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4 生活習慣病の予防や改善に向けた食生活の実態


我が国は、世界でも有数の長寿国である上、高齢化も急速に進展することが見込まれています(図表1-1-12)。

健康寿命は、平成25(2013)年時点で、男性が71.19歳、女性が74.21歳となっており、それぞれ平成13(2001)年と比べて延びているものの、平成13(2001)年から平成25(2013)年までの健康寿命の延び(男性1.79年、女性1.56年)は、同時期における平均寿命の延び(男性2.14年、女性1.68年)と比べて小さい状況です(図表1-1-13)。

図表1-1-13 健康寿命と平均寿命の推移

データ(エクセル:9KB / CSV:1KB

普段の食生活で特に力を入れたい食育として、「健康に留意した食生活を実践したい」と回答した人は38.8%であり(図表1-1-1)、特に、生活習慣病の予防や改善のために普段から適正体重の維持や減塩などの食生活に「いつも気をつけて実践している」または「気をつけて実践している」と回答した人は69.9%で、女性でその割合が高くなっています(図表1-1-14)。

また、生活習慣病の予防や改善に関する具体的な食生活として最も意識された内容は、「野菜をたくさん食べるようにすること」(85.5%)であり、次いで、「塩分を取り過ぎないようにする(減塩をする)こと」(72.8%)、「脂肪(あぶら)分の量と質を調整すること」(70.4%)が7割を超えています。一方、それぞれ、意識していると回答した割合よりも、実践していると回答している割合は若干低い上、実際に野菜や食塩摂取量について状況をみると、目標とされている摂取量を達成していない状況です(図表1-1-15)。

副菜となる野菜類の摂取量の分布については、ここ10年で大きく変化しておらず、野菜の摂取について、「健康日本21(第二次)(*1)」において目標とされている1日当たり350gの摂取量に達している人の割合も3割を超える程度です(図表1-1-16)。

*1 平成24年厚生労働省告示第430号による改正後の国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(平成15年厚生労働省告示第195号)
第3章第2節1健康寿命の延伸につながる食育の推進 参照)

食塩摂取量については、平成27(2015)年の調査結果では、1日当たり男性は10.9g、女性は9.1gであり、この10年で減少していますが、「健康日本21(第二次)」において目標とされている1日当たり8gには達していません。また、食塩の供給源を見てみると、調味料・香辛料から約7割の食塩をとっている状況です(図表1-1-17)。近年では、食の外部化率も高まり、加工食品等の利用も増えているため、食塩を多く含む食品や料理等の摂取量をいかに減らすかが減塩するために重要です。

事例:~明日を美しく健康に働く~「まるのうち保健室」の取組

Will Conscious Marunouchi(ウィル コンシャス まるのうち)実行委員会

(写真1)まるのうち保健室でのフィードバック

(写真1)まるのうち保健室でのフィードバック

三菱地所株式会社や一般社団法人Luvtelli(ラブテリ)らで構成されるWill Conscious Marunouchi(ウィル コンシャス まるのうち)実行委員会は、平成26(2014)年から東京・丸の内にて『まるのうち保健室』を開催し、働く女性の健康支援に取り組んでいます。丸の内界隈のカフェ等で、ヘモグロビン・体組成・骨密度の測定やロコモ度(*1)のチェック・食生活調査を実施するとともに、測定結果を用いて、特別な研修を受けた保健室公認カウンセラー(管理栄養士等)によるフィードバックを行い、妊娠や出産等のライフイベントに向けた食生活や生活習慣の改善提案を受けることができる枠組みになっています(写真1)。また、オフィス街という特性を活かしつつ、ワンコインで参加できるという手軽さをきっかけに、忙しい女性でも就業の合間に気軽に立ち寄ってもらえるようにしています。参加者からは、“自分の身体をよく知ることができ、生活習慣を振り返る良い機会になった”という声が寄せられています。

(写真2)カフェで提供した限定メニュー

(写真2)カフェで提供した限定メニュー

平成26(2014)年~28(2016)年の3年間で約1,800名が参加していますが、その測定結果によると、働く女性は忙しい日々の末に、朝食の欠食率が高いことやデスクワークによる運動不足で筋力量が低下していること、平均睡眠時間が短いことなど、「栄養」「運動」「睡眠」の3つの要素が不足していることが分かりました。働く女性が身体や食に関する知識を身に付け、忙しい毎日の中でも健康的な生活を送ることができるよう、『まるのうち保健室』では、測定に加えて、働く女性の健康をサポートするメニュー(写真2)を開発し、丸ビル1階のカフェにて期間限定で提供しました。また、朝食や健康的なメニューを食べることのできるお店や婦人科等の医療機関の場所を掲載した「Eat+Act Map」を作成し配布するなどの取組も行っています。さらに、健康な女性から得られた貴重なデータをまとめて報告書にし、学会発表や、メディア等での情報発信も行いました。平成28(2016)年からは新たな試みとして、パートナー企業とともに、『まるのうち保健室』の測定後に、参加者の健康に対する知識が高まっている段階で「まるのうち部活動」と称する講座やセミナーも開催しています。

今後は、『まるのうち保健室』の参加者のデータをもとに、働く女性がパフォーマンス良く健康的に過ごすことが出来るように、忙しい毎日のなかでも実現可能な「新習慣メソッド」を開発・提案していくとともに、働く人が気軽に健康的な生活を送れる街づくりを進めていく予定です。

*1 ロコモとは、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の略称で、筋肉や骨、関節等の運動器のいずれかに障害が起こり、「立つ」、「歩く」といった移動機能が低下している状態。
また、ロコモ度のチェックは、日本整形外科学会が策定したロコモの程度を評価する「ロコモ度テスト」により実施。



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代表:03-3502-8111(内線4576)
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