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農林水産省

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3 一日の全ての食事を一人で食べている「孤食」の状況


(週の半分以上一日の全ての食事を一人で食べている「孤食」の人は、約15%)

家族と食事を共にすることが重要ではありますが、家庭や個人の努力だけでは難しい状況もあります。一日の全ての食事を一人で食べる頻度について、「ほとんど毎日」と回答した人の割合は11.0%で、「週に4~5日ある」(4.3%)と合わせると、週の半分以上、一日の全ての食事を一人で食べている「孤食」の人は約15%で、平成23(2011)年度と比べると増加していました。

一人で食事を食べることについて、「一人で食べたくないが、食事の時間や場所が合わないため、仕方ない」(35.5%)と回答した人の割合が最も高く、次いで、「一人で食べたくないが、一緒に食べる人がいないため、仕方ない」(31.1%)でした。

(世帯構造の変化。特に、高齢者の一人暮らしの増加)

一人で食べたくないが、仕方なく「孤食」になってしまう背景として、世帯構造の変化があります。単独世帯や夫婦のみの世帯、ひとり親世帯の増加により、誰かと一緒に食事を共にする機会が得られなかったり、少なかったり、食事を通じたコミュニケーションや豊かな食体験が期待しにくい状況もみられます。

特に、65歳以上の高齢者では、一人暮らしの人の割合が増加しており、平成27(2015)年は男性高齢者の13.3%、女性高齢者の21.1%が一人暮らしでした。2040年には、男性高齢者の20.8%、女性高齢者の24.5%が一人暮らしであると推計されています。

事例:高齢者が仲間たちと食卓を囲むサロン活動

特定非営利活動法人 ホームひなたぼっこ(宮城県)

「ひなたくらぶ」の様子1
「ひなたくらぶ」の様子2

「ひなたくらぶ」の様子

宮城県岩沼市にあるホームひなたぼっこは、住み慣れた地域で乳幼児・高齢者・その家族・地域の方々が、かつての大家族のように互いに支え合い、心がふれあうコミュニティとなることを目指して活動をしている団体です。保育・介護・障害児支援活動とともに、東日本大震災後の仮設住宅入居者も含めた高齢者の自立した生活を支援するために、誰もが気軽に集える地域サロン活動に取り組んでいます。

家族や親しい人を亡くしたり、思うように身体が動かなくなったりして、家に閉じこもりがちな高齢者が外出するきっかけとなるように、平成15(2003)年から地域サロン「ひなたくらぶ」を始めました。「行きたいところがある、したいことがある、会いたい人がいる」をモットーに、毎週1回、今では気心の知れた仲間となった参加者がサロンに集まり、絵手紙教室や健康セミナー、軽体操など様々な活動を行っています。そして、月に1回は、このような活動の後に、みんなで食卓を囲む昼食会も行っています。参加者からは、「家では、テレビが食事の相手。ここに来れば、みんなでおしゃべりをして、食事も楽しい。」という声もあり、昼食会の日は普段より多くの参加者がサロンに集まります。

一方で、「ひなたくらぶ」は、着実に開催してきましたが、女性の参加者が多いため、男性の参加者がなじめない、入りにくいという課題がありました。また、ホームひなたぼっこの布田代表は、近所で一人暮らしをしている高齢男性から「ひなたぼっこで、一緒に食事をさせてもらえないかな。一人の食事はわびしい。」と声をかけられたことが、ずっと気になっていました。

「おばんですサロン」の様子

「おばんですサロン」の様子

そこで、平成28(2016)年からは、毎月一回、主に一人暮らしの高齢男性を対象とした「おばんですサロン」という夕食会を開催することにしました。「おばんですサロン」には、近所の方や社会福祉協議会から紹介された方などが参加し、回を重ねるごとに、参加者同士はすっかり顔なじみになりました。ホットプレートで焼き肉やお好み焼きをしたり、野菜の多い献立にしたり、みんなで囲む食卓は、家で一人で食べる食事とは異なる工夫をし、参加者の食も進みます。テレビで大相撲や高校野球の観戦をしながら食事をすることもありますが、みんなで応援すると大変盛り上がり、会話も弾みます。参加者からは、「みんなで食べるとうまいなー。楽しいなー。」という声が多く、翌月の開催を楽しみに帰って行きます。

高齢者の一人暮らしや老夫婦のみの生活など高齢者を取り巻く状況は様々ですが、ホームひなたぼっこでは、みんなで食卓を囲むことを大切に、「楽しかった」、「また行きたい」と思ってもらえるサロン活動を続けています。

コラム:食事を共にする頻度が高い人は、食生活が良好な傾向

近年、食事を共にすることと健康や良好な食生活に関する国内の研究結果を分析した報告(*1)があります。その報告によると、誰かと食事を共にする頻度が高い人は、<1>心の健康状態について、「気が散る・根気がないなどの精神的な自覚症状が少ない」、<2>食生活について、「ファストフードの利用が少ない」、「野菜や果物など健康的な食品の摂取頻度が高い」といった傾向がみられました。

海外の研究結果でも、同様の報告(*2)があり、家族と食事を共にする頻度が高い人は、野菜や果物の摂取量が多いなど食物摂取状況が良好であることが示唆されています。

農林水産省の「食育に関する意識調査」においても、1日の全ての食事を一人で食べている孤食がほとんどなく、ほぼ毎日誰かと食事を共にしている人(孤食の頻度が「ほとんどない」又は「週に1日程度ある」)は、主食・主菜・副菜を3つそろえて食べることが「ほぼ毎日」の割合が62.3%でした。一方、孤食が週2日以上(孤食の頻度が「週に2~3日ある」又は「週に4~5日ある」又は「ほとんど毎日」)の人は、その割合が42.4%で、孤食がほとんどない人のほうが、食事のバランスが良い傾向がみられました。

また、朝食を「ほとんど毎日」食べると回答した人の割合も、孤食がほとんどない人は86.8%だったのに対し、孤食が週2日以上の人は71.1%でした。

図表1 孤食の状況別主食・主菜・副菜を3つそろえて食べる頻度

データ(エクセル:9KB / CSV:1KB

図表2 孤食の状況別朝食の摂取頻度

データ(エクセル:9KB / CSV:1KB

さらに、生活習慣病の予防や改善のために気をつけた食生活の実践状況も、ほとんど孤食をしていない人のほうが良好で、「果物を食べること(62.1%)」の実践度は、週2日以上孤食の人より10ポイント程度高い結果でした。



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