を、妊産婦に対する健康診査や各種教室等において活用するなどの普及啓発を実施。

授乳や離乳について適切な支援が推進されるよう「授乳・離乳の支援ガイド」(平成19(2007)年3月)による普及啓発を実施。

21世紀の母子保健における課題解決に向け、国民運動として取組を推進する「健やか親子21(第2次)」が平成27(2015)年4月から新たにスタートし、「すべての子どもが健やかに育つ社会」を目指し、学校など関係機関のほか、食品産業や子育て支援に関連する民間企業などとも新たに連携、協働し、啓発を推進。


3 子供や若者及びその保護者に対する食育推進

貧困の状況にある子供たちに対し、「子供の貧困対策に関する大綱」(平成26(2014)年8月29日閣議決定)において、子供の生活支援として、「食育の推進に関する支援」を明記。

ひとり親家庭の子供に対して、学習支援や食事の提供等を行うことが可能な居場所づくりを行うほか、官公民の連携・協働プロジェクトとして平成27(2015)年に開始した「子供の未来応援国民運動」において、民間資金による基金の活用等を通じて、貧困の状況にある子供たちに食事の提供等を行う団体等に対する支援等を行い、それらの中で、食育の観点も踏まえ、民間活動等を一層促進。


事例:「一緒につくって一緒に食べる」子供に向けた、さりげない支援の形

てぃーだこども食堂運営委員会

てぃーだこども食堂(沖縄県浦添市)では、給食以外にご飯を食べられない子供や孤食になりがちな子供に、自尊心を傷つけることのない、さりげない支援の必要性を認識したことから、こども食堂の運営を開始。

当活動では、地域の大人と子供が一緒になって食事をつくるという点が一番の特徴。献立は、ごはん、みそ汁、常備菜を基本としており、毎回食堂に来る子供は食材や栄養、調理の段取りを学ぶことができる。地元料理の沖縄そばや、ナン・ピザを粉から手づくりすることもあり、手でこねる作業が楽しいと人気を集めている。これらの調理体験は食に関する知識や経験だけでなく、チームワークや協調性など、子供たちのコミュニケーション能力を高めることも狙いの一つである。さらに、季節に根差したイベントも月に一度開催し、子供たちの心に残る思い出づくりにも注力している。

食材については、地域住民からの寄付や寄贈、さらに食品メーカー3社からの提供支援により、現在は備蓄できるまでの状況となっている。

地域住民からいただいた野菜を使い、みんなで作った料理をみんなで食べる風景。
地域住民からいただいた野菜を使い、
みんなで作った料理をみんなで食べる風景。
地元の料理である沖縄そばを手作り。こねる作業は子供たちから楽しいと評判。
地元の料理である沖縄そばを手作り。
こねる作業は子供たちから楽しいと評判。
 

事例:調理体験を通じて、子供たちの「環境に配慮した食の自立」、「五感の育成」を推進

子供たち同士で協力しながら、真剣な眼差しで調理をする。
子供たち同士で協力しながら、
真剣な眼差しで調理をする。

東京ガス株式会社

東京ガスでは、子供の食の知識の低下と生活習慣病の低年齢化に危機感を抱き、平成4(1992)年より小学生及び親子を対象とした料理教室「キッズ イン ザ キッチン」を開始した。また、世間に環境への意識の高まりが見え始めた平成7(1995)年からは、食生活を入口に環境にやさしい生活を考える「エコ・クッキング」の普及活動を開始し、「キッズ イン ザ キッチン」の中にもその要素を取り入れ、エネルギーや環境問題について考えるきっかけを提供している。

「キッズ イン ザ キッチン」では、「環境に配慮した食の自立」と「五感の育成」の2つを柱に、食を通して「生きる力」を身に付けてもらうことを目的に、経験豊かな講師が旬の素材を使ったバランスの良いメニューを教えている。また、各回のレシピの中には、火力調節や、鍋にふたをするといった「エコ・クッキング」のアイデアを効果的に盛り込み、「買い物・調理・食事・片づけ」という一連の食の体験の中でできる環境への配慮の仕方についても伝えている。


エコ・クッキングの一例
エコ・クッキングの一例。
(左)鍋底の水滴を拭きとってから火にかける
(中)鍋底から炎がはみ出さないようにする
(右)鍋を火にかける時はふたをする
 
「エコ・クッキング」、「キッズ イン ザ キッチン」は、東京ガスの登録商標です。

事例:スポーツ栄養のプロフェッショナルが企画・運営するジュニアアスリートの保護者・指導者への食育
~未来のトップアスリートのための体感型スポーツ栄養セミナー~

公益社団法人 日本栄養士会

日本栄養士会では、平成32(2020)年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会で活躍が期待されるジュニアアスリートの年代の保護者と指導者を対象に、スポーツ栄養のプロフェッショナルである公認スポーツ栄養士がチームを組み「体感型スポーツ栄養セミナー」を企画・運営した。平成27(2015)年度の東京での開催を皮切りに、平成28(2016)年度より全国で展開し、4年後には5,000名の修了者の輩出を予定している。

発育発達期であるジュニアアスリートは、栄養・運動・休養をバランスよく保つことが大切であり、そのための適切な知識を習得し、生活の中に取り入れることが必要である。そこでセミナーでは、ジュニアアスリートの健やかな発育発達を促すとともに競技力向上のためのスポーツ栄養の基礎知識と、その知識が家庭やスポーツの現場で活用・実践できるように、体感型の教育を行うことを目的にプログラム内容を組み立てた。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、子供たちがスポーツの楽しみや喜びを感じ、競技力向上への興味を育む絶好の機会である。この機会を利用して、スポーツ栄養から子供たちへの食育の重要性を普及・啓発する発信元として、公益社団法人日本栄養士会はこのセミナーを継続して実施していく。

昼食に提供された「アスリート弁当」
昼食に提供された「アスリート弁当」
東京で開催したセミナーでは151名に修了証を授与
東京で開催したセミナーでは151名に修了証を授与
受講者に授与した修了証
受講者に授与した修了証
 

お問合せ先

消費・安全局消費者行政・食育課

担当者:食育計画班
代表:03-3502-8111(内線4576)
ダイヤルイン:03-6744-1971
FAX番号:03-6744-1974